社会
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社会 2018年05月22日 08時00分
安倍政権続投に有無も言わせぬ麻生財務相のえげつない「おねだり」
森友学園問題、加計学園問題、自衛隊の日報問題、そして財務次官のセクハラと安倍政権に対する国民やメディアからの信頼を裏切った形の安倍政権だが、そんな中、強気の発言が山崎拓元副総裁からでた。山崎氏は5月15日、都内で講演し、9月の党総裁選について「まだ内閣支持率は高い。3選は可能だ」との認識を示したのだ。 それに呼応するかのように、自民党関係者からは「加計学園の獣医学部新設を巡る疑惑についても、野党は追及しきれない。秋の自民党総裁選での安倍首相3選の気配は濃厚になってきた」との声が大きくなってきている。 そうした中、5月8日夜、安倍首相が麻生太郎財務相と都内で約2時間にわたり会食。その内容について永田町界隈では様々な憶測が流れているという。 「サシでの会食が行われたのは、2人がよく訪れるフランス料理店。しかし、くつろげる場とは裏腹に、かなりエグイものだったようだ」 とは、麻生派関係者だ。 安倍首相の3選へ向けては、自身の細田派、二階派、そして麻生派の主要3派が、表向き首相支持を打ち出しており、国会議員票では他候補が出たとしても勝てる状況だ。 「首相としては、これに竹下派と岸田派、さらに無派閥も可能な限り取り込み、圧勝まで持っていきたい。地方票対策では、すでに大阪都構想の反対表明、来日した中国の李克強首相の北海道訪問に同行してアピールするなど着々。会食の内容は、麻生氏による支持の念押しといったところだろう」(自民党関係者) 加えて、財務省に絡んでは、昨今しきりに話題に上る解体に関してや、3選後の最大のテーマとなる消費税増税にも話が及んだという。 「相次ぐ疑惑の主役となった財務省については、国民の納得を得るためにも看板を代え、歳入庁などの新名称にして印象を一新させることで一致したとの話もある。さらに消費税増税については、首相が10%へのアップの先延ばしを強く主張、これについても麻生氏は、渋々だが了承したという」(前出・麻生派関係者) しかし麻生氏が、それでなおかつタダで3選支持を約束するはずなどないという。 「自分が抜ければ安倍政権がグラつくことから、辞任する気はサラサラない麻生氏だが、すでに安倍3選後のポストを目論んでおり、会食でも暗に示したという。それは副総理兼外相とされ、さらに現外相で麻生派の河野太郎氏を官房長官、同じく麻生派で首相とはお友達の甘利明氏を財務省に代わるカネどころに就かせるというもの。これらは、重要ポストを麻生派で占めると同時に、先々の“河野首相”体制を見据えた麻生氏の院政が見え隠れしています」(全国紙政治部記者) 麻生氏のえげつない「おねだり」に安倍首相がどう対応するか動向に注目だ。
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社会 2018年05月21日 23時20分
「ながらスマホは学力を破壊する」林修、スマホ使用時間とテスト平均点の関係を紹介
5月20日に放送された『初耳学』(TBS系)で、林修が「ながらスマホ」の危険性を語った。 まず、林は「ながらスマホは学力を破壊する」と主張。林は仙台市の小中学生を対象にアンケート調査した、数学の平均点とスマホの1日の使用時間が示されたグラフを出し、「スマホの使用時間が伸びれば伸びるほど、数学の平均点が下がっていることが明確に読み取れる」と話す。 スマホの使用時間が1時間未満だと、数学の平均点は約70点。使用時間が4時間以上になると、平均点は約55点という結果になった。 続けて、2時間以上勉強だがスマホの使用時間が4時間以上の生徒と、勉強時間は30分未満だがスマホの使用時間が1時間未満の生徒なら、後者の生徒のほうが成績が良かったと説明。つまり、勉強時間が短くても、スマホの使用時間が短い生徒のほうが、成績が良いようだ。 これらの調査結果から、林は「学力低下の原因の1つが、勉強中にスマホを使う“ながらスマホ”ではないか」とスマホの使用時間と学力に相関があった原因を推測した。 今年3月、『NEWSな2人』(TBS系)に早稲田大学教授・枝川義邦氏が出演した際、「脳の中では変化が起きているんですね。スマホをいじって、ネットで動画を見て、テレビもつけている…これをデジタルマルチタスキングって言うんですけど、これを長い時間続けている人は、脳の神経細胞のダメージが大きいんです」と説明していた。 そこでは、「いろんな判断をしたりスケジュールを立てたり、人間らしい活動をする時に必要な前頭前野っていう場所があります。こういったところが(デジタルマルチタスキングをすると)ダメージを受けやすく、続けていると機能が落ちてしまう」と“ながらスマホ”のリスクを語っていた。 スマホは私達の生活を便利にしてくれたが、そのリスクもキチンと理解しておく必要がありそうだ。
