スポーツ
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スポーツ 2016年03月26日 15時00分
俺たちの熱狂バトルTheヒストリー〈相撲人気の頂点“若貴対決”〉
立ち合いでは互いにまわしを取れず、貴乃花は右の差し手を伸ばしてこれを探る。それを左手で押さえにかかる若乃花。貴の右腕には、若の懸命の守りを払いのけるほどの力感が見られない。 両者不十分な体勢のまま若が寄って出る。いったんはこらえた貴だが、この攻防の間に左上手を取った若が再度前に出ると、貴は土俵を割る寸前、膝から力が抜けたかのように崩れ落ちた。 若の左上手の側へ貴が倒れるという不自然な結末。決まり手の発表は、右の下手投げというやや無理のあるものだった。 '95年11月場所。若貴ともに12勝2敗で迎えた千秋楽。次位とは2つ以上の勝ち星の差で、いかように転んでも兄弟いずれかの優勝は決定していた。さらには史上初の兄弟による相星決戦もあり得るということで、大相撲ファンならずとも並々ならぬ興味が注がれることになる。 日曜の夕刻。両者による優勝決定戦の瞬間最高視聴率は58.2%を記録している。しかし、本割で先に土俵に上がった若乃花が敗れたことで、福岡国際センターの観客席は、「また2年前と同じか」との落胆に覆われていた。 '93年7月の名古屋場所では、若貴兄弟と曙がそれぞれ千秋楽に13勝2敗となり、巴戦での優勝決定戦が行われた。 最初の取組は横綱・曙vs関脇・若ノ花。横綱がこれを押し倒しで下すと、続いては曙vs大関・貴ノ花(番付、四股名ともに当時)。先に若が勝っていれば、ここで貴との対戦になっていたはずだが、それでも曙に貴が勝てば、やはり兄弟対決が実現する。 しかし、そんな観衆の期待は、曙の圧倒的パワーの前に打ち砕かれる。曙は貴を一方的に寄り倒して横綱としての初優勝を飾り、その一方で兄弟決戦は幻に終わったのだった。 そんな経緯もあり、若が敗れた瞬間は「また兄弟対決は見られない」と、多くの観衆が諦めかけていた。だが、結びの一番で、貴乃花が一瞬にして武蔵丸のはたき込みに敗れると、館内は大きな拍手で包まれることになった。 共に敗戦というプロセスは、この際どうでもいい。とにかく兄弟決戦が見たい。だが、そんな観客の期待の中で行われた優勝決定戦は、冒頭のような呆気ないものに終わってしまった。 「これを八百長という人もいます。確かに貴乃花の負けっぷりは、本割の武蔵丸戦も含めて不自然なものでした。とはいえ、それだけで八百長と断じられるものではない」(スポーツ紙記者) 現に、相撲界の八百長を事あるごとに告発し、自らも現役時代にはその仲介役をしてきたという元小結の板井も、「若貴兄弟はガチンコ相撲だった」と断言している。 だが一方で、当時の週刊誌では〈千秋楽の前夜、兄弟の父親でもある藤島親方が貴乃花の部屋を訪れて、「分かってるな?」と念を押した〉とも報じられている。 すでに11度の幕内優勝を飾り、この場所まで3連覇を果たしていた貴乃花に対し、大関昇進後の若乃花は故障もあって低迷していた。そんな兄を不憫に思う気持ちが、藤島親方にあったとしても不思議ではない。 両者は引退後、別々にこのときの取組について語っている。 「やりにくかった」(貴乃花) 「当たった瞬間、相手に力が入っていないな、というのは分かりました」(花田虎上=若乃花) あからさまな八百長ではなかったにせよ、どこか平常心では臨めない一番だったのは、事実であろう。当時、優勝の賜杯を手にした若乃花も、どこか浮かない様子で、心からの喜びを見せることはなかった。 また、貴乃花は「この取組が、のちの兄弟断絶に至る軋轢の原点になったのでは?」と問われた際に、「間違いないです」とも答えている。 兄弟の複雑な心境の中で行われた不可解な取組ではあったが、これ以降、若乃花は成績が上向き'98年に横綱昇進。兄弟横綱として若貴ブームを巻き起こすことになったのは、ある意味で皮肉なことであった。
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スポーツ 2016年03月25日 15時00分
新生『なでしこジャパン』初の女性監督に“カリスマ”澤穂希が急浮上
