社会
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社会 2014年05月30日 11時45分
72歳の無職男が生活保護費を元手に違法な高金利で金貸し
低所得者や、病気等で働けない人のためのセーフティラインである生活保護が、とんだ形で悪用されてしまった。 兵庫県警生活経済課と神戸北署などは5月26日、高齢者らに法定金利をはるかに超える金利で、現金を貸したとして、出資法違反の疑いで、無職の男(72=同県神戸市東灘区深江北町)を逮捕した。 調べに対して、男は「よく覚えていません」などと容疑を否認しているという。 逮捕容疑は、11年3月〜8月頃、同県尼崎市の当時78歳の無職男性に対し、3回にわたって現金計20万7000円を貸し付け、法定金利の上限を上回る6〜71倍の利息計2万8000円を受け取る契約をしたとしている。 13年10月に、神戸市内の高齢女性から県警に被害相談があり、発覚した。 同課によると、04年以降、男が利用していた別人名義の3つの口座には、延べ88人から約1120万円の入金があったといいい、約10年の長きにわたって、計画的に高利で現金を貸していたもようだ。 男は08年4月頃から生活保護を受給しており、県警では男が生活保護費を元手にして、高齢者を対象に高金利で金を貸していた可能性があるとみて、裏付け捜査を進めている。 生活保護費の出どころはいうまでもなく税金であり、こんな目的のために支給されているわけではない。保護費を元手にして、金を貸していた男も問題だが、それに気付かなかった管轄の区役所も問題ではなかろうか。(蔵元英二)
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社会 2014年05月29日 11時45分
岐阜の税務署員が調査対象の会社から借金
名古屋国税局は5月23日、税務調査をした2つの会社の代表者から計380万円を借りるなどし、国家公務員倫理規程に違反したとして、岐阜県内の税務署に勤める40代の男性職員を停職6カ月の懲戒処分とした。職員は同日、依願退職した。 同局によると、職員は上席国税調査官で、愛知県名古屋市内の税務署で法人課税を担当していた11年10月〜12年2月、過去に調査した会社の代表者2人に頼んで、現金計380万円を借りた。そのうちの1人からは、約7000円分の飲食の接待を受けていた。借りた金は全額返済しているという。 同局では、職員が金を借りたことにより、税務調査で便宜を図った事実はなかったとし、「今後、このようなことが起きないよう、再発防止に努めたい」としている。とはいえ、貸した会社の代表者も、なんらかの便宜を期待しての行為だったはずだ。税務調査で“手心”を加えたと思われても仕方がない。 職員はキャバクラの飲食代や遊興費がかさんで、消費者金融から借金があった。その返済に困ったため、「親切そうだった会社の代表者から借りた」と説明しているという。 12年7月〜13年6月に、他の職員から預かった職員組合の組合費約29万円を流用していたことが昨年8月に発覚。その後、内部調査したところ、税務調査を担当した法人2社から借金していたことが判明した。 同局は「国民の信頼を損ない、誠に遺憾です。職員の綱紀の保持を徹底します」とコメントしている。(蔵元英二)
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社会 2014年05月29日 11時00分
資産売り尽して黒字を演出!? メディアが褒めちぎるパナソニック復活の幻想
