社会
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社会 2013年09月05日 16時00分
三重・中3少女遺棄事件 “空白の22分間”に深まる三つの謎
8月29日に、三重県朝日町の住宅街の外れの草むらから全裸遺体で発見された寺輪博美さん(15)の事件が注目を集めている。 四日市市立朝明中学の3年生だった博美さんは、行方不明となった25日夜に、友人らと四日市市で行われた花火大会を見物。その帰りに事件に巻き込まれたが、不可解な点が多く謎が深まっているのだ。 「最大の謎と見られているのが、空白の時間なのです。花火大会見物後、彼女はJR関西本線富田駅から電車に乗り、朝日駅で下車。駅前スーパーで22時45分に友人らと別れ、一人自宅に向かったことが防犯カメラで確認されているが、その後の足取りが極めて不透明なのです」(地元紙記者) スーパーから自宅までは約1.6キロ。22時55分に博美さんが友人とLINEでやり取りしたことが判明しているが、23時17分に帰宅が遅いことを心配した姉が掛けた時には、電話に出なかったという。つまり、この空白の22分間に事件に巻き込まれたと見られているのである。しかも、不審な点はこれだけではない。 「解剖の結果、博美さんは口と鼻を押さえられて窒息死していたが、付近には衣類、鞄、サンダルが散乱し、遺留品には複数の指紋が残されているというズサンさだった。一方で、現場からは数種の男物の靴跡や県道から乗り上げたタイヤ痕も採取されており、犯人は犯行時に自分の汗がしたたり落ちることも考えていなかったようだ。隠ぺい工作の痕跡が全く見受けられないのです」(捜査関係者) また、捜査員の間ではなぜ、殺害後に衣服を脱がせて全裸にしたのか、が問題視されているという。 「博美さんは小学校入学前から新体操をしていて、7月には県大会に出場。しなやかな体つきをした美少女として知られていた。そのため、捜査本部は異常性愛者に目を付けられた可能性が高いと見ている。20日夕方、博美さんに『写真を撮らせてください』と声を掛けた30代前半の男を含め、不審者を洗い始めているのです」(前出・地元紙記者) 一刻も早い犯人検挙が望まれる。
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社会 2013年09月05日 11時45分
『医者に殺されない47の心得』が100万部突破
「薬や治療で命を縮めやすい」ことを主題にした話題作「医者に殺されない47の心得」(アスコム 近藤誠・著)が、累計100万部を突破したことがわかった。 同書では「医者によく行く人ほど、早死にする」「軽い風邪で抗生物質を出す医者を信用するな」「がん検診は、やればやるほど死者をふやす」など、これまでの常識を覆すような心得が多数、紹介されている。 2012年12月中旬に初版1万部で発売されると、すぐに話題に。編集部には、6000通を超える読者ハガキが届き、「医療に対する常識が大きく変わった」「患者側も医師にただ任せるだけでなく、きちんとした知識を持つ必要があることを痛感した」など多くの意見が寄せられたという。 著者の近藤誠医師は、慶應義塾大学医学部卒業後に同大学医学部放射線科入局。米国留学を経て1983年より同大学医学部放射線科講師。がんの放射線治療を専門とし、患者本位の治療を実現するために、医療の情報公開を積極的にすすめている。2012年には、「第60回 菊池寛賞」を受賞している。 今回、同書が100万部を突破したことについて近藤誠医師は、「これだけ多くの方々に読んでいただけたことを大変嬉しく思います。今後も一人でも多くの患者さんのお力になれるよう、努力して参ります」とコメントしている。
