社会
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社会 2013年11月29日 16時00分
開会式シートをエサに早くも現れた「東京五輪」に群がる詐欺集団の“あの手この手”
2020年の東京五輪開催決定時に、小誌は今後続発する「五輪詐欺」の可能性を指摘し、警鐘を鳴らしたが、ここにきてついにそれが横行しだした。 五輪チケットをエサにした詐欺が報告されたのである。社会部記者が言う。 「10月に岐阜県に住む女性のもとに、『開会式の特別席が12万5000円で買える』とする『近畿日本ツーリスト』からのはがきが届いたのです。詐欺グループは卑劣にも別の業者を装い、後日この女性に『それを45万円で買う』と電話したが、不審に思った女性が『近畿日本ツーリスト』に問い合わせ、そんな入場券が発売されていないことが判明。警察に届けたのです」 ただし、これは氷山の一角。『国民生活センター』には、他にもさまざまな五輪詐欺が報告されているのである。同センターの関係者がこう話す。 「最近寄せられたのは、五輪関連企業の投資話です。一口20万円で金利は9.5%という高利回り商品を電話で紹介しまくっているのです。話を持ち掛けられた男性はおかしいと思い、同センターに電話を掛けたことから難を逃れたのです」 また、警察関係者はさらなる被害をこう語る。 「口コミで広まっているのは、五輪施設の受注計画にまつわる詐欺ですね。『すでに決まった建設計画と、メーンとなる受注業者が記されたリストを20万円で買わないか』というもの。さらに、一方では『受注企業の未公開株を買わないか』『代わりに買ってくれたら、後日、高値で買い取る』との詐欺話も横行しており、こちらはすでに被害者が出ている状態なのです」 要は、五輪にかこつけた詐欺話が急増しているのだが、今後はさらにこれが加速化すると見られているのだ。経済部記者が言う。 「アベノミクスで、にわか投資家が増えたため、今後はチケット詐欺や関連商品への投資話もゾクゾクと出てくるはず。実際、一部では10万円の五輪金貨の発売に出資を求められた者もいるほどです」 五輪関連の儲け話は、まずは疑ってみることが必要なようだ。
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社会 2013年11月29日 11時45分
大阪府警の警部補が摘発されたスカウトグループから性風俗、飲食を「ごっちゃん」していた!
大阪府警東住吉署刑事課の50代の男性警部補が、売春防止法違反事件で摘発されたスカウトグループの代表の男らから、性風俗や飲食の接待を受けていたことが分かった。 府警は、現時点では捜査情報の漏えいは確認されておらず、接待は1回だけで継続的ではなかったとしているが、不適切な行為として近く懲戒処分とする方針。警部補はすでに辞職願を提出している。 府警によると、警部補を接待したのは、大阪のキタやミナミの繁華街で女性をスカウトし、性風俗店に紹介していた「Rグループ」代表の男(28)ら。 代表の男はスカウト業の他に、ファッションヘルスやキャバクラ、ガールズバーなど計約20店舗を経営。売り上げの中から、暴力団に「用心棒代」を支払っていたため、警部補に「暴力団からの用心棒代の要求を断れないか」などと相談を持ちかけた。警部補は府暴力追放推進センターや、府警捜査4課の担当係を頼るようにアドバイスしたという。 その後、警部補は代表の男や、グループのメンバーと数回にわたり接触。11年8月頃にグループ側から、デリバリーヘルスの紹介を受けたほか、大阪市中央区の飲食店で約1万1000円相当の接待を受けた。 捜査対象者との癒着を防ぐため、府警では暴力団関係者らと接触する際は、上司の承認を求めているが、警部補は届けていなかった。警部補は「相談を受けていると思ったこともあり、(料金を)支払わなかったが、軽率だった」と話しているという。 代表の男は、同市西区の歓楽街「松島新地」の料理店に、20代の女性を紹介して売春させたとして、売春防止法違反容疑などで、今年1月に府警保安課に逮捕され、10月に大阪地裁で有罪判決を受けている。 警部補は暴力団の摘発を担当する捜査4課などを経て、10年に東住吉署刑事課に配属された。代表の男とは、以前に捜査対象だった暴力団関係者を通じて、11年2月頃に知り合った。(蔵元英二)
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社会 2013年11月29日 11時00分
