元シンクロナイズドスイミングの女王が表舞台に帰ってくる。2021年、世界水泳の福岡開催が決定。その招致に大きく貢献したのが、元シンクロの小谷実可子氏(49=現姓・杉浦)である。
小谷氏は'92年バルセロナ五輪後に第一線を退き、その後はJOC広報員、JRA非常勤監事など、スポーツ界の裏方業に徹してきた。その積み重ねもあって、「橋本聖子(JOC選手強化本部長)より頼りになる」(同)と周囲の評価はうなぎ上りだという。
これまで“実戦”で鍛えられたのも小谷氏の強み。というのも、'97年11月には国連総会という大舞台に立っているからだ。翌年に控えた長野五輪の宣伝的意味合いもあったが、五輪開催中の紛争地域の停戦を訴え、出席者からの好感を呼んだのである。
「通常、国連総会でスピーチをしてしまうと、ジミな仕事ができなくなってしまう。しかし、彼女は地方の小さな大会でも招待者挨拶をコツコツとこなしてきたんです。今回の世界水泳招致の成功により、それまでの堅実な仕事ぶりが永田町界隈でも高く評価されている」(JOC関係者)
スポーツライター・飯山満氏がこう続ける。
「'19年には日本でラグビーワールドカップが開催される。また、'19年開催のフィギュアスケートや柔道の世界選手権でも日本招致の動きがあり、'23年に予定されている女子サッカーワールドカップの招致も信憑性が出てきました。'26年の陸上アジア大会招致には、愛知県が立候補しています。日本は東京五輪前後に世界的なスポーツ大会が重なっており、小谷氏や元五輪選手も政治の場に担ぎ出されるでしょう」
昨年10月からスタートしたスポーツ庁の存在も大きい。橋本氏の場合は、元フィギュアスケート選手・高橋大輔との“キス事件”でミソを付けているため、小谷氏が前面に出てくる可能性が高いのだ。
「スポーツ庁の初代長官は元競泳選手・鈴木大地氏。競泳とシンクロの違いこそあれ、同じ水連出身の小谷氏のほうがスケート連盟の橋本氏よりも話が通じやすいはずです」(関係者)
シンクロ同様、水面下の努力が功を奏したようだ。