社会
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社会 2017年12月12日 14時00分
大阪『高島屋』現存最古の百貨店が複合施設ビルに「本丸落ちる」の嘆き節
「大阪暮色や」浪速っ子が嘆いている。日本橋の高島屋東別館(大阪市浪速区)が、2019年の完成を目指し、ホテルと商業施設の複合ビルとしてリニューアルオープンするという。 高島屋東別館は'37年に旧松坂屋大阪店として建設された、日本最古の百貨店建造物。アールデコ調の重厚な佇まいは、周辺一帯のシンボルとなっている。しかし、'68年に運営が高島屋に移ってからはデパート営業は行われず、1階の外周部に飲食店、2階部分は高島屋資料館、他は事務所として使用され今後の動向が注目されていたが、リニューアルについては地元の反応も様々だ。 「“インバウンド銀座”の道頓堀や難波がすぐそばということもあって、それを指を咥えて見ているだけでは仕方ないということでは。地域の発展にもプラスになることは間違いないでしょうね」(日本橋でんでんタウンの電器店経営者) その一方では、こんな声も。 「堺筋では昔からのビルや店がどんどん潰されて、みんな外国人向けの何かに変わっとる。せやけど、高島屋の別館だけは大丈夫と思ってた。何やら本丸を落とされたような気分や」(道頓堀の老舗飲食店店主) リニューアルの詳細については様々な情報が飛び交っているが、公式な発表はまだない。周辺関係者によれば、運営主体として現在交渉しているのは、シンガポールの不動産大手・キャピタランド社。同社は別館の豪華な空間を活かし「サービスレジデンス」と呼ばれる、中長期滞在者向けの宿泊施設を展開するものと見られている。 「サービスレジデンスは、ホテル仕様のウイークリーマンションということですが、とびっきりの豪華版。ターゲットは当然、外国人観光客で、しかも富裕層」(外資系ホテル関係者) ゴーサインが出れば、ミナミ・堺筋エリアでは、新今宮に'22年に開業する星野リゾートのOMOホテルと並び、注目を集めることになりそうだ。 「ただし、外国人観光客がリーズナブル志向に変わりつつある中、豪華ホテルの受けがどう転がるかは未知数。問題は、東京五輪後の変化への対応です」(ホテル関係者) 外国人観光客の増加で、ホテルの建設ラッシュが続き、日ごとに街の姿が変わりつつある大阪ミナミ。浪速の灯がまた一つ消えようとしている。
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社会 2017年12月12日 10時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 高所得者増税のまやかし
政府与党は、2018年度の税制改正で、低所得者の減税財源として高所得者の増税を検討している。私はこれまで、一貫して庶民の減税と高所得者の増税を主張してきたから、一見すると、私の主張と政府の税制改正の方向性は一致しているようにも見える。しかし、実は政府がこれからやろうとしている高所得者増税は、とんでもないまやかしなのだ。 例えば、政府は給与所得控除の圧縮を考えている。給与所得控除というのは、サラリーマンに認められた必要経費の概算控除だ。現行税制では、年収180万円以下の部分は収入の40%、180万円から360万円までの部分が30%、360万円から660万円の部分が20%と、「経費率」が徐々に下がっていく。 なぜ下がっていくのか。仕事の時に着る服を例に考えてみよう。年収が低くても、一般的にはとりあえずスーツは買わなければならないから、低年収のサラリーマンにとっては、大きな負担になる。昇進して年収が増えたら、少し上質のスーツを買う必要がでてくるが、それでも年収が2倍になったら、2倍高いスーツが必要かというと、そうでもない。だから、年収が高まるほど、それだけ経費率が下がる形になっているのだ。 5年前の税制では、この給与所得控除は、いくら年収が高くても最低5%が認められていた。ところが、4年前から、年収1500万円で給与所得控除が頭打ちになり、昨年は1200万円、今年は1000万円で頭打ちとなった。つまり、年収1000万円を超えると、稼ぐのに一切、経費がかからないと判断していることになる。 しかし、それは果たして本当だろうか。宴会や同僚の結婚祝いなど、社内での地位が上がれば、負担すべき金額は当然増えていく。経費ゼロというのは、あり得ないのだ。 ところが、自民党税調では、この給与所得控除の頭打ちを、年収800万円〜900万円に引き下げようとしている。