「東電」希望退職者募集が生む若手の“集団脱走”危機
東京電力が創業以来、初めて希望退職者の募集に踏み切る方針を示した。既に新卒採用の抑制や依願退職者の増加で削減は進んでいるが、除染や廃炉費用などに巨額の血税投入が必至となった中で、少しでも身を切る努力をアピールしようとの“アリバイ作り”とみられている。 将来展望が全く描けない中、東電は管理職で30%、一般職で20%の給与カットを行っている。そのため毎年1000人超の定年退職者とは別に、依願退職者の急増ぶりにも拍車が掛かっているという。 「会社は詳細を公表していませんが、依願退職は若手の優秀な社員が多い。ただでさえ原発事故で肩身が狭く、給料ダウンとくれば会社に見切りをつけて当たり前。ほぼ半数は20〜30代が占めています」(関係者) 非常事態に陥った東電は昨年、今年と2年連続で新卒採用を見送った。来年4月には331人の入社が内定しているとはいえ、退職者はそれを大きく上回る。そこへ希望退職の追い打ちだ。まだ東電は募集条件を発表していないが、おそらく高額の退職金をはずむに違いない。「その場合、将来の東電を担うであろう若手幹部候補が次々と手を挙げる可能性もあります」と、東電OBが不安を口にする。 「優秀な彼らは引く手あまた。退職したいと漏らそうものなら即座に声がかかる。それどころか会社側の希望退職募集報道に呼応するように、大学の先輩や取引先を通じて“一本釣り”の動きが出ている。高給で優遇し、然るべきポストを用意すると口説かれたら、大半はグラッとするでしょう」 ご承知のように、原発事故に遭うまでの東電は“超”の字がつく優良企業で、東大出身のエンジニアなど人材の宝庫だった。その彼らが将来に失望した揚げ句、甘い誘惑に負けたら“難破船ネズミ”が現実味を増す。 針のムシロに座った廣瀬直己社長こそ、腹の中では「真っ先に逃げ出したい」と思っているかもしれない。
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社会 2013年11月28日 18時00分
江沢民を告発したスペインに非道100倍返し 世界を敵に回した中国に下る“天誅”
蛮国・中国の歴代国家主席が「虐殺」と「迫害」の罪で国際手配されるという前代未聞の騒動が発生。これが原因で、中国がおぞましき“報復措置”に出ることが懸念され始めた。 国際部の記者がこう語る。 「騒動は、亡命したチベット族と人権団体の告発を受けたスペインの『全国管区裁判所』が、11月19日に江沢民元国家主席(87)、李鵬元首相(85)、喬石元全人代常務委員長(88)ら5人の逮捕状を出したことが発端。罪状は'80年〜'90年代に行ったチベット族の大量虐殺と拷問だが、人権問題という最も痛いところを突かれた中国が『強烈な不満と断固たる反対を表明する』と猛反発し、両国の関係が一気に悪化したのです」 ちなみに、『全国管区裁判所』は国際人道問題に対し、手厳しい判断を下すことで知られた裁判所。過去にもチリで行われた大量虐殺容疑で、同国のピノチェト元大統領の逮捕状を出しており、この際には英国が逮捕した例もあるほど。 ただ、これが原因で今後は「野蛮国家」とレッテルを貼られた中国の露骨な意趣返しが展開することが、確実視されているのだ。 「国際手配とはいえ、国外に出なければ逮捕はされないが、怒りの収まらない中国は今後報復を行うはず。その方策と見られているのが、卑劣な経済制裁なのです」(国際アナリスト) このアナリストによれば、実は中国はスペイン国債を大量に保有しているという。そのため、今後はさらなる国債の買い付け拒否をチラつかせ、スペイン政府に猛プレッシャーをかけてくることが予想されている。 「また、中国はスペイン産ワインの大量消費国。国内ではフランス産に次ぐ輸入量を誇っているが、これが全面輸入禁止となる可能性が高い。ワインをはじめ、同国の農作物や加工品を国内から締め出すことが中国政府内で検討されているというのです。これが現実化すれば、経済再生に喘ぐスペインは大打撃。EUも、両国の関係改善に乗り出さなければならない事態となる」(同) “100倍返し”の報復とならなければいいのだが。
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社会 2013年11月28日 15時30分
求む!内部告発 実話WikiLeaks(ウィキリークス)が始動!!