一時は「破綻寸前」とまで陰口されたパナソニックが復活をアピールした。今年3月決算の連結純利益が1204億円となり、3期ぶりで黒字転換したのだ。昨年、一昨年とも7000億円を超える大赤字に塗れ“凋落のパナ王国”を見せ付けただけに、世間に与えた業績急回復の印象は鮮烈だった。 ところが決算会見で津賀一宏社長は「(中期経営計画に向けて)想定以上のすべり出しだ」と評価しながらも、「このままの伸びで目標に届くとは思っていない」と付け加えるのを忘れなかった。これは何を意味するのか。 決算発表に先立つ1カ月前の3月末、同社は2018年度の売上高を10兆円とする中期経営計画を発表した。この計画に沿って今年3月期に7兆7365億円(前期比5.9%増)だった連結売上高を、今期は7兆7500億円(0.2%増)、純利益を1400億円(16.2%増)と見込んでいる。とはいえ、計画に掲げる売上高10兆円は依然として高いハードルである。証券アナリストは「そこに津賀社長の歯切れの悪さが透けてくる」と指摘する。 「売上高を計画まで一気に引き上げる近道は成長分野でのM&Aです。そのためには財務体質を改善し、信用力を意味する格付けを上げるのが得策です。株式交換にせよ銀行から資金を調達するにせよ、高格付けは大きな武器になる。だからこそ津賀社長は情け容赦ないリストラを断行して黒字化を達成したのですが、自動車関連と住宅分野を除けば将来の成長性に乏しい。リストラに明け暮れてきた彼は会議の席で『その方策で赤字が解消できるのか』が口癖だった。黒字決算にこぎ着いた途端に『これで良かったのか』と疑心暗鬼になった側面は否定できません」 この数年来、パナソニックは赤字事業に大ナタを振るい、延命策に汲々としてきた。赤字の元凶と目されたプラズマ事業からの撤退、半導体の相次ぐ閉鎖と大幅な人員削減、さらには東京の汐留ビル、旧東京本社ビルなども売却した。その揚げ句、昨年暮れには数少ない黒字事業のヘルスケア事業を米投資ファンドに約1650億円で売却している。 「もしヘルスケア事業を売却しなかったら、今年3月期のパナは実質的に赤字決算だった。逆に言うと、ヘルスケアの売却で津賀社長は辛うじて面目を保った。これぞ彼の記者会見の歯切れの悪さの理由ですが、会場にいた大半の記者は津賀社長への配慮もあってダンマリを決め込んだのです」(前出・アナリスト) 同社のヘルスケア事業は補聴器や血糖値測定センサー、電子カルテシステムなどを手掛け、'12年3月期に売上高1336億円、営業利益88億円を確保した優良事業である。ところが津賀社長が強力に進めた“ノンコア(非中核)事業見直し”政策の下、「利益が出ていても、一段の事業強化には研究開発費や補完事業の買収などで多額の資金が必要、との理由で売却が決まった」(関係者)という。その裏に、売却マネーが転がり込めば決算に大きく寄与するとの打算があったのは疑う余地がない。 果たせるかな、大手格付け会社のフィッチは5月13日、昨年秋にソニーともども「投機的」水準、即ち“ジャンク債”まで引き下げたパナソニックの格付けを、投資適格水準の最下位レベルまで引き上げた(ソニーについては変更なし)。一方、ムーディーズは1月にソニーの格付けをジャンク債に引き下げたが、パナソニックについては投資適格ランキングの最下位に据え置き、4月になって「今後1年から1年半はソニーを上回る状態を維持する」との見解を発表した。 世間の目にどう映ろうと、恥も外聞もない決算対策が格付け会社から一定の評価を受けた格好である。 「津賀社長が矢継ぎ早の大型リストラにまい進した最大の狙いは、黒字決算を実現することで格付けを引き上げることです。しかし、さらなる格上げは小細工が利かない。