スポーツ
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スポーツ 2015年12月07日 17時00分
マエケンのメジャー挑戦で始まる広島の投手再建
広島東洋カープは投手陣の立て直しを迫られている。 マエケンこと、前田健太(27)の米球界挑戦が正式に発表された(12月4日)。彼がメジャー志望を明かしたのは2013年オフだった。今さらだが、既定路線だったわけだ。 「エースらしい振る舞いと活躍をすれば、検討すると(前田に)言っていた。彼は見事に応えている」 広島東洋カープの松田元オーナーは12月4日、球団を介してそんなコメントを発表した。興味深いのはこの後に出た言葉だ。今シーズン、前田が獲得した投手タイトルの最多勝と沢村賞を指して、こう語っていた。 「反対する理由がない。ファンの方も後押ししてくれるのでは。私自身、心を打たれている部分がある」 13年オフの契約更改の席で、前田が将来的なメジャー志望を伝えた際も「周囲が納得するような形での米挑戦を」と伝えられていた。そのとき、前田と球団との間で交わされた“約束の詳細”については明かされていない。約束とは、球団が前田のポスティングシステムによる米挑戦を認める条件のことだ。今回、松田オーナーが当時交わされた約束を明かしてくれたわけだが、その言葉の通りだとしたら、球団が前田に突き付けた条件のなかに『チームの優勝』は含まれていなかったことになる。 前田のメジャー移籍容認が発表される前の11月30日、もうひとつの重大事項が発表されている。広島の精神的支柱でもある黒田博樹(40)が、「今年に入る前に、野球人生最高のモチベーションで(広島に)帰ってきた。最後のつもりで、今まで以上の覚悟でやってきた。なかなか、それを超えるモチベーションを探すのが難しい」と、心中を吐露した。 この引退か、現役続行かで揺れる気持ちは球団も聞かされていた。 広島は新旧エースを同時期に喪失する可能性が出てきたのだ。 前田15勝、黒田11勝。新旧エースの退団で失う『26勝』をどう補うのか…。広島はさらにデュアンテ・ヒース(30)と来シーズンの契約を結ばないこともすでに発表している。ヒースはクローザーで開幕を迎えたが、安定感に欠き、中継ぎや点差の開いた場面でしか登板されなかった。3勝4セーブ10ホールドは物足らない数字だが、43試合に投げている。昨季は途中加入ながら7試合に先発し、防御率は2点台を保った。このヒースの退団も重ねて考えると、広島は投手陣の配置転換を含め、根本的な立て直しが必要となる。 「黒田は残ってくれると思う。黒田は米球界移籍後も毎年オフには必ず前田と会って、将来のメジャー挑戦に関するアドバイスも送ってきました。前田に米国での野球を集中させるため、さらには愛着の深い広島が『弱くなった』と言われるのが絶対にイヤなはずですから…」 そう話してくれた関係者もいたが、希望的なコメントにすぎない。 ドラフト1、2位の岡田明丈(大阪商業大)、横山弘樹(NTT東日本)は2ケタ勝利を残す力はある。だが、カリスマ性という点では及ばない。それは、大瀬良大地、ジョンソン、福井優也、野村祐輔たちにも言えることで、ペナントレースとは、単に数字を積み重ねるだけでは勝てないところが多い。 広島が前田の背中を押したということは、黒田残留の確証を得ているからだろうか。 エースの立ち振る舞いには、持って生まれた才能も必要だ。今は大瀬良の成長に期待するしかないが、こうも考えられる。今季後半、クローザーに定着した中崎翔太が絶対的な信頼を勝ち取ることだ。「中崎に繋げば、中崎が出てくれば絶対に勝てる」という貫禄が出てくれば、少なくとも2016年のV戦線には踏み止まることは可能だが…。(スポーツライター・飯山満)
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スポーツ 2015年12月07日 16時00分
俺たちの熱狂バトルTheヒストリー〈実力伯仲の“輪湖対決”〉
