スポーツ
-
スポーツ 2016年03月16日 14時00分
清原の呪いか 松坂大輔、斎藤佑樹「崖っぷち」の甲子園ヒーロー(1)
30年前の甲子園大会を沸かせた清原和博容疑者が、連日ニュースを賑わせている。PL学園時代のユニホームなどを飾っていた甲子園球場内の歴史館では「教育的配慮」を名目に、同容疑者に関する展示物すべてを撤去してしまった。その余波だろうか。'98年、'06年の甲子園ヒーローたちも、もがき苦しんでいる。 「いろいろ考えている。これからのことも含めて」 日本ハム・栗山英樹監督がそう憤ったのは、斎藤佑樹(27)に関してである。'06年夏の甲子園大会を沸かせたスターは、今季、プロ6年目を迎える。3月6日に行われたDeNAとのオープン戦で中継ぎ登板し、1イニングを無失点に抑えたものの、そこに至るまでの実戦3試合では全くいいところがなかった。とくに巨人戦では「2回披安打5失点4」と炎上している。 「1イニングを抑えたDeNA戦がラストチャンスでした。結果は出したものの、6番からのほぼ下位打線が相手ですからねえ…」(スポーツ紙記者) 一方、'98年の甲子園優勝投手、ソフトバンクの松坂大輔(35)には「早期復帰」に関して一縷の望みが見えてきた。韓国・斗山との練習試合では288日ぶりの実戦マウンドを踏んだ。2イニングを投げ、披安打ゼロ。最速は141キロだったが、昨年8月にメスを入れた右肩は順調に回復しているようだ。 「5月の交流戦が始まるころ、松坂の一軍復帰が見られるはず。そこで長いイニングが投げられれば、ペナントレース中盤までは先発で使ってもらえると思う」(スポーツ番組担当デスク) 選手層の厚いソフトバンクにおいて、松坂に先発を任せられる余地が果たしてあるのか。いくら松坂獲得を決めた王貞治球団会長や株主総会で「見守ってほしい」と訴えたオーナーの孫正義氏のバックアップがあったとしても、プロ野球は実力の世界。“昔の名前で出ています”で、そうそう勝利が舞い込むわけがない。 だから「松坂の早期復帰」に、「中盤まで」と付くのは、工藤公康監督の“計算”だという。 「ドラフト1位の高橋純平ですよ。他球団では、オコエ瑠偉(楽天)、高山俊(阪神)、平沢大河(ロッテ)たちが連日マスコミを騒がせている。高橋は、ファームでじっくり育てる方針とはいえ、いまだベールに包まれたまま。そこがミソ。その育成プランは工藤監督が評論家時代に学んだスポーツ科学が影響しています。高校3年時に痛めた左太股、新人自主トレで故障した左スネも順調に癒えており、シーズン後半に将来のエース候補である高橋がお披露目される段取りです」(球団関係者)
-
スポーツ 2016年03月15日 14時00分
貴乃花親方が春場所前“打倒八角”決起集会で見せた決意表明
大相撲春場所は「エディオンアリーナ大阪」で熱戦が繰り広げられているが、それにもまして親方たちが激しい火花が散っている。 先場所後に行われた理事選で、10人の理事が当選したばかりの大相撲界だが、次の焦点は春場所後に行われる理事長改選だ。北の湖前理事長亡き後に就任した現職の八角理事長(52=元横綱北勝海)に、若手のホープ貴乃花親方(43=元横綱)が挑むという構図で、すでに理事選前からさまざまな場面で両者のぶつかり合いが見られ、闘いは激しさを増すばかり。 「まさに両者、一歩も引かずといった感じです。現職の強みで逃げ切りを図る八角理事長に対し、攻勢をかける貴乃花親方。どっちに転ぶか、各親方たちは会場のあちこちでひそひそ話をしています」(担当記者) その来たるべき本番の激しさを窺わせる出来事が、この春場所前にもあった。3月3日、大阪市内のホテルで貴乃花一門の激励会が開かれたのだ。通常、激励会は個人や部屋単位で開かれるもので、一門による激励会というのは極めて稀。言わばこれは、貴乃花親方を理事長にする会で、出席者は厳選された200人。 その中には貴乃花一門に属する4つの部屋の8人の親方、力士たちの他、1月の理事選で当選した山響親方(元幕内巌雄)、時津風親方(元幕内時津海)、錣山親方(元関脇寺尾)、湊親方(元幕内湊富士)、佐ノ山親方(元大関千代大海)ら9人、さらに現役の豊ノ島や逸ノ城らも出席した。 会は冒頭から異様な盛り上がり。万雷の拍手の中、登壇した貴乃花親方だったが、その姿を目にした出席者らは驚きの声を上げ、場内はどよめきに包まれた。 貴乃花親方が、まるで不退転の決意を示すようにツルツルの丸刈り頭で現れたのだ。 「伝統、文化はどこの国にもなくてはならないもの。文化は礼節に始まり、礼節に終わるもので、誰が理事長になっても大相撲界を次の世代に残していければと思っています」 司会の河内家菊水丸に促されてマイクを握った貴乃花親方は、すかさずこう先制パンチを繰り出した。もちろん、受けて立つ八角理事長もこのまま黙ってはいないはず。さあ、どうなる?
