社会
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社会 2013年08月08日 17時00分
出井元ソニー会長が取締役退任 吉本興業“2人のドン”不要説
吉本興業で取締役をつとめていた元ソニー会長・出井伸之氏が退任していたことがさまざまな憶測を招いている。 出井氏が退任したのはこの6月。同氏は東証1部上場だった吉本興業の上場廃止の仕掛け人で、なおかつ実行役だった。そのため吉本が出井氏を切ったのか、それともその逆なのか、見解が分かれている。 ソニー出身の出井氏が代表をつとめる投資会社『クオンタム・エンターテイメント(以下、クオンタム社)』に、吉本興業が506億円で買収されたのは'09年9月のことだった。 『クオンタム社』は吉本興業の全株取得を目的に株式公開買い付け(TOB)を実施。吉本興業もこれに賛同を表明し、買付価格は1株当たり1350円。TOB完了後、吉本興業は上場廃止となった。 『クオンタム社』は、出井氏が立ち上げた経営助言会社『クオンタムリープ』が設立した投資会社。出井氏の調整でTOBの決済までにフジテレビなど在京民放キー局5社の持株会社や電通、ソフトバンク、岩井証券などから合計240億円を調達。三井住友銀行、住友信託銀行、みずほ銀行からも上限300億円の融資を受け、吉本興業を買収し、完全子会社化した。 翌'10年に吉本興業とクオンタム社が合併し、今の新生・吉本興業となった。 このカラクリを考えたのが出井氏で、吉本にとって足を向けて寝られない恩人ともいえる。それがナゼ? というわけだ。 「上場廃止を吉本の大崎洋社長に勧めたのは、出井氏といわれる。狙いは筆頭株主である『大成土地』の追い出しでした。同社は創業者一族の持ちモノでしたからね」(吉本興業関係者) だが、上場を廃止してから“2人のドン”の関係にズレが生じてきたという。 出井氏イコール『クオンタムリープ』の持ち株はわずか60株、保有率は0.01%。だが、大崎社長に対しての発言力は強く、ときどき意見の対立があったという。 「すでに上場廃止も済み、時間も経っているということで出井氏が取締役でいる意味がなくなったと判断されたのでしょう」(前出・吉本興業関係者) それにしても、役員を辞めただけで話題になるとは、出井氏の神通力はまだ衰えていないということか。
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社会 2013年08月08日 11時45分
情けない! 大阪の消防士2人がホモビデオに出演し懲戒処分に
大阪府四條畷市消防本部は8月6日、男性同性愛者向けAVに複数回出演し、謝礼を受け取ったとして、いずれも20歳の男性消防士2人を、地方公務員法(営利企業等の従事制限など)に基づき、停職6カ月の懲戒処分にした。 同市消防本部によると、2人は市消防分署と本部警備課に勤務する2年目の同期生。2人は12年8月、兵庫県の須磨海岸へ海水浴に行った際、AVのスカウトマンから、「いい体してるね」などと声を掛けられ、その日のうちにビデオに出演し、それぞれ謝礼1万円を受け取った。2人は「顔にモザイクをかけるから」と勧誘されたという。このビデオはDVDとして市販された。 その後、警備課員は12年11月に再びAVに出演して、さらに1万円を受け取った。分署員は、13年1月と3月に2回出演して計4万円を受け取った。これらの3本は、市販はされず、インターネット上だけの販売だった。いずれも当初、顔の分かる状態になっていたが、2人がクレームをつけ、モザイクがかかるようになったようだ。2人は最初の1本に出演したことで、「断り切れなかった」と話している。 7月25日に、市に匿名の告発メールが届いて発覚。翌26日には消防本部に、「市民一同」と書かれた告発文が届き、2人の名前が記されていた上、出演したDVDやビデオ画像のコピーが同封されていた。 2人が出演を認め、服務規定にある信用失墜行為と兼業禁止違反にあたるとして、同市は懲戒処分とした。2人は「市民を裏切る行為で申し訳ない」と反省しているという。 同市は監督責任を問い、警備課長を文書訓告、市消防長、消防次長、警備課長代理を厳重注意処分とした。(蔵元英二)
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社会 2013年08月08日 11時00分
米ヤフーを喰った進撃の“青い目ファンド” 次はソニーが捕食される!