総合週刊誌として、伝統と実績を堅持している「週刊実話」。事件や出来事の本質を見極める「真実の報道」は業界人をはじめ、多くの熱狂的な隠れファンから高い評価を得ている。そんな同誌が、「求む!内部告発 実話WikiLeaks(ウィキリークス)」という企画をスタートさせることがわかった。 同企画は、現在、高級飲食店の食材偽装、宅配業者のずな荷物管理、ネット通販の不当な価格表示などなど、コンプライアンスが厳しいはずの有名企業で、耳を疑うような不祥事が頻発中、こうした「有名企業の内部告発」を募集するというもの。 信憑性の高い情報は、「週刊実話」が極秘で裏取り取材を敢行。記事で取り上げる。「自分が勤めている企業を告発したいが、仕返しが怖い」という方へ、「本誌が天誅を下します!」と意気込んでいる。■郵送=〒105-8618 東京都港区東新橋2-11-8 株式会社日本ジャーナル出版「週刊実話」編集部 内部告発係■メール=njs-mail@nihonjournal.jp■ウェブ=http://wjn.jp/?t=information※いただいた全ての内部告発を取材する訳ではありません。情報の審査は「週刊実話」が独自の基準で行います。
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社会 2013年11月28日 11時00分
業界再編成 外資が狙う自動車メーカー 台風の目はスズキとマツダ
次はスズキとマツダが再編の目玉に急浮上する−−。 本誌が10月31日号で『背水の三菱、日産へ身売り五つの根拠』と報じたように、日産・ルノー連合と三菱自動車が濃密な提携関係の検討に入ったとプレス発表した11月5日、株式市場に冒頭のような観測が駆け巡った。世界の自動車産業はグループ化が加速する中、強力な後ろ盾を持たないスズキとマツダには、巨大外資の不気味な思惑が見え隠れするためだ。 スズキと独フォルクスワーゲン(VW)は2009年12月に資本・業務提携し、VWが発行済み株式の19.9%を取得した。提携の旗振り役を務めたのはオーナー一族の鈴木修会長兼社長だった。ところが「VWが決算報告書にスズキをグループ会社と記載したのを機に両社の関係がギクシャク」(関係者)した揚げ句、乗っ取りを警戒したスズキが'11年11月にVWの持つスズキ株の返還と提携解消を求めて国際仲裁裁判所に調停を申請し、現在仲裁が進行中。長期に及んだ訴訟は「年内もしくは来年早々に結論が出る」(同)ようだ。 果たして吉と出るか、凶と出るか。スズキが気を揉むさなかの9月6日、VWの母国である独経済紙が「フェルディナント・ピエヒ監査役会長(76)が健康問題を理由に数カ月以内に辞任する」と報道した。ピエヒ会長はスズキとの提携をまとめた実力者。本人は別の媒体で報道を即座に否定したが、これを額面通りに受け取る向きは少数派だ。気の早い退陣表明は権力基盤の崩壊に直結する。だから辞任表明は土壇場で行うのが鉄則なのだ。 しかし、たとえピエヒ会長が辞任したところでスズキが勝訴する保証はない。実力会長の去就と裁判は本来、別問題である。それどころか、もしスズキが勝訴した場合、厄介な問題が浮上する。 VWは保有するスズキ株を売却する。スズキが自社株買いできればベストだが、証券アナリストは「敵対関係になったVWが第三者に売却する公算が大きい。そうなったら今度こそ乗っ取り騒動に発展する」と指摘する。逆に、スズキが敗訴した場合はVWが一気に株を買い増し、これまた経営権奪取に大手がかかる。一難去って、また一難。どちらに転んでも厳しい前途が待っている。 「そのスズキに食指を動かしている自動車会社の中でも、がぜん目が離せないのはイタリアのフィアットです」と、海外のM&Aに詳しい関係者は打ち明ける。 フィアットは'09年に米ビッグ3の一角だったクライスラーに出資、2年前に子会社に組み込むなど極めて野心的な会社として知られる。そのフィアットがスズキに興味津々な理由は何か。関係者が続ける。 「フィアットにとってVWは欧州での最大のライバルです。そこでVWとスズキが訴訟に発展したころからライバル蹴落としの一環としてスズキに接近を図った。フィアットがスズキと小型SUV(多目的スポーツ車)を共同開発し、ディーゼルエンジンを供給してきたのもツバつけ作戦にほかなりません」(情報筋) 実はフィアットが舌なめずりしているのは何もスズキだけではない。今年の1月、マツダはフィアット傘下の『アルファロメオ』向けにスポーツ車のOEM供給で提携した。フィアットのラブコールに応えた提携にほかならず、かねてセルジオ・マルキオンネCEOは「宿敵のVWに対抗するため、スズキやマツダなど日本メーカーと関係を強化する必要がある」と公言してはばからない。 