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社会 2013年09月05日 11時45分
大阪の消防士がまたまたAVに出演し懲戒処分に
大阪の消防士の規範意識が薄いのだろうか…。 大阪府守口市門真市消防組合は8月30日、アダルトビデオ(AV)に出演し、現金の謝礼を受け取っていたとして、地方公務員法に基づき、守口消防署の27歳と26歳の男性消防士2人を停職6カ月の懲戒処分にした。また、監督責任を問われ、消防長、次長ら8人が口頭厳重注意を受けた。 同消防組合によると、27歳の消防士は昨年8月1日、26歳の消防士は同6日、それぞれ別の友人と須磨海岸(神戸市須磨区)で海水浴をしていた際、AVのスカウトマンから「いい体してるね。AVに出ませんか」などと声をかけられ、その日のうちに、海岸近くのマンションで撮影して出演。謝礼として各現金1万円を受け取った。 さらに、その後、26歳の消防士は昨年9月上旬までに4回、大阪市内などでAVの撮影に臨み、計5回で計16万円の謝礼を受け取っていた。ともに、「軽はずみで出演してしまった」と話しているという。 8月13日に、「職員がアダルトDVDのパッケージに写っている」という匿名のメールが守口、門真の両市役所に届き、発覚した。 同6日には、同府四條畷市消防本部の20代の男性消防士2人が、同様の事案で停職6カ月の懲戒処分を受けたばかり。 今回処分を受けた26歳の消防士は四條畷市の問題の消防士と顔見知りで、同じシリーズの作品に出演していたとみられる。守口市門真市消防組合の調査では、今回の2人以外にも複数の消防士がAV出演の勧誘を受けていたことが分かった。 同消防組合の児玉勝美消防長は「市民の皆さまの信頼を著しく失墜させるとともに、全体の奉仕者たる地方公務員として、あるまじきことで誠に遺憾であり、心からお詫び申し上げます。市民の生命、財産を守る消防職員には法令遵守はもとより、高い倫理規範が要求されており、常にその品位を維持していかなければなりません。今後は、このようなことが起こらないよう、徹底した綱紀是正と再発防止対策に努め、 市民の皆さまの信頼を一日でも早く取り戻せるよう、全身全霊で業務を遂行していく所存でございます」と謝罪した。(蔵元英二)
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社会 2013年09月04日 15時00分
スクープ! 小沢一郎が失意の「政界引退」〜側近に漏らした次期衆院選不出馬〜(2)
弱り目に祟り目とはよく言ったもので、参院選後の生活の党はさらに内ゲバが発生し、過激化の一途をたどっている。代表的なのは、森裕子氏と小沢シンパの一市民による“場外バトル”だ。 「森氏と、小沢氏の支援者S氏がブログやツイッターで『名誉毀損だ、人格破壊攻撃だ』と互いにののしり合い、森氏側が民事訴訟や刑事告訴に踏み切る構えを見せているのです。一方のS氏は有名なブロガーで、森氏の国政復帰を何としても阻止したいらしく、執拗に攻撃を続けています。もともと2人は、小沢氏が資金管理団体『陸山会』の土地取得を巡って強制起訴された経緯に疑問を抱き、協力して検察審査会や東京地検特捜部を追及してきた。ところが、小沢氏の無罪判決を機に森氏が一歩引いたと捉えたS氏が、森氏に『最高裁と司法取引し、無罪を勝ち取る引き換えに追及を止めた』などと、根拠のない批判を浴びせ始めたのです」(全国紙社会部記者) もともと生活の党内で、S氏は“要注意人物”と警戒されていた。森氏は、検察審査会の問題を国会審議で積極的に取り上げていたため、絡まれてしまった形になった。 「S氏は明確な証拠がないのに『検察審査員は存在しない』と決めつけた上、森氏に同調して国会で追及するよう強要していました。これを森氏が拒んだあたりから2人は険悪になった。