ソニーの経営陣は、海の向こうから飛び込んだ情報に身震いしたに違いない。同社株の約7%を保有し、米国のアクティビスト(物言う株主)として知られるヘッジファンドのサード・ポイントが、米ヤフーを舞台にマネー錬金術の荒業を発揮したのである。 その詳細については後述するが、ともかくこの勢いに乗じて今度はソニー株を一気に買い増せばどうなるか。市場関係者は「平井一夫社長は、いまや蛇ににらまれた蛙の心境に違いない」というのだ。 サード・ポイントのダニエル・ローブCEOは今年5月、ソニー株の6.3%を取得したとしてソニーの平井社長に面会、独自のソニー改革案を突きつけた。イワク「映画、音楽事業のエンターテインメント部門を分社化し、15〜20%の株式を米国で上場する。その上場で得た資金を不振のエレクトロニクス部門の再生に注ぎ込めばソニーの株価は大幅に上昇する」との論法である。 これらは6月20日開催の株主総会には提案されなかったものの、総会直前にサード・ポイントはソニーの持ち株比率が約7%に高まったとアピール、これを受けて同社株が急騰したことがある。 「同ファンドの運用マネーは世界全体で1兆3000億円とされるのに対し、ソニーへの投資額はまだ1400億円程度。本腰を入れて買いあさることを織り込んだ市場が『牽制球を投げた』と、はやした図式です」(前出・市場関係者) 総会当日、平井社長は議案になかったサード・ポイントの提案について「エンターテインメントは成長戦略の実現に重要な事業。取締役会で時間をかけ、いろいろな角度から議論していく」と説明するにとどめた。サード・ポイントは提案に対する回答期限を設けないばかりか、平井社長の経営手法を批判しているわけでもない点がミソ。逆にいうと、ソニーの対応次第ではアクティビストの本性を現して「挑戦状を叩きつける」(同)ということ。平井社長とすれば、実に手ごわい存在なのである。 そんな折も折、わずかの株式取得で米ヤフーを実質的に乗っ取ったサード・ポイントが、保有株の3分の2を会社側に買い戻させることで巨額の利益を得たことが明らかになった。そのマネー錬金術のアウトラインはこうだ。 サード・ポイントは昨年秋、業績低迷で株価が冴えなかったヤフー株6000万株(5.5%)を取得、ダニエル・ローブCEOなど3人がヤフーの取締役に乗り込んだ。ローブCEOはヤフーの経営トップの学歴詐称を暴き、経営陣の入れ替えを行った。 その上でグーグルから呼び寄せたマリッサ・メイヤー新CEOの下、ヤフーは業績が回復し、株価が急回復するタイミングを見計らったかのように、ローブCEOはヘッジファンドの顔をあらわにした。保有株6000万株のうち4000万株をヤフーに自社株買いさせることで、1165億円のキャッシュを得たのである。 投資額を差し引くと、これだけで「650億円の利ざやを稼いだ計算になる」(アナリスト)という。そして、まだ手元に残る2000万株についても、ローブCEOを含めたサード・ポイント出身の役員3人が7月末で一斉に退任することから「遠からず売却する」(同)公算が強く、これらも時価にすれば約600億円。これが丸丸利益になるのだから、4000万株売却と合わせた利ざやはザッと1250億円に達する。だからこそ市場の関心は、米ヤフーの錬金術で得た巨額マネーの運用先に向けられているのだ。 果たせるかな、インターネットの掲示板にはサード・ポイントの更なる買い増しを期待するソニーファンの書き込みさえ飛び交っている。繰り返せば、運用マネーは世界トータルで1兆3000億円。これに米ヤフー株の売却マネーが加わる。軍資金がタップリある以上、平井社長をはじめ、ソニー経営陣がローブCEOの繰り出す“次の手”に疑心暗鬼となるのも無理はないのだ。 ソニーはサード・ポイントの提案に対し「取締役会で議論中」を理由に、まだ対応を明らかにしていない。しかし、ダラダラと時間稼ぎすれば相手に格好の口実を与えることになりかねず、かといって提案を真っ向から拒否すれば、猛然と牙を剥き、アクティビストの本性を発揮するのは目に見えている。