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マエケンのメジャー挑戦で始まる広島の投手再建

 広島東洋カープは投手陣の立て直しを迫られている。
 マエケンこと、前田健太(27)の米球界挑戦が正式に発表された(12月4日)。彼がメジャー志望を明かしたのは2013年オフだった。今さらだが、既定路線だったわけだ。

 「エースらしい振る舞いと活躍をすれば、検討すると(前田に)言っていた。彼は見事に応えている」
 広島東洋カープの松田元オーナーは12月4日、球団を介してそんなコメントを発表した。興味深いのはこの後に出た言葉だ。今シーズン、前田が獲得した投手タイトルの最多勝と沢村賞を指して、こう語っていた。
 「反対する理由がない。ファンの方も後押ししてくれるのでは。私自身、心を打たれている部分がある」
 13年オフの契約更改の席で、前田が将来的なメジャー志望を伝えた際も「周囲が納得するような形での米挑戦を」と伝えられていた。そのとき、前田と球団との間で交わされた“約束の詳細”については明かされていない。約束とは、球団が前田のポスティングシステムによる米挑戦を認める条件のことだ。今回、松田オーナーが当時交わされた約束を明かしてくれたわけだが、その言葉の通りだとしたら、球団が前田に突き付けた条件のなかに『チームの優勝』は含まれていなかったことになる。

 前田のメジャー移籍容認が発表される前の11月30日、もうひとつの重大事項が発表されている。広島の精神的支柱でもある黒田博樹(40)が、「今年に入る前に、野球人生最高のモチベーションで(広島に)帰ってきた。最後のつもりで、今まで以上の覚悟でやってきた。なかなか、それを超えるモチベーションを探すのが難しい」と、心中を吐露した。

 この引退か、現役続行かで揺れる気持ちは球団も聞かされていた。
 広島は新旧エースを同時期に喪失する可能性が出てきたのだ。

 前田15勝、黒田11勝。新旧エースの退団で失う『26勝』をどう補うのか…。広島はさらにデュアンテ・ヒース(30)と来シーズンの契約を結ばないこともすでに発表している。ヒースはクローザーで開幕を迎えたが、安定感に欠き、中継ぎや点差の開いた場面でしか登板されなかった。3勝4セーブ10ホールドは物足らない数字だが、43試合に投げている。昨季は途中加入ながら7試合に先発し、防御率は2点台を保った。このヒースの退団も重ねて考えると、広島は投手陣の配置転換を含め、根本的な立て直しが必要となる。
 「黒田は残ってくれると思う。黒田は米球界移籍後も毎年オフには必ず前田と会って、将来のメジャー挑戦に関するアドバイスも送ってきました。前田に米国での野球を集中させるため、さらには愛着の深い広島が『弱くなった』と言われるのが絶対にイヤなはずですから…」
 そう話してくれた関係者もいたが、希望的なコメントにすぎない。

 ドラフト1、2位の岡田明丈(大阪商業大)、横山弘樹(NTT東日本)は2ケタ勝利を残す力はある。だが、カリスマ性という点では及ばない。それは、大瀬良大地、ジョンソン、福井優也、野村祐輔たちにも言えることで、ペナントレースとは、単に数字を積み重ねるだけでは勝てないところが多い。

 広島が前田の背中を押したということは、黒田残留の確証を得ているからだろうか。

 エースの立ち振る舞いには、持って生まれた才能も必要だ。今は大瀬良の成長に期待するしかないが、こうも考えられる。今季後半、クローザーに定着した中崎翔太が絶対的な信頼を勝ち取ることだ。「中崎に繋げば、中崎が出てくれば絶対に勝てる」という貫禄が出てくれば、少なくとも2016年のV戦線には踏み止まることは可能だが…。(スポーツライター・飯山満)

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