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社会 2018年05月20日 22時00分
【放送都市伝説】今ならタブーな生放送内容で、犯人逮捕に協力した伝説の番組
1970年代から80年代にかけて日本テレビで放送された人気情報バラエティ番組『テレビ三面記事 ウィークエンダー』。 この番組が放送されていた1977年、同番組の取材をきっかけに指名手配犯の男が無事に逮捕されるという出来事があった。 1977年2月14日の読売新聞の夕刊は「ウィークエンダー犯人逮捕」という見出しで、この“大捕物”を報じている。 記事によると、2月12日放送の『ウィークエンダー』が、1976年12月に大阪市内で発生した婦女暴行事件を「変態強盗暴行魔」というタイトルで放送。番組によると大阪府北区に住むA子さんの自宅に暴行魔が侵入。A子さんが激しく抵抗したため男は暴行を諦め逃亡したのだが、男は逃げる際に、自分の顔写真が入った小物入れを落としていた。男は婦女暴行の容疑で全国指名手配されたが、事件から2ヶ月経過しても有力な情報が手に入らなかった。 この事件に目をつけたのが同番組のスタッフ陣。スタッフはすぐに現地調査を行い、人気レポーターであった桂朝丸(現:桂ざこば)も現場に急行。生放送中に暴行魔が落とした顔写真入りの小物入れをモザイクなしで放送した。 すると、放送してからすぐ、視聴者から「よく似た男が博多市のスナックで働いている」との情報が福岡県博多署へ寄せられ、博多署が男の行方を調査したところひとりの男が捕まった。捕まったのは福岡県在住の二十代の男。男は日常的に女性に暴行を働いており、この日も自身が住む福岡から離れた大阪へ女性を暴行する目的で旅行していたという。 同番組の担当者は読売新聞の取材に応え、「事件自体は大阪の夕刊に載っていて知った。写真を落としていたとはいえ、こんなに早く犯人が捕まるとは思ってもみなかった」と話している。 現在はコンプライアンスや報道規制の問題から、容疑者の顔写真が生放送中に登場することはほぼないが、規制なしに悪人をただひたすらに追い詰める『ウィークエンダー』および昭和のテレビ局の姿勢はなんともパワフルである。文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)
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社会 2018年05月20日 15時00分
天下の猛妻 -秘録・総理夫人伝- 橋本龍太郎・久美子夫人(中)
映画会社・東宝から第1期ニューフェースに誘われ、『若大将シリーズ』で人気のあった加山雄三と同期の俳優になっていたかもしれない橋本龍太郎は、代議士になる頃から「女性人気」が抜群だった。美男子のうえに髪をヘア・クリームでベットリ固めた姿は、貴公子然、周囲の女性が我を忘れるのは言うまでもなかった。 その橋本は選挙に抜群に強かった。理由は大きく二つあった。一つは、妻の久美子がほとんど東京住まいの橋本に代わって選挙区の岡山に住み、地元後援会をキッチリまとめあげる手腕があったこと。二つ目は、美男子の橋本に地元の女性が圧倒的にマイッてしまったことであった。久美子の手腕については、地元記者のこんな証言が残っている。 「ざっくばらん、気取ったところが一つとしてなく、かつ周囲への気配りが抜群に利いていた。スピーチをしても、そっくり返っているような橋本とは大違いで、断然、夫人のほうがウケた」 久美子のざっくばらんのスピーチには、じつはこんな“失敗”もあった。大分県で講演に招かれた折、週刊誌に「下ネタ大爆笑」とスッパ抜かれたのである。話の経緯は、こうであった。 橋本の選挙の際に、それこそ昼食抜きで朝から晩まで歩き続ける体験に触れたあと、「こうすると身体のシェイプ・アップになるし、お産で緩んだアソコも締まりがよくなります!」とやってしまったのだった。 もとより、代議士夫人によるこの手の話は大ウケだったが、サービスのつもりでしゃべったことがアダになったということだった。自民党の中からも「やりすぎ」の声が出た。しかし、当時、幹事長代理だった野中広務などは、「これはスゴイ。画期的なデキゴトだ」と妙な感心をもたれ、コトなきを得たのだった。 一方、選挙の際の橋本の「女性人気」は、なんとも凄まじかったらしい。いまの小泉進次郎を遥かに上回るそれだったことが彷彿させる。