中学1年にして体重100キロ超。洞爺湖に程近い北海道の壮瞥町ですくすくと育った少年は、その体躯でいながらスポーツ万能。野球や水泳に才を見せ、柔道では体格で上回る高校生を投げ飛ばしていたという。 “北に怪童あり”との評判は瞬く間に広まり、この少年の元へ多くの相撲部屋からスカウトが参集した。 そうして三保ヶ関部屋に入門した北の湖は、1967年(昭和42年)1月、13歳にして初土俵を踏むと、中学卒業間際の'69年3月に15歳9カ月で幕下に昇進。以後、当時の最年少記録を次々と更新するスピード出世を果たすことになる。 だが、同じ頃、相撲界はもう1人の“天才”出現に沸いていた。日大相撲部時代に、学生横綱をはじめとするタイトルを総ナメにした輪島である。'70年1月に幕下付出で初土俵を踏んだ輪島は、一直線に番付を駆け上がると、'73年5月場所には幕内全勝優勝。角界入りからわずか3年半で、横綱にまで昇進してみせた。 金色のまわしを締め込み、得意の左下手投げは“黄金の左”と呼ばれて一世を風靡。リンカーン・コンチネンタルで蔵前国技館に乗りつけるなど、派手なふるまいは一部でひんしゅくを買いながらも、大相撲新時代の到来を予感させた。 5歳年上ながら後輩の輪島が快進撃を続ける中、北の湖も18歳7カ月で新入幕。輪島が横綱に昇進した'73年には、小結に昇進して初の三役入りを果たした。 「北の湖の昇進の早さも相当で、まだ19歳という若さから次世代のホープとして注目されてはいたものの、当時の輪島は別格でした。でも、北の湖自身は、のちに『この頃が一番相撲を取っていて楽しかった』と話しているように、輪島をライバル視することなど毛頭なかったのでしょう」(スポーツ紙大相撲担当記者) 70年代初頭に大鵬や北の富士、玉の海ら人気と実力を備えた横綱が次々と引退し、土俵は主役不在となっていた。関係者や好角家は“輪島時代”の到来を予感していた。 しかし、北の湖も急成長を見せ始める。三役昇進までは攻めっ気の強い突き押し相撲であったが、関脇に昇進した場所中、足首を骨折したのを契機に四つ相撲へと切り替え、これが功を奏した。成績は上昇し、翌'74年には初場所と5月場所で優勝を飾り、続く7月の名古屋場所で、ついに綱とりに挑むまでになる。 13勝1敗で千秋楽を迎え、優勝に王手をかけた北の湖は、2敗で追いかける輪島との直接対決を迎える。ここで輪島は得意の左下手投げで勝利すると、相星での優勝決定戦にも勝利。先輩横綱としての意地の逆転優勝を果たしてみせた。 だが、優勝を逃した北の湖も、成績優秀により晴れて横綱に昇進。ここから両雄による“輪湖時代”が始まった。2人が横綱に在位した約6年半、千秋楽の結びで20番を戦って、共に10勝とまったくの互角。そのうち、どちらかに優勝が懸かった対戦は7番を数える。 また、両者の対戦は1分を超える大相撲になることが多く、三度の水入りとなる熱戦もあった。 「北の湖は右上手、輪島は左下手を得意とするため、両者の取組では当然がっぷりの左四つになるのですが、ヘタな動きは墓穴を掘ることになり、自ずと慎重な取り口になるわけです」(同) とはいえ、ただ組み合って固まっているわけではなく、北の湖が低い重心からの寄りや腹に乗せての吊りを見せれば、輪島は半身の体勢から左下手投げを打って堪え、右の腕で絞って寄り返すという攻防が繰り広げられる。 「黄金の左と呼ばれた輪島ですが、実は右の腕力こそが強烈で、右で絞って相手を崩すから左の下手投げが決まる。北の湖もこれを分かっていて、輪島の右をいかに殺すかに心を砕く。豪快な取り口の中の細かな駆け引きも、両者の対戦の見どころでした」(同) 70年代中盤以降は輪島が腰痛などで休場することが増え、一方の北の湖は“無事これ名馬”を地で行っていたため、今となっては北の湖優勢の印象を持つファンも多いだろう。 しかし、輪島23勝、北の湖21勝の対戦成績が示す通り、実力伯仲の名勝負であったのだ。
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スポーツ 2015年12月06日 16時00分
TBS対フジテレビ白熱の大晦日格闘技バトル
