国際部の記者がこう語る。
「騒動は、亡命したチベット族と人権団体の告発を受けたスペインの『全国管区裁判所』が、11月19日に江沢民元国家主席(87)、李鵬元首相(85)、喬石元全人代常務委員長(88)ら5人の逮捕状を出したことが発端。罪状は'80年〜'90年代に行ったチベット族の大量虐殺と拷問だが、人権問題という最も痛いところを突かれた中国が『強烈な不満と断固たる反対を表明する』と猛反発し、両国の関係が一気に悪化したのです」
ちなみに、『全国管区裁判所』は国際人道問題に対し、手厳しい判断を下すことで知られた裁判所。過去にもチリで行われた大量虐殺容疑で、同国のピノチェト元大統領の逮捕状を出しており、この際には英国が逮捕した例もあるほど。
ただ、これが原因で今後は「野蛮国家」とレッテルを貼られた中国の露骨な意趣返しが展開することが、確実視されているのだ。
「国際手配とはいえ、国外に出なければ逮捕はされないが、怒りの収まらない中国は今後報復を行うはず。その方策と見られているのが、卑劣な経済制裁なのです」(国際アナリスト)
このアナリストによれば、実は中国はスペイン国債を大量に保有しているという。そのため、今後はさらなる国債の買い付け拒否をチラつかせ、スペイン政府に猛プレッシャーをかけてくることが予想されている。
「また、中国はスペイン産ワインの大量消費国。国内ではフランス産に次ぐ輸入量を誇っているが、これが全面輸入禁止となる可能性が高い。ワインをはじめ、同国の農作物や加工品を国内から締め出すことが中国政府内で検討されているというのです。これが現実化すれば、経済再生に喘ぐスペインは大打撃。EUも、両国の関係改善に乗り出さなければならない事態となる」(同)
“100倍返し”の報復とならなければいいのだが。