前出の地元記者の証言の続きである。 「街頭演説をやると、集まるのは大半が女性、それも若い女性が圧倒的だった。まさに“若武者”登場といったフンイキで、握手してもらって腰の抜けた女性もいたし、ホントに失神した女性もいた。女性の聴衆は、話なんて聞いていません。顔を見ているだけという感じがあった。“顔見世興行”だけで、橋本本人としては十分だったというワケです。もっとも、選対本部は冷静で、確かに若い女性はよく集まったが、子細に分析すると選挙権のない未成年の女のコが多く『大丈夫かいな』と、いつも危機感を引きずっていた」 かくのごとくモテモテの橋本だったが、後年の橋本には情報部員とも見られていた中国人女性、料理屋の女将、ホステスなどとの交際があまた伝えられるなどの“艶福家”ぶりも知られていた。これにはウラがあり、前述したように、橋本は東京暮らし、妻の久美子は選挙区の岡山暮らしという「別居生活」が、代議士2期目から政界引退となるまで約40年間も続いていたことが大きかった。 要するに、カミサンが居ぬ間のもっけの幸い、一人ノビノビの橋本の“女遊び”ということだったようだ。モテる男だっただけに、女性もまた放っておかなかったのである。そうした“夫と女性”について、久美子は内心はともかく、あっけらかんと次のように語っていたものだった。 「結婚するときは、この人はモテるだろうなとは思っていましたが、まあモテない人よりモテる人のほうがいいかなとも思ってもいました。主人はじつに女性には優しいし、まあ仕方がないかと。クリントン米大統領のヒラリー夫人に会ったとき、『お互いよく誤解されるわけね』と笑い合ったものです。私たちはお互いを信じ合っているというのか、私は割りに聞き流しちゃうタイプだから」(『週刊朝日』平成10年8月21日・28日合併号=要約=) ここでのクリントンについては、ホワイトハウス内で若き臨時職員女性と“性的関係”を持ったとのハナシを指している。 そんな久美子に対し、橋本が政界引退後、自民党のベテラン議員からは次のような評があったものだった。 「政治家夫人として不向きとされるのは、夫の仕事、同僚議員のこと、ホントかウソか分からないような女性の話に、あれこれ口バシを入れる女性だ。久美子夫人はあらゆる雑音を聞き流し、それがまったくなかった。うるさいマスコミとも上手に付き合い、選挙区もキッチリ守る理想的な政治家夫人の筆頭と言っていいだろう。“橋龍”が首相の座まで駆け上がれたのも、半分以上は久美子夫人あってのことだった」 橋本の異名は、「風切り龍太郎」であった。田中角栄がタイコ判を押したほどのキレ者、怖い者なしで突き進んでいったことから来ている。当然、風当たりも強かったが、これも文字通り柳に風、受け流す度量の持ち主の妻・久美子だったのである。=敬称略=(次号につづく)小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材48年余のベテラン政治評論家。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書に『決定版 田中角栄名語録』(セブン&アイ出版)、『21世紀リーダー候補の真贋』(読売新聞社)など多数。
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社会 2018年05月19日 15時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 恋愛と贅沢と資本主義
19世紀から20世紀初頭にかけて、ドイツで2人の偉大な経済学者が活躍した。マックス・ウェーバー(1864〜1920)と、ヴェルナー・ゾンバルト(1863〜1941)だ。ウェーバーは、勤勉と節約が経済成長の源泉だと主張し、ゾンバルトは、『恋愛と贅沢と資本主義』という著書で、恋愛と贅沢が資本主義を発展させたと論じている。 ゾンバルトは、ヒトラーに協力したのではないかという嫌疑をかけられたこともあって、戦後しばらくの間、歴史から名前を消された。 だから、戦後の我々は、ウェーバーの教えに従って勤勉に働き、貯蓄に励んだ。その貯蓄が、銀行を通じて企業に融資され、活発な設備投資と生産能力拡大をもたらしたことが、戦後の経済基盤となった。 その意味で、ウェーバーの経済学は、戦後復興期には実に大きな役割を果たしたと言える。しかし、いまはどうだろう。資金不足で設備投資がままならず、生産能力が足りないということは、まったくない。モノもカネも溢れかえっている。足りないのは、供給ではなく、需要の方だ。 ゾンバルトは、フランス革命前、アンシャン・レジーム時代の貴族の家計簿を徹底分析して、重大な発見をする。