-
スポーツ 2016年03月13日 14時00分
俺たちの熱狂バトルTheヒストリー〈“黄金の柔道王”吉田秀彦〉
1992年にバルセロナ五輪柔道78キロ級で優勝。試合直後には拳を握った両腕を天に広げ、喜びを爆発させた吉田秀彦だが、表彰式での表情はどこかさえなかった。緊張感が解かれると、替わって頭の中に持ち上がってきたのは、翌日に試合を控える古賀稔彦のことだった。 五輪本戦まで2週間を切った練習中に、古賀は左ヒザ靭帯損傷の大ケガを負い、そのとき乱取りの相手を務めていたのが吉田だった。不運な事故だったとはいえ、ケガを負わせてしまったという悔恨は強く残った。 なにしろ吉田にとって、古賀は憧れの柔道家であり、古賀をまねて無精ひげを生やしたこともあった。五輪選手村でも2人は同部屋で、むろん古賀は吉田を責めるようなことは一切なかったが、それが余計に心の重しとなっていた。 金メダルを手にした吉田が部屋に戻ると、翌日に試合を控えた古賀はすでにベッドに入っていたが、気配を察してムクリと起き上がり、笑顔で一言「おめでとう」と声を掛けた。それでようやく吉田も、優勝を実感することができたという。 吉田は翌日、ヒザに痛み止めを打ちながら試合に臨む古賀に向けて、懸命に声援を送り、その金メダル獲得の瞬間を心から祝福した。 '96年のアトランタ五輪では、86キロ級で2階級制覇を目指した吉田だったが、結果は5位に終わる。翌年からは母校・明治大学柔道部で監督を務めながら競技を続け、'00年のシドニー五輪では、90キロ以下級で出場を果たした。 しかし、その3回戦、吉田は対戦相手の投げをこらえようと手をついてしまい、右ヒジ脱臼の重傷を負う。受け身には自信を持っていたはずの吉田が、なぜ、そんなことをしたのかといえば、五輪制覇への執念が、無意識のうちにそうさせたとしか言いようがない。 はたから見ても腕が逆に曲がるのが分かったほどの重傷で、対戦相手の襟をつかむことすらかなわず、敗者復活戦を棄権。これにより吉田は第一線から退くことになる。 元来は明るい性格の吉田だが、その格闘人生においてはどこか暗い影がついてまわった。 '02年にプロ格闘家に転身した吉田だが、その原点ともいえる闘いが'94年の全日本選手権だろう。無差別級で行われる同大会の準決勝で、吉田は小川直也と対峙する。 吉田にとって明治大学柔道部の先輩にあたる小川だが、2人の間には当時から確執があったといわれる。 「小川の理不尽なしごきに対し、吉田が反抗的な態度を取ったためとも伝えられるが、それはどこの部活動でも見られること。柔道エリート養成所の講道学舎出身の吉田と、高校から柔道を始めた小川。社交的な吉田と一匹狼的気質の小川というように、いろんな面で対照的で、単に反りが合わなかったということだったのでは?」(スポーツ紙記者) だが、世間からすると「期待を集めながらバルセロナ五輪で銀に終わった下り坂の小川」と、「ダークホース的存在ながら金を獲得した新スターの吉田」であり、30キロ近い体重差からの判官贔屓もあって、吉田を応援する声の方が大きかった。 試合は序盤から吉田が背負い投げを中心とした積極的な攻めを見せ、小川をグラつかせる場面もあった。しかし、中盤に小川が支え釣り込み足で吉田を宙を舞わすと、ポイントにはならなかったものの、以後は小川が攻勢に…。そのまま互いに決め手を欠き、試合は旗判定へと持ち込まれた。 試合後も余裕を残す小川と息の上がった吉田。試合を通しては吉田の攻めが目立ったものの、技の質では小川が上回り、どちらが優勢と言い難い内容ではあった。 審判の旗が2本、自分に上がったのを見ると、吉田はバルセロナ五輪のときと同じように、両拳を突き上げた。一方の小川は「マジか?」と吐き捨て、不服な表情のまま試合場を後にした。その勢いのまま全日本初制覇となれば、吉田は一気に国民的ヒーローとなっただろう。 だが、決勝の相手も超重量級の金野潤とあっては、小川戦で力を使い果たした吉田に勝ち切るだけの余力はなかった。今では反則技とされるカニ挟みで金野にペースを奪われると、見せ場なく判定負けに終わったのだった。
-
-
スポーツ 2016年03月13日 12時00分
新日本の選手が実名で登場! 『タイガーマスク』3度目のアニメ化へ
