社会
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社会 2019年01月08日 06時00分
帰省した大学生長男に頭突きした43歳男、逮捕 信じがたい動機に驚愕
1日、兵庫県警須磨署は傷害の疑いで、神戸市須磨区に住む会社員で43歳の男を現行犯逮捕した。逮捕容疑は同日午後6時40分ごろ同区内の祖父宅で、23歳で大学生の長男に、唇を切るなどの軽傷を負わせた疑い。長男が実家より先に祖父宅に帰省したことに腹を立てた男が、長男に対して頭突きをするなどして、けがを負わせたという。同署によると、長男は札幌市在住で、以前から親子の折り合いは悪かった。息子と祖父宅で鉢合わせした際に、「なんで俺んとこ来んと、じいちゃんとこ来とるんや」などと男は激昂したという。 この事件に対して、ネットユーザーからは「新年早々からいったい何をやっているんだ。子離れしろ」「こんな父親だから素直に実家には帰省したくなかったんだろうな。息子はおじいちゃん思いのまともな人物なのだろうと感じる」「祖父の家に父も帰省していたんだから、息子と鉢合わせしたということは結果的に何も問題がない流れなのに、身勝手すぎないか」などと呆れる声が続出。また、「ただの親子げんかじゃないの?家族間で解決すべきでは」「成人している息子が父親に頭突きされたからといって警察を呼んで、警察が動いたことにびっくり」などと、この件が事件になったことに首をかしげていた。 しかし、さらに多く見られたのは「家族間だからこそ、話の通じない毒親とのトラブルで警察を介入させたのは賢明な判断」「普段からこの男が毒親だったから、息子としてはこれを機会にして罰を与えたかったのでは?」「身内、ましてや父親を警察に逮捕させるなんて、よほどの理由がないとしないことだよね。毒親と一生縁を切りたいという目的があったのかもしれない」という意見で、男を“毒親”ではないかと疑うものだった。 その流れで、ネットユーザーからは自分自身の「毒親」にまつわるエピソードが次々に飛び出した。「うちの父親はこの男と考え方が似ている。嫌々帰省しては毎年トラブルになっているから、他人事ではない」「自分は毒親育ちだから、帰省はしない。でも、両親は毒親だからこそ、なぜわが子が帰省をしないのか理解しようとはせずに、『親を大切にしないなんて親不孝者』とか逆ギレしてくる」「幼少期に殴る蹴る、挙句の果てには性的虐待まで加えてきた父親が、平気な顔で帰省するよう要求してくるから、そのこと自体が苦痛でしかない」などと、実家への帰省に関して毒親に悩まされている人が少なくないことが見受けられた。 “年末年始は親に顔を見せることが当たり前”という慣習に苦しめられている人は、実は珍しくないのかもしれない。文/浅利 水奈
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社会 2019年01月08日 06時00分
〈企業・経済深層レポート〉 早くも勃発! ホテル業界が東京五輪後を見据えるサバイバル戦
東京五輪の影響もあり、2020年は4000万人を突破する勢いの訪日外国人客。2010年の約860万人と比べると、5倍近く増えることになる。「東京の訪日外国人の年間延べ宿泊者数は、’17年度で1978万人。大阪は1167万人で、その差は800万です。この数値は2020年の東京五輪で、さらに大きくなることが予測されます」(ホテル業界関係者) この数字に日本人宿泊客が加わる。昨年1年間の東京の延べ宿泊者数は、約6000万人で北海道や大阪府を1000万人単位で引き離す。ホテル年間客室稼働率も80%を超えているという。「今後、来年は『ラグビーワールドカップ2019日本大会』や世界都市首長による国際会議『U20メイヤーズ・サミット』などがあり、このような大イベント時には、宿泊難民が大量に出ることが予想されています」(同) この急激に増えた訪日外国人を受け入れるため、東京を中心にホテルの建設ラッシュが続く。「東京では2017年以降のホテル新設計画が40件以上にものぼり、さらに今年に入ってからも新規開業計画が相次いでいます。最近の傾向としては、ただ宿泊するだけのホテルではなく、独創的なホテルが増えていますね」(同) 例えば、2019年10月までにオープン予定の『ホテルJALシティ東京 豊洲』だ。「このホテルは、ホテルオークラ系列の会社が大和ハウス工業とタイアップして、東京・豊洲に建設中の複合施設内で開業します。