S氏のしつこさは有名で、著書を出した際は小沢氏をアポなしで長時間待ち伏せ、直接渡して話し込もうとしたほど。今後も森氏に攻撃を続ける決意を表明しており、いずれ森氏が選挙に臨む際も障害になる。森氏を高く評価する小沢氏にとっても、大きな痛手になるのは間違いありません」(同) 経験したことのない選挙戦の大敗による失意の中、党内の軋轢、さらに問題の多い取り巻きにも悩まされる心中は、察するに余りある。実際に小沢氏は最近、側近にこう漏らしたという。 「3年待たなくても、もう南国で悠々自適っちゅうこともあるな」 次期衆院選は3年後の可能性が濃厚だ。小沢氏はそこで出馬せず、政界を引退して沖縄の別荘で暮らす−−。 そんな小沢氏の意思を感じ取った側近は、生活の党関係者の一部だけに発言を伝え、かん口令を敷いたという。 焦った周囲は、ボスの引退撤回と復権を目指して動き出した。一部メディアが既に報じた小沢氏のルーツを探る動きも、その一環のようだ。 「小沢氏の親族によると、小沢氏の母みちさんの曽祖父は、幕末期に日仏通商条約の締結にかかわり、明治政府を外交顧問として支えたモンブラン伯爵だったというのです。さらに驚くべきは、みちさんの祖父。何と、江戸幕府13代将軍・徳川家定の隠し子と伝えられているのです。小沢氏が徳川将軍家の末裔だった可能性が出てきたわけで、歴史が塗り替えられるだけでなく、やはり小沢氏こそが日本の政治のトップに君臨するにふさわしい証左になるでしょう」(別の生活の党関係者) 瀬戸際で踏みとどまるのか、このままフェードアウトか。小沢氏が最終決断する日は、そう遠くない。
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社会 2013年09月04日 11時45分
メール104回、電話56回 33歳の女医が元同僚男性医師にストーカー行為
さすがに、ここまでしつこく、迷惑メールや電話をされたのでは、たまったものではないか…。 福岡県警折尾署は8月26日、同僚だった男性医師に、執ようなメールを連続送信するなどのストーカー行為をしたとして、女医(33=同県北九州市八幡西区鉄竜)をストーカー規制法違反容疑で逮捕した。 7月23日施行の改正ストーカー規制法で、電話やファクスに加え、執ようなメールも規制対象となったが、法改正されてから、全国で3例目の摘発となった。 逮捕容疑は、6月25日〜8月6日まで、県内の病院に勤務している医師の男性(31)の携帯電話に計56回にわたって電話。また7月23日〜8月6日にかけ、携帯電話に「本当に好き?」「抱きついてもいい?」などと計104回、メールを送信したとしている。 女医は「メールは送信したが、相手がこの男性医師とは思わなかった。恋愛感情も抱いていない」と容疑を否認している。 女医と被害者の男性医師は08年4月から約1年間、北九州市内の同じ病院で勤務していた間柄。男性医師が7月上旬に同署に相談していた。 実は、この女医の迷惑行為は今に始まったことではない。今年2月にも、同じ男性医師に対して、携帯電話に6回にわたり「あんたのこと、めった刺しにする」「本当に殺すよ」などと電話し、脅迫したとして、脅迫容疑で逮捕されている。 この際、女医は「(男性医師のせいで)辞めさせられた」と話しており、男性医師は「(脅迫される)心当たりがない」と話していた。(蔵元英二)
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社会 2013年09月03日 15時00分
スクープ! 小沢一郎が失意の「政界引退」〜側近に漏らした次期衆院選不出馬〜(1)