新日本プロレス3・3大田区総合体育館大会の試合前にリングに登場した木谷高明オーナーは、アニメ版『タイガーマスク』の企画が進行中であることを明らかにした。 「私と同世代のかたは、昔のプロレスや野球、サッカー、すべて実名のスポーツ選手が出ていたアニメやコミックの記憶があると思いますが、いまはもはやそういうことができない時代になってます。ただ、新日本プロレスは違います! そのアニメの中で選手が次々、実名で登場します」 場内のビジョンにはタイガーマスクと対峙する“アニメ版”オカダ・カズチカの姿が映し出されていた。アニメ版の『タイガーマスク』は、1969年から71年まで、日本プロレスが全面協力のもと、よみうりテレビ・日本テレビ系列にて放送され、大ヒットした。アニメの中ではジャイアント馬場がグレート・ゼブラに変身している。そして、81年から82年までは新日本プロレスが全面協力のもと、『タイガーマスクII世』をテレビ朝日系列で放送。アントニオ猪木、山本小鉄からスタン・ハンセン、アンドレ・ザ・ジャイアントなど当時の常連外国人選手も実名で登場した。これに伴いデビューしたのが、初代タイガーマスク(佐山聡)である。このメディアミックスは大成功し、昭和の新日本プロレス黄金期を支えた。歴代の“プロレスラー”タイガーマスクのコスチュームは『II世』のデザインがベースになっている。 「このアニメは世界にくまなくネット配信や番組販売で広がり、世界中から引き合いがあるはずです。そのことによって、タイガーマスクというコンテンツと、新日本の選手が世界中に広まるんじゃないかと考えています。ブシロードという会社は、どちらかというと二次元中心で活動していますが、今はやはり二次元から三次元に入るという男性、女性が非常に増えています。このアニメを放送することで、アニメから入って新日本のファンになる人もいるんじゃないかと思います」 木谷オーナーは、3度目となるアニメ版『タイガーマスク』を新日本世界戦略用のコンテンツのひとつとして捉えている。日本のアニメ文化は、クールジャパンとして世界でも認められており、親会社のブシロードとしても得意なジャンル。現在、新日本は台湾で興行を行っているが、今年は香港やシンガポールでの開催も視野に入れており、アジアツアーに向けても強力なコンテンツになる可能性を秘めている。 「真壁(刀義)さんなんか自分でできるんじゃないですかね」と語った木谷オーナー。選手自らが声優を担当することに関しては、スケジュール等との兼ね合いもあるが、声優向きの選手に関しては可能性が残されているようだ。 「(提供スポンサーは)新日本とブシロードになるかもしれませんが、まだ決まってないです。そこはおもちゃや音楽、いろんな業界に広がってほしいなと思います。(放送開始時期については)編成の話なので言えないですが、そんなに遠くないはず」 最後に放送局などに関する具体的な質問が飛んだものの、木谷オーナーは調整中の部分に関しては明言を避け、「内容は今風になっていて面白い。女性ファンが増えるのではないか」と語った。ブシロードはかつてTOKYO-MXで再放送された『タイガーマスク』の1社提供スポンサーになった実績もある。『タイガーマスク』と『タイガーマスクII世』、アニメ版タイガーマスクはいずれもプロレスファンを爆発的に増やしてきただけに、今回も1人でも多くの目に触れる環境下での放送に期待したい。どのような形でプロレス界に還元されるのか、派生するさまざまな展開も含めて非常に楽しみである。(増田晋侍)<リアルライブ・コラム連載「新日Times」VOL.9>
-
スポーツ 2016年03月12日 14時00分
世界水泳の福岡開催を決めた 小谷実可子氏の “実戦”スピーチ
「小谷氏が大会招致のプレゼンテーション・スピーチに立ち、その好評さが勝因となったことは間違いありません」(体協詰め記者) 元シンクロナイズドスイミングの女王が表舞台に帰ってくる。2021年、世界水泳の福岡開催が決定。その招致に大きく貢献したのが、元シンクロの小谷実可子氏(49=現姓・杉浦)である。 小谷氏は'92年バルセロナ五輪後に第一線を退き、その後はJOC広報員、JRA非常勤監事など、スポーツ界の裏方業に徹してきた。その積み重ねもあって、「橋本聖子(JOC選手強化本部長)より頼りになる」(同)と周囲の評価はうなぎ上りだという。 これまで“実戦”で鍛えられたのも小谷氏の強み。というのも、'97年11月には国連総会という大舞台に立っているからだ。翌年に控えた長野五輪の宣伝的意味合いもあったが、五輪開催中の紛争地域の停戦を訴え、出席者からの好感を呼んだのである。 「通常、国連総会でスピーチをしてしまうと、ジミな仕事ができなくなってしまう。しかし、彼女は地方の小さな大会でも招待者挨拶をコツコツとこなしてきたんです。