テレビ界で密かな盛り上がりを見せているのが、大晦日に放送されるフジテレビとTBSの格闘技番組だ。どちらの局が数字を取るのか、バトルの行方に周囲は関心を寄せている。 「何だかんだ言っても大晦日はNHK紅白歌合戦で決まりです。毎回、平均視聴率30%以上をキープ。そのおこぼれをすべてさらっていくのが、日本テレビ系の『ガキの使い 絶対に笑ってはいけないシリーズ』です。こちらも平均視聴率は常に15%以上を取っています」(制作会社幹部) そんな流れにくさびを打とうとフジとTBSが思案したあげく目を付けたのが、皮肉にも格闘技コンテンツだったという。 「似た内容の格闘技番組です。フジとTBSは殺し合いをするようなもので、負けた方の被害はさらに大きくなる。シングルと二桁という結果になるかもしれません」(キー局編成マン) となれば気になるのは、そのコンテンツの中身だ。まずは10年ぶりに格闘技中継を行うフジ。 「新イベント名は『RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015』。世界から選りすぐりの団体代表選手らが集まります。2日間(12月29・31日)で8人がトーナメント戦を行い、優勝賞金50万ドル(約5000万円)を奪い合う」(テレビ関係者) 出場予定選手はエメリヤーエンコ・ヒョードルなど世界のストリートファイターが参集。また、スペシャルワンマッチとして桜庭和志vs青木真也を用意。他にもブラジリアン柔術女子世界王者ギャビ・ガルシア、シュートボクシング世界女子フライ級王者RENAも出場するという。 対するTBSは…。 「大晦日一夜限定の触れ込みで、K-1の黄金期を支えた魔裟斗と現役UFC選手の山本“KID”徳郁の直接対決です。'04年の大晦日に放送された『K-1Dynamite!!』で、瞬間最高視聴率31.6%をマークしたあの奇跡を再びと目論んでいます」(同) 現段階での下馬評は圧倒的にフジの優勢だという。 「魔裟斗は引退した選手。現役の山本と対決させる意味が分からない。制作費も3000万円足らず。過去の映像などを随所に流し、お茶を濁す作戦です。しかも、山本の体は入れ墨だらけ。時期的にアウトでしょう」(前出・キー局編成マン) 一方、優勢と伝えられるフジだが、 「来年から制作費が一律3割カットになる前の大盤振る舞いです。すべて込み込みで1億2000万円弱。また、RIZIN統括本部長に高田延彦が就任したことも見逃せない」(同) NHKと日テレにひと泡吹かせ、格闘技バトルを制するのはどちらの局?
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スポーツ 2015年12月05日 16時00分
“昭和の大横綱”北の湖さん死去で始まる混沌! 貴乃花も狙う“次期理事長”争奪戦(2)
しかし、親方になってからの北の湖は、残念なことに必ずしも“100点満点”とは言い難い。 「当時の春日野親方(元横綱栃錦)に可愛がられ、指導者としても手腕を発揮できるよう育てようとしたが、師匠の三保ヶ関が後援会を持つことを許さなかった。そのため、困った時に相談する人が少なかったんです。素直で人柄は良かったのですが、土俵改革として評価できることはあまりなかった」(前出・中澤氏) 親方として育てた強豪力士も、結局出なかった。それどころか、内弟子だった金親が引退した後などは、奔走して宮城野親方に収めたにもかかわらず不祥事を起こし、ついに相撲界を追放されてしまった。 さて、北の湖理事長が成し得なかった今後の土俵改革はどうなるのか。 「当面は八角親方(元横綱北勝海)が理事長代行を務めるが、あの人では協会をまとめきれるか不安。北の湖さんは、理事長を八角親方に譲っても自らは理事として残り、補佐するつもりだったんです。それができなくなったわけですから、協会は混沌としてくるでしょう。だいたい、来年の初場所後、八角親方が役員として再選されるかどうかも未知数なんですからね」(相撲関係者) というのも2年前、屈辱の落選という煮え湯を飲まされた九重親方(元横綱千代の富士)が、ここに来てやる気満々だというのだ。 高砂一門は数が少ないこともあって理事は一人。 「八角には再選させないと言い切っていますよ。谷川、陣幕の同じ部屋の部屋付親方は、今や九重部屋に移籍。しかも、錦戸親方(元関脇水戸泉)は貴乃花親方に一票入れようかと迷っているようですから、もし九重親方が裏で工作するようなことがあると、どうなるか分かりませんからね」(同) しかし、九重親方は理事になれたとしても、理事長になれるとは限らない。というのも、貴乃花親方を理事長に推す勢力があると見られているためだ。 「傍若無人な九重親方が理事長職に就いたらどうなるか。相撲協会を無茶苦茶にされるんじゃないかと、みんな怯えていますからね。であれば、若手の貴乃花の方がマシだと考える親方も少なくない」(相撲関係者) “昭和の大横綱”の急逝は角界に大きな変化をもたらしそうだ。