それは、ガラス製の鏡や絹織物やレースなど、それまでの欧州には存在しなかった商品は、貴族が高等娼婦を喜ばすために莫大な私財を投じて開発させたという事実だ。 そうした商品が、その後、大量生産されて、資本主義が発展したというのだ。ゾンバルトは、経済を需要側から見ており、現代の経済状況に適した経済学だと、私は考えてきた。 実は最近、『恋愛と贅沢と資本主義』の漫画版が発行された。私が原書を読んだのは10年以上前だが、漫画は原書の10分の1くらいを切り取って、ストーリーを描いている。ただし、その分、論点が浮かび上がって、大きな発見があった。それは、アンシャン・レジーム期のフランス社会が、いまの日本に酷似しているということだ。 第一は、当時のフランスでは、金持ちは税金をいっさい支払わず、すべて低所得の庶民が負担をしていたという事実だ。いまの日本は、そこまでひどくはないが、税・社会保険負担率は、年収100億円の富裕層のほうが、年収300万円のサラリーマンより低いというのが現実になっている。 第二は、都市の形成だ。貴族の贅沢を支えるため、アンシャン・レジーム時代に都市に住む庶民が増えて、都市化が進んだ。いまの日本を見ても、まったく同じ理由で東京一極集中が起きている。 第三は、貴族階級の恋愛三昧だ。いまの新富裕層も、考えていることは恋愛と贅沢ばかりだ。もちろん現代に娼婦は存在しないが、実質的に同じことをする女性が、富裕層に群がっているのだ。 第四は、貴族と庶民の格差がどんどん拡大していったことだ。ただ、18世紀のフランスでは、あまりに浮世離れした貴族の贅沢が庶民の怒りを爆発させ、その後のフランス革命によって、アンシャン・レジーム時代は、終わりを告げた。 いまの日本人が、当時のフランス市民と同じような怒りを共有できるのか、私はそこが一番心配なのだ。
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社会 2018年05月18日 22時40分
罪の意識なし?「ホストには使ってない」詐欺罪で捕まった元美人女医がテレビ出演
5月17日に放送された『直撃!シンソウ坂上』(フジテレビ系)に、不正に診療報酬を受け取ったとして詐欺罪に問われ、2016年に懲役3年執行猶予4年の有罪判決を受けた元女医の脇坂英理子氏が出演。犯罪に手を染めた経緯を語った。 脇坂氏は、知人に紹介された経営コンサルタントに不正請求することを暗にそそのかされ、犯罪に手を染めてしまったと告白。しかし、自身もその経営コンサルタントに「騙された」と、どこか被害者意識を持った発言を繰り返す脇坂氏に坂上は「あなた、騙されたと言ってるけど共犯じゃないですか?」「甘いよね」と指摘した。 また、不正受給で得たお金をホストに費やしていたと報道されたことに関して脇坂氏は否定。「一番言いたいんですけど、(ホストに費やしたことは)一切ないです」と語気を強めた。 だが、坂上は「ホストには使ってないって屁理屈を言ってるけど、金額の問題じゃないんだよ。あんたムチャクチャなんだよ」と断罪。罪を犯した意識の低さに坂上は終始呆れた様子だった。 ただ、番組終盤に母親からの手紙が読み上げられると脇坂氏は思わず涙を流し始めた。「親の愛情って凄いんだな。甘えていた」と話し、改心すると誓った。 だが、本当に改心したかはかなり怪しい。 脇坂氏は同番組をリアルタイムで視聴していたのか、自身のツイッターで「坂上忍さんめっちゃ怒っとるやん」と第三者的な視点で感想を投稿。すると、視聴者から「もう一回捕まれ」「やっぱり反省してない」など、否定的なリプライ(返信)が多く寄せられた。 しかし、脇坂氏は周囲の意見を意に介さなかったよう。「1回犯した罪で世間は信じてくれなくなるのです。ご自身で『わかってる、もうしない』といっても無理です。医者に信頼は絶対ですよ。もう二度と医者に戻らないでください。」という辛辣な投稿に対しても、「自分=世間って何様?!w医師にも診療拒否の権利あるってご存知かしら?あなたに信じていただかなくても結構でーす♡医師国家試験受けられるレベルに立ってから物申してきて。さいなら。」と挑発的に返信し、反響を呼んでいる。 番組中、反省の弁を述べていた脇坂氏だが、これらのツイートを見ていると「反省なし」と思われても仕方ない。
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社会 2018年05月18日 16時00分
トランプ大統領が金正恩委員長に突きつける完全武装解除