豊洲は、晴海の選手村や報道センター予定の東京ビッグサイトからも近く、この地区へのホテル進出は現在、活発です。JALシティは、オリンピック後のことも考えて、トレーニング施設やアスリート関連施設を開設予定です」(ホテルコンサルタント) このほか、今年12月に東京・新橋にオープンしたばかりの『ホテル1899東京』も個性的なホテルとして話題になっている。「老舗ホテル『龍名館』が新規開業したホテルで、外国人をメインターゲットに、客室やホテル内で茶屋体験ができるのが特徴的。日本茶がふるまわれるのは当然の事、室内も茶室空間でお茶文化に触れられる工夫が随所になされています」(同) 差別化の変わり種ではロボットが接客する『変なホテル』も注目を集めている。「都内でも赤坂や銀座にオープンして、外国人からの評判が高いですね。2019年には浅草にもオープン予定です」(同) ホテル界の革命児、星野リゾートは、東京・池袋の隣、大塚に冒険心満載の『星野リゾートOMO5東京大塚』をオープンした。「従来のビジネスホテルや観光ホテルとは異なり、二段ベッドを配置。遊び心満載のカジュアルホテルとして、訪日外国人だけでなく、日本人が宿泊することも多いようです」(同) 不動産会社が運営する泊まれる本屋『BOOK AND BED TOKYO』は“泊まれる本屋”として話題を呼ぶ。「12月には6店舗目を大阪に開業。本売り場とカフェ、それに寝室が一体となっていて、既存の5店舗では満室も出る人気ぶりです」(同) 富裕層をターゲットにしたのが、2019年に京都東山に開設予定、米ハイアットホテルズアンドリゾーツの最上級ブランド『パークハイアット』だ。「老舗料亭『山荘京大和』と竹中工務店が、料亭の敷地内にホテルを建設。世界的なラグジュアリーホテルの要素と日本の伝統と文化を融合させるものという」(観光業関係者) 帝国ホテルも京都・祇園の登録有形文化財の『弥栄会館』を改修し、地上5階の最高級ホテルを2020年にオープン予定だ。 近年、このような個性的なホテルが増えている背景には何があるのか。前出のホテル業界関係者は、こう分析する。「東京五輪後には、急激な需要の落ち込みも懸念されています。そうなると競争は激化。オリンピック後のサバイバル戦に備えて、個性的なホテルの建設がここ数年で増えているのでしょう」 横浜市でも新旧入り乱れてのホテル建設ラッシュが続くが、ホテル関係者の度肝を抜くのがアパグループだ。2019年の秋に、横浜市に客室数が2311室という国内最大級のホテルをオープン予定で、業界関係者からは「供給過剰で周辺の宿泊費が値崩れするのではないか」と警戒の声も上がっている。「ホテル業界では、東京五輪や大阪の2025年の万博が終われば、ホテルの供給過剰で、空室が増えることに怯えています」(同) 建設ラッシュと同時に、水面下では2020年以降に生き残りをかけたサバイバル戦が始まっているようだ。
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社会 2019年01月07日 12時10分
新年早々2歳児をベランダに出し転落死させた36歳母 その動機に怒りの声殺到
大阪市浪速区で、新年早々悲しい事件が発生。その顛末に怒りの声が相次いでいる。 事件が発生したのは、大阪市浪速区の11階建てマンション。正月真っ只中の1月3日昼頃、2歳の男児が3階のベランダから転落。約10メートル下の地面に叩きつけられ、頭を強打。発見した母親が119番し病院に運ばれ治療を受けていたが、5日昼に死亡した。 なぜ男児がベランダから落ちてしまったのか。その原因は親。母親(36)の供述によると、男児がおもちゃを片付けないことに激怒し、「しつけ」として男児をベランダに出し部屋に入れなかったというのだ。 ベランダには水槽などが置かれており、1.2メートルの柵が設けられていたが、男児は誤ってよじ登ってしまったという。母親は10分後にベランダを確認すると、転落していることに気がつき、救急車を呼んだ。 この事件に、ネットユーザーは「小さい子供をベランダに出すなんて殺人と一緒」「しつけになっていない」と、親に対する怒りが。また、「本当は育児放棄をしていたのではないか」「供述が嘘っぽい」「本当は突き落としたのでは」という声も出た。 「おもちゃを片付けなかった」ことはしつけの対象になるのだろうが、死の危険に晒すような罰を与えるやり方は不適切といわざるをえない。おそらく男児は寒い中外に出され、もがくうちに転落してしまったのだろう。物心ついていない身とはいえ、裏切られた気分になったはず。 今後この親が相応の責任に問われることを望みたい。文 神代恭介