将来戦略の柱の一つに位置づけている住宅事業は、テイ良く乗っ取った旧パナソニック電工の得意分野で、旧松下電器のプロパー社員には“外様”事業。これでノウハウを持つ旧電工サイドが反発したら、もう悲劇です」(パナOB) もう一つの柱に据えているのは電気自動車(EV)に代表される自動車用電池事業だが、現時点では「市場の期待が先行している」(関係者)のが実情。それどころか米ベンチャー企業のテスラモーターズとタッグを組んだはいいが、業界筋は「シタタカさでは先方が一枚も二枚も上手。パナは物わかりのいいスポンサーになりかねない」と警告する。 これで2本柱の一方、もしくは双方が頓挫したらパナソニックはどうなるか。黒字決算の演出でニンマリする津賀社長にとって、クリアすべきハードルは予想以上に高いようだ。
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社会 2014年05月28日 16時00分
国立・骨董店主殺害事件 陶芸家と17歳年下美人妻のドラマ「相棒」的犯行動機(3)
加えてタクシー運転手によれば、妻にはもこんな一面があったという。 「“あの女には気をつけろ”との注意が会社から出ていた。というのも、やたらとキレやすい性格なんです。道順なんかでも、料金をつり上げるためにわざと遠回りしたとか言い出すから、仲間がそれで何度も揉めたらしいですよ」 そのため、地元では浮いた存在でもあったという容疑者夫婦。そんな2人が作品の買い取り先として頼っていた一人が、田代さんだった。 『孤董館』は、田代さんが'75年に開業した骨董店で、書画、陶器、壺、刀剣など出所の確かな物だけを扱う、正統派な店として業界でも定評があったという。今回の事件を受け、業界関係者は、田代さんと櫻井容疑者に交流があったこと自体に驚きを隠せない様子だ。 「田代さんと正男容疑者の間に約10年前から取り引きがあり、約20回にわたって陶器を数十点やりとりしていたと聞いて驚きました。確かに正男容疑者は作陶の腕はまあまあで、そこそこの作品を作れる男です。しかしそれでは食べていけなくて、贋作を手掛けるようになった。最近になっては、自分で焼いてそれを汚し、安土桃山時代の作などと偽って売りにくるようになった。最初は100万円だ200万円だなどとふっかけてきますが、偽物だと指摘すると、10万でも5万でもいいから買ってくれと言う。そんなことを常習的にやっていた男と田代さんに関係があったことは意外。ただ、田代さんも優しい人だったから断りきれなかったのかもしれません」(東京の古美術店主) また、前橋市内で古美術店を営む人物は次のように語る。 「この何年かの間、正男容疑者が壺の収集家だと称して、古陶器を何点か売りに来ました。それでも、見たところ全くの偽物で買うわけにはいかないと言うと、『自宅の屋根を修理しなければならない。5万円貸してくれないか』と懇願されましたよ」 前出の古美術店主の話では、最近の骨董ブームで、贋作も5万円〜10万円で櫻井容疑者のような男から仕入れ、それを30〜50万円ほどで素人に売り捌く骨董商も多くいるとのことで、そのような市場も出来上がっているという。 陶芸家一本での稼ぎを夢見て一緒になった夫婦が、贋作での商売さえ限界を迎えた末路か。事件が発生した3日の夜、2人が水上温泉郷の共同浴場に現れる姿が地元住民により目撃されているが、人を殺めた事実は洗い流せない。
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社会 2014年05月28日 11時45分
京都の小学校教師2人が知人女性のオッパイ触ってクビ!