史上初の米朝首脳会談が6月12日、シンガポールで開かれる。北朝鮮が人質にしていた韓国系米国人3人は解放されたが、米朝の事前交渉で核廃棄を巡る双方の溝が埋まったのかは、はっきりしない。北の核問題が対話で解決するのか、あるいは軍事的な衝突につながるのか――。会談はその分かれ道となる。 「核廃棄は『リビア方式』より一歩前進した『南アフリカ方式』でやる」 5月4日、ホワイトハウス国家安保会議のポッティンジャー・アジア上級部長は、韓国の文正仁統一外交安保特別補佐官らにこう伝えたという。同部長は北朝鮮から“死に神”と恐れられるボルトン米大統領補佐官の直属の部下であることから、「南ア方式」はトランプ政権の意思と見ていい。 「実は南アは6個のウラン濃縮型核兵器を保有していましたが、米国の要求を飲み、核全廃を断行した唯一の国です。しかもディール(取引)なし。5月9日に北朝鮮を再訪問したポンペオ米国務長官は、核・ミサイルだけでなく、北朝鮮が行った6回にわたる核実験や、寧辺核関連施設に関するデータの廃棄、さらに核開発に携わった最大で数千人ともされる技術者を海外に移住させるよう求めています。もう使えない豊渓里の核実験場を廃棄したところで、データや人員を温存すればいつでも再開できますからね。さらに北側が公式には保有を否定している生物化学兵器などすべての大量破壊兵器の廃棄も求めているし、長距離弾道ミサイルと同等の能力を持つ人工衛星を搭載した宇宙ロケットの発射も認めないと主張するなど、完全な武装解除の要求を伝えたものと思われます。しかも国内の人権問題や拉致問題の解決まで、最大限の圧力を続ける姿勢を崩していません。これに対して北側は、データの廃棄には曖昧な態度を取る一方、技術者の移住には難色を示しているようです」(北朝鮮ウオッチャー) 南ア方式は「完全かつ検証可能で不可逆的な核廃棄」(CVID)を実施した後、制裁解除、経済支援を実施するというリビア方式とは異なり、CVID後のディールはなく、すべて自主的に廃棄を行わなければならない。この要求に対して正恩委員長は二度にわたり、中国の習近平国家主席と会談し、非核化について「段階的、同時進行」で実施し「行動対行動」の原則を確認し合った。この相違が米朝間に横たわる溝だ。 「北朝鮮が核保有に固執した場合、トランプ政権が軍事力行使に踏み切る可能性も残されています。現に米軍は最近、『ブラッディ・ノーズ(鼻血)』と呼ばれる対北軍事作戦に代わる新たな作戦を立案したとの情報もあります。沖縄では、今年に入って米軍航空機の騒音被害がほとんどない地域でも早朝から爆音が鳴り響いていますし、深夜までオスプレイの騒音が聞こえています。米軍は戦争に備えて訓練を反復しているのです」(軍事ジャーナリスト) 北朝鮮の核廃棄が厄介なのはリビアや南アとは違い、実戦配備がスタンバイ状態にあることだ。トランプ大統領が北に自発的な非核化を要求すれば、北側から抵抗が出るのは当然だろう。 「仮に非核化に応じたとしても、北には約束を破ってきた前科があります。韓国1回、米国2回、6カ国協議も2回の計5回も非核化の約束を破っています。それにもかかわらず韓国人の64%が『金正恩は信頼できる』(韓国の調査会社リアルメーター)と信じ切っている。一方、少数派は《一度騙されたらミス、二度騙されたらバカだが、三度騙されたら共犯である》と、文在寅大統領の“浮かれすぎ”にあきれ返っています。そもそも正恩委員長の発言をつぶさに検証すると、武装解除どころか非核化の意思などサラサラありません。現に4月20日に朝鮮労働党は、核武装を宣言した上、米国にそれを認めろと要求しているくらいですから」(国際ジャーナリスト) トランプ政権がイラン核合意からの脱退を発表したことからも、北朝鮮に譲歩することは考えにくい。ところが、ここへきて“金正恩いい人論”が台頭し、トランプ政権の強硬路線の推進に障害となりつつある。 「正恩委員長の頼みの綱は国際世論です。『平和を求める南北朝鮮』VS『平和を望む南北に強硬策で臨む米国』とのイメージが出来上がれば、米国が軍事攻撃を選択できないと考えているのです。今年11月に行われる米中間選挙まで時間稼ぎをしながら国際世論を盛り上げる。そうすれば、息子の方のブッシュ政権が当初、北に厳しい態度を取りながら、'06年11月の中間選挙で与党の共和党が惨敗すると、“実績作り”のために北朝鮮のテロ国家指定を解除してまで交渉のテーブルに着かせようとしたようなことが起こると計算しているフシさえある。12年前の成功体験を狙っているわけです」(同) 米朝会談が決裂すれば、韓国人の多くは「正恩は悪くない。問題児はトランプだ」と言い出すだろう。トランプ嫌いの多い欧州でも「米国が悪い」との声が起きるに違いない。 こうした国際世論を背景に、北朝鮮の本音は露骨になりつつある。同国外務省は5月12日、豊渓里の核実験場を廃棄する式典を5月23〜25日の間に行うと発表したが、日本のみ取材を拒否、さらには「拉致は解決済み」とまで言い出した。 中国を“弾よけ”にしながら悪あがきを図る北朝鮮は、油断も隙もあったものではないのだ。