そろそろ若手に切り替える時期に来ているのではないか? そんな声が聞こえてくる。リオデジャネイロ五輪の出場権を逃した『なでしこジャパン』で、指揮権をめぐるオンナの戦いが始まった。すでに女子A代表初の女性監督をさせる動きもあり、有力視されているのがヤングなでしこを率いた実績のある、U‐20女子代表監督の高倉麻子氏(47)。 しかし、協会の“本命”は他にいた。昨年12月に引退した“カリスマ”澤穂希(37)だ。 「協会は'23年の女子W杯開催国として立候補する予定ですが、五輪に出場できない状況下ではPR活動も大々的にできない。協会が変えたいのはチーム状況だけではありませんからね」(専門誌記者) 一方の澤は引退会見でも「そういう気持ちになったら…」と言葉を濁し、しばらくはノンビリしたいという心の内を覗かせ監督業に興味を示していなかった。しかし、なでしこの五輪不出場が決まった3月7日の試合後、「強いなでしこに戻るよう何か携われることがあれば」と一転、前向きな発言をしている。 「3月末から日本サッカー協会新会長に就く田嶋幸三氏も、澤を指して『なでしこに関わってもらいたい』とコメントしています」(前出・記者) 協会の希望は、やはり澤擁立と見て間違いないが、スポーツ紙記者はこう言う。 「監督タイプは宮間あや。彼女はプレーについて理論で説明できる。澤はどちらかと言えば直感で動く天才肌。指導者向きではないのですが…」(TV局員) それでも、W杯開催国として海外にもアピールをし、かつ今の停滞ムードを一掃できるのは、やはりカリスマの存在なのだろう。 「もっとも、澤はまだ監督ライセンスを取得していない。監督になるためにはC級ライセンス取得からスタートし、その後、B級へと進みA級ジェネラルまで1年が掛かります。その2年後にようやく、代表監督になれるS級の養成講習会が受けられるのです」(前出・記者) ただし、澤は国際Aマッチ20試合以上の出場歴があるため、A級ジェネラル取得後、1年でS級講習会を受けられる。 「澤をチーム帯同のアドバイザーに就け、2年後に代表監督というシナリオでしょう」(前出・記者) 澤の今後でいえば昨年末、今夏の参院選へ向けての自民党からの出馬要請を辞退していたことも判明。いよいよ監督待望論が高まりそうだ。
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スポーツ 2016年03月25日 08時00分
2016年プロ野球キャンプ情報「混セとパ1強5弱」説は本当か?(東北楽天編)
昨夏の甲子園大会を沸かせたオコエ瑠偉に関心が集まっている。オコエ加入により、外野手の定位置争いはさらに厳しくなった。松井稼頭央、牧田明久、成長株・福田将儀、新加入のジョニー・ゴームズ、聖澤諒、岡島豪郎、枡田慎太郎…。ひょっとしたら、梨田昌孝新監督は島内宏明に期待しているのではないだろうか。昨季は怪我などもあって、25試合にしか出ていない。打率も2割3厘と振るわなかった。しかし、フリー打撃を見る限り、頭角を表した一昨年よりも鋭い打球を連発していた。体も大きくなった。仮にレギュラー争いに敗れたとしても、試合終盤での代打でも使える。一軍ベンチに置いておきたい選手。それくらい、存在感を示していた。 問題は投手陣だろう。開幕投手を務める則本昴大はともかく、2番手以降が実績に乏しい。ローテーション候補は塩見、釜田、戸村、美馬、レイ、ブリガム、リズなど。塩見は昨季3勝、レイも5勝だ。松井裕樹は今年もクローザーを託された。キャンプ中盤以降の練習試合、オープン戦で2年目の安樂智大が何度もチャンスを与えられたのは、先発候補の弱さの裏返しでもあったわけだ。 野手陣はウィーラー、ゴームズの外国人野手が好調だった。梨田監督は「2番銀次」の攻撃的打線を公言している。ウィーラー、ゴームズが打線の中核を託されるとすれば、一軍登録の『外国人枠4人』の使い方が難しくなってくる。レイは当確として、ブリガム、リズが「最後の1つ」を争っている。先発投手のコマ不足を考えると、どちらかを一軍に置いておきたいところだが、救援のキャム・ミコライオに復調の兆しが見えてきた(二軍スタート)。また、3人目の外国人野手、アマダーは左手首の故障で開幕は絶望的だが、楽天首脳陣はアマダーの打撃を高く評価している。