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スポーツ 2015年12月04日 16時00分
“昭和の大横綱”北の湖さん死去で始まる混沌! 貴乃花も狙う“次期理事長”争奪戦(1)
日本相撲協会の北の湖理事長が11月20日、直腸がんと多臓器不全のため死去した。62歳だった。 現役時代、相撲ファンからは「憎らしいほど強い」と言われ、力士仲間からは「大将」と慕われた北の湖。15歳で幕下、17歳で新十両、21歳で横綱に昇進という出世ぶりは、まさに“怪童”だ。 元力士が言う。 「白鵬の場合は35回優勝という大記録を打ち立てたが、ライバルがいない。しかし北の湖さんには輪島がいて、その後、千代の富士に至るまで次々にライバルが出現した。そんな中での24回優勝というのは、どエライ記録です。気は優しくて力持ち。それでいて、他人と自分を比べるのではなく、目標を己に課し、ひたすら研鑽するタイプでした。顔だけ見ると、いかつい感じがしますが、力士仲間の評判はとても良かったんです」 ファンは土俵の外に転落した対戦相手に手を差し伸べようともしない北の湖の姿を見て、「武士の情けはないのか」と反感を持った。 「自分が手を差し伸べられたら屈辱を味わう。だから対戦相手に手を差し伸べることはしないと言い放った。それはそれで潔いと思いますよ」(ベテラン相撲記者) 輪島とは、しばしば熱戦が繰り広げられた。両者の対戦は、千秋楽優勝圏内での対戦が8回、水入りが3回と、ファンを唸らせる名勝負が展開されたのだ。 相撲評論家の中澤潔氏がこう振り返る。 「僕はね、北の湖には数字に表れない、双葉山に匹敵する強さがあったと思いますね。横綱としての安定感は抜群でした。'75年の秋場所から37場所連続して二桁以上の勝星を挙げていた。2年前についに白鵬が並びましたが、日本人力士でこんな記録はもう二度と出ませんね」 加えて、出羽海一門のさる元力士が言う。 「一門の関取衆を相手に50〜60番稽古をするのですが、まさにちぎっては投げ、ちぎっては投げという感じでした。もう、誰も通用しない。凄いのは、それだけ稽古しても息が上がらないところでしたよ」 遊びっぷりも、豪快そのものだったという。 「当時流行ったパブに下の力士と繰り出して、とにかくガンガン飲む。凄いのは、勘定になるとバッグから100万円くらい入っている分厚い財布を出して、テーブルにポーンと放り投げる。とにかく粋でした」(前出・元力士)
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スポーツ 2015年12月03日 16時00分
代表招集中に台湾でどんちゃん騒ぎ 坂本勇人がそれでも巨人で絶対的主将になる理由
巨人新監督の高橋由伸(40)はハラワタが煮えくり返るような心境だろう。 プレミア12を戦った侍ジャパンの一部メンバーが、台湾メディアの餌食にされた。11月12日のドミニカ共和国との試合後、台北市内のナイトクラブでドンキャン騒ぎしているところを現地週刊誌にすっぱ抜かれたのだ。 同誌によると、明け方近くまで痛飲していたのは、坂本勇人(26=巨人)、大野雄大(中日)、前田健太(広島)、秋山翔吾(西武)の4人。通常であれば、「ちょっとお行儀が悪いが、これくらいは…」で済むところだが、坂本だけはそうもいかない。いまさらだが、巨人は例の野球賭博問題で、当該3選手を解雇。オーナー会議でも白石興二郎オーナーが「倫理、モラル、公序良俗、規則を守り、徹底させていく」と謝罪している。 「宮崎での秋季キャンプでも、門限が徹底され、休日のゴルフ、パチンコも禁止されていました。選手たちも『仕方ない』といった口ぶりで、素直に従っていました」(スポーツ紙記者) いまのところ、巨人から坂本に関する処罰は発表されていない。しかし、この報道を見て、巨人関係者は逆に「巨人の主将は坂本しかいない」と再認識させられたようだ。 「坂本は侍ジャパンで、嶋基宏とともにキャプテンに指名されました。