7月21日の参院選は、日本の政治史上に残るターニングポイントになった。自民党は圧勝し、翻って民主党は惨敗。国会のねじれ状態はキレイに解消された。目下、敵なしの与党に対抗するため、野党は本気で再編を目指し始めた。 そしていつものように、政局のニオイが漂うところ、やはりこの男アリ。小沢一郎・生活の党代表も野党再編のキーパーソンに挙げられ、実際に水面下で蠢いている。 「小沢氏は、一応の最大野党である民主党に再編を主導するよう促しています。その下準備として、民主党を“親小沢”と“反小沢”に分裂させようとたくらんでいる。野田佳彦前首相や菅直人元首相、細野豪志前幹事長、前原誠司元代表、岡田克也元代表らを追い出した後、海江田万里代表ら現執行部一派と残留組で中規模の新党を立ち上げる計画を進めています」(全国紙政治部記者) ただ、今の小沢氏の求心力では、民主党を思いのままに操れるか疑わしい。参院選で生活の党の獲得議席は、まさかのゼロ。かつて「剛腕」「選挙の神様」と畏怖された面影が、小沢氏から消えたことが明らかになったばかりなのだ。 「選挙期間中の情勢分析で当選する可能性があったのは、佐藤公治氏(広島)と森裕子氏(新潟)の現職組だけでした。この2人は、生活の党の実務部隊の中核だったため、小沢氏は落とすまいと精力的に応援に入ったのですが、当選させることができなかったのです。全国を見渡せば、小沢氏をナメきっていたスタッフも多かった。たとえば千葉では、陣営幹部が『小沢代表の名前は絶対に出すな』『党名のアピールを極力控えろ』という街頭戦術を決めていました。実はこの幹部は、小沢氏と犬猿の仲である仙谷由人・元民主党衆院議員の元秘書。小沢氏が率いる党らしくない、チグハグな選挙戦が全体的に多かった印象です」(政治ジャーナリスト) 小沢氏の著しい凋落は目を覆いたくなるほどだが、生活の党内部から“A級戦犯”扱いされているのが達増拓也・岩手県知事だ。小沢チルドレンであり、側近でもある達増氏だが、小沢氏を慮って打ち出す浮揚策はどれも空回り、むしろ逆効果を生んできたという。 「東日本大震災の直後、小沢氏は地元の岩手県に向かおうとしていました。ところが、小沢氏側から打診された達増氏が強く反対して押しとどめたのです。福島原発の状況も踏まえて、ボスの身の安全を守ろうとしたのでしょうが、やはり小沢氏に一刻も早く来てもらい、住民の前で復旧・復興への強い決意を語ってもらうべきでした。小沢氏の妻、和子さんを称する手紙で、小沢氏は『放射能が怖くて逃げた』と非難されていましたが、達増氏の意見を突っぱねていれば避けられたはずです。小沢王国といわれてきた岩手で生活の党の参院選候補者が敗れたのも、達増氏の責任が大きい」(生活の党関係者) 昨年12月の衆院選の直前、小沢氏は日本未来の党を突然立ち上げた。実はこれも、達増氏がお膳立てしたものだった。 「野党が結集しやすい新党の顔は女性がふさわしいと考え、嘉田由紀子・滋賀県知事を小沢氏に紹介したのが達増氏だったのです。ところが、これが大失敗でした。有権者からすると選挙目当ての奇策にしか映らず、一気に支持を失っていくきっかけになってしまったのです」(前出・政治部記者) もっとも達増氏の描いたシナリオを鵜呑みにして取り入れたのは、小沢氏自身の判断力が衰えた表れでもある。そして、そんな小沢氏を再起不能とみて見切りをつけたのか、昨年暮れの衆院選、先の参院選で落選した候補者たちは、次々と離反を表明しているという。 「一声かけてもらうだけで違うのに、完全に無視されたままです。小沢氏に人間味を感じないし、リーダーとして不適格ですよ。『今回は申し訳なかった。これからも力を貸してくれ』くらいでも構わないのに…。次は、みんなの党から出馬したいと思っています」(生活の党の参院選立候補者)
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社会 2013年09月03日 11時45分
ヤマト運輸ドライバーが宅配便を海に投棄