もちろん、読者の多くが「自分の年収は、そこまで届いていないから、増税したって構わない」と考えるだろう。しかし、こうした“小金持ちサラリーマン”が増税される一方で、本当の金持ちは野放しになっている。 いい例が、芸能人や金融長者たち。彼らは、みな自分の会社を持っている。事業に必要だという名目が立てば、すべて経費で落とすことができる。何千万円もするような高級外車に乗っていても、それは経費で落ちるのだ。サラリーマンの必要経費に上限を設けるのであれば、会社の経費で乗る車に対しても、500万円までといった上限を設けるべきだ。 また、税率も問題だ。サラリーマンの場合、年収1800万円を超えると40%の税金がかかる。別に住民税も10%かかるから、収入の50%が税金に持って行かれる勘定だ。一方、本当の富裕層は、収入の大部分を株式の配当や譲渡益が占めている。こちらは、分離課税で、住民税込みの税率が20%にすぎない。何十億円稼ごうと、税金は20%なのだ。 こうした事態を踏まえれば、低所得層の減税財源確保は容易だ。すべての所得を合算して、累進税率を適用する総合課税に移行すればよいのだ。
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社会 2017年12月11日 15時00分
天下の猛妻 -秘録・総理夫人伝- 鈴木善幸・さち夫人(上)
前任の大平正芳首相が昭和55年(1980年)6月の衆参ダブル選挙のさなかに急死したのを受け、後継の座に就いたのが鈴木善幸であった。当時、「ロッキード裁判」を抱え権力維持に必死の「闇将軍」田中角栄元首相が、自らの影響力保持のため、コントロールの利く鈴木を半ば強引に総理のイスに押し上げたものだった。 半ば強引というのは、鈴木は元々、強いリーダーシップを発揮するタイプではなく、佐藤栄作政権下でじつに政府・自民党の“まとめ役”としての総務会長を通算10期も務めるなどの調整力が持ち味。衆目の見るところ「総理の器」ではなかったことによる。ために、国民からは「ゼンコー・フー(鈴木善幸とは何者)?」との声も出たのだった。 一方で、自民党内の反田中勢力からは「田中のカイライ政権そのもの」との声を浴び、政権は2年余に及んだが、その間、目指した「行財政改革」はほとんど実らなかったものだった。 夫人の鈴木さちは、「漁業」が縁で結ばれた。 日中戦争さなかの昭和14年、岩手県海浜部の山田町出身の鈴木は時に28歳、疲弊する漁村の救済に情熱を傾け、全国漁業協同組合連合会(『全漁連』)の職員であった。そこに入る前は農林省の水産講習所に通い、ここでは「秀才」と謳われていた。 一方のさちは、20歳、函館水産学校校長の長女で性格はざっくばらん、機転の利く辛抱強い娘であった。東京・赤坂の乃木神社で挙式した。 しかし、箱根と決めた新婚旅行先からして、さちにとっては仰天の日々が待っているのだった。元鈴木派担当記者の証言がある。 「鈴木を慕っていた漁業関係の若者たちが、なぜか宿泊先の旅館についてきた。夜になっても、鈴木はこうした若者たちと“漁業の近代化”について口角泡を飛ばし合ったり、碁を打ったりで、新婚“初夜”もヘチマもなかったそうです。また、新婚旅行から帰った新居でも同様で、夜は必ずと言っていいくらいこうした若者が訪れてくる。 夫人はというと、これら豪傑たちの飲み食いの世話から彼らの薄汚れた六尺フンドシの洗濯まで、ただただ黙々とやっていたという。夫人は、あの当時を振り返って、『この結婚は1、2年ももてばよかったと思っていた』と言っていた」 六尺フンドシといっても幅は一尺はあり、どこの何者かも分からぬ男どものそれを何本も洗うのだから、まずはさちが夫をいかに慕っていたかが分かる。いまのように電気洗濯機の時代ではなく、タライに洗濯板、石鹸でゴシゴシが新妻の“日課”では、今様の新妻なら早々に逃げ出して当然のところであろう。 しかし、こうした新婚時代を乗り切った結婚8年目、さちは妻として大きな転機を迎えることになった。「先々、うまくいけば『全漁連』の会長ぐらいにはなるかも知れない」程度にしか考えていなかった夫が、突然、衆院選に出ることになったからであった。鈴木は、昭和22年4月の戦後2回目の総選挙に出馬することになったのである。 「国会に水産議員を!」の熱望を担って、「全漁連」の推薦を受けたのである。当初は革新系無所属での出馬予定だったが、無所属では院内活動に限界があるとし、最終的には社会党からの公認候補となったのだった。 選挙は終始、苦戦であった。当時の中選挙区〈岩手1区〉は広く、鈴木は「浜のゼンコー」を売りに全力投球していたことで、盛岡市など内陸部の大票田に食い入る余地がなかったことが大きかった。