マツダOBによると、マツダとの交渉の際にマルキオンネCEOは資本参加に強い意欲を示したが、マツダ側が「やんわりと断った」とされる。OBが続ける。 「マツダは社長まで送り込んだ米フォードとの関係が事実上消滅している。現在はトヨタからハイブリッド技術を供与されているとはいえ、強力な後ろ盾になっていないし、そもそもトヨタにはマツダと心中する気などサラサラない。だからこそマルキオンネCEOが提携強化を口実にテイのいい乗っ取りを画策している。あわよくば、マツダ経由でトヨタが誇るHV技術の真髄を取り込もうとの魂胆ですから」 昨年初めまでフィアットはグループの世界販売600万台の目標を掲げていた。欧州危機で500万台に下方修正したが、だからこそ屈辱を晴らすため企業買収にシャカリキになる可能性も取り沙汰されている。 むろん、スズキに“絶縁状”を叩きつけられたVWの次の手からも目が離せず、前出のM&Aに詳しい関係者は「中国勢が不気味。国策として株式の高値買い取りを提案しないとも限らない」と警告する。 VWの“倍返し”とフィアットの“横恋慕”−−。 標的にされたスズキ、マツダには悩ましい年の瀬だ。
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社会 2013年11月27日 11時45分
警視庁の巡査長が出勤途中に駅で女子高生のスカート内を盗撮
とんでもないハレンチ警察官がいたものである。 女子高校生のスカートの中を盗撮したとして、警視庁小金井署地域課の男性巡査長(31)が、東京都迷惑防止条例違反の疑いで、現行犯逮捕されていたことが分かった。 同課によると、巡査長は11月13日午前7時50分頃、東京都武蔵野市のJR武蔵境駅構内の上りエスカレーターで、女子高校生(18)のスカートの中にスマートフォン(多機能携帯電話)を差し込み、動画撮影機能を起動させて盗撮したとされる。 駅構内を警戒中だった私服警察官が、不審な動きをしている巡査長を発見し、その場で現行犯逮捕した。 よりによって、巡査長は非番ではなく出勤途中で、「女性の下着が見たかった」と容疑を認めているという。 巡査長は立川簡易裁判所で罰金の略式命令を受けて納付し、22日に釈放された。 警視庁では、この不祥事を公表していなかったが、その理由について、同課は「被害女性の心情に配慮した」としている。 同課は「警察官がこのような行為をして申し訳ありません。調べを尽くして厳正に対処したい」と話している。巡査長は処分される見込み。 それにしても、現職の警察官が出勤途中に、女子高校生のスカート内を盗撮するとは、開いた口がふさがらない。この巡査長には警察官としての自覚もなければ、勤務が始まる直前の緊張感もなかったようだ。(蔵元英二)
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社会 2013年11月27日 11時00分
兜町で話題となったフジの株価 本業そっちのけのカジノ解禁話
フジメディアホールディングス(フジMDH)が兜町筋で人気を集めている。 例えば、11月11日にロイターが次のように配信したのが人気を呼び、12日付で久々に2100円台に乗った(最高値は5月15日の2330円)。 〈フジMHDが買い先行。カジノ解禁の基本法案が臨時国会で可決される方向になっている中で、同社と三井不動産、鹿島の3社がカジノやホテルを含む総合型観光リゾート(IR)を東京都の台場エリアに建設する計画を提案していることがわかり、材料視されている。三井不動産や鹿島の株価も上伸している〉 これまで、フジMDHはお台場カジノ計画で表面的に動くことはなかった。日枝久会長も「カジノがあれば近くにエンターテインメント施設が必要だし、ショーの演出はお手の物だからそれを請け負う」(月刊文藝春秋)と語るだけ。教育系スポンサーやおかたい主婦連中への配慮があったに違いない。 だが、ロイターはフジMHDを中核とした“カジノ実働軍団”が露骨に動き始めていることを明らかにし、証券業界もその動きを注視していることに触れている。 一方、カジノ解禁を目指す議員連盟の動きにも拍車がかかっている。 超党派の国際観光連盟(会長・細田博之自民党幹事長代行)は、解禁した場合の制度の概要を盛り込んだ実施法案の骨子を決定。「査察官」を配置し施設への立ち入り・監視権限や逮捕特権を与えるなど具体案を決め準備を進めている。 ただ、カジノビジネスのキーパーソンはあくまでも日枝会長である。 8月から10月にかけて、安倍首相と何度も食事をしたりゴルフをともにした。こうした行動は、お台場カジノ解禁をにらんで、様々な情報入手や関連する依頼をしたとみてよかろう。 もっとも、屋台骨が揺らいでいるフジはカジノに夢中になるより視聴率下位から脱出し、ブレた軸足を調整することが先決、という意見も日増しに強くなっている。(編集長・黒川誠一)