あってはならない不祥事が起きた。大手運送業者のヤマト運輸は8月29日、愛知主管支店(愛知県長久手市)が契約している協力会社のドライバーが、客から預かった宅配便75個とメール便約50通を、日本海に投棄したことを明らかにした。 同社によると、このドライバーは富山方面の配達を担当していた40代の男性。愛知から富山方面の業務に向かった際、大阪、兵庫方面行きの荷物を誤って積んでしまい、それらを海に捨てたというのだ。 ドライバーは8月15日深夜、同社から請け負った業務のため、富山方面行きの荷物と、誤って積んだ担当外の関西方面行きの荷物を載せて、富山に向けて出発したが、16日になって誤って積んだことに気付いた。富山での業務を終えた16日深夜、ドライバーは協力会社の業務で新潟に向かう途中の6カ所で、担当外の関西方面への荷物を日本海に捨てたという。 荷主に対して、同社は謝罪しているが、一部のメール便の荷主が特定できておらず、心当たりがある荷主からの連絡を受け付けている状況。同社では「2度とこのような事案を発生させないよう、社員教育、協力会社教育の徹底など、全社一丸となって再発防止に取り組みます」と謝罪している。 これまで、同社では業務委託をしているメール便配達員が、未配達の荷物を廃棄するケースは度々起きているが、こと宅配便を捨てた例はまれ。担当外の荷物とはいえ、このドライバーの無責任さにはあきれるばかり。 最大手の宅配便業者だけに、業務委託のあり方、その教育を徹底しなければ、その信頼に傷がつきかねないだろう。(蔵元英二)
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社会 2013年09月03日 11時00分
中田英寿氏もさぞご満悦? 『サニーサイドアップ』好調の裏
元プロサッカー選手の中田英寿氏も、さぞご満悦に違いない。 企業商品SP支援、スポーツビジネス、飲食店運営などを事業とする『サニーサイドアップ』の業績が好調で、大株主の中田氏もにんまりだ。 '13年6月期決算の好業績は日経の記事でも紹介され、最終利益が前期比64%増の3億5300万円にも膨らんだ。このテの会社としては、かなり高い利益率である。 売り上げは130億円で前期比25%増。同種の企業が低成長に悩む時代に、大きく躍進した。 だが、同社は過去に業績がかなり低迷した時期があった。 リーマンショックの翌年、'10年6月期では、4億円近い最終赤字を出している。再建可能なのか、と周囲は不安視していた。ところが、3年後には見事業績を好転させたのだ。 同社は販促支援が主力で、スポーツビジネスに強みがある。『ビルズ』というレストラン運営でも利益を上乗せさせた。だが、特に利益に貢献したのは、ボーカロイド(歌声合成ソフトシンガー)の初音ミクを起用した販売促進キャンペーン事業。 初音ミクは北海道のクリプトン・フューチャー・メディアが開発。サニーサイドアップは、コンビニ大手のファミリーマートと初音ミクとのコラボイベントである『初音ミク アニバーサリー ミク ラバーズ・ファミマ・キャンペーン』の進行支援を行い、成功させたのだ。 効果絶大との情報が昨年暮れから今年前半にかけて流れ、同社が「'13年6月期通期業績予想を上方修正」したことから「株価が300円ストップ高、さらに買い気配の日もあった」という。 「今年後半には『ビルズ』ハワイ店を開店。さらに国内初の『O2O専門会社・SPARK』を設立し、積極果敢な攻め姿勢です。ちなみに、ここの社長は30代後半の熟女です」(業界事情通) O2Oとは『オンライン・ツー・オフライン』の略で、たとえばスマートフォンで飲食店を検索し、気に入った店を訪問するという消費者の行動を仕事に結びつけようというもの。オンライン(WEB)からオフライン(店舗)へと顧客の購買行動を促進させるビジネスだ。 いろいろなことをやるサニーサイド、今後のお手並みに要注目!