現時点では「紳士的な対応に終始している」(ファンド関係者)以上、ソニー側が対応に苦慮しているのは明らかだ。 「それこそが百戦錬磨のツワモノで鳴らしたサード・ポイントの作戦です。とりわけソニーにとって悩ましいのは生保、損保などの金融事業をいち早く東証に上場させたこと。これではエンターテインメント事業の上場は難しいと主張しようにも説得力に欠ける。サード・ポイントはそれを見越して提案したようです。ましてエレキ事業は慢性的な赤字垂れ流しにもかかわらず、ソニーは明確な再生シナリオを描けていない。だからこそ提案内容が説得力を持つわけで、これを一蹴したら青い目はメンツをつぶされたとして、かさにかかって攻め立てるに違いありません」(経済記者) 米ヤフーでわずか5.5%の株主にすぎなかったサード・ポイントは、まんまと大枚を懐に収めることに成功した。ソニーウオッチャーはその点を踏まえ、「ソニー相手なら、赤子の手を捻るようなもの」と指摘する。 「エンタメ事業の上場マネーをエレキ事業再生に注ぎ込むと思ったら大間違い。むしろ中国企業などに売却しかねず、ソニーの“生体解剖”が急加速します」 進撃する“青い目ファンド”。その荒々しい息遣いが聞こえてきそうだ。
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社会 2013年08月07日 15時30分
腰掛け濃厚!? 元巨人監督・堀内恒夫氏が参院議員に繰り上げ当選
自民党の中村博彦参院議員(享年70)が7月31日に死去したことに伴い、10年参院選比例代表の選挙会は8月6日、自民党の名簿順位に基づき、プロ野球巨人の元エースで監督も務めた堀内恒夫氏(65)の繰り上げ当選を決めた。任期は16年7月25日までの約3年間。 これを受けて、堀内氏は7日に初登院し、「監督になった時と同じで、青天のへきれきだが、福祉やスポーツの問題に取り組みたい。20年の東京五輪招致も後押ししたい」と抱負を語った。 堀内氏は10年7月の参議院選挙において、自民党の比例代表で立候補。10万1840票を得て、党内で13位となったが、次点で落選した。 落選後は日本テレビの解説者に戻ったが、世代交代の波に押され、解説の機会は激減していただけに、今回の繰り上げ当選は渡りに船。ただ、議員を続けるためには、3年後に選挙を闘わなければならない。選挙区ではなく、比例代表で出馬するとした場合、同党が堀内氏を名簿順位の上位に据えるとは思えず、3年間限定の“腰掛け”で終わってしまう可能性も十分だ。 堀内氏は65年のドラフト1位で指名され、甲府商から巨人に入団。66年には高卒ルーキーながら、16勝(2敗)、防御率1.39の好成績を収め、最優秀防御率、沢村賞、新人王のタイトルを獲得。その後、巨人のエースとして君臨し、78年まで実に13年連続で2ケタ勝利をマーク。72年には26勝(9敗)を挙げて、最多勝、沢村賞を受賞。 79年以降、衰えが目立ち、83年のシーズンをもって引退。通算560試合に登板し、203勝139敗6セーブ、防御率3.27の成績を残している。 引退後は巨人のコーチや日本テレビ解説者を務め、04年に巨人の監督に就任。2年間、指揮を執ったが、04年は3位、05年は5位で79年以来の5位に沈んだ。監督としては、133勝144敗7分けで、勝率5割にものっていない。 監督退任後は日本テレビ解説者に戻っていた。(蔵元英二)
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社会 2013年08月07日 11時45分
血気盛ん! 96歳おじいちゃんが奥さんとケンカし現金2800万円持って家出
