岩隈本人は、「このままなら来季は楽天でプレーします」と早くも来季楽天残留を覚悟する発言をしているという。来オフには海外FA権を取得できるので仕切り直し。今度は好きな球団と交渉できるから、1年先送りでもダメージはさほど大きくないだろう。「残ってくれるのなら大きいよ」と、楽天・星野仙一監督も大歓迎の意を表している。
しかし、ある球界関係者は「岩隈が楽天に残留したら、問題が山積だろう。どのみち来オフには海外FAでメジャーへ行くのだから、国内トレードが最善の解決法だ。それしかない」と言い切る。さらに具体的な問題点の数々をあげる。
「球団側はアスレチックスの応札金15億円を、星野監督がぶち上げている大補強の費用としてアテにしている。それがゼロになったら、お家の一大事だろう。しかも、来季の岩隈の年俸3億円も必要になってくる。トータルしたら、18億円の大損になる。星野監督の大補強作戦も途中でストップの危機に直面しかねない」。
確かにその通りだろう。岩村明憲、松井稼頭央の日本人メジャーリーガーコンビを獲得した星野監督だが、満足していない。「次は投手陣の補強だ」と大号令を発している。巨額な岩隈マネーが消滅したら、星野監督の大補強方針は頓挫する危機に直面する。さらなる問題点はというと…。
「残留したら来季の岩隈が手抜き、サボタージュするのは間違いない。万が一、故障すれば元も子もなくなるからね。もともと大きなケガからカムバックしただけに、体には人一倍神経質だからね。ノムさん(野村克也・元楽天監督)が『自分から交代させてくれというエースがおるんやから、信じられんわ』と、ガラスのエースをボヤキまくっていたからね。現役時代から気合いと根性をモットーにする星野監督とは水と油だ」。
実は星野監督と岩隈は、すでに危険な関係にある。08年夏の北京五輪日本代表を巡っての確執だ。日本代表監督だった星野監督はエースの岩隈を無視して、プロ入り2年目の田中将大を日本代表選手に抜てきしたのだ。
「あの時の悔しさは一生忘れない」と周囲に漏らした岩隈は、この年、なんと21勝をあげ最多勝と防御率1位のダブルタイトル、さらに沢村賞まで受賞。翌年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも鬱憤を晴らす快投を演じ、日本代表2大会連覇の陰のMVPとまで言われている。星野監督の方も故障がちで神経質な投手を極端に嫌う。だから監督就任前に決まっていた岩隈のポスティングをやめさせなかったのだ。必要なのは大補強の費用になる岩隈マネーの方だった。
「岩隈を金銭トレードに出せば、1年限定とわかっていても、投手補強に躍起の巨人、阪神などは飛びつくだろう。パ・リーグよりもレベルが低いセ・リーグならば、多少手抜きしても10〜15勝は堅い。楽天で使いものならなかってあの朝井が、シーズン途中で巨人へ行っていきなり4勝もしたんだからね。岩隈の年俸3億円が浮き、トレードマネーが数億円手に入れば、楽天としたら万々歳だろう」。
前出の球界関係者は、こう仰天情報を明かす。星野監督のサプライズトレードがあるのかどうか。岩隈にポスティングがご破算に終わったとしても、まだまだ目を離せない。