内陸部にトラックを入れて「鈴木をよろしく」などとやると、内陸部を地盤とする対立候補陣営から「鈴木? そんなもんは知らん。陸(おか)のスズキなんちゅうもんは見たこともない。スズキは海のもんだべや」と、まったく相手にされなかったのだった。時に、さちはどう対応したのか。前出の元鈴木派担当記者の証言である。 「夫人は長野県出身で、当時は“ヨソ者”扱いもあっただけに、あまり選挙区には入らなかった。浜のほうの後援会でのあいさつ程度だったが、ここでのスピーチは鈴木より数段うまかったと言われている。県民の気質に合った“魚臭さ”“土臭さ”をユーモアたっぷり鮮やかな言葉づかいでやり、大好評だったそうです。歴代総理夫人のうちスピーチのうまさナンバー1は、政治部記者の誰もが認めるところだった」 開票の結果、鈴木は苦戦の末、定数4の最下位でかろうじて初出馬当選を果たした。時に37歳。このときの当選同期には田中角栄、中曽根康弘らがいる。 しかし、どうしたものか、鈴木は2回目の選挙には社会党を離脱、なんと吉田茂率いる与党の民自党からクラ替え出馬することになる。革新から保守への、まさに「コペルニクス的転回」との批判を浴びた。鈴木同様、妻・さちの正念場でもあったのだった。=敬称略=(この項つづく)小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材48年余のベテラン政治評論家。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書に『決定版 田中角栄名語録』(セブン&アイ出版)、『21世紀リーダー候補の真贋』(読売新聞社)など多数。
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社会 2017年12月11日 10時00分
超高齢化社会で2兆円市場へ 小売・食品業界がせめぎ合う介護食バトル
65歳以上の高齢者人口が約3400万人となり(2016年)、'25年には3600万人で3人に1人が高齢者となる日本。そのため今、介護食業界が新未来産業として大注目され、食品業界はもちろん、異業種を巻き込み続々と新規参入が相次ぎ、“介護食戦争”が勃発しつつあるという。 最近の動向を、食品業界アナリストが、こう解説する。 「高齢者は、噛む力や飲み込む力が低下したことによって食が細くなり、必要な栄養が足りていない。そうした人のためにカロリー摂取や栄養バランスなどを考慮した介護食は、これまで一部の食品業社が取り組んできました。しかし最近、栄養バランスがいいことから、介護食が要介護者ばかりでなく、普通食を摂れる高齢者の間でも好む人が増え、需要が高まっているのです。取り入れる手段も、自宅宅配や施設や病院での配食、スーパーやドラッグストアなどでの購入など、裾野は拡大しています」(食品業界関係者) 現在、約1200億円という介護食の市場規模は、近い将来、1兆円から2兆円に急成長すると分析するシンクタンクもあるほどだ。そのため今、新規参入業者が続々と現れているというわけだ。 各企業はどう動いているのか。まず、約20年前から介護食を手掛けてきたキューピー。 「高齢者の噛む力、飲む力には格差がある。同社はその力に応じて区分した、ユニバーサルフード区分に沿った“やさしい献立”シリーズを開発し、介護者、被介護者らから多くの支持を集めている。味付けも商品ごとに実に丁寧で多彩。飽きがこないための工夫のほどが窺えます」(同) 明治でも、介護食に力を入れる。 「三度の食事にプラスαする栄養食として、ストローで飲める『メイバランス』シリーズがある。また『ごろっと野菜』シリーズは、一袋35〜80グラムを目安にした様々な野菜を、ポトフ、カレー、スープなどで補給できるように工夫している」(同) 明治に対抗してか、森永乳業もグループのクリニコが、介護食『やわらか亭』シリーズに親子丼、しょうが焼き、角煮丼など、肉メニューを充実させている。 一方の小売スーパーも、介護食に力を入れ始めた。イオンは、シニア向け各種イベントや商品の品揃えに積極的だ。例えば開店前、高齢者向けに体操イベントを取り入れる店舗もある。 「イオンでは、これまで20品目だったプライベートブランドの介護食を'18年2月に40品目に倍増し、さらに系列のドラッグストアなどでも積極的にPRするという。前年比10倍の10億円の売り上げを目指しているといいます」(経営アナリスト) 小売では他に、イトーヨーカ堂も介護用品売り場『あんしんサポート』コーナーを置く店舗を中心に、介護食の充実を図る動きを見せている。 