なんとも、元気なおじいちゃんがいたものである。 家出をして、家族が捜索願を出していた福岡県北九州市の男性(96)が、7月28日に中部国際空港(愛知県常滑市)で、福岡県警に保護された。 県警中部空港署によると、男性は同日午後、同空港のタクシー乗り場付近に一人でいたところ、不審に思った通行人が航空会社の職員に連絡。通報を受けた署員が事情を聴いたところ、捜索願が出ていることが分かった。 男性によると、25日朝に妻(87)とケンカして、「買い物に行く」と言って家を出て、沖縄に滞在。沖縄から中部国際空港に行き、その後、北海道へ行くつもりだったという。 家族は男性が家に戻ってこないため、27日に捜索願を出していた。29日、県警から連絡を受けた長男(65)が引き取った。 任意で男性のバッグを調べたところ、中には100万円の札束が28個入っていた。家出後に、銀行で引き出したものだった。 男性は「いろいろな所へ行こうと思って、おカネを持って旅行している途中で、いい場所があったら住むつもりだった」と話している。 つえを使っていたが、男性は話し方や態度はしっかりしていたという。 それにしても、96歳になって、奥さんとケンカして家出するとは、血気盛ん。この高齢で、一人で飛行機に乗って、旅をするとは全く元気なかぎり。奥さんと仲直りして、長生きしてほしいものである。(蔵元英二)
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社会 2013年08月06日 15時00分
安倍首相と財務省が大バトル 消費税8%にするのか先送りか(2)
つまり、安倍総理にとって消費税の引き上げは前門の虎、後門の狼ともいえる難題。これを見透かした麻生財務相がさまざまな圧力をかけているのだが、そこには“ポスト安倍”を巡る暗闘が渦巻いている。 自民党の長老格議員が、その内幕をこう話す。 「自民党の大勝で安倍政権が長期政権となる様相を呈してきたが、この状況は72歳と後がない麻生にとっても千載一遇のチャンスなのです。衆参のねじれが解消しているだけに、安倍に取って代われば3年間やりたい放題の政策が行える。そのため是が非でも消費税の値上げをさせ、安倍には増税とともに抱き合い心中してほしいと願っている。増税に腰が引けたら、倒閣もやむなしと腹をくくりだしているのです」 ただし、こうした動きは何も麻生財務相に限ったことではない。今や自民党内では絶対安定多数の政権運営に参画を夢見る各派閥の野望が、急速に膨らみ始めているというのだ。 自民党の中堅議員がこう明かす。 「選挙後、参院人事や内閣改造人事を見据えた各派閥が新人議員をスカウトし、増員に奔走しだしていることはすでに報じられているが、実はこれは“ポスト安倍内閣”を睨んだ動きでもあるのです。各派閥の領袖は、政権奪還、衆参のねじれ解消で安倍の役目はほぼ終わったと見ている。第四の矢を持たないアベノミクスが消費税問題、TPP問題などで早晩、地盤沈下する可能性が高いと見ているからです。つまり、安倍政権に陰りが見えた場合には、数を頼りに主要ポストをせしめようと手ぐすね引いているのです」 もっとも、麻生財務相や党内の派閥領袖たちのこうした目論見は、すでに安倍総理も織り込み済みといわれている。実は、安倍総理は今年3月に鳩山邦夫元総務相と密談。密かに「安倍派」の結成を急がせていたといわれているのだ。官邸スタッフがこう明かす。 「実は、安倍総理はこの会談で鳩山氏に、肥大化し始めた麻生と各派閥の野望を吐露。閣内不一致の噴出や政権運営に陰りが見えた場合に、派閥談合の安倍降ろしが起きないよう、隠れ安倍派の取りまとめを頼んだのです。これを受けた鳩山氏は、6月5日に東京・音羽の鳩山会館で食事会を催し、派閥横断的に約50人の国会議員らを招き談笑した。その後、総理の下には鳩山氏から『(隠れ安倍派として)30人はいける』との返事があったともいわれているのです」 第一次安倍政権の内閣改造時に、閣僚を押し込まれた揚げ句、不祥事連発で窮地に立たされた経緯があるだけに、安倍総理もこうした動きを警戒。水面下では財務省を操る麻生財務相や党内派閥の野心を跳ね返すための策を講じていたというわけなのだ。 前出の政治部デスクがこう語る。 「安倍は、参院選投開票日に麻生から『あなたは歴史上ない独裁者になる!』とクギを刺されたが、実情は薄氷を踏むような政権運営を模索し始めているのです。その最大の関門となるのが消費税の値上げだが、今後は漁夫の利を得ようとする者たちとの戦いが、さらに熾烈化する」 果たして、消費税は値上げされるのか。引き上げ先送りに動きだした安倍総理と、足を引っ張る政界亡者の抗争が見モノである。