選手会の会長でもある嶋がキャプテンを務めるのに、なぜ坂本も指名されたかというと、彼は同世代のリーダーで、球宴などでも他球団の選手を連れてまわるほど影響力を持った選手なんです」(球界関係者) その影響力の大きさは前任の原辰徳氏も認めていた。だからこそ、原前監督は20代半ばの坂本に、阿部慎之助が長く務めていた主将役を継承させたのだ。 「2015年は、坂本本人もチームを牽引していかなければいけないという自覚を持っていましたが、空回りしてしまった部分もあります」(前出記者) 台湾でのバカ騒ぎはともかく、他球団の同級生たちをまとめていたのは坂本だ。 「ペナントレースと代表チームが違うのは当たり前ですが、原前監督は坂本に対して厳しく接することもありました。一方で代表チームの小久保裕紀監督は、選手の言動に関与することはありません。代表チームだから当たり前といえば、当たり前なのですが」(ベテラン記者) 坂本にリーダー役を全うさせるには“放置プレー”が、一番いいのかもしれない。高橋新監督は秋季キャンプを見る限り、厳しい指揮官になると思われる。チーム全体に喝を入れるときが来れば、坂本が標的にされる。そのときは、坂本もバットで高橋監督の期待に応えなければならない。 「坂本はリーグ最多安打、最多得点などはあるが、まだ打撃三冠のタイトルを獲っていません。リーダーシップの取れる坂本の性格は認めるが、このままタイトルが獲れなければ、遊びか、宴会の幹事に成り下がってしまう」(前出関係者) 巨人の主将を務め上げるか、それとも宴会幹事で終わるか…。坂本にとって、来季はその分岐点になるだろう。
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スポーツ 2015年12月02日 16時00分
Jリーグが2ステージ制の“11月問題”で壊滅危機
11月28日から、サッカー・Jリーグの年間王者を決めるチャンピオンシップが開幕する。しかし、全然盛り上がっていない。 「Jリーグは11年ぶりに前・後期に分けた“2ステージ制”を復活させました。ですが、サポーターの反対を押し切って導入した手前、この“11月問題”が観客動員減を招けば大事になりかねません。盛り上がらない理由は、後期優勝チームがなかなか決まらず、どのチームがいつ出場するか、全部で何チームが出場するかさえ最後まで分からなかったからです」(スポーツ紙記者) 22日に後期最終節(17節)が行われ、ようやく出場する全チームが決定した。 問題は後期の優勝チームが絞り込まれる時期の15〜16節、16〜17節の開催間隔が、それぞれ2週間も空く変則日程となったこと。まさに佳境の時に、ナビスコ杯決勝や日本代表戦といった他の対戦が組み込まれ、チャンピオンシップ進出の可能性を持ったチームの応援サポーターにも水を差してしまったのだ。 「変則日程は、それだけではありません。12月10日からはクラブ世界一を決めるFIFAクラブW杯が日本で開催される。Jリーグ王者も主催国枠で参加するため、それまでにチャンピオンシップ優勝チームを決めなければならない。しかも優勝チームはクラブW杯1日目、つまりチャンピオンシップを戦った5日後に、世界の強豪と戦う強行日程を強いられるのです」(同) また、18チームが戦うJリーグ(J1)で、上位2〜3チームは優勝争いで盛り上がり、下位3〜5チームもJ2への自動降格、入れ換えがあるので注目度は高い。しかし、それ以外の中位約10チームに話題性はゼロ。 「欧州、南米では、Jの後期にあたる秋にリーグ戦を開幕させる。この日程に合わせることで、海外の有名選手との契約もしやすくなり活性化されるのですが、実現にはほど遠い状況です」(関係者) Jリーグの運営下手を露呈した前・後期制の導入。不人気が続けば村井満チェアマンのクビも危ない。
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スポーツ 2015年12月01日 16時00分
球界裏ストーブリーグ マエケン、大谷翔平、中田翔… 野球賭博大混乱にメジャーリーグが日本人選手「青田刈り」