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社会 2019年01月07日 06時00分
田中角栄「名勝負物語」 第四番 三木武夫(2)
常に少数政党を率い、決して埋没することなくしぶとく生き残る三木武夫に対し、戦後になると「バルカン政治家」の異名が出た。「バルカン政治家」とは第一次大戦当時、バルカン半島の小国群が右に左に揺れながらも、したたかに国の保全を図ってきたことから、生き残りに長けるこうした政治家を指すものである。 なるほど三木は、戦後まもなく国民協同党で書記長ポストに就き、社会党の片山哲と民主党とともに連立内閣を成立させたうえで、自らは逓信大臣になっている。また、その後も政党再編の中で常に保守主義と社会主義に組みすることなく、「第3勢力」を保ちつつ存在感を示すのであった。そうした中で、日本民主党結成に参加、吉田茂政権を倒しての鳩山一郎内閣の成立に協力、ここでもしっかり運輸大臣のポストを手にしたといった具合だった。 さらに、昭和30(1955)年11月15日に結成された日本民主党と自由党との保守合同、現在の自由民主党結成に参画したあとも、岸信介、池田勇人、佐藤栄作、田中角栄のすべての内閣で、少数派閥の領袖ながら大臣ポストを確実に手にしていることから、したたかさが知れるのである。 その一方で、それぞれの政権がピークを越えたと見定めると、例えば、岸内閣では「警職法」改正案に反対を表明して経済企画庁長官兼科学技術庁長官を辞任、第2次佐藤内閣でも外務大臣に任命されたものの「沖縄返還」方針をめぐって佐藤首相と対立し、サッサと辞任してしまうなど、このあたりでは「バルカン政治家」に加えて「飛び乗り、飛び降りの名人」との声ももらっている。じつはなかなかの「権力政治家」の横顔が顔を出すということである。★田中VS三木、初の激突 そのうえで、田中角栄との対峙、激突は、佐藤首相「3選」時に初めて顕在化した。それまで三木の存在を軽く見ていた田中だったが、三木が“親分”佐藤への「3選」阻止に立ち上がったことで、目が覚めたようであった。時に、田中は大蔵大臣、自民党幹事長などを歴任、佐藤派の幹部として一人、派閥の“台所”を背負っていた。一方で、佐藤の政策運営に反対の声を挙げる野党を裏で懐柔するなど、「金権」批判が出始めていた頃である。三木は佐藤の「沖縄返還」方針への対立とともに、この田中が「金権」で佐藤内閣を支えていたことも不満とし、この総裁選出馬に踏み切ったようであった。時に、三木いわく「男は一回勝負する」であった。しかし、少数派の三木派領袖に援軍はなく、ここでは敗北した。 さらに、佐藤「4選」の総裁選にも出馬した。ここでは、「男は勝つまで何度でも勝負する」と口にしたのだった。勝ち目のない勝負だったが、全国を遊説して「信念の政治家」をアピール、佐藤長期政権への批判も出ていたことから世に「三木あり」を印象付けることに成功した。 しかし、ここでも敗北する。そして、昭和47年7月の田中角栄、福田赳夫の佐藤退陣表明を受けての「角福総裁選」でも、勝ち目のない3度目の出馬に打って出たのだった。このときの総裁選では、田中、三木の二人の勝負師のこんな腹の探り合いがあったとされる。元田中派担当記者の言葉が残っている。「三木は、田中が勝つと読んでいたようだ。田中に(勝ったら)日中国交回復をやることを条件に持ち出し、第1回投票では自分は出馬はするが、上位2者による決選投票になった場合は、田中の支援に回ると約束した。一方の田中は、三木の“下心”が、新内閣での入閣にあることを見抜いていた。結局、決選投票は田中が福田を制したが、田中は新内閣で福田派を軽視する一方で、三木を重要ポストからは外したものの国務大臣として処遇、“うるさ型”をなだめた格好だった」 しかし、首相になった田中が金脈・女性問題の追及を受け、進退が取り沙汰されるようになると、三木は改めて“本領”を発揮した。得意の「飛び降り」である。時に、田中内閣の副総理であったが、田中の「金権体質」批判なども含め、「自民党の体質改善を求める」としての辞任である。大蔵大臣だった福田赳夫もこれに続き、中曽根派ともども三木派、福田派の3派が離党の動きをちらつかせる中で、万策尽きた田中は退陣に追い込まれることになる。 結果、田中後継は、その選出を委ねられた時の副総裁・椎名悦三郎が、あえて「クリーン三木」を標榜し続けた三木を指名した。椎名とすれば、党の存亡を前にした中では、国民の支持を取り付ける“便法”として、少数派の領袖ながら三木を指名する以外になかったと思われた。