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社会 2013年08月05日 15時00分
安倍首相と財務省が大バトル 消費税8%にするのか先送りか(1)
ご存じの通り、今回の参院選で自民党は改選34議席を大きく上回る65議席を獲得。公明党と合わせた参院全体の議席数は135議席(過半数121議席)となり、衆参のねじれを解消した。 ところが、この歴史的偉業を成し遂げた安倍政権が、「秋にも窮地に追い込まれる可能性が高い」との見方が、突如、指摘され始めているという。 その理由を霞が関関係者がこう解説する。 「ねじれが解消し、衆参両院で与党が安定多数を占めたことから、今後、安倍総理は悲願の憲法改正に邁進するはず。ただ、“落とし穴”はもうひとつの課題にあるのです。安倍政権は、来年4月から消費税を8%に値上げすると公言してきた。10月にはこれを断行するか否かを決定しなければならないが、その最中に官邸ブレーンが慎重論を唱えだし、閣内が騒然とし始めたのです」 閣内紛糾の引き金となったのは、“安倍総理最大のブレーン”と伝えられる浜田宏一内閣官房参与の発言だ。 7月19日に経団連の夏季フォーラムに出席した同氏は、投票日前にもかかわらず「増税すれば直後のGDPは5%減と景気が冷え込み、減速してしまうのは必至」「(アベノミクスという)金の卵を産む鶏を殺す。増税は慎重になるべき」と発言。消費税引き上げで起きる景気の“中折れ論”をブチ上げ、先送りを訴えただしたのだ。 ただ、この浜田発言には裏があると見られている。 「永田町では、同発言は安倍が言わせたともっぱら。というのも、政権の高支持率はアベノミクスへの期待感が、円安と株価を押し上げたことに支えられている。それがパーとなれば支持率は急落し、政権の命運が尽きかねない状況に追い込まれてしまうからです。ゆえに、自民圧勝ムードで長期政権を目論む安倍が、政権の大ブレーキとなる消費税の値上げをうやむやにしようと画策。スピーチさせたというのが真相なんです」(政治部記者) また、安倍総理がこうした行動に出なければならなかった裏には、別の理由も渦巻いているという。 「それが財務省との暗闘なのです。実は、選挙前から同省は来年4月以降の中期財政計画の絵図を描き、8月上旬に閣議決定する手はずだった。そのため、自民の大勝が見え始めた頃から、安倍総理が大慌てで閣議決定をストップさせ、消費税値上げの先送りに動き出したといわれているのです」(前出・霞が関関係者) 要は、水面下で財源の確保を狙う財務省と、先送りに転じたい安倍総理の熾烈な攻防戦が展開していたのだが、その意地の突っ張り合いはもはや収拾のつかないところまできているのだ。 全国紙の政治部デスクがこう語る。 「消費税を是が非でも引き上げたい財務省は、閣議決定のストップに猛反発。増税派の旗振り役である麻生副総理兼財務相に、即刻ネジを巻くよう泣きついた。これが原因で選挙中にもかかわらず、安倍vs財務省の暗闘が密かに表面化していたほどなのです」 事実、消費税値上げの先送りに転じ始めた安倍総理に対する麻生財務相のクギの刺しようは、凄まじい限り。 浜田発言翌日の7月20日、モスクワで開かれた『20カ国地域財務相・中央銀行総裁会議』に出席した麻生財務相は、「来年4月の(消費)税率引き上げは、予定通りやりたい!」と強弁。また、参院選の大勝が決した7月22日の会見でも、引き上げの判断時期を「9月にすべき」と前倒し論を展開し、返す刀で「これは国際公約。変えると日本は大変なことになる!」と斬りつけたのだ。 政治部記者がこう話す。 「麻生は会見で景気の中折れ論にも触れ、『心配ならば補正をやれ』と恫喝した。ただこれはもっともな話で、国際公約した消費税の引き上げを先送りすれば、海外から非難を浴びるばかりか、長期金利が上昇して日本の国債は大暴落してしまうからです。だからといって引き上げを断行すれば景気が失速、政権の命取りになりかねない。安倍にとっては、まさに痛し痒しの状態といえるのです」