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社会 2013年11月26日 15時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第53回 蘇る構造改革
最近、まるで小泉政権期のように「構造改革」に関連した報道が増えてきている。 2013年11月9日、大阪市が100%出資する新会社に、30年間分の水道サービスの運営権を売却して民営化する方針を固めたとの報道が流れた。浄水場などの資産は大阪市が保有したままで、かつ水道料金にも上限を設ける、いわゆるコンセッション方式による民営化。既存の水道職員(約1600人)は大半が新会社に転籍となり、将来的には1000人まで削減するとのことである。大阪市が本当に水道事業を民営化した場合、全国の自治体では初となる。 水道の民営化が実施された場合、大阪市の行政コストは下がる(そもそも、それが目的だ)。とはいえ、別に水道の運営権を購入した「水道株式会社」は、新たな付加価値を創出するわけではない。水は単なる水であり、しかも現状の大阪市の水道サービスは「品質が悪い」「水が供給されない」等の問題を抱えているわけではないのだ。 例えば、現状の大阪市の水道サービスが、水質が悪い、あるいは「必要な家庭・企業に水が供給されない」などの問題を抱えていた場合は、水道の民営化は正当化される。水道事業を民営化することで、 「大阪市民に供給される水の品質が向上する」 「これまで水道サービスを提供されていなかった家庭・企業に、水が供給される」 などの「新たな付加価値」が創出される。新たな付加価値創出があって初めて、水道民営化は「正しい解決策」になり得るのだ。 とはいえ、現実は異なるため、大阪市が水道を民営化したところで、サービス享受者である大阪市民に対する付加価値が高まるわけではない。 付加価値を創出しないとは、「所得(=付加価値)のパイが一定」という話である。水道が民営化されたからと言って、 「それでは、水道サービスを使おう」 などと言う人は、一人もいないだろう。すでに、全ての大阪市民は、既存水道サービスのユーザーなのだ。所得のパイが増えない状況で、水道株式会社が「新規参入」し、事業を請け負う。そのために、法律を変更する。果たして、何が目的なのか。 さらに、11月12日には、経済産業省が家庭向け都市ガス事業者の利用者が「自由に」購入先を選べるようにする制度改革を実現するため、有識者会合を開いたことが報道された。事業者間の「競争」を促し、料金値下げやサービス向上につなげたいとのことである。 電力自由化や水道民営化も同じだが、ライフラインの公共サービスの「民営化」や「自由化」が正当化されるのは、 「ライフラインを提供する公共企業が、競争原理が働かないため、不安定で品質が悪いサービスを提供し、消費者の需要が満たされていないにもかかわらず、過剰利益を得ている」 ケースのみである。現状の日本のガスサービスは、上記の状況なのだろうか。 水道民営化のケース同様に、ガスの自由化を実現したからといって、 「ガスが自由化された。ならば、ガスを使おう」 などと判断する都市ガスのユーザーは一人も、繰り返すが「一人も」いないだろう。ガスのユーザーは、現時点でユーザーであり、自由化したからといって「ガスサービスの需要」「ガスサービスの付加価値」「ガスサービスの所得」が増えるわけではない。 GDP三面等価の原則により、付加価値(生産面GDP)と需要(支出面GDP)、そして所得(分配面GDP)は必ずイコールになる。 新たに付加価値が生まれるわけではないにもかかわらず、民営化、自由化路線を突き進み、新規参入企業に「レント(超過利潤)」を獲得する機会を与える。安倍政権は、レント・シーキング内閣と化すのだろうか。 さらに、翌13日には、政府が2014年度に地方自治体に配る地方交付税の算定基準について、「産業振興の成果を上げた地方自治体」に交付税を加算する制度を復活させると報じられた。本制度は5年前に廃止されたのだが、またもや「地方自治体に競争を強いる制度」が復活することになるかもしれない。 そもそも、地方税収で賄いきれない地方行政の経費を中央政府が補うものが「地方交付税」である。