今回の世界水泳招致の成功により、それまでの堅実な仕事ぶりが永田町界隈でも高く評価されている」(JOC関係者) スポーツライター・飯山満氏がこう続ける。 「'19年には日本でラグビーワールドカップが開催される。また、'19年開催のフィギュアスケートや柔道の世界選手権でも日本招致の動きがあり、'23年に予定されている女子サッカーワールドカップの招致も信憑性が出てきました。'26年の陸上アジア大会招致には、愛知県が立候補しています。日本は東京五輪前後に世界的なスポーツ大会が重なっており、小谷氏や元五輪選手も政治の場に担ぎ出されるでしょう」 昨年10月からスタートしたスポーツ庁の存在も大きい。橋本氏の場合は、元フィギュアスケート選手・高橋大輔との“キス事件”でミソを付けているため、小谷氏が前面に出てくる可能性が高いのだ。 「スポーツ庁の初代長官は元競泳選手・鈴木大地氏。競泳とシンクロの違いこそあれ、同じ水連出身の小谷氏のほうがスケート連盟の橋本氏よりも話が通じやすいはずです」(関係者) シンクロ同様、水面下の努力が功を奏したようだ。
-
-
スポーツ 2016年03月09日 16時00分
阪神分裂! アニキ金本vs川藤・江夏・掛布「抗争」が勃発(2)
また、江夏氏はテレビ局の取材で訪れた宜野座キャンプ(沖縄)で、能見、岩田、岩崎優、岩貞祐太など、トラが誇る左腕先発候補を視察し、細かく声を掛けてまわっていた。 金本監督はOBの取材はすべて練習終了後に制限していたのだが、そんなことはお構いなし。 揚げ句は番記者に「左投手が多すぎる、今の球界は左打者が多い、いい商売ができる。オリックスは欲しがるやろ」と耳打ちするパフォーマンス。メディアを使ってトレードを進言し、同時に投手陣の競争をあおるなど、“江夏流”が猛威をふるったのだ。 江夏流は、それだけにとどまらない。専門外の野手にも口出しし、金本監督が打ち出した大和外野手の二塁手コンバートにも反発してみせた。 「センターラインはタイガースの生命線、大和のセンターは強力。二塁には上本(博紀)、西岡(剛)もいる」 サングラス姿で視察を続ける江夏氏の相次ぐ現場介入で、チームは大混乱に陥った。 「大和自身は監督のコンバート案を好意的にとらえ、二塁手転向に真剣に取り組んでいた。今季の外野陣は、江越大賀、横田慎太郎、ドラ1ルーキーの高山俊(明大)など打撃が売りの若手が台頭し、3割近く打たないと大和の定位置確保は難しい。一方、二遊間は今年35歳を迎える鳥谷敬の守備範囲が狭くなっており、出場機会が見込める。そこまで配慮したうえで金本監督は大和の二塁転向を打ち出したのですが、思わぬところから圧力がかかった。これには選手たちも戸惑っています」(トラ番記者) もっとも、江夏氏の狙いは「次期掛布政権」への橋頭保にある。生粋のOB監督が誕生すれば、阪神OBはコーチの重職、フロント幹部にありつける。川藤会長の求心力も一層高まる。 本来なら致命傷ともいえる「江夏氏の覚醒剤所持事件」だが、意外なことに、清原容疑者逮捕が逆風どころか、追い風になっているという。 江夏氏は'93年、覚醒剤所持の現行犯で逮捕され、実刑判決を受けた。大量所持だったため、初犯ながら懲役2年4カ月の実刑判決を受け、静岡刑務所に服役。しかし、清原容疑者とは違い、野球に真摯に取り組んできたことから野村克也、衣笠祥雄、江本孟紀氏らが尽力し、出所後は野球解説者、評論家に復帰した。 刑務所で規則に従って生活したことで肉体的にも精神的にも健全さを取り戻し、現役時代に獲得したトロフィーなどをすべて捨て去って一からの出直しを図った。清原容疑者に求められる姿勢を、江夏氏はすでに体現してみせている。 「江夏氏が野球を通してしっかり更生し、昨年から阪神球団に臨時コーチを託されるまで信頼を回復したことで、球界には清原容疑者を更生させるお手本にしようという動きがある。江夏氏を美化することで事件の収拾を図り、プロ野球人気の回復を築きたいのです」(球界の重鎮解説者) 上がりに上がる江夏氏の内部評価に対し、金本人気は凪状態。初年度に躓けば、「一、二軍の監督交代」の声まで囁かれている。
-
スポーツ 2016年03月09日 11時08分
女子プロ・長与千種、新団体旗揚げ “横アリ”開催を視野