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社会 2013年08月04日 15時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第38回 デフレの原因
2013年7月21日の参議院選挙において、自由民主党が65議席を獲得。さらに、公明党が11議席。「衆参のねじれ」がついに解消された。 一方の野党側を見ると、民主党がわずか17議席という大敗北を喫したことで、 「自民党に代わり、日本の政権を担うことが可能な政党」 が、事実上、我が国から消滅してしまった。 もちろん、将来的に自民党に代わる政党が登場する可能性を否定する気はないが、現時点ではいわゆる「二大政党制」の時代が、完全に遠のいてしまったのは間違いない(筆者は別に日本の政治が二大政党制であるべき、などと考えているわけではないが)。 今後の日本の政界は、与野党の対決ではなく、むしろ「自民党内の路線闘争」が激化していくことになるだろう。 皮肉なことに、自民党内には明確な「争点」が存在してしまっているのである。すなわち、デフレ対策を巡る2つの路線だ。 A派:デフレ脱却のためには、金融政策と財政政策のポリシーミックスが必要で、公務員削減、公共投資削減、さらに規制緩和はデフレ促進策である。 B派:デフレ脱却のためには、金融政策のみで事足りる。財政政策は不要もしくは「多少必要」な程度で、公務員や公共投資は削減し、規制緩和を推進するべきである。 筆者がどちらの「派」に属しているかは、今さら言うまでもない。ちなみに、筆者は経済学者でも何でもないが、アカデミズムの世界でA派的主張を展開しているのは、いわゆるケインズ経済学者たちである。 それに対し、B派的な主張をしているのが新古典派経済学を信奉する構造改革主義者たちになる。 両派の違いは、突き詰めると「デフレの発生原因」から生まれていることが理解できる。「なぜ、デフレになるのか?」のロジックが、決定的に違うのだ。 A派は、デフレの原因を「需要の不足」であるとする。国民経済の供給能力である「潜在GDP」に対し、「名目GDP」という需要が不足し、デフレギャップが発生しているからこそ、デフレになっている。 解決策は「需要を増加させる」となる。日銀に通貨を発行させ、政府が国債発行で借り入れ、雇用・所得を生み出すように支出する。アベノミクスで言えば「第一の矢(金融政策)」と「第二の矢(財政政策)」を同時に実施することで、国内に政府の消費や公共投資という「需要」が新たに生まれ、デフレギャップが埋まる。 物価とは、国民の労働で生み出したモノやサービスの価格である。金融政策で「おカネ」の量を増やしたとしても、それがモノやサービスの購入に向かわなければ、物価は上昇しない。すなわち、デフレ脱却は果たせない。 重要なのは「誰か」がモノやサービスを購入し、名目GDP(需要)上の消費や投資を増やすことだ。デフレ期には民間の企業や家計がおカネを使おうとしない以上、政府がやるしかない。 特に、現在の我が国は東北復興、首都直下型地震・南海トラフ巨大地震等の「次なる大震災」に備える耐震化、老朽化するインフラのメンテナンスなど、政府がおカネを使わなければならないプロジェクトが目白押しになっている。 民間が自己負担で堤防を作り、道路や橋梁の補修を実施してくれるならばともかく、現実は異なるため、政府がおカネを使うしかない。 そして、政府が「国民の安全」のためにおカネを使えば、デフレギャップが埋まる。すなわち、デフレ脱却が果たせる。 何が問題なのだろうか? というのが、A派の主張である。 それに対し、B派はデフレの原因を「マネーの量の不足」に求める。B派の代表株である構造改革主義者の竹中平蔵氏は、7月3日の品川における基調講演で、 「デフレの原因は人口減少でも需給ギャップでもなく、マネーの量が少ないということ」 と、語っている。