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社会 2018年05月18日 15時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第270回 新幹線の夢
2011年3月11日、東日本大震災発生。その翌日の3月12日に、九州新幹線が全線開通した。鹿児島中央から博多までが新幹線で結ばれたのである。もっとも時期が時期だけに、九州新幹線の全線開通は「ひっそり」と執り行われ、用意されていたテレビCMも放映されることはなかった。 全国的に放映される予定だったテレビCMが、インターネットのYouTubeに3月9日時点でアップされた。放映こそされなかったものの、JR九州の「祝! 九州 九州新幹線全線開CM」はネット上で大ブームを引き起こす。 CMの内容は、マイア・ヒラサワの「Boom!」が流れる中、新幹線が走る。鹿児島中央から、川内、出水、新水俣、新八代、熊本、新玉名、新大牟田、筑後船小屋、久留米、新鳥栖を経由して、博多まで。その途上、田畑で、道路で、マンションのバルコニーで、屋上で、学校のグラウンドで、河原で、野原で、運河で、プールで、橋の上で、あるいは橋の下で、城で、土手で、そして駅のホームで一般の日本国民が手を振り、叫び、踊り、「祝」と書いたのぼりを立て、新幹線が通過するのを祝福するというシンプルな構成だ。 このCMが、日本国民の心をわしづかみにした。特に、東日本大震災により日本全体がショックを受けた時期であるため、「九州がつながる」という単純なメッセージを見事に描いた九州新幹線のCMが、国民の心を強く打ったのである。「祝! 九州 九州新幹線全線開CM」は今でもYouTubeで見ることができる。視聴回数は650万回を越えている。 なぜ、九州新幹線のCMが、あそこまでわれわれの心を揺り動かしたのか。日本国民は、孤立しているわけではない。バラバラに暮らしていたとしても、実際にはつながっている。そして、新幹線が分散して暮らす国民を物理的にもつなげる、あるいは「つなげた」という明瞭な事実を提示したためとしか思えない。 日本国は、震災大国だ。地震以外にも台風、豪雨、豪風、水害、土砂災害、火山噴火、豪雪など、さまざまな自然災害が襲い掛かってくる世界屈指の災害大国でもある。自然災害がいつ、どこで起きるか分からない以上、われわれ日本国民は可能な限り分散して暮らす必要がある。そして、いざ災害が発生した際には、互いに助け合うのだ。そのためには、国民が「つながる」ナショナリズム(国民意識)が欠かせない。 もっとも、こと経済成長のみを考えると、人口は密集していた方がよい。特定地域の人口が多ければ多いほど、サービス業が興隆する。 経済成長のためには、人口集中が望ましい。防災面からは、国民は分散して暮らさなければならない。人口の集中と分散。2つを両立させることはできるだろうか。できるのだ。新幹線ネットワークによって。 新幹線ネットワークを構築することにより、日本国民は集中と分散を同時達成できる。厳密には、新幹線で地域同士が短時間に結ばれることにより、離れて暮らしているにも関わらず、互いを「市場」と化し、経済成長ができるのだ。 '15年3月14日、北陸新幹線が金沢まで開通した。北陸新幹線が金沢など、沿線の地域に与えた影響はすさまじい限りだった。日本政策投資銀行の試算によると、北陸新幹線延伸が金沢に与える影響は、経済効果が125憶円、訪問客数32万人の増加と見込まれていた。ところが、現実には経済効果が678憶円、訪問客数は何と258万人も増えた。 なぜ、北陸新幹線が金沢にあそこまでのポジティブな影響を与えたのか。簡単である。新幹線で「東京駅」と乗り換えなしの最短2時間半で結ばれたためだ。東京駅を中心とする「東京圏」は、人口3700万人を誇る、地球上で最大のメガロポリスである。人口規模で世界最大の市場に、北陸新幹線延伸により、金沢のサービス業の「商圏」が届いたのである。 さて、「北海道新幹線」の札幌駅の位置が、ようやく決まったとの報道が流れた。北海道新幹線の札幌延伸は、'30年度開業予定で、ルートは新函館北斗から長万部、倶知安、小樽を経て札幌に至る北回りだ。室蘭、苫小牧経由の南回りルートも「基本計画」はあるが、整備計画化されていない。理由は、有珠山があるため、噴火の状況が懸念されているためだ。 とはいえ、札幌-千歳間、あるいは札幌-千歳-苫小牧間であれば、有珠山は関係ない。特に新千歳空港まで北海道新幹線が延伸されると、効果は大きい。