「また、食品関連企業、例えば、アサヒビール系列のアサヒグループ食品も、“いつまでもおいしく”“栄養バランス”などに力点を置いた『バランス献立』シリーズ33品を、今年9月から発売開始している。歯茎でつぶせるすき焼き、舌でつぶせる鯛雑炊、噛まなくていい牛肉などがそれで、パック入りを平均180円前後で売り出し、かなり好評を得ているといいます」(前出・食品業界関係者) アサヒグループ食品では、'20年度までにシニア向け食品の売り上げ目標を50億円として攻勢をかけるという。 また、ボンカレーでおなじみの大塚食品では、カレーなどの1食100キロカロリーという『マイサイズ』シリーズを発売した。 「通常のレトルト食品と変わらない噛み応えや味付けでありながら、高齢者が控えたい塩分やカロリーを抑えてあるのが特徴。介護食と健康食の、ちょうど中間を狙ったものです」(同) 意外な外食チェーンも、介護食に参入している。牛丼の吉野家だ。高齢者施設や病院の給食、介護食などを手掛ける三井物産系列のエームサービスと組んで、2月から高齢者向け『吉野家牛丼』を提供し始めている。 「冷凍食品『吉野家のやさしいごはん 牛丼の具』がそれ。やわらかタイプと、噛まなくて済むきざみタイプの2種類を、まずは、介護施設向けに売り出している。食した人たちの脳裏に昔、食べた味が残っているのか、完食する人が多いという。吉野家では当面、700万食を目標とするというが、反応のよさを受け、今後、それを上回る需要拡大も見込めると強気のようです」(同) まだ1000億円台と全体のパイが少ない介護食は、「そのほとんどの販売ルートが通販というのが現状」(関係者)という。これが店頭販売の普及によって、爆発的な拡大が始まるのは間違いなさそうだ。
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社会 2017年12月08日 10時00分
手間も金も掛かる「ハガキ架空請求詐欺」が流行るワケ
「国民訴訟通達センター」などと聞くと公的機関のような響きがあるが、これはハガキを使った架空請求詐欺だ。全国の消費・国民生活センターのホームページによると、「今年3月下旬から急増している」という。「注意して」ではなく「無視して」と呼び掛けている。 それにしても、なぜ手間も郵便代金も掛かる“ハガキ”なのか。 「公的機関からの連絡はメールや電話ではなく、ハガキか封書です。犯人は、『今時ハガキで架空請求は来ない』という誰もが持ちがちな先入観に狙いを定めているのです」(法曹関係者) 詐欺ハガキは、ポスティングでランダムに投函されるチラシのようなものではなく、住所と氏名が記載され、完全に“個人宛”になっている。これも被害者側を信用させるアイテムだ。 「少し前に『告発通知詐欺』というものがありました。架空NPO法人を名乗り、アダルト画像などの購入者に『告発通知』を送付するというものですが、これは購入先に配達先住所を教えていますから、当該名簿が詐欺グループに漏れていたということも考えられます。昨今は『個人情報は漏れるもの』と考えた方がよく、身に覚えのないものは無視することです」(同) 手口はこうだ。「未納分訴訟最終通知書」などと書かれた下には「未納料金に関する訴訟が起こされたので期日までに電話しないと、あなたの財産を差し押さえますよ」といった内容の文章が記載されている。 そこに電話する→「弁護士に相談しなさい」と指示される→弁護士を名乗る人物が出てきて「裁判の取り下げに使うからコンビニでプリペイドカードを買え」→プリペイドカードを購入しカードの番号を伝えてしまう。これで万事休すだ。 プリカは詐欺グループにとって足が付きにくい。そもそも「訴訟通達」「最終通知」など、考えてみれば意味不明の記述が満載。 人を疑わない性格の人は気を付けるべし。
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社会 2017年12月07日 14時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 どうなる石油価格