デフレの原因は「デフレギャップ(=需給ギャップ)」ではないと断言しているのだ。そして、デフレの原因を「マネーの量が少ないため」だという。竹中氏がいう「マネーの量」が何を意味しているのか、今一つ定義がよくわからないのだが、 「マネーの量とはマネーストックのことである」 というならば、氏の発言には「現実を見ていない」という評価を下さざるを得ない。 現実の日本ではマネーストック(貨幣の量)が意外に堅調に増えているにもかかわらず、コアコアCPI(物価指数)は下落を続けている。これは「モノ」や「サービス」の購入に使用されないおカネの動きにより、貨幣量が増えているということを示唆しているのではないのか。 実際、土地や金融商品(FXや先物商品など)がどれだけ購入されても、モノやサービスの購入がなされなければ、物価には何の影響も与えない。どれだけ「マネーの量(マネーストック)」が拡大しても、それが物価に影響するモノやサービスの購入に向かわなければ、インフレ率は上昇しない。 別に、筆者はデフレ対策としての金融緩和を否定しているわけではない。 単に、金融緩和でマネタリーベース(中央銀行が供給する通貨)やマネーストックを増やしても、それが消費や投資に向かい、「総需要が拡大する」ことがなければ、インフレ率は上昇しないと言いたいだけだ。 結局のところ、ポイントは「財政出動(政府による需要創出)」を認めるか否かに行き着く。 竹中氏は、公共投資等の財政出動の拡大には否定的だ。初めに「公共投資を否定する」という変わらざる結論があり、その結論に導くために「デフレの原因はデフレギャップではない。マネーの量の不足が原因だ」と主張しているだけではないのか。 そうではないというならば、せめて「マネーの量」の定義だけでも明らかにしてほしいものである。三橋貴明(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2013年08月03日 17時59分
児童買春、道交法違反などで教員免許失効していた男が“無免許授業”を繰り返していた
埼玉県警秩父署は8月1日、教員免許が失効していたにもかかわらず教員をしていたとして、群馬県片品村立片品北小学校の臨時教員・古畑正仁容疑者(53=群馬県片品村鎌田)を逮捕した。「教員免許を失効しているのは知っていた」と容疑を認めている。 逮捕容疑は、教員免許が失効しているのを知りながら、今年4月5日から12日までの間、埼玉県秩父市上影森の市立影森中学校で、数学の臨時教員として勤務した疑い。 同法違反容疑で、逮捕に至るケースは過去にほとんど例がないが、県警は悪質性が高いとみて逮捕に踏み切った。 インターネットで古畑容疑者の名前を調べた秩父市の中学校の生徒の保護者が、「過去に有罪判決を受け、教員免許が失効しているのでは」と学校側に連絡し、本人に問いただしたところ、無免許が発覚。4月12日、埼玉県教育委員会が採用を取り消し、7月に刑事告発していた。 古畑容疑者は今年5月20日に埼玉県教委に免許を返納したが、それ以前の同月上旬に群馬県教委に免許を提示し、同県片品村立片品北小学校の代替教諭に採用されていた。 県警や各地の教育委員会によると、古畑容疑者は85年、佐賀県教委から教員免許を授与された。05年、福岡県福岡市の中学校に勤務時に児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で逮捕され、有罪判決を受け教員免許を失効したが、07〜10年、無免許のまま山口県山口市の私立高校で勤務した。 10年6月には山口県教委から免許再交付を受け、11年4〜11月に大阪府貝塚市立の中学校に勤務。しかし、山口市での無免許勤務が発覚し、12年4月に教育職員免許法違反罪で罰金の略式命令を受けた。12年9〜今年3月には埼玉県日高市立の中学校で勤務していた。 12年10月には、道交法違反(無免許運転など)の罪で、懲役10月執行猶予4年の有罪判決が確定し、再び免許は失効。