現状、北海道の玄関口である新千歳空港駅から札幌駅まで、列車で50分強はかかってしまう。札幌と千歳間は距離が約40キロメートルであるため、新幹線が開通すれば15分(!)程度に短縮される。 しかも、航空便で新千歳空港に降り立ち、新幹線に乗れば、乗り換えなしで札幌、小樽、倶知安に行ける。倶知安まで、現在は車で2時間以上かかるが、新幹線なら「35分」となる。そして、倶知安まで行けば、ニセコは目の前だ。 「何を夢みたいなことを」 と、思われたかも知れないが、過去の日本の先人たちがこの種の「夢」を抱き、投資を蓄積してくれたからこそ、現在のわれわれの生活があるのだ。 4月18日、九州新幹線長崎ルート「新鳥栖-武雄温泉」の整備について、JR九州の青柳俊彦社長が与党検討委員会に出席。「全線フル規格での整備を」と要請した。フル規格で新幹線を建設した場合、長崎-博多間が約51分に短縮される。佐賀-博多間が約20分(!)。まさに、世界が変わる。 この種の「夢」を忘れ、多くの日本国民が将来のための投資を疎かにしていては、未来の日本の繁栄はない。「夢」を取り戻し「必要なインフラには投資する」という、当たり前の姿勢を取り戻す必要があると思うのだ。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2018年05月18日 14時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 日本は非核化の財布になる
5月22日の米韓首脳会談で基本戦略の摺り合わせの後、すぐに米朝首脳会談が行われる。 北朝鮮の非核化交渉が、いよいよ大詰めを迎えるのだ。これまでの準備作業で、米国、韓国、そして中国は一定のプレゼンスを示してきたが、圧力一辺倒の日本は、ずっとかやの外だった。ところが、金正恩委員長は、先の南北首脳会談の中で、米朝首脳会談が終わったら日朝首脳会談に応じる意向を示したとされている。北朝鮮の目的はたった一つしか考えられない。日本から経済協力という名のカネを引き出すことだ。それも、目がくらむほどの金額を要求してくる可能性が高いと、私は思う。 北朝鮮は、核兵器を放棄することと引き換えに、核開発に費やしたコストの補償を求めてくるだろう。その際、北朝鮮が日本への要求額の基準としてくる可能性が高いのが、日本が韓国に支払った「戦後賠償」だ。1965年の日韓基本条約で、韓国が日本への賠償要求を放棄する代わりに、日本は3億ドルの無償資金協力を行った。同時に、返済が必要な有償資金協力が2億ドル、民間借款で3億ドルの合計8億ドルを支払っている。これを現在の為替および物価に換算すると、無償資金協力だけで1兆円、民間資金まで含めると2兆7000億円を支払ったのだ。北朝鮮は、非核化に際しても同様の金額を要求してくるだろう。 それでも、北朝鮮が本当に核を完全放棄するのであれば、日本が負担する意味はある。しかし、北朝鮮は、これまでも国際合意を裏切り続けてきた。もし、日本が巨額の援助をしたあと、北朝鮮が核開発を再開させれば、資金をドブに捨てることになってしまう。 私は、北朝鮮に核開発を再開させない一番よい方法は、米国が金王朝の体制を保証するという名目で、米朝安全保障条約を結び、北朝鮮国内に米軍の海兵隊基地を置くことだと思う。もし海兵隊基地を置かれたら、北朝鮮は絶対に核開発をすることができない。それは、日本が証明している。 日本はいま、原発から生まれるプルトニウムの処理方法が見つからず、どんどんたまり続けている。簡単に原爆が作れる状況にあるのに、日本の核開発を心配する声は、ほとんどない。日本がIAEAの査察を受けているからではない。日本に米軍の海兵隊基地が存在し、万が一日本が核開発に手を染めれば、あっという間に占領するからだ。それと同じ仕組みを北朝鮮に適用すればよい。 もちろん、米軍に新たな海兵隊の駐留を行う予算はない。だから、沖縄の海兵隊を北朝鮮に移せばよいのだ。そうすれば、沖縄の基地負担が大幅に減るから、巨額の資金援助に対する国民の理解も得られるだろう。 ただ、この案に中国が猛反発することは目に見えている。もし北朝鮮に米軍基地ができれば、国境を接する国に米国の軍事力が入ってきてしまうからだ。 だから、現実的なのは、当面、韓国に沖縄の海兵隊を移すことだろう。韓国は反発するだろうが、日本の巨額の経済援助は、北朝鮮との統一を視野に入れる韓国にとっても、喉から手が出るほど欲しいはずだ。そうした戦略を持たず、ただ回ってきた請求書の支払いをするだけでは、日本が存在感を示すことは永久にできないのだ。
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社会 2018年05月18日 08時00分