この椎名の「三木選出」は、じつはその前日にはすでに三木に漏れていた。しかし、「三木選出」が発表されたあと、三木はいみじくもこう言い放ったのだった。「まさに青天の霹靂だ。予想だにしなかった。非常に光栄に存じます。一身を投げ打つ覚悟であります」 3度の総裁選出馬で敗北し、苦節を重ねた「権力政治家」の側面を持った田中がいみじくも看破した「三木はプロ。『芸』がある」の面目躍如であった。 その田中は退陣後、しばし沈黙を守っていたものの、三木の“仮面”はがしに動き出すのである。田中角栄の真の権力闘争の相手は、じつは福田赳夫ではなく、三木武夫であったことが明らかになっていく。(文中敬称略/この項つづく)***********************************************小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材49年のベテラン政治評論家。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書に『愛蔵版 角栄一代』(セブン&アイ出版)、『高度経済成長に挑んだ男たち』(ビジネス社)、『21世紀リーダー候補の真贋』(読売新聞社)など多数。
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社会 2019年01月06日 12時20分
成人式が1月の中旬に行なわれるワケ
1月の恒例行事といえば成人式。現在は1月の第2週の月曜日に移動しているが、かつては1月15日の祝日に行われていた。毎年、暴れる20歳などの姿がニュース番組で報じられ、「成人式不要論」なども唱えられる。 そもそも、成人式はなぜ1月に行うのだろうか。年末年始は帰省する人は多いだろうが、成人式の時期にはすでに会社や学校が始まっている。そうして見ると、決して理にかなっているわけではない。さらに、冬場の東北や北海道地方などは、深い雪に覆われるところもあり、動きづらい。そのため、成人式は地方によっては8月の夏場に行うところもあるようだ。 だが、成人式の1月開催にはしっかりと伝統文化にもとづいた理由が存在する。成人式のルーツとなるものは、日本で奈良時代から行われてきた元服(げんぷく)という儀式である。数え歳で12歳から16歳になった男子に対して、髪型を大人のスタイルにするほか、大人の服装や、幼名から大人の名前への切り替えなどが行われた。当初は貴族の間のみで行われていたが、室町時代に入ると民間にも普及し始める。元服の年齢にも幅が生まれ、中には5歳や6歳で元服を迎えるところもあったようである。当時の人間は、今よりも精神年齢はプラス10歳くらいはあるだろう。とはいっても、早すぎる印象も受けなくはない。 対して、女子はどうであったのか。女子版の元服は当初は裳着(もぎ)と呼ばれ、平安時代から安土桃山時代にかけて行われた。対象年齢は初潮を迎えた10代前半の人間であり、以降は成人扱いとなり結婚も許された。江戸時代に入ると、男子に同じくこちらも元服と呼ばれるようになり、対象年齢は18歳から20歳ごろとされた。儀式では地味な着物を着て、髪型を整えるほか、厚化粧やお歯黒、眉毛を抜く剃るなどして整える引眉なる儀式も行われていた。現在ならばメイクアップに該当するだろう。 これらの儀式が行われたのが、小正月である1月15日であったため、成人の日のルーツとなったのだ。
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社会 2019年01月06日 12時00分
1945年「群馬人肉鍋事件」 実の母が娘を食った“本当の理由
「ちょうど山から下りてきたら、“おトラさん”の家のところで警察官が土をふるいにかけているのが見えたんだよ」 太平洋戦争の終結から2カ月後の1945(昭和20)年10月のこと。群馬県のとある村に暮らすKさん(84歳)は、山で薪拾いを終え、家へと帰る道すがら、普段は見かけない光景を目にした。何人もの警察官が“おトラさん”という17歳の少女が暮らしていた家の周りの土を掘り起こして、何かを探していたのだった。「事件なんて滅多に起こらない村だから、何やってんのかなぁって思ったんだ。そうしたら、しばらく経って、おトラさんのことを母親のお龍さんが食べちゃったって聞いて、驚いたんだ 事件を起こしたのは山野朝吉(52歳)の後妻の龍(32歳)だった。