だが、古畑容疑者は教育委員会や勤務校に申告せず、無免許での勤務を繰り返していたとみられる。 埼玉県教委は「秩父市での採用時に、免許状を持参してきたので信用してしまった。今後は免許状や経歴について、各都道府県教委と密接に連絡を取りながら十分に確認し、採用に当たる」とコメントした。 教育職員免許法は、無免許で教員になった者は30万円以下の罰金と定め、免許失効時には速やかに返納するよう求めている。だが、有罪判決による失効の場合、本人の申し出がなければ把握が難しいこともあるというが、そこを是正しなければ、同様の不正行為はなくならないだろう。(蔵元英二)
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社会 2013年08月03日 15時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 民主党壊滅の原因
7月21日に投開票された参議院選挙で、民主党の獲得議席数が17と、改選前の3分の1に激減した。壊滅的敗北と言ってよい。 なぜ民主党は負けたのか。理由は明らかで、ウソつきと国民から断罪されたからだ。民主党は、自民党と対峙する政権交代可能なリベラル政党として設立された。労働組合の支持を受けたこともそのためだ。 リベラル政党としては、TPP反対、消費税引き上げ反対、原発再稼働反対、平和憲法堅持というのが素直な政策選択。ところが民主党政権は、まるで逆の政策を打ち出してしまった。しかも、それらは民主党政権末期の野田政権になってから鮮明になったものだ。これでは、リベラル勢力を支持する人たちからの支持が得られるはずがない。 特に、今回の問題は消費税引き上げだった。そもそも民主党政権が勢力を弱めたきっかけは、消費税だったからだ。3年前の参議院選挙前に、菅直人元首相が突然消費税増税を打ち出した。民主党は国民の信を問うことなしに消費税の引き上げはしないと明言していたのだから、これは明らかに裏切り行為だった。 その結果、参議院選挙で民主党は大敗し、衆参がねじれ状態に陥った。そこで民主党は反省して消費税増税を撤回すべきだったが、後を継いだ野田総理は、自民、公明と手を組んで、消費税増税法案を成立させてしまった。そのことが、昨年末の衆議院選挙での惨敗の原因になったのだ。 そして今回の選挙だ。民主党は消費税増税を既定路線として突き進んだ。ところが安倍総理は、「4月から6月のGDP統計などを踏まえて政治判断をする」として、消費税引き上げの態度を明確にしなかったのだ。増税法案を成立させた「共犯」であるにもかかわらず、まるで自民党のほうが消費税引き上げに慎重であるように国民には見えてしまった。民主党が選挙に負けるのは、当然なのだ。 民主党の細野幹事長は、敗北の原因は自分にあるとして、辞表を提出した。そして海江田代表の辞任を求める声も民主党内には広がっている。 しかし、民主党の退潮傾向を作りだしたのは、党の政策を右傾化させた民主党右派の人たちだ。具体的には、民主党6人衆と呼ばれる野田佳彦、岡田克也、玄葉光一郎、安住淳、枝野幸男、前原誠司の6人だ。彼らが支持を受けていない証拠は、今回の選挙で野田氏を除く5人の地元選挙区で、議席を失ったことだ。 だから、民主党を再生しようと思ったら、彼らを党の外に出すことが不可欠なのだ。しかし、彼らは今回の選挙で、表に出なかった。負けが見えている選挙で、先頭を走れば責任を取らされるからだ。 6人衆が居座りを決めるのは、民主党全盛期に大量に転がり込んできた政治資金があるからかもしれない。だから放っておけば、民主党はいつまでも6人衆支配が続き、浮かび上がれない。そのため、本当に民主党が再生を図ろうと思ったら、一番良いのは、いますぐ憲法草案を作り始めることだ。 憲法9条を守り、基本的人権を最優先する憲法草案を党として決定すれば、思想の異なる6人衆は出て行かざるを得なくなるだろう。作業を急がなければならない。これまでの体制が続いていたら、民主党は次の選挙で消滅してしまうからだ。