正月の風物詩・箱根駅伝は青山学院大学の2年連続2度目の総合優勝、それも1区から一度もトップの座を譲らない“完全優勝”(39年ぶり)という劇的なゴールで幕を閉じた。
「ポイントになったのは、昨年に続いて往路5区を走った神野大地(4年)でしょう。11月の全日本駅伝では失速し、昨年の箱根で『山の神』と呼ばれたときとは大違いでしたが、わずか1カ月余りで復活させた原晋監督の手腕はさすがです」(取材記者)
過去10回の大会を振り返ってみると、この山登り区間の往路5区で区間賞を獲った大学のうち、10校中7校が総合優勝を勝ち取っている。その最重要区間の“個人技”に対抗するため、実は有力大学間で選手エントリー時に心理戦が繰り広げられていた。
「山梨学院大が外国人留学生を2人使おうとしているとの情報が広まったのです」(同)
箱根駅伝にも、実はプロ野球の外国人選手枠のような“紳士協定”が存在し、「留学生は一校1選手のみ。補欠登録を含め、2選手まで」という取り決めになっている。日大、拓大、東京国際大などにも留学生はいる。だが、山梨学院大のエクック・オムワンバ(4年)、ドミニク・ニャイロ(1年)の走力はともに図抜けており、「この留学生を2人とも使う」という動きを見せていたのだ。
「最終的にはニャイロが往路2区を走り、7人抜きの快走を見せてくれました。一方のオムワンバは、3年前、2年前ともに直前になって故障し、箱根には出られなかった。出雲、全日本ともに後輩に出場を譲っていたため、何とかしてやりたいと学校側が思っても仕方がないことではあるのですが…」(同)
山梨学院大はギリギリまで出場選手を伏せた。最終的に“紳士協定”は守られたものの、有事のときは、他大学も「日本人選手故障、緊急で留学生起用」で対抗する気配があったという。
「来年度以降、往路5区の距離を縮める方向で主催者は検討に入りました。そうなると、5区の突出した個人技よりも、総合力での戦いになる。どの学校もシード権が欲しいので、こういった心理戦に発展したんです」(関係者)
とはいえ、結果的に“紳士協定”破りがあったほうがレースは盛り上がった?