彼女は11歳の時に最初の結婚をし、その夫との間に娘に恵まれたが、後に折り合いが悪くなり離婚。その娘を連れ、20歳以上も年が離れた朝吉と再婚したのだった。一方の朝吉にも、前妻との間に長女、次女(トラ)、さらに双子と、4人の子どもがいた。結婚後、夫婦はさらに2人の子どもに恵まれたが、計7人の子どもたちのうち、龍と血が繋がっていない子どもたちは、トラを除いて奉公に出されていた。 ひとつ屋根の下に朝吉夫婦、龍の長女、トラ、朝吉と龍の間にできた2人の子どもという、6人もが暮らす生活。朝吉は土地を持たない日雇い労働者で、一家の生活は傍から見ていても厳しかったという。 一家の経済的な貧しさには、朝吉の性格的な問題も関係していた。朝吉は食い物に困らなければ、日雇いの仕事に出ない墮情なところがあった。また、これは朝吉の次女トラだけが奉公に出されなかった理由でもあるのだが、精神的な障害を抱えていた彼女は人と話すこともままならず、学校にも通えなかったようだ。 当時の新聞報道によると、被害者の父親は「低能」であると書かれている。今ではその真相を知ることはできないが、昭和を代表する小説家・松本清張は、この事件をテーマに『肉鍋を食う女』という小説を書いていて、その中で一家のことをこう記している。《朝吉は少し低能で、怠け者であった。日雇だが、出たり出なかったりした。百姓するにも土地を持たないのである。女房というのは三十三歳だが、朝吉のところへは連れ子をして来ている》そして1945年10月、食べ物に困窮する一家で事件が起こる。《巡査はこの家の前でいつもぼんやり佇んでいるトラという娘の姿がないのに気がついた、トラも精神薄弱な上に盗癖がある。年齢は十七だが、身体は大人のように大きかった》(『肉鍋を食う女』より) 村に駐在していた巡査が村人の戸籍調べをするために一軒一軒をまわっていた折、朝吉の家も訪問。その時、トラの姿が見当たらないことに気付いた巡査が、その安否を龍に尋ねた。「前橋に子守りに出ていて、8月5日の空襲で焼け死んだ」 特に感情の起伏も見せずに龍は言うのだった。もし死んでいるのなら、死亡届が出ているはずだ。しかし、役場の人間は、死亡届は出ていないと言う。不審に思った巡査は、朝吉の近所で聞き込みを開始。すると、トラの姿を半年以上見ていないという答えが返ってきた。これはおかしいと思った巡査が、再び龍のもとを訪れて問いただすと、次第に証言が変わっていった。「トラは病気で死んで、庭に埋めた」 不審に思った巡査により龍と朝吉は警察に呼び出され、ついに尋問を受けることになった。すると、はじめは食い物がなくて栄養失調で死んだと言っていた龍だったが、ぽつりと洩らしたのだった。「食っちゃった」 1945年3月26日ーー。近所の家から米や麦、サツマイモなどを恵んでもらったりしながら日々をしのいでいた朝吉一家であったが、その日ついに食べるものがなくなった。囲炉裏に吊るされていた空っぽの鍋を前に、4人の子どもたちは腹が空いたと泣き叫んだ。 龍は日頃から、自分の血を分けた前夫との間にできた長女、そして朝吉との間にできた2人の子どもには目をかけてきたものの、常々トラにはきつく当ってきた。日々満足に食えない中で、トラは身体が大きく人一倍大飯を食らうことも、彼女には我慢ならないことだった。「この子さえいなければ、“私”の子どもたちは腹を満たせるーー」 龍はトラ以外の子どもたちを外へ遊びに行かせると、腹が減って寝転がっていたトラに襲いかかった。背後から首を絞め上げトラを絶命させると、首と四肢を鋸で切断。肉を包丁で切り刻み、空っぽだった囲炉裏の鍋に入れて肉鍋を作ったのである。頭と手首、足先や内臓などは、庭に埋めた。 普段、肉などほとんど口にしたことのなかった子どもたちは、鍋に入った肉片を、歓喜しながらたいらげた。しかし、日雇の仕事を終えて戻ってきた朝吉だけは、それが何の肉か悟っていたのか、ひと口も箸をつけなかったという。 龍は事件発覚後に逮捕され、実刑判決を受けた。朝吉と残された子どもたちは、その後も村で暮らしていたという。朝吉一家の近所に暮らしていたKさんが言う。「今はゲートボール場になっているところに、朝吉さんの家があったんだ。どこの家も、戦争中は自分で作ったイモでもなんでも供出しなければならなかったから、生活は厳しかった。土地がなかった朝吉さんのところは、さらに大変だったと思うよ。当時は村で、龍さんがトラを食ったなんて悪く言う人もいたけれど、みんな他人事じゃなかった。食事にサツマイモが一本出ればごちそうの時代だったんだよ」 朝吉一家はまさに一日一日を生き抜くために必死だったわけだ。