元クラッシュ・ギャルズの長与千種が、「ドラマティックな女子プロレス」を御旗に掲げた新団体・Marvelous(マーベラス)を旗揚げする。8日、都内で開かれた記者会見には、14年から実施してきたイベント『That's女子プロレス』のリングに上がってきた4選手(KAORU、渡辺智子、彩羽匠、雫有希)と、2・13米国ニューヨーク大会でデビューしたばかりの新人・桃野美桜、練習生の杉浦一美が登壇。5月3日、東京・豊洲PITで開催する旗揚げ戦に向けて、士気を高めた。 「劇的な空間にしたい」(長与)という初陣イベントは、全6試合のすべてがシングルマッチで、20分1本勝負。対戦カードは、杉浦のデビュー戦のほか、KAORUvsカサンドラ宮城(センダイガールズプロレスリング)、メインイベントの彩羽vs里村明衣子(センダイガールズ)が決定している。 新団体発足にともない、“That's女子プロレス”は一時休止。同イベントで長与は大仁田厚との男女タッグが話題となり、昨年9月には初代爆破王タッグ王者に君臨したが、新団体では代表取締役に専念。今後、プレイヤーとしてリングに上がるのは、“That's女子プロレス”限定となりそうだ。 同団体は長与にとって、05年に解散した全日本女子プロレス興業(全女)、GAEA JAPANに続いて3つ目の所属となる。しかし、これまでのようにトップファイターとしてではなく、社長として団体をけん引するのは、51歳にして初体験。まさに、人生を賭けた決死の覚悟だ。団体化にこだわった理由は、「団体にこだわったわけではなく、会社にこだわりました。“女子プロレスに入団させたい”ではなく、“就職させたい”と。夢を与える芸術集団、それがプロレス。感動を与えられる要素が女子プロレスにはありますから」と語る。 さらに、「1年計画で大きな場所を狙っている」とも言い、最大収容人数1万7,000人を誇る神奈川・横浜アリーナでの開催を視野に入れる。同アリーナは現在改修工事に入っており、イベント再開は7月。同団体はすでにリサーチに入っており、女子プロ界に風穴を開けるべく、本気だ。 横アリは89年5月6日、全女がこけら落としイベントを開催し、長与が1度目の引退をした縁ある会場。さらに、女優として活動していた93年4月2日には、デビル雅美(引退)を相手にメモリアル復帰。GAEA時代の98年11月29日には、豊田真奈美(フリー)を相手に最高峰のAAAWシングル王座を防衛している。 長与。横浜アリーナ。そして、引退と旗揚げの5月。3つの点が1本の線でつながるとき、女子プロ界で驚くべき(マーベラス)地殻変動が起こる−−。(伊藤雅奈子)
-
スポーツ 2016年03月08日 16時00分
阪神分裂! アニキ金本vs川藤・江夏・掛布「抗争」が勃発(1)
山口組、維新の党と、分裂続きの関西だが、阪神もまた不穏な様相を呈している。「アニキ金本・星野主流派」vs「川藤・江夏・掛布の旧守派」。巨人と並ぶ名門チームに、はや抗争が勃発か? 沖縄・宜野座でのキャンプを打ち上げた阪神タイガース。2月27日に行われた韓国サムスンとの練習試合では、ランディ・メッセンジャー投手が好投し、昨年に続いての開幕投手に名乗りを上げた。また、金本知憲監督(47)の肝いりで今季4年ぶりに阪神に復帰した藤川球児投手も、自慢の速球にカーブを織り交ぜて好投。先発入りへアピールに成功している。 阪神の投手陣はこの2人のほか、昨年14勝の若きエース藤浪晋太郎、同11勝の能見篤史、同8勝の岩田稔が加わり、リーグ最強の先発投手陣を形成。気の早いファンは「今年は11年ぶりの優勝や」と盛り上がっている。 しかし、トラ番記者によれば、チーム内が真っ二つに割れ、抗争に至る気配だという。 「アニキ復帰で観客動員増を狙った阪神。出だしは好調だったが、金本監督とじっこんだった清原和博容疑者が覚醒剤で逮捕されたことで、過去の金銭トラブルが蒸し返され、金本人気のマイナスとなり、口数も少なくなった。一方、そんな阪神で急激に存在感を増してきたのがOBの江夏豊氏。川藤幸三OB会長も現在のチームに有力OBが極端に少ないことから、一匹狼ながら存在感抜群の江夏氏を担ぎ上げ、“圧力団体”を形成。そのOB会は外様の金本監督より掛布雅之二軍監督を推している。その意を受けた江夏氏が掛布氏を擁護する形で現場にたびたび介入する構図。球団が全面支援する金本監督も江夏氏だけは無視できず、有力OBとの間で一触即発の状態が続いている」(阪神OBの野球解説者) ターニングポイントとなったのは、一昨年11月の阪神OB会だ。1976年、南海へトレードされて以来、阪神と決別していた江夏氏が同OB会に初めて出席した。実に38年ぶりのタイガース復帰だった。 「誘いをかけたのはOB会長の川藤氏です。