2月21日の中日戦で先制3ランを放っており、135?の巨漢ながら、技術でボールを飛ばすテクニックを持っている。梨田監督は攻撃的な野球を掲げているだけに、シーズン中、外国人野手3人を登録する時期もありそうだ。 3月20日のDeNA戦、6回一死一・三塁。一塁走者の福田が二盗を試みる。DeNAの捕手・高城の二塁送球と同時に三塁走者の桝田が本塁に向かってスタートを切った。二塁手・飛雄馬が俊敏な動きで本塁に返球した。ストライク返球だった。しかし、結果はセーフ。捕手のブロック禁止のコリジョンルールを逆手に取った「ダブルスチール」である。桝田は「キャンプからタイミングをはかる練習をやってきた」と、してやったりのドヤ顔だった。近鉄、日ハム時代の梨田監督は自由に打たせていくタイプだった。こうした走塁練習を仕切っていたのは真喜志、米村の両コーチ。桝田は本塁突入の前に二盗を決めている。先発陣が脆い分、打線が援護してやらなければならない。かといって、打撃には好不調の波が必ずある。梨田監督がまだ打撃フォームの固まらない新人・オコエを一軍で使い続ける理由は「走塁」に活路を見出そうとしているからだろう。
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スポーツ 2016年03月24日 15時00分
野球賭博の “黒い霧”が東京五輪を覆う「野球&ソフト」追加競技落選の危機
巨人に続き、阪神、西武でも選手間ののやり取りが明らかになった。プロ野球の選手間で金銭のやりとりが発覚した問題で、西武は3月15日、自チームの公式戦の勝敗に絡んで選手間で同じような現金のやりとりが行われていたと発表した。 巨人軍、4人目の野球賭博関与者・高木京介投手が謝罪会見に臨んだことで、いったんは鎮静化したはずだった。 この騒動に、馳浩文部科学大臣も「自浄能力が働いていたのか?」と憤慨したというが、野球賭博問題が清原裁判と重なって、NPBを奈落の底に突き落とすことになりそうだ。 「清原和博の裁判は長引かないはず。初犯ですし」(社会部記者) 裁判は5月17日から始まる。「2カ月余で結審するのではないか」との声も聞かれた。しかし、結審までの時期が悪すぎる。 「東京五輪の追加種目競技が最終決定するのは今年7、8月。最終議論の過程で、清原裁判が同時報道されていく図式になりそうです」(JOC関係者) NPBは国際オリンピック委員会傘下のアンチドーピング機構に加盟していない。独自の方法で薬物使用の調査をしてきたわけだが、清原は「現役時代からの常習」を疑われている。 裁判でそれが明らかになれば、NPBはクスリの使用に厳しい五輪競技には不適格だという烙印を押されることになる。 「清原が反省の弁を述べ、更正に向かっていくとしても、クスリ、賭博問題に関するNPBの自浄能力は疑われたまま」(前出・社会部記者) NPBの自浄能力に関してだが、熊崎勝彦コミッショナーの憤りは尋常ではない。一連の信頼を取り戻す一環として、目下、内部で審議されているのが賭博問題の調査を『捜査』に切り換えることだ。 「野球賭博問題の調査を一任されたのが、大鶴基成氏です。熊崎氏と同じ元東京地検特捜部長を経験した同氏ですが、2人とも新たな高木投手の不正発覚により、メンツ丸潰れです」(内部関係者) 先に処罰された福田、笠原、松本の3投手について調査が行われていたときのことだ。大鶴氏は「調査に協力してもらえない。真相究明できない」と嘆いていた。携帯電話を取り上げるなどして徹底的に調べるつもりだったが、「調査」である以上、相手側の協力が必要だ。しかし、3投手は「イヤだ」の一点張り。彼らを誘惑したとされる“闇の紳士”も同様である。 「警察と話し合っています。事件として捜査に切り換われば、相手の意思なんか関係ない。徹底的に調べられます」(前出・内部関係者) 返り血を浴びることになるであろう野球界は、東京五輪の追加競技に選ばれない可能性が高まった。ワンセットで立候補した女子のソフトボールも巻き添えにしてしまう。
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スポーツ 2016年03月24日 12時25分
主力離脱! 先発ローテーションに悩むヨシノブは「アノ人」を踏襲する?