京都府警伏見署は5月24日、知人の女子大学生にわいせつな行為をしたとして、京都市立小学校の元教師2人を、強制わいせつ容疑で逮捕した。 逮捕されたのは、元同市立小学校教諭の男(23=岡山県津山市総社)と、元同市立小学校常勤講師の男(22=兵庫県姫路市亀山)。 逮捕容疑は、共謀し4月5日午前3時半頃、元非常勤講師の男が当時住んでいた京都市伏見区の自宅マンションで、同市伏見区の知人の女子大学生(20)の胸を触るなど、わいせつな行為をした疑い。 同署によると、元教諭の男は容疑を認めているが、元非常勤講師の男は「無理やりではない」と、“合意の元”を主張しているという。 2人の元教師は女子大生と同じ大学出身で、知り合いだった。事件当時は3人で、一緒に酒を飲んでいた。 女子大生が4月24日に被害届を提出し、府警が捜査していた。それを受けて、2人は同30日付で、諭旨免職処分になった。 京都市教育委員会によると元教諭は13年度、元非常勤講師は今年度に採用されたばかりの新米教師で、伏見区内の別々の小学校に勤務していた。 2人は酒に酔って、我を忘れて、教職者という立場を忘れてしまったのか…。自宅という気安さもあって、つい知人の女子大生の体を触ってしまったのだろうか。いずれにしても、教師にあるまじき行為である。(蔵元英二)
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社会 2014年05月27日 16時00分
国立・骨董店主殺害事件 陶芸家と17歳年下美人妻のドラマ「相棒」的犯行動機(2)
櫻井容疑者夫婦が住んでいたのは、谷川岳の南側麓に広がる水上温泉、上牧温泉がある水上温泉郷に近い観光地。国道291号線に面しており、『あそびの駅』という看板を掲げた2階建ての建物だ。 「あそこには、もともと観光案内所があったんですよ。看板はその頃の名残で、そのままになっている。10年ほど前に櫻井夫婦が地主から借りて、そこに窯を作ったんですが、あまり熱心に陶器を焼いている様子じゃなかったね。2人は道で会うと挨拶くらいはするが、地元の人との付き合いはほとんどなかった」(地元住民) その自宅兼仕事場を覗いてみると、20坪ほどの広さで風呂場もない様子。敷地内は雑然としており、ゴミが散乱していた。家の中も洗濯物が干されてはいるものの、古雑誌等で散らかされ生活の匂いはない。焼き物が陳列してあるわけでもなく、現在はおよそ陶芸家の住まいの趣を感じられなかった。庭には名古屋コーチンを飼っており、数羽が地面をついばんでいた。 別の周辺住民は言う。 「2人は'04年8月に新潟県長岡市から引っ越してきて、自宅で焼いた壺などを売って生計を立てていたようです。焼き上がった陶器を奥さんの車に積んで、群馬の前橋や高崎、東京方面へも売りに行っていました」 しかし、生活は楽ではなかったようだ。当初5万円で借りた家賃も滞りがちで、大家によれば、それを3万円に値下げしても、ここ2年半は滞納を続けていたという。 正男容疑者に関してはこんな話もある。 「大家が行くとお茶くらいは出していたそうですが、家賃の支払いの話になると態度をがらりと変えて、言葉が乱暴になった。タダで住むつもりかと家主が問うと、『100万出してくれれば出て行ってやる!』と開き直ったそうです」 夫より17歳下の久美子容疑者は、自宅から車で10分ほどのコンビニでパートとして働いていた。 「おそらくパートで稼いだ月々10万円程度の収入と、焼き物を売った不安定な収入で生計を立てていたのでしょう。ただ、奥さんの実家は新潟県長岡市の資産家だそうで、以前家賃はその実家が支払っていたと聞いたこともあります。だから、実家の援助で十分やっていけるはずなのにと噂していたんです」(別の周辺住民)
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社会 2014年05月27日 16時00分
大阪摘発・JKリフレ店 完全監視で借金まみれになった少女残酷物語