そう考えると、本意ではなかっただろうが、トラは己の身を犠牲にして、幼い兄弟の命を救ったことになる。 人肉を食べるという行為は、飽食の現代から見るとショッキング極まりないことだ。しかし、当時の時代背景を冷静に考えてみると、どこの場所で起きてもおかしくはなかったのかもしれない。それは、村人たちの誰もが朝吉や龍を責めない態度に表れているように思えた。 朝吉一家は事件後も村に住み続け、つい数年前に朝吉と龍の間にできた息子が亡くなるまで暮らし続けていた。刑務所から出た龍は下仁田市内の寺に引き取られ、そこで生活していたという。 一家が暮らした家があったところから目と鼻の先に、朝吉が眠る墓があるというので、訪ねてみることにした。つい最近に建てられたと思われる真新しい墓には、朝吉の名前が刻まれていた。ただ、その墓誌には、人身御供となったトラの名前は刻まれていなかった……。
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社会 2019年01月05日 06時00分
SNSの普及で議論が白熱 2018年話題となった社会記事ベスト3
2018年は「閉塞感」や「人々の心のゆとりのなさ」が浮き彫りになった年だった。当媒体のアクセス数を元に、2018年を象徴するような“社会記事”をランキング形式でご紹介しよう。1位 「嫌なヤツほど年収が高くなる理由」林修の解説に、ネット共感https://npn.co.jp/article/detail/06350791/ 4月27日に放送された『初耳学』(TBS系)で予備校教師の林修が、現代は良い人が損をし、嫌な人ほど得をする社会構造にあると解説。「良い人より、嫌なヤツの年収は100万円高い。短期的に見ると、嫌なヤツのほうがうまくいく研究はたくさん示されている」とし、「懸命に働くより(偉い人に)ゴマをするほうが効果的」と説いた。ノンフィクション作家でジャーナリストの松浦晋也氏も自身のツイッターで現代社会の「出世」について語り、大きな反響を呼んだ。2位 アホのほうが出世する?林修「正義感は無駄」https://npn.co.jp/article/detail/26530040/ これも2月11日に放送された『初耳学』(TBS系)で、林修が正義感の不毛さを語った。正義感を持って戦うのは時間の無駄であると力説。「現実ではアホのほうが出世するってこともよくある話で、正義感が強い・能力のある人格者って意外と足を引っ張られるって珍しくないですよね」と正しい人間が必ずしも順当な評価を受けるわけではないと説明。番組を見ていたツイッターユーザーからは、林の考えに共感する意見が多く寄せられた。3位 ホリエモン、新幹線の座席を倒していいか聞く客に苦言 ネットは賛否両論、最善策は?https://npn.co.jp/article/detail/56399391/ 新幹線の“座席を倒す時の声かけ問題”について、堀江貴文氏が言及し、賛否の声が挙がった。堀江氏は「前の席のクソ野郎がおれが寛いでいるのにもかかわらず一々『席を倒していいですか?』とか聞いてきやがる。ウゼェ。勝手に倒せや。そうやって何でもかんでも保険かけようとすんなボケ」とツイート。「勝手に倒せ!でいいよな」と同調する声や「新幹線の車内って公共空間でしょ、他の乗客と関係性を持ちたくないなら、そもそも公共空間に入らなければいい」とネット上では賛否が分かれ、紛糾する事態となった。 やはり有名人の発言を扱うニュースが興味を引いた様子。SNSの普及により個人の意見を自由に発することができる一方で、マナー違反には批判が殺到し、たくさんの人を傷つけてしまうリスクも。有名人は自身の影響力をよく知った上で発言することを望みたい。
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社会 2019年01月04日 06時00分
勤務条件改善を要望した人は43%、その後改善されたのはわずか15%の厳しい現実