阪神を強くするにはOBの結束が何より大切と訴え、南海・江本孟紀投手らとのトレードで江夏氏が阪神を出された際、当時の吉田義男監督が『新聞報道があっても(江夏氏の)トレードはない』と言い続けたにもかかわらず、ばっさり断行した経緯などを説明し、会員の理解を取り付けた。阪神で育った者同士、結束を強めようと。江夏氏もこれを快諾した上での出席だったのですが、これによって江夏氏の発言力ががぜん強まった。もはや事実上の黒幕的存在と言っていい」(スポーツ紙デスク) 本来なら通算206勝を誇り、数々の伝説を持つ江夏氏を阪神監督に担ぎたいところだが、現役引退後、江夏氏は一度も監督はおろか正規のコーチ経験もなく、現実的とは言い難い。過去には覚醒剤所持で逮捕され、実刑判決を受けている。そこで江夏氏が分身として監督に期待したのが、掛布氏だった。その意を汲んで、川藤会長も昨年、ポスト和田豊監督を巡る次期監督選考の際は、掛布氏を強くプッシュした。 結果は外様派の星野仙一元監督(現楽天球団副会長)らが推す広島出身の金本氏が監督に就任。本命と見られていた掛布氏は二軍監督に就任したものの、現役引退後、初めて着るユニホームはやや色褪せたものとなった。 昨年11月のOB会に駆けつけて頭を下げた金本監督に、江夏氏は「微力ながら協力は惜しまない」と大人の対応を見せたのの、同月の中村勝広GM(9月23日に急逝)のお別れの会では本心を吐露していた。 「何でカケ(掛布二軍監督)を一軍に置かないのか。今年の阪神の戦いをみると投手陣はよかったけど打線が…。一軍のほうがよかったと思っているのは、俺だけじゃないと思う」 これが、OB連がみな心に思いながらも、口に出せなかった本音だったという。それを代弁してくれたことで江夏支持の流れはさらに拡大。これが実質、抗争の幕開けとなった。 今春には、掛布二軍監督が指導する安芸二軍キャンプ(高知)で臨時コーチを務め、掛布氏に代わって“猛虎魂”を注入した。ブルペンでの指導では「まじめすぎる」と喝を入れ、「練習のサボり方を覚えないといいものは生まれない。我々の頃はそれをやってきた。野球以外でも夜遊びは必要」と熱弁した。 「コーチの目も盗めん選手にいい仕事はできない。これはさぼりではない」とも…。猛練習で技術・精神両面の鍛練を説く金本監督とは対極の教えだった。
-
スポーツ 2016年03月06日 14時00分
俺たちの熱狂バトルTheヒストリー〈“熊殺し”ウィリーの献身〉
先の2月15日、国際大山空手道連盟総主である大山茂氏が79歳で亡くなった。劇画『空手バカ一代』の読者ならば、極真会館の前身である大山道場の時代からの、大山倍達の高弟としてなじみ深い名前だろう。 そもそも大山倍達が「大山」姓を名乗るようになったのは、大山茂の実父の下で書生をしていたからであり、2人は血のつながりこそなくとも深い縁で結ばれていた。極真の大会での氷柱割りや真剣白刃取りといった演舞、あるいは審判としての姿を知る人もいるだろう。 またウィリー・ウイリアムスvsアントニオ猪木の異種格闘技戦で、愛弟子ウィリーのセコンドに付く姿を記憶する人も多いだろう。ドクターストップによる引き分けの裁定が下った後、大山が鬼の形相でレフェリーに詰め寄るシーンは、この試合がいかに異様な状況下で行われたかを如実に表していた。 「大山茂氏が怒ったのは、リング内では5秒以内と決められていたはずの寝技が、場外ではそれを超えても反則にならないからでした。場外で極真勢と新日勢が揉み合った際に猪木が脇腹を負傷したのも、拳を握る姿がカメラに映ったことから“大山がやった”とする噂がありましたけど、あれは後に、やはり極真の添野義二が『猪木が落っこちてきたときに踏んづけた』と語っています」(スポーツ紙記者) 猪木戦に向けてのウィリーが特訓した際には、当時40歳をすぎていた大山自らがスパーリング相手を買って出て、猪木を想定したタックルや寝技、グラウンド状態からのアリキックを披露し、その格闘センスの高さを示したこともあった。 「早くから極真のニューヨーク支部に渡って、体格に勝るアメリカ人たちを指導してきた。自分より優れた者の言うことしか聞かない彼らを手なずけたのだから、相当な実力者であったことに違いありません」(格闘技ライター) 日本人の極真門下生の多くも、世界大会の前などはアメリカの大山の下を訪れて修行するのが恒例となり、やはり指導者としての能力の高さがうかがえた。 そんな大山にとっての最高傑作といえるのが、やはり前述のウィリーということになる。2メートル近い長身でいて均整の取れた体躯。