資源エネルギー庁が発表した、11月20日時点のガソリン価格は、前週よりも1円80銭円高の140円10銭となった。10週連続の値上がりで、およそ2年3カ月ぶりの高値となっている。 為替がやや円安の水準で安定していることに加え、OPEC(石油輸出国機構)が減産を継続する見方が強まっていることが、原油価格高騰の背景になっているのだが、もう一つ重要な要因が、中東地域での政情不安が拡大していることにある。 石油の価格は、ニューヨークのマーカンタイル取引所で行われている石油の先物取引価格を基準に決まっている。マーカンタイル取引所の取引は、大部分が実需ではなく、投機となっているから、石油の最大の供給地である中東の政情の不安さが、価格高騰に結び付きやすいのだ。 第一の中東不安は、サウジアラビアだ。サウジアラビアは西側の同盟国なので、民主国家と思われがちだがそうではない。初代アブドルアジズ国王の後、初代の王子たちが次々に国王に就任し、現在が7代目のサルマン国王になっている。絶対権力者が世襲されているのだ。 しかし、兄弟で国王を受け継ぐという方式に、変化がもたらされようとしている。サルマン国王が息子のムハンマド皇太子に国王を禅譲しようとしているのだ。 初代国王には52人の息子がいて、そのうち36人が王位継承権を持っている。当然、まだ国王になっていない王子たちは、国王の座を第三世代に移すことに賛成しない。そこで、ムハンマド皇太子が政敵である王子たちを、汚職を理由に次々に逮捕させているのだ。これまで石油を安定供給してきたサウジの政情が混乱する可能性を、投機家たちは、むしろ囃し立てている。 もう一つの中東不安は、イランにある。サルマン国王とムハンマド皇太子は、中東の盟主争いをするイランを敵視している。そこに、トランプ発言が重なってしまった。 トランプ大統領は10月13日のホワイトハウスでの演説で、米国など主要6カ国と結んだ核合意を、イランが順守しているとは「認めない」と発言したのだ。これに対し、イランが猛反発し、両国の緊張関係が高まったのだ。 ただ、石油価格の高騰が今後も続くのかどうかについては、見方が分かれる。焦点は、米国がどれだけ輸出を増やしてくるかだ。米国は、平時は石油の輸入が輸出を上回っているが、シェールオイル生産で積み上げた在庫を吐き出せば、短期的には輸出超過が十分可能だ。米国のシェールオイルの生産コストは、1バレル40ドル程度と言われているから、いまの60ドル程度の相場で売れば、大儲けができる。 もちろん、トランプ大統領がそれを狙って、中東危機を煽っているとは断言できないが、北朝鮮問題でも、危機を煽ることで、日本や韓国に米国製の兵器を大量に買わせることに成功した。だから、中東危機が、米国の利益になることを知っている可能性は、十分あるのではないだろうか。 ただ、石油価格の高騰は、ガソリンや灯油だけでなく、電気代から、農産物、水産物の価格にまで波及するので、今後の中東情勢の行方には、十分な注意が必要だろう。
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社会 2017年12月06日 10時00分
大家は『浅草寺』仲見世商店街「家賃1万5千円から25万円に値上げ」で年末商戦に悲鳴
家賃1万5千円から25万円の値上げに浅草・仲見世通り商店街が凍り付いた。東京都台東区の浅草寺が、仲見世通りの店舗家賃を引き上げる通達を出し、商店街振興組合がこれを拒絶。折り合いがつかず商店に動揺が走っている。 台東区は、外国人観光客の増加もあって、年間観光客数が今年初めて推計5000万人を突破したという。 「これは、ほぼ浅草地区を訪れた観光客の数字。仲見世商店街には人形焼屋や煎餅屋、雑貨屋など、外国人を引き付ける浅草らしい店が軒を並べている。それら各店舗の恩恵に預かっているとも言えるんです」(台東区関係者) その商店街の所有者は、土地が浅草寺で建物が東京都となっていたことから、昔から平均的な賃貸料は約10平方メートルで月15000円程度と破格の安さだった。 「そのため、どの店も賃貸権を手放さなかったのですが、高齢化が進み手放す店主も出てきた。そんな中、ある店舗の賃貸権が1億円以上で売却されたという噂が流れたんです。そこに目を付けたのが悪徳不動産ブローカーで、“賃貸権あります”などと売り歩きをし始めているんです」(同) そんな詐欺まがいの話まで飛び交っていたところへ、今年7月、以前から東京都と浅草寺が進めていた建物の売却話が、約2000万円で浅草寺が買い取ることで決定。大家になった浅草寺は、9月に家賃を約16倍にまで値上げすると通達したのだ。 「つまり、10平方メートル約25万円になる。地元の不動産屋の算定では妥当な額なのですが、そうなれば廃業しかねない店も出てくるため、振興組合が反対しているのです」(商店主) 浅草寺側は“16倍”について「正式決定ではない」としているが、1月からの値上げは間違いなさそうだという。 店主にとっては死活問題であると同時に、商品の値上げが観光客離れにつながる可能性もあり、年末年始にかけて、仲見世通り“店子”の悲鳴が聞こえてくる。