女子高生の個室接客が売りの“JKリフレ”が、ついに児童福祉法違反(有害支配)容疑で摘発された。5月12日、大阪府警少年課に逮捕されたのは、大阪市淀川区西中島の『萌えエステ・メイドの手』の経営者の男(48)ら3人。 これまでのJKリフレ店の摘発は労働基準法違反容疑(危険有害業務の就業制限)によるもので、児童福祉法違反では初となる。 「今回は、従業員への過酷な罰金や待機室の監視カメラによる行動制限が行われていたため適用されたようです。そもそも、JKリフレには“裏メニュー”の風俗サービスが横行する上に、罰金システムで女性を縛り付ける店が多い。これを皮切りに同種の摘発は増えそうです」(社会部記者) 『メイドの手』の摘発では、一度働き始めたら最後、なかなか辞めることができない異常な実態も浮かび上がった。 「客に下半身を触られ、店に助けを求めても我慢させられ、無断欠勤した場合は罰金として、平日3000円、休日5000円の支払いが課せられていたようです」(同) しかし、この程度の話は序の口のようだ。同店の元従業員がこう明かす。 「遅刻した場合、理由の如何を問わず10分1000円の罰金が基本。そこから分刻みに増えるから、約1万円の日当なんかアッという間になくなります。裏メニューも断ったら罰金、口の利き方が悪いで罰金。入店の際、辞めてもすぐに他店に行かないことを約束させられ、断ったら罰金…。払えない場合は店からの借金になるんです」 その罰金は、店を辞める場合にも発生する。 「そんなもの払う必要はないんですが、高校生は知識がないし、大ごとにしたくない。結局、店の言いなりになって、借金支払いのために自ら裏メニューに手を出す場合もあるんです」(同) この元従業員によれば、そのような罰金だらけのシステムは『メイドの手』に限ったことではないという。 客相手でも相変わらずボッタクリ店が多いというJKリフレ。極悪店が壊滅する日は来るのか。
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社会 2014年05月27日 15時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第77回 中国の内憂外患
中華人民共和国の「局面」が、4月30日に、決定的に変わってしまった。 東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)のウルムチにおいて、習近平国家主席が視察に訪れたタイミングで、主席を狙ったと思われる爆破テロが発生したのだ。新華社通信は死者3名、負傷者数十名と伝えているが、中国共産党が最近、ウイグル関連の言論統制を強めていることを考えると、実際の死傷者数は不明である。 ちなみに、東トルキスタンの中国式呼称「新疆ウイグル自治区」の「新疆」とは、「新たな領土」という意味になる。 元々、この地域に住んでいたウイグル人にとっては、新しい領土でも何でもない。というわけで、筆者は独立派のウイグル人が好んで使う「東トルキスタン」を、あえて用いている(ついでに書いておくと「ウイグル族」という呼び方も問題だ)。 さて、ウルムチでの爆破テロだが、よりにもよって、習近平国家主席が「テロに対しては、厳しく先手を打って対応する」と、テロ対策の強化を指示した直後のタイミングで実行に移された。 習主席本人は難を免れたものの、「習近平政権」に対するインパクトは、凄まじいものがある。何しろ、意外に思うかも知れないが、中国で国家主席を狙ったテロが発生したのは初めてのケースだ。 5月12日、中国のメディア『サーチナ』が、新浪財経の報道を引用し、中国不動産市場の「調整」の記事を配信した。 中原集団研究センターによると、5月1日から3日にかけての連休中に、中国54都市における新築住宅の売買件数が、何と前年比で47%減にまで落ち込み、過去4年で最低の水準に至ったとのことである。 中国の不動産投資(GDP上の民間住宅)はGDP全体の16%を占める。 しかも、債券を発行できない地方政府は、不動産の売却益(厳密には使用権の売却)をメーンの財源としてきた。中国の不動産バブル崩壊は、民間経済のみならず、地方財政をも直撃するのだ。 現時点で、少なくとも上海や天津など、沿海大都市の不動産価格の上昇が頭打ちになってしまったのは確実だ。 不動産価格の下落は、すでに首都の北京にも波及している。 先日、北京の大手デベロッパーが販売したマンション価格が、1平方メートル当たり2万2000元(約36万円)と、元々の予定価格より3000元(約5万円)値下げされて販売され、中国の不動産市場に衝撃を与えた。 