プロ野球ペナントレース直前の3月23日、ヨシノブ巨人が開幕一軍メンバー27人を発表した。28人まで登録できるので、おそらく「あと1人」を開幕前日に決めるのではないかと思われる。というか、「最後の1人」が誰になるかで、新生巨人、高橋由伸監督(40)の命運も違ってくるのではないだろうか。 「代わり映えしないね。というか、去年と比べ、戦力ダウンしている。大丈夫かな…」 そう懸念するプロ野球解説者も何人かいた。 まず、チームの精神的支柱でもある阿部慎之助(37)は2月下旬に右肩痛を訴え、いったんはオープン戦に戻ってきたが、調子は上がらず。『開幕メンバー』を発表する前の3月21日に二軍降格を伝えたのは、チーム全体に動揺が広がるのを防ぐためだと思われる。 その阿部とともに二軍落ちとなったのが、世代交代の象徴でもあった2年目・岡本和真(19)だ。そうなると、新人野手で唯一、一軍スタートを勝ち取った重信慎之介(22=早大)に注目が集まっていく。キャンプ、オープン戦で走塁センスとスピードをアピールしていたが、こんな声も聞かれた。 「もともと選手層の厚いチームなので、内外野に代わりの選手はいます。問題は投手じゃないかな。とくに先発は…」(プロ野球解説者) 開幕投手は菅野智之が務める。その菅野を軸とした『先発ローテーション』だが、オープン戦を見る限り、頼りになりそうな二番手は新人・桜井俊貴(22=立命館大)。昨季13勝を挙げたマイコラスは故障で離脱。高橋監督は「ローテーションは6人でまわす」と話していた。ポレダ、高木勇、そして、オープン戦で結果を残した田口麗斗、今村信貴の2人も入れなければ「6人」にはならない。 「高橋監督が就任直後からキャンプ中に受けた取材の限りでは、内海の名前も出していました。杉内は手術をしたので、今季終盤まで出て来られないのでは」(前出・同) 内海はオープン戦通算3試合11イニング3分の1を投げ、自責点13。ベテランであり、「調整」でテストしたい配球もあったはず。したがって、数字だけでは判断できないものの、昨季の不振から考えても、ローテーションを託すのはちょっとコワイ。大竹寛はオープン戦で投げていない。キャンプ序盤で左足を痛め、大事を取ってのスロー調整が続いている。 こうした投手事情からしても、高橋監督は本当に厳しいシーズンを送ることになるのではないだろうか。 もっとも、「菅野、桜井、ポレダ、高木勇、田口、今村」のローテーションは全員20代だ。実績のある菅野と来日2年目のポレダは大丈夫だと思うが、高木勇は昨季中盤以降、ピリッとしたピッチングを見せていない。田口、今村の成長が著しいと言っても、“大抜てき”に近い。「育てる」の要素が多いということは、指揮官がどれだけ我慢できるかが問われる。若い投手陣の奮闘に期待するファンも多いと思うが、なんか、長嶋茂雄氏の「監督1年目」にも似てきたような…。
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スポーツ 2016年03月24日 10時50分
2016年プロ野球キャンプ情報「混セとパ1強5弱」説は本当か?(広島編)
昨季15勝を挙げた前田健太の抜けた穴は、誰が埋めるのか。先発ローテーションの編成は簡単に組める。黒田博樹(11勝)、大瀬良大地(3勝)、野村祐輔(5勝)、ジョンソン(14勝)、福井優也(9勝)、九里亜蓮(0勝)、新人・岡田明丈、ドラフト2位・横山弘樹…。13年途中に移籍してきた小野淳平も「先発」での調整を続けており、頭数は揃っている。しかし、昨季の成績から2ケタ勝利の可能性が高いのは、黒田、ジョンソン、福井。大瀬良が故障で途中離脱してしまったのも痛い。「復帰までさほど時間は掛からない」(球団スタッフ)とのことだが、新人の岡田と横山を合わせて15勝してもらわなければ、数字上では厳しい展開となる。 しかし、新人の岡田が各メディアにこう答えていた。 「自分では先発もリリーフも、どちらでもいけると思っています」 緒方孝市監督も起用法について「迷っている」と話していた。 岡田はドラフトイヤーの大学4年時に急成長した右腕で、150キロ以上の直球も投げられる。最大の武器は“軟らかさ”。岡田の投球フォームには無駄な力が一切入っていない。制球力もある。岡田がキーマンになるだろう。 緒方監督だが、表情は昨季よりも明るかった。