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社会 2017年12月05日 10時00分
やっぱり橋下頼み 松井一郎代表続投に日本維新…ではなく『日本不信の会』の揶揄
「代表選をするべきではなかったのか」との声がいまだに聞こえてくる。日本維新の会が11月25日、大阪市内で臨時党大会を開き、松井一郎代表(大阪府知事)の続投を決めたが、党内にはギクシャクした雰囲気が漂っているという。 「原因は、やはり衆院選の敗北。何より、希望の党との連携を見誤ったことが大きい。橋下さんというカリスマを中心にして作り上げられた維新にしてみれば、同じタイプとも言える小池さんが、ここまで早く失速するのは誤算だった」(維新関係者) 衆院選前に松井氏、小池百合子・希望の党特別顧問(当時)、大村秀章・愛知県知事が地方分権の共通構想として発表した「三都物語」はすぐに空中分解。維新と希望の連携で安倍自民に圧力をかけるはずが、今や補完どころか追従勢力と言われる始末。 こうした一連の動きをリードしていたのが松井氏となれば責任論が出るのも当然だが、丸山穂高衆院議員が代表選の必要性を唱えると橋下徹前代表が「ボケ!」を連発し、ツイッターでの場外乱闘にまで発展した。 「丸山氏も一度は離党届を提出したが、馬場(信幸)幹事長が党大会でも話していたように突き返したという。これは、党内が人材不足に陥っている証しとも取れます。松井氏に関しても同様で、吉村洋文・大阪市長を推す声があるものの、時期尚早で代わる人がいない。そうした状況の中、橋下氏のツイッター発言に反発する声は燻り続けており、“もっとやれ”と焚きつける声も聞こえてくるほどです」(在阪政治記者) 立て直しには時間がかかりそうだが、こんな最悪のケースを話す関係者もいる。 「維新が目指す本丸は、大阪都構想。松井さんも来年秋に住民投票を行う気ではいるが、これでまた否決となれば、組織は散り散りバラバラになる」 結局は、橋下頼みということか。日本維新…ではなくて、もはや『日本不信の会』じゃないかと揶揄する声が聞こえてくる。
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社会 2017年12月04日 14時00分
天下の猛妻 -秘録・総理夫人伝- 大平正芳・志げ子夫人(下)
大平正芳という男は、政治家というよりむしろ「求道者」「哲学者」といった面持ちがあったことは前回記した。政治家という“人種”は一計を案じたり、前へ前へ出たがる性癖の固まりだが、生マジメな大平はそうしたこととは無縁であった。趣味は読書で、その読書量は半端でなく、古今東西のそれは、ほとんど読み尽くしたという「碩学」であった。 ために、生涯、「盟友」関係にあった田中角栄元首相などは、大平がのちに総裁選に出馬したときも、大平がほとんど動くことがなかったことから、しょうがねェなという顔をし、友情を込めて「アイツは宗教家だからウチが動かねば勝負にならん」と、田中派の面々を叱咤激励、自らも多数派工作に汗を流したといった具合だった。 筆者は、いまから40年近く前の大平が総理になる直前、どのくらいの「碩学」ぶりなのかを確認するため、実弟が管理する大平生地の香川県観音寺市の大平の蔵書を保管している『大平文庫』を取材したことがあったが、なんとも仰天した思い出がある。蔵書数1万冊弱、しかも1冊たりともページをめくらなかった形跡はなく、古今東西の政治、哲学、宗教関係から推理小説、クイズ本、果てはセックスに関するものまで、なまじの図書館も顔負けといった風情だった。 さて、こうした若き大蔵官僚の大平を買っていたのは、大蔵省の先輩でのちに「高度経済成長」を引っさげ、総理として戦後日本の復興にチャレンジした池田勇人であった。池田は生マジメ、物事にすべからく慎重だったこの大平を、妙にかわいがった。大蔵大臣時にはしぶる大平を「まあ部屋にいるだけでいいから」と大臣秘書官に抜擢、その後、自分が政治家になると、今度は大平を「国政に出ろ」と尻を叩いたのである。ここでも大平は「私はその任にあらず」としぶったが、半ば強引に衆院選出馬を決められてしまったのだった。 筆者は、およそ政治家には向かぬ(?)大平の〈旧香川2区〉の選挙戦はどういうものだったのかも取材している。大平らしいエピソードが、多々聞こえたのだった。支援者の証言である。 「初出馬のとき、なんとも演説がカタイんですワ。