野球賭博で日本球界が揺れるのを幸い、メジャーリーグが仁義無視の日本人選手漁りを始めた。FA有資格者のマエケンどころか、大谷翔平、中田翔もメジャー流出の危機に陥っている。 日本中から悲鳴が漏れたプレミア12の準決勝、韓国戦。侍ジャパンは大谷の完璧なピッチングもあって8回まで3-0でリードしながら、小久保裕紀監督の継投ミスで衝撃的な逆転負け。しかし、テレビ視聴率は平均25.2%を記録。プロ野球人気をあらためて浮き彫りにした。 今年の日本シリーズが最高12.5%。巨人の公式戦も軒並み一桁。その中で韓国戦ばかりか、中田翔の逆転二塁打や中村晃のサヨナラ打のあったベネズエラ戦では瞬間最高35.2%を記録。決勝まで勝ち進んでいれば、平均30%超えは確実だった。 「スポーツ紙の1面も連日侍ジャパン一色で、選手も優勝に必死でしたが、そこには“ある思惑”があったからです。彼らは野球賭博に汚染された日本球界に嫌気が差しており、それならいっそメジャーで、というわけです。賭博とは関係なくても、捜査の中で反社会的人物との交友関係が発覚し、“もらい事故”に遭ったら野球生命にかかわる。少年時代から素行面で問題のある中田翔が別人のように活躍していたのが何よりの証明でしょう」(スポーツ紙デスク) 現行のルールでは、海外FA資格を得るまでメジャー移籍は難しい。しかし、ここにきて事情が大きく変わってきた。ポスティングシステムの再見直しが検討されているのだ。 「青天井だった松坂大輔やダルビッシュ有の頃と違い、田中将大の時からポスティングシステムの入札金上限は20億円になった。来オフにはこれすら撤廃する動きがある。このままでは日本球団には1円も入らず、MLBに取られ損になる。そこで広島は今オフ、前田健太をポスティングにかけるのです。前田にはヤンキース、ドジャースが最高入札金を用意しています」(NY在住のスポーツライター) 中でも選択を迫られているのが、今大会の投打の主役、大谷と中田翔を抱える日本ハムだ。名門復活を急ぐヤンキースが2人の獲得に躍起になっているという。ヤ軍キャッシュマンGMは160キロ右腕の大谷にぞっこんで、200億円の値をつけたという情報もある。 「大谷はまだ入団3年目。海外FAの資格はないが、入団時に『メジャーからオファーがあれば応じる』という約束があったとされ、球団は引き止められません。ヤ軍が『中田翔とセットで総額300億円』の値を付けたとの情報もあり、中田もその気になっているといいます。ある意味、今が売り時。見過ごせば20億円×2=40億円を掴み損ねる可能性があります」(前出・同) 日本球界にとって最大の目標は「2020年東京五輪の金メダル」。東京五輪組織委員会は若いスター選手がメジャーで揉まれることを期待している。これを口実に、選手たちの“海外脱出”はあり得る?
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スポーツ 2015年11月30日 16時20分
プレミア12の視聴率で評価一転 前田健太のMLB人気が上昇か
前田健太(26=広島東洋カープ)が大型契約を勝ち取りそうだ。 11月11日に行われたプレミア12の日本対メキシコ戦は、テレビ視聴率が16.4%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)を記録した。この数字に大きな反応を見せたのは、侍ジャパンを運営するNPBエンタープライズではなく、メジャースカウトの面々だった。ア・リーグの某球団スカウトがこう言う。 「メジャー志望を持つ日本人選手、FAや入札制度での海外移籍が囁かれる選手の調査は継続して行われます。彼らが米球界で通用するかどうかは当然ですが、日本企業からの広告出資などが期待できる選手か否かも、重要な評価ポイントになります」 地上波でのプロ野球中継が激減して久しい。また、たまに中継されたとしても視聴率がイマイチだったりもする。その点からすれば、対メキシコ戦の視聴率はかなり高い数値だった。準決勝までは順調に勝ち進んでいたことなど他にも要因はあるだろうが、米スカウトたちは「前田の人気を改めて評価しなければならない」と語っていた。 「おそらく、前田は大型契約を提示されるはずです」(同) 前田は、今オフ中に入札制度で米球界挑戦することが既定事実のように報じられている。チームOBのなかにも、それを否定しない者もいたほどだ。 