指揮官2年目で気持ちのうえで余裕も生まれたせいもあるだろうが、「福井の成長を確信している」との情報も聞かれた。大瀬良が前半戦のうちに復帰すれば、黒田、ジョンソン、福井を合わせた4人で“ある程度の計算が立つ”と踏んでいるのではないだろうか。この4人が「45勝以上」を挙げられるとすれば、十分に戦える。他球団と比較するのもなんだが、昨季の阪神は藤浪、メッセンジャー、岩田、能見の4人で42勝42敗。チーム全体で70勝の2位。今季もペナントレースが混戦状態になれば、前田の抜けた穴は致命傷にならない。新人・岡田の伸びのあるストレートを見ていると、先発でも十分にやっていけそうであり、オープン戦終盤までローテーション候補の投手たちの状況を見極め、その起用法を決めれば良い。「もう一枚、先発がほしい」と思えば先発で、現有スタッフでやっていけると判断すれば、中崎翔太とのダブルストッパー構想となるだろう。 また、岡田を先発で使うと決まった場合、救援陣のカギを握るのは、ドラフト6位の左腕、仲尾次オスカルだろう。広島は左の救援投手が薄い。その仲尾次だが、あくまでもキャンプ中盤までを見た印象だが、捕手が構えたところと逆方向に行くボールの割合が多かった。社会人・Hondaでは「変化球の持ち球が多い投手」として知られていたので、調子が悪いときも“それなりにまとめる投球術”ができるはず。理想は「対左打者」に限定せず、1イニングを託すことだが、おそらく、投球数の多いリリーバーになるのではないだろうか。 打撃陣では、昨季不振だった丸佳浩に復活の兆しが感じられた。バットを構えた位置が少し低くなった気がするが、振りは鋭くなった。新加入のプライディ、中日から移籍のルナが快音を響かせていた。投手でも中継ぎタイプの右腕・ジャクソンと190センチのヘーゲンズ(右投右打)を獲得している。外国人選手の一軍4人枠をどう使うのか。主砲・エルドレッドとジョンソンの一軍は確定だとしても、来日4年目で日本通算打率3割を越えるルナも使いたい。ただ、外野手のプライディは俊足で守備範囲も広かった。プライディの機動力は得点力アップにつながりそうであり、ヘーゲンズも面白い。ストレートは岡田よりも速いかもしれない。また、チェンジアップ系の変化球も投げていて、長身な分、かなりの落差がある。この軌道のチェンジアップ系なら、リリーフも務まるのではないだろうか。 緒方監督はこの外国人選手を巧みに使い分ければ、首位戦線でも十分に戦えるはずだ。
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スポーツ 2016年03月23日 13時30分
2016年プロ野球キャンプ情報「混セとパ1強5弱」説は本当か?(オリックス編)
エース・金子千尋が帰って来た。2014年オフに右肘にメスを入れ、その影響で昨季は7勝6敗と振るわなかったが、軽快なランニングやブルペン投球を見ると、15−16年オフは相当量のトレーニングをこなしてきたのだろう。酒井勉投手コーチは開幕投手について聞かれると、「そりゃ、金子でしょう」と笑っており、福良淳一監督が正式表明するのも時間の問題と思われる(3月1日時点)。東明大貴、西勇輝、ディクソンも良い。全体的に見ても、投手陣の仕上がりが早い。 「金子が帰って来た」ということは3連戦の戦い方が違ってくる。東明、西、ディクソンのうち、たとえばディクソンを次の3連戦の初戦・先発に持っていくとする。東明、西のいずれかを金子の次の2戦目に使える。2ケタ勝利の見込める投手を第2戦に控えさせるローテーションは、絶対に脅威となるはずだ。 また、チームに少ないタイプの外国人投手も獲得した。エリック・コーディエ(29)だ。「100マイル超え(160キロ)」を自負する右投手で、キャンプ中盤でフリーA打撃に登板し、実際に打者3人を力でねじ伏せてみせた。スライダー、チェンジアップを持ち球にすると紹介されているが、日本球界で成功するかどうかのカギは、速球との「緩急」を生むチェンジアップだろう。制球力はあまり良くない。ブルペンでは投げた瞬間に「ボール・カウント」と分かる投球もあった。クローザーで使う予定だそうだが、中継ぎで使われたら、「怖い」。オリックスの先発スタッフは、どちらかといえば、技巧派タイプだ。技巧派の後にコーディエが出てくれば、対戦チームは戸惑うだろうし、救援での実績が高い平野佳寿に繋ぐほうがいい。