田舎のジイサン、バアサンの集まっているところで、面白くもない財政問題をくそマジメにしゃべっておる。最後には、聴衆のほとんどが寝ておった。しかも、その財政問題の演説が滔々というワケではなく、『アー公定歩合が…、ウー7%なら…、アー』といった具合。アーの次にウーが出てくるのに時間がかかり、とてもハデな選挙戦とは無縁だった。結局、これでは票につながらんということで、できるだけ笑顔を振りまくことに作戦を変えることになった。あるバアサンが、『あの人の笑顔は可愛い』と言ったのがヒントになったんです。ためか終盤戦で婦人票が伸び、からくも当選圏に入った」 「2回目のときは、ピンチを見かねた後援会の幹部が、親分である池田蔵相に懇請、吉田茂総理を応援演説に引っ張り出すことに成功したんだが、これがウラ目に出て落選危機に陥った。観音寺の演説会場で、吉田総理がかたわらの大平を指して、『私の最も信頼するオオダイラ君であります』とやった。『あの吉田総理が名前を間違えるくらいだから、大平というのはたいしたことがない』とのウワサが広まってしまった。これには大平もさすがにショックだったらしく、『ワシはもしこの選挙で落ちたら政治家は辞める。勝負には向かんようだなぁ』と言っておったくらいだったんです」 その後の大平は、池田の引き立てもあり、官房長官、外務大臣、そして通産大臣、大蔵大臣、自民党幹事長と着実に実力者としての階段を昇り、やがて総理大臣、そして、総理在任中の選挙さなかに無念の殉職をしたということだった。この間、妻・志げ子は、夫とどう向かい合ったのか。大平と長い付き合いのあった古参の政治家記者の、次のような証言が残っている。 「例えば、大平の“戦死”に直結したと思われる自民党40日間抗争で大平が反大平勢力に揺さぶられる中、夫人は大平のためにと密かにツテをたどっては、こうした反大平勢力の議員に電話で大平の心情を伝えてもいた。そんなことを知った大平は、こう一喝したことがある。『政治のことは黙っとれッ』と。大平とは、そんな男だった」 大平の墓は郷里・香川県豊浜町の小高い丘の上にある。正面を生家に向け、背にはのどかな瀬戸内海が窺える。夫妻の長女・森田芳子の、こんな話もある。 「私は母の素顔を、一度として見たことがなかった。どんなに早く起きても、母は身ずまいを正し、必ずお化粧をすませていました。“政治家・大平正芳の妻”の自覚だったのでしょう」 寝ぼけまなこでダンナを会社へ送り出すようなカミサンでは、とてもダンナが会社でエラくなることはないということのようである。=敬称略=(次号は、鈴木善幸・さち夫人)小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材48年余のベテラン政治評論家。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書に『決定版 田中角栄名語録』(セブン&アイ出版)、『21世紀リーダー候補の真贋』(読売新聞社)など多数。
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社会 2017年12月04日 10時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第248回 人手不足と人件費
現在の日本は、雇用改善と実質賃金下落が両立するという奇妙な状況にある。 2017年9月の完全失業率は2.8%、有効求人倍率は1.52倍。共に主要先進国の中で「最高」の水準だ。実は現在の日本の雇用環境は、先進国で最もよいのである。それにも関わらず、実質賃金は下落が続いている。 '17年9月(速報値)の日本国民の実質賃金は、現金給与総額で対前年比▲0.1%、決まって支給する給与は▲0.3%。恐ろしいことに、日本の実質賃金は、現金給与総額で'16年12月、決まって支給する給与は'16年9月以降、対前年比でプラス化したことがない。日本国民の貧困化は、今でも続いている。 第二次安倍政権が発足した'12年以降、わが国の実質賃金はすでに5%も下落してしまった。人手不足が深刻化していく最中に、実質賃金が下がり、国民の貧困化が続いているのである。 異様だ。異様だがデータを普通に見れば、今日本で何が起きているのかが理解できる。左図(※本誌参照)の通り、第二次安倍政権発足後の就業者数を見ると、●高齢者 212万人増加●女性 212万人増加●生産年齢男子 49万人減少 と、働き手の主力たる生産年齢(15〜64歳)男子の就業者が減少する反対側で、高齢者と女性の就業者が激増しているのだ。 