ディップ株式会社が、運営する総合求人情報サイト「はたらこねっと」で「はたらこねっとユーザーアンケート」を実施、 勤務条件について調査した。「現在の勤務先の勤務条件に満足していますか?」という質問に対し、「とても満足している」は5%、「満足している」が27%で、合わせて32%が「満足」という結果に。一方で「まったく満足していない」が13%、「満足していない」が33%で、合わせて46%が「満足していない」。こちらの方が多数派となった。 「満足していない」と回答した人に対し「勤務条件の改善を勤務先に要望したことがあるか」と聞くと、「ある」と答えた人は43%。意外にも多かった。ところが、改善要望をした後に勤務条件が改善されたと答えたのはわずか15%だった。実際に勤務先に改善を要望したことがあるという働く男性に話を聞いた。 「給料が労働条件の割に少なすぎるから『気持ちだけでも上げてくれ』と交渉したが、1円も上がらなかった」(20代・福祉) 「サービス残業について意見をしたら『なら、自主退職すれば?それならサービス残業もしなくてよくなるだろう』と言われた。絵に描いたようなブラック企業ですよね…」(20代・営業) 「ずっと派遣で働いていますが、正社員との待遇があまりにも違うので、改善をそれとなく要求したところ、クビになりかけました」(40代・派遣) 調査結果を裏付けるような、何とも残念な意見が出てきた。同調査では、雇用者が改善を臨むことと、実際に勤務先が改善に向けて取り組んだことの割合を比較した。改善された割合が多かったのは、「残業時間の短縮」「時短労働勤務」「自分に合った勤務時間」など、勤務時間の関係だった。うがった見方をすれば、企業側が人件費を削減したいとも受け取れる。 一方、62%が希望している「給与の増加」をはじめ、「評価・昇給・昇格制度を整える」「正規雇用者と同等の待遇」など、企業が人事制度や待遇面を改善するパターンは低い。個人が求めていることと、企業が改善することには「落差」があるようだ。 「『パートさんたちの待遇をもっと良くしてくれ』と、管理職の立場から、自分よりさらに上の立場の人間に、ほとんど泣き落としの形で要求。結果、パートさんたちの待遇は改善された。自分の待遇は良くならなかったですが…」(40代・管理職) このように、勤務条件の改善を勤務先に求め実現したという貴重な意見もあった。ただ、パートの人のためにと要求して実現したものの、自身の待遇は良くならなかったというところがなんとも世知辛い。 働いている人で、勤務条件に「完全に満足している」という人のほうが少数派だろう。それは自然なことだとしても、改善要望を出しても改善されないという場合が大半だというのは、社会全体で考えなければならない重要な問題だ。文/浅利 水奈
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社会 2019年01月04日 06時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜"物語」 ★粉飾予算ではないのか
来年度予算の骨格が固まった。当初予算として初めて予算規模が100兆円の大台を突破したが、消費税増税で税収が拡大するため、新規国債発行額は9年連続で減る。つまり、消費税増税で、財政再建が進むという構図が描かれている。 しかし、本当にそうなるのだろうか。平年ベースに直すと、消費税率10%への引き上げは、5兆円あまりの税収増をもたらす。 一方で、食料品や新聞の消費税率は据え置かれるから、軽減税率にともなう減収は1兆円になる。また、増税分を財源に幼稚園や保育園、非課税世帯の大学無償化などに2兆円を投じることがすでに決定。さらに、増税後の景気の失速を防ぐため、ポイント還元やプレミアム商品券の発行など景気対策に2兆円が使われる。 ここまでで、5兆円の増収と5兆円のコスト増だから、増税の財政健全化効果は消滅する。ところが、それだけでは済まない。 12月14日に与党が決めた税制改正大綱の目玉は、自動車減税と住宅減税だ。自動車は、所有者に毎年かかる自動車税を最大4500円減税する。一方、住宅に関しては、増税後から’20年末までに契約して入居する購入者を対象に、住宅ローン減税の期間を3年延ばして13年にする。現在の住宅ローン減税は、住宅ローンの借入残高の1%を10年間還付しているが、それに加えて11年目以降、建物価格の0・67%を3年間にわたって減税する。消費税増税分を丸々減税に回す格好だ。 しかし、ここに巧妙なカラクリがある。こうした住宅減税強化のツケが政府に回ってくるのは、11年先のこと。だから、来年度予算には反映されないのだ。 また、以前から決められていた消費税引き上げ対策も財政負担となる。例えば、父母や祖父母から住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税限度額は、省エネ等住宅の場合、現行の1200万円が、消費税率引き上げ後は、一気に3000万円まで拡大される。一部の富裕層しか使えない手だが、大幅な減税になる。