これまでの前田に対する米球界の評価は「シーズンを通して、先発ローテーションを守りきる」であろうが、「ダルビッシュや田中将大のようなエース候補ではなく、ローテーションの3番手以降」と、あまり高くはなかった。 また、前田は入札制度での米球界挑戦となるため、最高で2000万ドル(約24億円)の応札金が必要になる。通常、入札制度で日本人選手を獲得するとき、どの米球団もこの落札金2000万ドルを含めた枠内で契約をまとめようとする。したがって、ローテーションの3番手以降である前田は「広島在籍時よりも年俸が落ちる」と目されていた。 その状況がメキシコ戦での高視聴率で一変したのだ。「前田を獲得すれば、球場広告を出す日本企業もある。日本からの観光客も…」と考える球団が出てきたという。 投手出身のプロ野球解説者がこう続ける。 「前田はフルシーズン、中4日で投げた経験はありませんが、完投試合も多いので、スタミナ面では問題ないと思う。メジャーは先発、中継ぎ、クローザーの役割分担がされていますし。今回のプレミア12での前田は、ストレートで力勝負に出たりと、シーズン中とは違うピッチングも見られました。メジャーを意識しての投球でしょう」 西海岸の球団を希望しているようだが、レッドソックス(東海岸)が熱心との声もある。レ軍は昨オフに、先発ローテーション投手5人のうちの4人を入れ換えたが、これが大失敗だった。先発陣の防御率はリーグワーストになり、「今オフは大金を注ぎ込んででも好投手を獲る」と躍起になっている。 誰がどのようにソロバンを弾いて前田の移籍が成立するか、いまから楽しみである。
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スポーツ 2015年11月30日 16時00分
脇谷補強で確信した巨人の組織改革
脇谷亮太(34=埼玉西武)の巨人帰還が決定的となった。脇谷は13〜14年オフ、片岡浩大のFA移籍にともなう人的補償として埼玉西武ライオンズに移籍した。その後も自主トレをともにするなど、高橋由伸との“先輩後輩の友情”が続いていた。その高橋の監督就任が決まり、それに触発され、FA権を行使したのである。 「井端(弘和=40)の引退とコーチ就任も決まり、一軍レベルの内野手の頭数が足らなくなってしまいました」(プロ野球解説者) 脇谷の2015年の推定年俸は2400万円、人的・金銭的補償も発生しない『Cランク選手』でもある。また、打撃面でも期待が持てる。脇谷は今季、西武打線の3番も任されてきた。「打てる内野手」「左の代打」…。巨人の補強ポイントも埋まったと見ていい。だが、この脇谷の帰還について着目すべきは『戦力』の話ではない。脇谷がFA権を行使した後に出た高橋監督と堤辰佳GMのコメントだ。 「球団に(脇谷との交渉は)任せています」 高橋監督は「補強には関与しない」と強調した。各メディアに『脇谷帰還』のことを質問される度に、そう繰り返してきた。堤GMも「補強について、高橋監督と相談しないのか」の問いに、「監督の意向ウンヌンは聞いていない。こちらから脇谷の話を持ち掛けたが、『お任せします』しか…」と答えている。 この両者の発言は意味深い。 高橋政権になって、フロントと現場の関係が確実に深まったと見ていいだろう。前任の原辰徳監督の時代、GMが暴走し、一部案件を巡って裁判沙汰にもなっている。原前監督が“出しゃばり過ぎたとき”もあった。14〜15年オフに獲得した相川亮二、金城龍彦の獲得は原前監督が自ら連絡を入れ、フロントとの正式交渉を段取りしたとされている。フロントが暴走すれば、現場は面白くない。指揮官が自身の要望を押し通せば、フロントは自分たちの仕事を否定されたことになる。戦う集団である以上、熱くならなければウソだ。しかし、組織としてはお互いが一歩譲り合うような関係のほうが理想的だ。 今さらだが、堤GMは高橋監督と同じ慶應義塾大学野球部の出身で、在学当時は主将も務めたという。当然、高橋監督は絶大な信頼を寄せており、堤GMも「カワイイ後輩のため」との思いは誰よりも強いはずだ。 経営陣が求めた巨人の改革とは、フロントと現場の一体感である。 先のプロ野球解説者がこう続ける。 「読売の経営陣がいちばん嫌う報道は巨人フロントのゴタゴタを扱ったものです」 読売首脳陣はこう考えたのではないだろうか。「ヨシノブを監督に選んだのは間違いではなかった」と…。(スポーツライター・飯山満)