コーディエの制球力では与四球で走者を背負う可能性が高くなる。このコーディエの使い方がポイントになるだろう。 正遊撃手・安達了一が潰瘍性大腸炎で出遅れたため、大城滉二、鈴木昴平の両新人内野手にもチャンスが訪れた。大城は2月29日に二軍落ちを通達されたが、2人とも守備力は高い。大城にもまだチャンスはあると思う。というのも、鈴木、大城ともに打撃ではアピールできなかったからだ。ただ、鈴木はバント、右方向への打撃ができる。オープン戦が始まっても、ベテラン中島裕之が遊撃手でスタートするとの情報がまだ流れていた。経験値は中島だが、福良監督は安達が帰ってくれば、中島を一塁か、指名打者に回すはず。同じくベテランの小谷野栄一も守備練習では三塁、一塁を忙しく兼任していた。ベテランに複数のポジションを守らせるということは、試合途中で出場選手の守備位置を変える可能性もあるのだろう。代打、代走などベンチ入りしたメンバーをフル稼働させる攻撃を想定している。つまり、守備面だけでも「使える」とアピールできた選手には出場機会があるというわけだ。 新任の高橋慶彦・打撃コーチの影響だろう。今年のオリックスはバットを振る量が多い。これまでは居残り練習も自主性だったが、糸井クラスも遅くまでグラウンドに残り、バットを振っていた。 新外国人選手だが、“日本球界向き”を意識して獲得したように思えた。モレルは振り回すタイプではない。捕球、スローイングを丁寧に行う内野手で、ボグセビックは「長打力が売り」と伝えられるが、守備範囲の広い外野手だ。走塁にしても、一塁を蹴った後のスピードは一級品であり、来日8年目のトニ・ブランコと一軍枠をどう棲み分けるか、福良監督は最後まで悩むだろう。一発ならブランコ、確実性ならコンパクトなバットスイングのモレル、走塁も期待してなら、ボグセビック。もともと、オリックスは走れる選手が多いチームでもある。小谷野、中島のベテランが元気で右打者なので、左バッターで「走れる」ボグセビックをメインに考えても面白いのではないだろうか。今年のオリックスは、ホークス追撃の一番手かもしれない。
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スポーツ 2016年03月23日 06時00分
センバツ甲子園2016年「21世紀枠選出選出の舞台裏」
2001年に『21世紀枠』が設けられ、今年で16大会目となる。過去、その21世紀枠で選ばれた私立高校は2013年の土佐(高知県)だけだ。都道府県別で見てみると、3校が北海道、宮城、和歌山、島根。2校が岩手、福島、新潟、愛知、兵庫、香川、徳島、愛媛。1校は14都県で、まだ21府県からは選ばれていない。 「初戦突破」を果たしたのは、昨年までで39校中12校。勝率に直すと3割程度しかないが、08年、成章(愛知)で背番号1を背負った小川泰弘(現東京ヤクルト)が駒大岩見沢(北海道)に投げ勝っている。本来の選考基準は「野球以外の活動でも評価」となっているが、のちにプロで活躍した投手が“野球無名校”に埋もれていたとなれば、意義深さも感じる。 今大会の地区選出だが、モメたところもないわけではない。近畿地区は5校目まではスンナリ決まったが、6校目で意見が割れた。昨秋の近畿大会4強の大阪桐蔭(大阪)、滋賀学園(滋賀)、龍谷大平安(京都)、明石商(兵庫)は確実、5校目は同大会ベスト8で奈良県大会を1位で突破した智弁学園(奈良)が選ばれるまでは良かった。天秤に掛けられたのは報徳学園(兵庫)と市和歌山(和歌山)の2校。報徳学園はベスト4進出を懸けて滋賀学園と戦ったが、延長14回の末、「0対1」で惜敗。同じベスト4進出を懸けた明石商と市和歌山の試合だが、こちらは「7対0」で明石商がコールド勝ちしている。この敗れた市和歌山と報徳学園のどちらを選ぶかで難航した。最終的には『地域性』で決定した。先に決まった5校中、紀伊半島の高校は智弁学園のみ。バランスを取るように、大阪圏の報徳学園ではなく、市和歌山が選ばれた。 一方、東北地区だが、青森県の青森山田と八戸学園光星が選ばれている。東北大会の決勝戦は青森山田と八戸学園光星で争われた。選考段階では同大会ベスト4の盛岡大付校(岩手)、ベスト8ながら仙台育英(宮城)も残っていた。「青森山田対仙台育英」の準々決勝は4対3で青森山田、決勝戦・青森山田対八戸学園光星は5対0で青森山田が勝利。