第二次安倍政権下において、生産年齢人口比率の低下を受け、「企業が引退する団塊の世代の穴埋めとして、短時間労働(パートタイム・アルバイト)の高齢者、女性を雇用した」結果、日本の就業者数が増加したことは、誰の目にも明らかである。 何しろ生産年齢の男性の就業者数は、50万人近く減ってしまっているのである。短期労働が増えた結果、実質賃金も当然ながら低迷した。生産年齢男子の就業者が減少し、反対側で高齢者と女性の就業者数が増えた結果、就業者の総計が増えているわけだが、これが、「安倍政権の金融政策のおかげ」と、主張するのであれば、「金融政策」から「生産年齢男子の就業が減り、高齢者と女性の就業者が増える」までの政策の波及プロセスをきちんと説明してもらわなければならない。 現在の日本の雇用環境を決定付けているのは「人口構造の変化」であり、安倍政権の金融政策ではない。もし、金融政策の影響だというならば、 「なぜ金融政策をすると、生産年齢の男子という主力の働き手の仕事が減るのか?」 という問いに、答えてもらう必要がある。人口の瘤である団塊の世代が生産年齢人口から離脱し、それを埋めるだけの若い世代が労働市場に参入していない。それ以外の説明ができるならば、是非、披露してほしいものだ。 それはともかく、過去の日本の雇用改善は、フルタイム雇用から短期雇用への切り替えにより生じたものである。すなわち、国民の賃金は上がらない(むしろ、平均では下がる)。とはいえ、さすがに人口構造の変化(生産年齢人口比率の低下)の圧力はすさまじく、人件費にもプラスの影響を与えつつある。 宅配便最大手のヤマト運輸は、インターネット通販繁忙期(12月)を控え、運転手について一部の地域において時給2000円で募集を始めた。また、Amazonジャパンも、倉庫作業について時給1850円を提示している。 人口構造の変化を受けた人手不足は、ついに「時給」にまで大きく影響を与え始めているのである。これは、もちろん日本国の国民経済にとってはいいことだ。人手不足による賃金上昇。真っ当な動きが、運送サービスから起きているのである。ヤマト運輸にしても、Amazonジャパンしても、人件費上昇を「サービス単価」にきちんと反映してほしい。そうすることで、中小の運送業者も追随することができる。 ところで、人手不足を報じる新聞報道は、外食産業における時給引き上げの動きについても伝えている。例えば、日本経済新聞は、 『特に厳しいのが忘年会や新年会を迎える居酒屋業界だ。「備長扇屋」などを運営するヴィア・ホールディングスは12月のアルバイトの平均時給を約1000円と、同社としては過去最高額を提示。前年同月比で約2%上昇するが、「人が集まらないとかきいれ時を乗り切れない」としている。 チムニーも12月のアルバイトの時給は前年同月比で1%超高い平均1100円とする。つぼ八も12月のアルバイトの時給に50円上乗せする』(日本経済新聞 '17年11月15日) と、報じている。居酒屋業界の時給は現在の日本の人手不足を考えると、異様に安いという印象を持ったわけだが、なぜ運送業界では時給2000円という話が出ているにも関わらず、居酒屋業界ではいまだに1000円前後で推移しているのだろうか。もちろん、運送業界は(免許の関係で)外国人労働者を使いにくい。居酒屋は「留学生」と称する外国人労働者を使える、という違いがあるためだ。 本来、留学生は日本に「学び」に来ているはずだ。とはいえ、現行法では留学生は資格外活動許可を受けることで、アルバイトとして働くことが可能になっている。資格外活動許可とは、アルバイト先に風俗営業または風俗関係営業が含まれていないことを条件に、週に28時間以内を限度とし、包括的な労働許可(事実上の)を与えるという仕組みになる。もちろん、資格外活動の許可を受けずにアルバイトに従事すると、不法就労となる。 現実には20万人を超す留学生が、日本でアルバイト(外国人労働者)として働いている。技能実習生同様に、外国人留学生が日本における「外国人労働」の抜け道になっているのは間違いない。それだけならばまだしも、運送業界と居酒屋を比較する限り、 「外国人を雇える業界は時給が上昇せず、雇えない業界は時給が上昇する」 結果となることは明らかだ。 日本の移民受入は、 「日本国民の実質賃金を引き下げ、国民を貧困化に追い込み、生産性向上のための投資を抑制する」 という理由で、決定的に間違っているのだ。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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