政府は、 「'14年度は企業業績の回復で、地方税収の増加が見込まれる」 としており(消費税増税の影響は考えられているのか)、交付税の給付について「産業振興の度合い」で差をつけようとしているわけである。 企業の誘致や産業振興に熱心な自治体には多くの地方交付税を普及し、そうでないならば交付を減らすという話なのである。 より具体的には、製造業の出荷や農業産出額などについて、過去の推移と比べて大きく伸びた自治体に交付税を加算する案が検討されているようだ。すなわち、 「地方自治体は互いに競争せよ。競争に勝ったところには、より多くの地方交付税を加算する」 という制度になる(戻る)わけだ。 現実には、現在のデフレ期に「産業振興」に努力していない地方自治体など、ほとんど存在しないだろう。努力を重ねてもなかなか所得を増やせないのが、デフレの残酷な一面。それにもかかわらず、結果で差をつける、ということだ。 インフレ期はともかく、デフレ期に企業誘致に成功する自治体はそれほどない。さらに、製品や農産物の出荷額が伸びる、伸びないは、自治体が当初から備えている環境条件(地理的条件など)に大きく左右されることになる。 各自治体の環境、パラメーターが異なるにもかかわらず、「同じルール」で競争せよ。勝った自治体には、交付税を多く出す。負けた自治体は、交付税が少なくなる…。 負け組になりたくなければ、自治体同士で互いに競争せよ、という話なのだろうか。まるで「ユーロ」である。ヘビー級ボクサーと、ストロー級ボクサーが、同じリングで戦うことを、制度的に強要するわけだ。 「競争」に負けた自治体は、十分な地方交付税を給付されず、公共サービスが劣化して行き、「さらなる負け組」への道を辿ることになる。 もちろん、健全なインフレ下で、経済成長率が高い時期であれば、それなりに正当化されるのかも知れない。だが、デフレで「所得全体のパイ」が縮小している時期に、自治体同士を競争させれば、所得のパイが増えていない以上、「勝ち組の自治体」が所得を増やしたとき、必ず反対側で「負け組の自治体」の所得が減ることになる。 この種の「路線」を突き進むと、最終的にどうなるか。実は、筆者は1年前の時点で、我が国で新古典派経済学に基づく「構造改革路線」を究極まで推進すると、社会がいかに変貌を遂げるのかシミュレートした小説『顔のない独裁者(さかき漣:著、PHP研究所)』を企画した。 本書は、まさに上記の記事が流された11月13日に発売となった。宣伝になってしまい恐縮だが、構造改革が行き着くところまで行き着いた世界を疑似体験したい読者は、ぜひとも一読してみて欲しい。三橋貴明(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2013年11月26日 11時45分
“出会えない”出会い系サイトの「サクラ」を書類送検 バイト時給は750円
京都府警と大分県警の合同捜査班は11月22日、出会い系サイトで、「サクラ」としてメールのやり取りをして料金をだまし取ったとして、詐欺の疑いで、アルバイトの女(42=大分県別府市)ら、29〜42歳の女4人男1人の計5人を書類送検した。全員容疑を認めている。 書類送検容疑は、昨年7月〜今年8月、出会い系サイト「おしゃべり広場」で、サイト会員を装って、大阪府高槻市の男性(74)ら5人とメールのやり取りをし、サイトの利用料29万1000円をだまし取った疑い。府警サイバー犯罪対策課によると、5人はサクラとして、1日12時間前後、時給750円で勤務していた。1人の男(38)は女性会員を装っていた。同サイトには約10人のサクラがいたようだが、この5人は勤務経験が長く、犯行を主導していたとみられている。 手口は「まずは食事をしたりデートをしたりしてみませんか」「少し話して印象がよかったら会いたい」などといった内容のメールを男性会員に送って、サイトの利用を促していた。同サイトには実在する女性会員はほぼおらず、ほとんどがサクラで、まさに“出会えない”出会い系サイトだった。 07年2月に開設された同サイトで、今年10月までに課金して利用した人数は全国で約5600人に及び、約8億4000万円の売り上げがあった。なかには、1000万円以上支払った利用者もいた。 男性会員の獲得方法も非合法的で、同社が不正に取得した約36億件のメールアドレスから無作為にサイトの勧誘メール(いわゆる迷惑メール)を送信。そこで、アクセスしてきた利用者と、サクラがやりとりをして、サイト利用に必要なポイントを購入させていた。 両合同捜査班は10月16日、同サイトの運営会社「ラパン」の元会長の男(59)、社長の男(62)ら役員6人を逮捕し、捜査を進めていた。(蔵元英二)