地区優勝の青森山田と接戦を演じたのは仙台育英のほうだ。しかし、八戸学園光星は準決勝(対一関学園)、準々決勝(対東陵)を完封勝利しており、『地域性』よりも『勝敗』『成績』で選ばれた。 選考委員会の決定に意義を唱える関係者、メディアはいなかった。この点は強調しておきたい。だが、「勝利校=甲子園」ではない以上、出場校は惜しくも選ばれなかったライバル校のためにも善戦しなければならない。その気持ちは21世紀枠で選ばれた高校も同じだろう。 21世紀枠に選ばれ、その年の夏の甲子園に帰って来た高校は、宜野座(01年沖縄)と山形中央(10年山形)の2校のみ。大会2日目(3月21日)、21世紀枠同士の対戦となり、釜石(岩手)が小豆島(香川)に競り勝った。21世紀枠同士の試合は13年の「遠軽対いわき海星」以来、2度目。21世紀枠で出場した高校の最高成績は宜野座(01年沖縄)と利府(09年宮城)のベスト4。2勝以上を上げた学校もこの2校だけ。釜石の2回戦以降にも期待したい。(スポーツライター・美山和也)
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スポーツ 2016年03月22日 15時21分
センバツ甲子園2016年「スカウトが注目する異色右腕」
第88回選抜高校野球大会(3月20日開幕/以下=センバツ)が始まった。春の甲子園を征するには「2つの条件」を攻略しなければならない。1つは外野守備だ。春と夏では、外野の芝生を転がるボールのスピードが異なるという。3月の甲子園はプロ野球のペナントレースに備え、外野の芝生が再整備される。長丁場に耐えられるようにするため、芝生部分の土も固めに均されている。その影響で外野手の間を転がる打球速度が「夏の甲子園」よりも上がる。迅速な内外野の中継プレーができているか否か、1点を争う場面では大きく違ってくるのだ。 2つ目は投手力だ。3月という時期である以上仕方ないのだが、打撃陣の調整は不足がちだ。走塁、犠打、右方向への進塁打を徹底させるなど「好投手攻略」に活路を見出す監督もいるが、投手がしっかりしているチームは有利である。センバツは強豪校敗退の波乱が多いのはそのためだ。 「冬場のトレーニングで、どの出場校の投手たちも体を鍛え直しています。昨年秋の大会と比べ、どれくらい成長しているかが視察のポイント」 ネット裏のスカウトたちの言葉だ。 そんな投手に注目が集まるなか、異彩を放つ右腕もいる。21世紀枠で選ばれた長田高校(兵庫県)の園田涼輔(新3年)だ。 同校は国公立大の理工学系への高い進学率を誇る。兵庫県の高校受験ガイドによれば、偏差値70とのこと。21世紀枠により、進学校の出場も珍しくなくなったが、長田高校は「投手・園田」で選ばれたと言っても過言ではない。公式戦6試合で奪った三振の数は66個(52イニング)。しかも、与四死球9。三振の数からしてパワータイプであることは間違いないが、制球力にも長けているのだ。 「昨秋あたりから、『脱力』を覚えたというか…。70%の力で投げても、キレのあるボールが投げられるようになった」(在京球団スカウト) 自己最速は140キロ。球速は「普通」だが、内外角のコーナーギリギリに投げ込み、ストライクカウントを稼ぐ。また、ボールに重量感があるからだろう。ファールになってしまう。スライダー、フォークボールが持ち球。スライダーは縦系の軌道、このボールは練習試合を視察したスカウトたちも高評価していた。素人判断だが、フォークボールはさほどの落差はない。しかし、ストレートとの球速差があるため、緩急の武器になっているようにも見えた。 また、「兵庫県」「公立校」といえば、巨人のルーキー・桜井俊貴(22=立命館)が思い出される。 当時を知る在阪球団スカウトがこう言う。 「単純に投手成績を比べると、桜井よりも園田クンのほうが上。でも、桜井は強豪校との対戦も多く、園田クンはそういう学校との試合がほとんどないので」 桜井も北須磨高校時代に頭角を表し、「公立の星」とも賞された。立命館大学進学後はプロを意識し、徹底的に自分を鍛え上げた。 各スカウトは「伸びしろ」「将来性」で、園田を見ている。センバツ関連の報道によれば、園田は大学進学、将来は理工系への就職を希望し、週6日も進学塾に通っているとあった。センバツ大会のマウンドが、「次のステージでも野球を続けたい」と思う契機になればいいのだが…。(一部敬称略/スポーツライター・美山和也)
