「04年の合併騒動では何度も協議を重ねました。以後、選手会とは建設的な意見交換をしてきたつもり」(在京球団職員)
先の協議で、選手会は改めて主催者側が掌握する『日本企業のスポンサー権の帰属』について疑問提議した。
本当は経営陣も米国側主催者のやり方に首を傾げている。主催国以外は黒字にならないと言っていいくらいで、過去2大会は「日本は優勝賞金が入ったから辛うじて赤字を免れた」(前出・同)のが真相だ。
日本の経営陣は米国側主催者が強気な態度を変えないため、代表チーム・侍ジャパンを常設する折衷案を出した。米国側主催者は「WBC参加以外のために招集される代表チームの興行には口を挟まない」とそれを容認したので、常設される『侍ジャパン』の単独興行等でWBCへの参加経費等を補填する方向でいた。選手会はそれを受け入れてくれなかったが…。
プロ野球解説者の1人が「No!」を突きつけた選手会側の気持ちをこう代弁する。
「通常、調整期間である3月にベストコンディションに持っていく苦労は相当なもの。大会中に怪我をした場合は『公傷』として認めてくれるのかどうかなど、曖昧な部分もあります。WBCが米国主導のままでは国際大会として発展していかない」
加藤良三コミッショナーは選手会が不参加を表明した7月20日時点で、「出ない影響を考えなければならない。WBCの持っている意義はカネに換算できない」と語気を強めていた。このまま選手会と折り合いが付かず、正式に『不参加』を通達することになれば、常設される侍ジャパンの存在価値もガタ落ちだろう。常設チームによる震災復興等のキャリティー興行も考えており、その点に関しては選手会側も賛成していたが、「日本企業のスポンサー権の帰属問題」が改善されない限り、不参加の意志は変わらないという…。
前出の在京球団職員が『新情報』を提供してくれた。
「『大会スポンサー』とは別のスポンサーも募る方法です。ヘルメットやユニフォームにロゴをつける方法を米国側主催者に提案し、そのロイヤリティーを折半するんです。その収益を選手会にも還元できる約束をすれば…」
米国側主催者がどういう反応を見せるかは、全くわからないが…。
選手会の主張は正論である。また、強気な米国側と折衷し、現実的な解決策を見出そうとしている経営陣も、もっと評価されていいだろう。どちらも間違っていないだけに、「これ以上の物別れが続けば、感傷的な衝突にも発展しかねない」なる声も聞かれた。米国の主催イベントで日本プロ野球界が“分裂”するとしたら、それこそ最悪の事態だ。