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社会 2013年09月02日 15時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第41回 FITの闇
本連載で何度か取り上げた再生可能エネルギー特別措置法に基づくFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)が、予想通り奇妙な事態に陥っている。 経済産業省が8月20日に'12年度の再生可能エネルギー導入状況を発表したのだが、稼働しているのは何と認定事業者の1割に満たないという。これは一体、どういうことなのか。 改めて説明すると、FITとは太陽光や風力などの再生可能エネルギーで発電した電気について、最大20年間、電力会社が固定価格かつ無制限に買い取る制度である。 とはいえ、電力会社は再エネ買取代金を負担しない。実際に、FITで発電された電気の買取代金を支払うのは、家計や企業などの消費者である。読者に送付される電気料金の領収書や請求書を見ると、しっかりと「再エネ賦課金」が加算されているはずである。 さて、たとえばFITを利用し、太陽光発電のビジネスを始めようとする投資家がいたとする。投資家は経済産業省と電力会社に事業開始を申請し、認定を受けた上で太陽光パネルを設置し、発電事業を開始することになる。 先にも書いた通り、現在のFITの太陽光発電のビジネスでは、すでに稼働、発電を開始している事業者は「認定事業者」の1割に満たない。 理由は次の通りだ。 FITの買取価格は、なぜか「認定時点」のものが適用される。すなわち「稼働時点」「発電開始時点」ではないのだ。投資家が経産省や電力会社に申し込みを行い、認定を受けた「時点」の買取価格が「稼働時点から(最大)20年」適用されることになる。 というわけで、投資家が利益を最大化するためには、取りあえず経産省と電力会社に申し込みを行い、認定を受け、じっくりと太陽光パネルが値下がりするのを待つのが最も「賢い手法」になるのだ。 その太陽光パネルは世界的に供給過剰であるため、時間が経てば経つほどパネル価格は安くなる。パネル価格が十分に下がったと判断した時点で、パネル設置の工事を開始し、太陽光発電事業を開始すると、「認定を受けた時点」の価格で最大20年間買い取ってもらえる。 もちろん、市場の電力需要とは無関係に「とにかく、発電しさえすれば、固定価格で買い取ってもらえる」わけで、これほど美味しいビジネスはない。 太陽光発電の買取価格は、当初は1キロワット時当たり42円で、現在は38円だ。たとえば今後、買取価格が10円に下落したとしても、発電事業を開始した企業は「認定を受けた時点」の価格で買い取ってもらえる。 どう考えても、経産省やエネ庁は、FITを導入する際に、 「申し込みから最大1年以内に発電を開始すること。さもなければペナルティー」 あるいは、 「買取価格は認定を受けた時点ではなく、発電を開始した時点のものを適用する」 といったルール、縛りを設けるべきだった。 ところが、現実には「認定されたにもかかわらず、発電事業をなかなか開始しない」アンフェアな「賢い手法」を防ぐ術はない。経産省は今頃になって慌てふためき、発電計画の実態調査に乗り出す始末だ。 恐らく、FITに投資している事業家、投資家たちは、将来的に太陽光発電の買取価格が下がっていくことは覚悟しているだろう。 とはいえ、経産省やエネ庁は、FITの買取価格決定時期について、発電事業開始時点ではなく「認定時点」という奇妙な法律を作ってしまった。 本稿執筆時点では、いまだに2013年3月末までの設備認定量が公開されていないが、業界紙によると、年度末に経産省への設備認定と電力会社への駆け込み申請が殺到したとのことである。買取価格の適用時期が書類申請時点で決まることが、いわゆる「駆け込み申請」を生んでいるのだ。 もうひとつ。日本の当初の太陽光の買取価格は42円であり、FITで先行するドイツの2倍以上だった。なぜ、FIT導入時、42円という他国に比して高い買取価格が適用されたのか。 