もっとも、1平方メートル当たり36万円ということは、70平米だと2520万円になる。 いずれにしても、中国の国民所得から考えると「高すぎる」価格ではある。 中国経済の失速は、すでに実体経済の指標にも表れている。 HSBCが発表する恒例の製造購買担当者指数(PMI)の4月確報値は、48.1であった。PMIは中国経済の先行きを示す指標で、50を下回ると「経済失速」を意味するのだが、4月は速報値の48.3からさらに下方修正されてしまったのだ。 民族問題の悪化、経済失速に加え、環境問題の深刻化も継続している。 一部の都市では、人体に有害な微粒子PM2.5が、「測定不可能」な濃度になることも少なくない(測定器のメーターを振り切ってしまうのだ)。 中国は大気汚染対策として、自動車の排ガス規制を2013年7月に開始した。自動車の排ガスに含まれる一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物、粒子状物質の4種について、既定の数値以下に抑えることを義務付けたのだ。 法律が施行されたことで、基準を満たさない自動車は販売や登記が不可能になっているが、例により「偽の合格証」が出回っている。排ガス規制を満たさないディーゼル車が、「基準合格取得車」として堂々と販売されている有様だ。 現在の中国にとって、「環境問題の解決」と、「経済成長の持続」は明らかにトレードオフ(一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ない状態)の関係になる。 中国共産党が自らの権威を維持するために、経済成長路線を継続しようとすると、必然的に国内の環境問題は悪化する。 環境破壊からは中国共産党幹部ですら逃れることができない。 自らを守るために、経済成長路線を放棄できない中国共産党は、日に日に悪化する環境に苦しめられる中国人民の怒りを、真正面から受け止めざるを得ないのだ。 さらに、中国は現在、東シナ海の尖閣諸島で日本と対立しつつ、同時に南シナ海でも東南アジア諸国との軋轢を強めている。 5月12日、南シナ海のパラセル諸島(西沙諸島)近海で中国とベトナムの艦船が衝突。互いに放水し合う映像がベトナム国営放送により流された。 アメリカのケリー国務長官は、 「我々が抱える新たな問題は、西沙諸島での中国の挑戦だ」 と、コメント。中国の挑発を「国際法に基づく秩序への挑戦」と非難した。ケリー国務長官が、中国を名指しして批判したのは、実は初めてである。 また、中国が南シナ海のスプラトリー諸島(南沙諸島)で実効支配している暗礁に、大量の砂を持ち込み、埋め立てにより陸地を拡張していることが発覚。すでに小規模な基地を設置し、フィリピン側が、 「暗礁を島にする異例の動きで、基地強化の一環」 と、警戒をあらわにしている。 フィリピンは5月6日、スプラトリー諸島のハーフムーン礁沖合で、海洋警察が中国漁船一隻を拿捕。フィリピン外務省が、 「中国漁船は多数の絶滅危惧種を積んでいた。フィリピン海洋警察は海洋法の順守や、主権の維持のために業務を執行した」 とする声明を発表したのだが、中国側は有効な対抗策を打てずにいる。 中国の海洋戦略は、明らかに手詰まりな状態に陥ろうとしているのだ。 民族紛争、バブル崩壊、環境破壊、そして外国との衝突。というよりも、環境問題や民族問題、経済問題が「どうにもならなくなった」結果、人民の目をそらすために南シナ海での軍事的圧力を強めているという考え方も、当然ながらあるわけだが、それすらも限界に達しようとしているのである。まさに、内憂外患だ。 いずれにせよ、史上初の「主席を狙ったテロ」が発生した中国は、2013年までとは「異なる局面」に入った可能性が濃厚である。 冗談ではなく、大げさでもなく、日本は「中国の混乱」に真剣に備える時期が来たのだ。三橋貴明(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2014年05月27日 11時45分
国内LCCが相次ぎ減便 ピーチに続きバニラ・エア、ジェットスターも