手足も長く、接近してのドツキ合いが主流だった当時の極真ルールにおいて、体格に劣る日本人選手は近寄ることすら難しいような状況だった。 世界大会の開催当初から「日本人以外の選手が優勝するようなことがあれば腹を斬る」と公言していた極真総帥・大山倍達にしてみれば、孫弟子ウィリーの成長はうれしい反面、悩みの種でもあった。 「日本発の武道として世界進出する段階で、外国人が優勝するとその価値が減じるというのが大山倍達の考えだったようです」(同) そして、猪木との異種格闘技戦を間近に控えた1980年の『第2回世界空手道選手権大会』で、事件は起こった。 圧倒的実力で一本勝ちを重ねていくウィリーと、準決勝で対峙したのは三瓶啓二。のちに全日本3連覇を果たし、中村誠とともに“三誠時代”と称された猛者で、前年の全日本選手権でも準優勝の実績を残していた。 身長でもウィリーが30センチは上回り、周囲が“三瓶に勝機はない”と思ったとしても無理はない。 だが、試合開始となると突如、ウィリーが暴走を始める。 両手で襟をつかんでの膝蹴り連打から、投げ飛ばし、さらに倒れた三瓶の上から殴りかかっていく。いずれも極真ルール下では明らかな反則行為である。 試合再開後には腰に手を当てたままやる気のない態度を見せつつ、またもや襟づかみに投げ飛ばし。結局、そのまま反則負けを宣せられたのであった。 「これには大人の事情が強くかかわっていたといわれます。ウィリーに負けさせるにも、猪木戦を前に“ケガで棄権”というわけにもいかない。そこで選んだのが暴走反則負けだったというわけです」(同) 熊や猪木とも闘い、さらには反則負けの汚名にも甘んじた、そんなウィリーの献身が、最強をうたう極真発展の礎となったともいえるだろう。
-
-
スポーツ 2016年03月06日 13時00分
新日本の育成プロジェクト『LION'S GATE』を紐解く4つのワード
「他団体選手の招聘を含めて、ファーム(2軍)のようなモノを作りたい。イメージ的には小さな興行をやっていくと考えてもらってもいい。ファームの所属選手や、いろんな他団体を含めたトライアル、負傷欠場していた選手の再チャレンジの場所だったり、いろんなモノを試す場になればいいと思うし、いまの新日本は非常にレベルが高いリングなので、いきなりは上がれない場合もある。国内でこういう場が少なくなっているので、トライアル、チャレンジの場を作っていきたい」 昨年7月に行われた新日本プロレスの戦略発表会で、木谷高明オーナーはこのように「ライオンズゲート計画」をブチ上げた。その第1弾となる「LION'S GATE PROJECT 1」が先月25日に新宿FACEで開催され、467人(超満員札止め)のファンを動員。通常興行に比べて、チケット料金は安く設定され、逆に試合数は9試合と多く組まれたが、どの試合も内容が素晴らしく順調な船出を飾ったと言っていいだろう。次回大会も5月19日に同所で開催されることが会場で発表された。 これまでも新日本は「夢☆勝ちます」「ライオンズロード」「NEVER」などヤングライオン(新日本に所属している若手選手)はもちろんのこと、他団体やフリーの若手選手にも門戸を開放して育成を目的とした興行を開催してきたが、ブシロード体制になってからは初の試みとなる。今回のプロジェクトは“ファーム(2軍)”“所属選手”“他団体”“再チャレンジ”という4つのワードがポイントと言えそうだ。第1回大会では、それらを紐解く要素がたくさん散りばめられていた。 第1試合前には、アマレスの育成チーム「ブシロードクラブ」からプロレスデビューに向けて歩み始めた岡倫之と北村克哉が、レスリングのエキシビションマッチを行った。両選手ともにレスリング元全日本王者の実績を持っており、2人のヘビー級選手にも見劣らない肉体と潜在能力の高さを見たファンからは、即戦力として期待する声が数多く上がっていた。この試合でレフェリーを務めたのは、自身もアマレスの育成チーム(当時新日本が設けていた「闘魂クラブ」)からデビューした永田裕志。永田は「LION'S GATE PROJECT」のプロデューサー的な役割も担っている。 「この2人の潜在能力を、皆さん見ていただけましたでしょうか? 2月から新日本プロレスの道場に入って、目下、猛トレーニングをやっている最中であります。いずれこの『LION'S GATE』の舞台で2人はデビューすることになりますので、皆さん、その時までご声援よろしくお願いします」 試合後にマイクを持ち、岡と北村のデビューの場が通常興行ではなく『LION'S GATE』であることを明らかにした永田。