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スポーツ 2016年03月21日 16時00分
俺たちの熱狂バトルTheヒストリー〈“掟破りの空手家”佐竹雅昭〉
80年代後半から90年代初頭、佐竹雅昭はコアな格闘技マニアの注目を一身に集めていた。 所属する正道会館が主催したオープン大会『全日本空手道選手権』において、1987年から3連覇。極真空手主催の大会に参加を表明したものの、申込書類の不備という不可解な理由で出場がかなわなかったときは、「佐竹に優勝をさらわれることを極真側が恐れ、参加を拒絶した」との噂が、都市伝説のようにファンの間に広がっていった。 それでも、まだこの時点での大方の認識は、関西ローカルの空手王者という程度のものであった。しかし、'90年に全日本キックボクシング連盟が日本武道館でビッグマッチを開催し、これに勇躍参戦したことで一気にメジャーな存在となる。 このとき佐竹は、グローブを使用する試合の経験があるにはあったが(全日本空手道選手権の延長時においてグローブ着用&顔面ありのルールを採用)、正式なキックボクシングルールでの試合は初体験だった。 相手は、かつて前田日明とも熱闘を繰り広げたドン・中矢・ニールセンで、佐竹戦の直前には、結果は敗れたとはいえ“キック界の帝王”ロブ・カーマンとも拳を交えていた。 圧倒的に不利な条件の下、それでも大歓声で迎えられた佐竹は、試合開始早々から積極的に前に出る。そうしてクリンチの体勢になると、掟破りの頭突き(バッティング)を連発! レフェリーにクレームを入れようとニールセンが動きを止めても、お構いなしにパンチの連打を浴びせ、ブレークのかかった後の一撃でKOしてしまった。 「無効試合、あるいは佐竹の反則負けとなってもおかしくない試合ではありました。実際、当時の格闘技専門誌では、大々的に批判記事が掲載されたりもしています」(格闘技ライター) だが、そんな佐竹の闘いぶりを、多くの格闘ファンはファイティングスピリットの表れとして好意的に捉えていた。 「この頃の佐竹のベストバウトは、'91年に開催されたUSA大山空手vs正道空手5対5マッチでの、ウィリー・ウィリアムス戦です。序盤、ウィリーの攻めを正面から受け切ると、あとは佐竹の独壇場。体格でひと回り以上も大きいウィリーに対し、上段蹴りや組み付いての飛び膝を狙うなど、積極的に攻め続けました。結果は判定ながら完全勝利といえるでしょう」(同) 終盤には、佐竹の下段蹴りや正拳突きでウィリーがグラつき、顔を歪ませて悲鳴を上げる場面もしばしば見られた。 この頃のウィリーは40歳目前と、すでに選手としての峠をすぎ、早々にスタミナを切らしていたようにも見えた。が、それでもかつて極真で旋風を起こした伝説の“熊殺し”を相手に、空手の舞台で完勝したことは、佐竹の名声をさらに高めることになった。 そんな佐竹が次なる標的として選んだのが、前田日明率いるリングスだった。初のリングスルールでの試合は“喧嘩屋”ジェラルド・ゴルドー戦。 ただし、これはレフェリーのブレークの際、ゴルドーが背を向けたところへ佐竹が攻撃を仕掛け、それにキレたゴルドーが顔面パンチやサミングの暴走モードに突入。佐竹の反則勝ちという、ファンにとってはやや肩透かしの結果となった。 それでもリングスでは、以後2度の引き分けを挟んで、5連続のKO勝利を収めている。 「ひとくちにパンチといっても、グローブ使用時のそれと空手の正拳突き、UWF系による素手での掌打では、技術が異なり、まったくの別物といっても構わない。それらを短期間のうちに使い分け、しかも、順応して勝ち続けてきた佐竹は格闘センスのかたまり。天才でしょう」(同) しかし、いよいよ前田との新旧格闘王対決を待望する声が高まってきたところで、佐竹は練習中の胸骨骨折を理由にリングスを離れることになる。 だが、これを額面通りに受け取る声は少なかった。 「前田側が対戦を避けた」「さまざまな条件が折り合わなかった」「すでに発足が決まっていたK-1に専念するため」など、その理由はいろいろ語られたが、いずれにしてもこのドリームカードが実現しなかったのは、ファンにとって残念だったに違いない。
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