LCC(格安航空会社)はあてにならない!? 関西拠点のピーチ・アビエーションが、病欠する機長が要員計画上の想定を超えて発生し、予定した新規の機長の確保が当初見通しを下回ったため、5月19日から10月25日までの間、2000便以上を欠航することになったが、これだけでは終わらなかった。 ANA傘下で成田を拠点とするバニラ・エアも、ピーチ同様に、機長の人員が確保できなかったため、6月に154便を欠航させることを決めた。欠航する路線は成田〜那覇、成田〜新千歳。7月以降は計画通り運航するとしている。 関係者によると、バニラ・エアには約60人のパイロットがいるが、退職などの理由で、6月の1カ月間は一時的に機長が不足するという。 さらに、ピーチでは機長不足のため、8月に56便を追加で欠航すると発表した。新たな欠航は那覇〜台北便。理由は他社から移籍した2人の機長を、7月末から乗務できるように訓練中だったが、5月になって退職を申し出たという。 また、こちらは機長不足ではないが、成田拠点のジェットスター・ジャパンが、新たに整備拠点とする関西空港で準備の遅れから、6月3日に予定していた増便を9日間延期することになり、この影響で、すでに予約を受け付けている101便の運休を決めた。欠航するのは成田〜福岡、成田〜那覇、成田〜関西、関西〜那覇、関西〜福岡の各路線の一部。 航空業界ではLCCの参入により、大手との激しい集客合戦がぼっ発している。その一方で、LCCはパイロットの確保、養成が追い付かず、機長不足が深刻化している。(蔵元英二)
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社会 2014年05月26日 21時00分
国立・骨董店主殺害事件 陶芸家と17歳年下美人妻のドラマ「相棒」的犯行動機(1)
5月3日、東京・国立市の骨董品店主が白昼に刺殺され店内から美術品が奪われた事件で、14日になり、被害者といわば同業の陶芸家夫婦が逮捕された。 陶芸家の夫は「金を借りようと(店主と)相談したが、交渉がうまくいかずに刺す結果となった」と殺害を認めている。その動機の中には、最近のシニア層を中心とする“骨董ブーム”に蠢く“贋作”の製造・販売という、古美術界の裏の部分も見え隠れする−−。 事件現場となった骨董品店『孤董館』は、JR中央線国立駅から150メートルほど離れた静かな通りに面している。殺害されたのは同店経営者、八王子市長沼町に住む田代正美さん(73)。 「田代さんは店内の奥にある事務所で胸と腰数カ所を刃物で刺され死亡していた。犯行時間は午後4時前後。店のショーケースからは壺や茶器、短刀などの美術品10数点が盗み出されており、白昼堂々行われた大胆な手口に近隣住民は震撼させられました」(社会部記者) 一方、強盗殺人容疑で逮捕されたのは、群馬県利根郡みなかみ町の陶芸家・櫻井正男容疑者(66)と、妻のパート従業員、久美子容疑者(49)。容疑を認めた夫に対し久美子容疑者は、「私は殺していない。夫が壺や短刀、財布を取ってきた」と、殺害については否認する供述をしているという。 「事件発生時前後、骨董品店の前に、女が助手席に乗った白っぽい軽自動車が停められ、男が壺を運び込んでいるところを複数の通行人が目撃していた。近所の住宅の防犯カメラ映像を調べたところ、その車が久美子容疑者名義のものであることを特定、Nシステムなどで走行を追跡し、関越自動車道水上インターで降りたことを確認。さらに2人が田代さんの10年来の友人で、20数回美術品や陶器を売りに来たこともわかった」(捜査関係者) 司法解剖の結果、田代さんの死因は失血死。現場には抵抗した痕跡がなく、背後から突然襲われたことを物語っていたという。 「凶器に使用された刃物は、14日に櫻井容疑者宅の自宅周辺の畑から発見されている。また同じ場所から、田代さんの血液が付いた衣類や財布が見つかった。事件前の3日午後3時半頃、田代さんの携帯電話に正男容疑者から着信があり、田代さんは外出先から4時頃には骨董品店に戻ったが、同行していた久美子容疑者が携帯電話を所有していたにもかかわらず、この着信は公衆電話からのものだった。また、正男容疑者が自宅を出るときにはすでに刃物を用意していたことからも、最初から借金を断られた際に田代さんを襲い、金品を強奪するつもりだったようだ」(同)