興行終了後に改めて2人のデビュー時期について聞かれるとこう語った。 「僕は入門して4か月だったので、そういうの考えたら、どんどん早くていいんじゃないですかね。中西(学)さんなんて1か月半ですから。なんにもできないのに、急遽抜擢されて。受け身もできないのに、それでも壊れずにシリーズを完走しちゃった。(スコット・)ノートンやトニー・ホームやバンバン・ビガロとやっても(笑)。そういう怪物性が北村や岡にもある気はする。ただ、受け身とか最低限のものは覚えてくれないと、人材を壊すことになるので、習得すべきことは早く習得させたいですね」 “青い目のヤングライオン”ジェイ・ホワイトに胸を貸したプロレスリング・ノアの小川良成は、試合後にこんなコメントを残した。 「俺が新日本に上がるなんて想像もできなかったので、ちょっといい刺激をもらいました」 試合前にはノア期待の新人、清宮海斗と対戦する田口隆祐に小川が「しょっぱいから厳しくやってくれ」と話していたことも、田口のコメントから明らかになっている。 第1回大会は全試合で新日本vsノアというカードが組まれ、リングアナやレフェリーも両団体からそれぞれ務めた。第1試合では本城匠のデビュー戦の相手を“他団体”のマイバッハ谷口が務めたというのも異例である。現在のノアは昨年より新日本から乗り込んで来た鈴木軍と激しい抗争を繰り広げており、前日の後楽園大会で鈴木みのるに勝利し、杉浦貴が持つGHCヘビー級王座への挑戦権を獲得した中嶋勝彦は、鈴木に破壊された右腕の怪我を押しながらもガチガチにテーピングをして強行出場。ジュース・ロビンソンと今大会ベストバウト級の試合を行った。 「いつもの緑のマットとは違う熱が、ここにはあると思う。ぜひ2回目も開催してほしいですね。価値のある刺激が、このマットにあると思います。ノアも負けてられない」 試合後の中嶋はロビンソンとの対戦を振り返った後に『LION'S GATE』の継続開催を提唱した。中嶋に限らず、若手選手に胸を貸した両団体のトップ選手は新人選手との闘いを純粋に楽しんでいるように見えた。カード的には新日本vsノアという図式であるにもかかわらず、対抗戦というムードはなく、出場選手たちが団体の枠を超えてこのプロジェクトの趣旨を理解した上で試合に臨んだことが、大会を成功に導いた大きな要因ではないだろうか。 「試合の前の日、当日の朝までずっと、俺は『LION'S GATE』で何が必要か考えて、答えが出ないまま大会を迎えた。それで第1試合からずっと観てたら、ひたむきさとかがむしゃらとか、俺がとっくの昔に忘れてしまったこと、それを若い選手が見せてくれた。これが今日のテーマなんだって改めて思い知った」 これは天山広吉とのテンコジタッグで、平柳玄藩&キャプテン・ノアと対戦した小島聡のコメント。全9試合の中でこの試合だけチャレンジマッチという形ではなかったため、小島は試合直前まで己のテーマを見出すのに苦労したようだ。永田、中西とともに第3世代のテンコジだが、かつて開催されていた「夢☆勝ちます」には、彼らもヤングライオン時代にチャレンジする立場で出場している。通常興行でなかなかアピールする場がない第3世代にとって、『LION'S GATE』はあの頃とは違う意味で“再チャレンジ”できるチャンスなのだ。 「これから若い人材を、いろんなところから引っ張ってきたいと思います。最後は僕を打ち破って、若い選手が勝つのがいいんじゃないかと。ただ、僕の壁を打ち破るのは相当厳しいので、そこは覚悟しないとダメ」 メインでノアの北宮光洋と対戦した永田は、第1回大会をこのように総括した。永田としては、団体を問わず胸を貸すことに関して「いろんな選手とやるのはやぶさかではない」という。普段交わることがない他団体の若手選手にとって、永田を筆頭とする経験豊富な新日本の第3世代と対戦できることは財産であり、まさに第3世代の存在が『LION'S GATE』の価値を高めていくことになる。 興行面においてはプロ野球のファームのように、いずれは通常興行の日程に関係なく別動隊として『LION'S GATE』を開催していくのがベストだろう。新日本の大会が開催されている会場から離れていれば、同日開催でも問題ないだろうし、年に数回、後楽園ホールで“親子”興行を昼夜で開催しても面白い。『LION'S GATE』には、選手の育成に加えて、プロレス人口を増やすために小規模な地方会場でのシリーズ開催など、フットワークの軽さも期待したい。(増田晋侍)<リアルライブ・コラム連載「新日Times」VOL.8>