ところが、その減税が財政負担になるのは、ずっと先だ。住宅資金を贈与した親が死んだときに、相続財産が減るという形で、相続税の減収につながるからだ。これも、将来の話だから、来年度予算には一切、反映されない。 こうしたことを考えると、消費税率の引き上げで財政赤字が減る本当の効果は、きわめて限定的だ。 まやかしは、まだある。財務省は、軽減税率導入に伴う減収分のうち2400億円をタバコの増税で手当するとしている。これも、形式的には正しくても、実際には大きな間違い。タバコを増税すると喫煙者が減るので、税収は増えないからだ。実際、瞬間風速はともかく、これまでタバコの増税で、税収が増えた歴史は一度もない。 ただ、財務省はそうしたことを一切言わない。もし消費税増税で財政健全効果がないとしたら、「それなら、なぜ増税をするのか」という話になってしまうからだ。 軽減税率の複雑な線引き、ポイント還元のために伴うクレジット会社に支払う手数料など、消費税増税は中小小売業の負担を一気に増やす。そうしたことへの批判が高まることを考えると、やはり、土壇場で安倍総理が、増税凍結宣言をする可能性が高いのではないか。
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社会 2019年01月03日 18時10分
身勝手な行動が招いた騒動、増加? 2018年の重大事件ベスト3
2018年は自然災害や事件、事故が相次いだ。その中でも人々の関心をひいた記事は自分の身勝手な行動で招いた出来事が多く、ネット上ではマナーについて議論が巻き起こった。当媒体へのアクセス数をもとに、2018年に話題になった事件を紹介する。1位「ながらスマホ」で自転車…77歳女性を死亡させた女子大生のあまりにもひどい状況https://npn.co.jp/article/detail/86560314/ 神奈川県川崎市の路上で「ながらスマホ」をしながら自転車に乗り、歩いていた77歳の女性と衝突し、死亡させたとして、当時20歳の女子大生が重過失致死容疑で書類送検された。 送検された女子大生は左手にスマートフォン、右手に飲み物、左耳にイヤフォンという状態で電動アシスト自転車に乗り、路上を走行。スマホをポケットに入れようと前方から目を離したところ、歩いていた女性と衝突した。これにはネットユーザーからは批判が噴出。「同じことを防ぐ意味でも厳罰にするべき」「刑が軽い」「殺人と変わらない」「この子が将来人の親になるのは許せない」などの声が上がった。2位 「客に暴言を吐いた」バスの運転手が処分 その理由に同情の声https://npn.co.jp/article/detail/03221551/ 千葉中央バスの運転手が、「客に暴言を吐いた」として処分されることが判明。バス運転士が乗ろうとした男性客に「後続のバスに乗ってください」と説明しドアを閉めたところ、男性乗客はそれに納得せず、バスのドアを叩いて乗せるよう要求。仕方なくドアを開け乗せると、客は「なんでドアを閉めたんだ」などと詰め寄った。これに激昂した運転手は、「この野郎」「お前なんか降りろ」と吐き捨てたという。のちに運転手側は謝罪した。しかしネットユーザーからは「後ろのバスに乗ってほしい」と促していること、それを聞かずにドアを叩いた客を乗せていることから、運転手の行動に問題はないのでは、と同情する声が上がった。3位 韓国のモスバーガーで「安心して下さい日本産は不使用です」表示 SNSにも苦情殺到https://npn.co.jp/article/detail/27238279/ 韓国国内のモスバーガー店のトレーに敷かれたペーパーに、韓国語で「モスバーガーの約束 安全・安心・健康」として、「安心してお召し上がりください! モスバーガーコリアは日本産の食材を使用しておりません」と書かれていた。今年の夏ごろまで見かけられたという。日本産の食材が「危険」という印象を与えるとして違和感を抱くネットユーザーが続出。「風評被害を拡散させるのはただちにやめてください!」「悪意を感じます。もう二度とモスバーガーに行きません」「本社が日本にあるにもかかわらず、ああいう文面を許す姿勢は理解できません」といった苦情の声が殺到した。 SNSの普及で批判が広がりやすくなった一方、客の暴走やSNSによる批判の過激化も目立つようになった2018年。2019年は平和な年になることを願いたい。
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