FITの固定買取価格を決めているのは、経済産業省の「調達価格等算定委員会」である。FIT導入時、調達価格等算定委員会は「なぜか」民間の太陽光発電協会やソフトバンクの孫正義社長の「要望」をそのまま受け入れた。 FITの買取価格決定時、太陽光発電協会は調達価格等算定委員会の意見聴衆に対し、「1キロワット時当たり税抜きで42円」と要望を述べた。 また、当初からFIT事業参入を表明していたソフトバンクの孫正義社長も「最低でも税抜き40円」と主張していたのである。 安価な中国製の太陽光パネル普及により、太陽光発電の買取価格はもっと安くても構わないという声があったが、調達価格等算定委員会は太陽光発電協会や孫氏の意見をそのまま受け入れた。結果的に、我々一般の日本国民は、ドイツの2倍以上の買取価格を太陽光発電事業者に対して支払わされている。 要するに、42円というドイツの2倍以上の買取価格を決定したのは、経産省でもなければ、調達価格等算定委員会でもないのだ。民間の太陽光発電協会や孫正義氏なのである。電気を「買い取ってもらう側」が、価格を決定したという俄かには信じがたい話だ。 信じがたい話は、もうひとつある。FIT導入時、買取価格を決定する調達価格等算定委員会の委員長は、京大教授の植田和弘氏だった。その植田氏が今、何をやっているかと言えば…。 2013年8月1日、植田氏は孫正義氏が設立者、会長を務める『公益財団法人 自然エネルギー財団(JREF)』の理事に、めでたく就任された。これほど露骨な「癒着」「既得権益」であるにもかかわらず、なぜか国内の論者たちは誰も批判しようとしない。 構造改革主義者たちは、結局はビジネスになれば何でもいいのだろうし、左翼は「反原発主義」であるため、再生可能エネルギー関連に批判の声を上げることはない。というわけで、構造改革主義者でも左翼でもない筆者が先陣に立ち、FIT批判の声を上げさせてもらったわけだ。三橋貴明(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2013年09月02日 11時45分
ホストクラブの脱税に協力した現役国税調査官とOBを逮捕
大阪地検特捜部は8月28日、ホストクラブ運営会社の脱税が発覚しないよう、税務調査で虚偽の内容を説明したとして、法人税法違反(虚偽答弁)の疑いで、大阪国税局西税務署の上席国税調査官の男(43=大阪府門真市)を逮捕した。また、国税OBの税理士の男(61=兵庫県西宮市)=法人税法違反罪などで起訴=を再逮捕した。 2人は93年から2年間、同じ税務署で勤務していた元同僚で、OBの男はホストクラブ運営会社「M」の顧問税理士。調査官の男は先輩であるOBの男から依頼され、国税局が将来の税務調査を見据えて作成した運営会社の調査資料を漏えいした疑いがある。 2人の逮捕容疑は、西署管内にあるホストクラブ運営会社の脱税を隠そうと共謀。11年7月、同社事務所で税務調査をしていた国税調査官に対し、同社の代表者に売上金を除外した金額を実際より少なく答弁させたとしている。調査官の男も、この場に同席していたという。 特捜部は、西税務署など関係先を家宅捜索。癒着していたとみられる2人の間に、金品のやりとりがなかったかについても捜査する。OBの男については、同社の代表者らと共謀し、11年9月期までの2年間で、約9200万円の所得を隠し、同社の法人税約2400万円を免れた法人税法違反(脱税)容疑でも逮捕された。 OBの男は98年に調査先企業に税理士を紹介したとして、国税局を懲戒免職になり、税理士となっていたが、調査官の男はその後もOBの男の事務所に出入りしていたという。 大阪国税局は28日夜、職員の逮捕を受けて記者会見。山崎浩二総務部長は「職員の逮捕は税務行政に対する信頼を損ない、申し訳ございませんでした」と謝罪した。 同局によると、逮捕された調査官の男は90年採用。大阪府内や京都府の税務署で法人税の調査を担当し、10年7月から現在の西税務署に勤務していた。 また、その後の捜査でOBの男が調査官の男を飲食接待していた疑惑が浮上。他の現職の税務署員やOBにも、接待していた可能性もある。(蔵元英二)