墓の墓場〜受け継がれない墓石の「いき場所」〜
三重県内の雑木林、細い砂利道を砂ぼこりにまみれながら車を走らせていると、一気に視界が開けた。そこには無数の墓石が寄せ集められ、日常では決して目にすることのない異様な光景が広がっていた。 『株式会社美匠』(奈良県橿原市・中西あざみ代表取締役)が三重県名張市内に設置する「永代供養安置所」にたどり着いた。 「ここには4000基ほどの墓石が安置されています。これらは何らかの事情で墓地を解体撤去したいという、いわゆる“墓じまい”を希望された施主様から引き取った墓石が集められています。僧侶による魂消しを執り行った後、一定期間保管しています」 同社の西向友也営業部長はこう説明する。 時代の変化と共に墓の在り方も変わり始めている。不要となった墓石が集められ、解体作業を待つ“墓の墓場”が全国に増えているのだ。 遺族との縁を断ち切られて無縁化した墓石はもはや“ゴミ”となり、鉄くずや紙くず同様、やがて産業廃棄物として処分される運命にある。墓じまいは年々増加傾向にあるというが、一体どのような墓が不要とされるのだろうか。 「永代供養安置所」に運び込まれた墓石を見てみると、人間同様、同じ墓というものは一つもなく、さまざまなものがあることが分かる。旧日本軍の陸軍軍曹、陸軍兵長、あるいは特攻隊で戦死したと思われる海軍飛行兵と刻まれたものもあれば、安政4年と、江戸時代から代々続く旧家の墓石、一方で「平成二九年七月」と建立してから1年足らずというものもある。4000基には4000分の墓じまいの理由があるのだ。 「弊社の場合、近畿、東海、北陸、山陽方面を主要エリアに、石材店など800社と取引しており、重量にして年間約2万トンの墓石解体を行っています。こうした墓じまいの傾向は10年ほど前から顕著になってきましたね」(西向部長) 増加する墓じまいだが、どのような背景があるのだろうか。一度埋葬した遺骨などを他の墓に移す“改葬”が、墓じまいに大きな影響を及ぼしているようだ。『社団法人全国優良石材店』の吉田剛代表理事はこのように説明する。 「墓じまいとは改葬のことですが、これには二つのケースがあります。一つはA墓地からB墓地に移転させるケースで、これは利便性を考慮した対処法です。もう一つは完全に墓地を放棄するケース。現在問題になっているのは後者で、実際この傾向は数字でも裏付けが出てきています」 東京都が2005年に実施した都民の墓所に対する意識調査では、墓地が必要と答えたのは約61%、不要は約28%、分からないは約11%だった。10年後の'15年、同調査では必要約35%、不要約35%、分からない約29%と、必要と不必要が同率となった。都民の墓地というものの必要性が大きく変化している結果が浮き彫りとなり“墓ばなれ”が年々増えている傾向が調査結果からも明らかになった。 墓ばなれは墓じまいに比例する。厚生労働省の調べによると、'15年度における改葬は全国で約9万1567件に達する。 「墓ばなれも墓じまいも理由はほとんど同じです。つまり少子化による墓地の継承問題、家や帰属意識の希薄化、簡素化の一環、利便性重視の社会風潮、伝統文化の無関心などが挙げられます」(吉田理事) 葬儀の多様化も墓地不要に拍車をかけている。葬儀の多様化とは散骨、樹木葬、水中葬、合葬墓、ロッカー式納骨、いまでは遺骨を特殊なカプセル容器に詰め、打ち上げロケットに搭載して宇宙に撒く宇宙葬なども出てきている。 一方で、都立霊園などは合葬墓や樹木葬など墓地の簡素化を推奨している。東京都は青山墓地や多磨霊園、八柱霊園など8カ所の霊園を運営している。樹木葬とは芝生や樹木の根の下に遺骨を埋葬するものであり、合葬墓もほぼ同じものだ。八柱霊園には約10万体が合葬墓に埋葬され、小平霊園には1万7000体が樹木葬だという。都が供給する墓地の8割強がこうした合葬墓や樹木葬で、墓石を建てるといった一般的な平面墓地は2割強にすぎないという。 墓地の簡素化を推進する理由にスペースに限りがあること、管理運営費の増加が背景にある。都が勧める墓地の簡素化は地方にも影響を及ぼし、公営墓地だけでなく民間の霊園でさえも合葬墓や樹木葬が次第に浸透しているという。 都心部に比べ地方は地域や住民、あるいは寺とのつながりが濃密で、墓地問題などないものと思われがちだが、集落の過疎化や荒廃化により、むしろ地方のほうが深刻な墓地問題に陥っている。こうした要因が地方の霊園でも合葬墓や樹木葬の需要を高めているのだ。 だが、合葬墓は文字通り不特定多数の遺骨を一括埋葬するため身内の遺骨がどこにあるか特定できない。散骨も、海中などに散布するので跡形もないため、問題になることもあるという。 「合葬墓や散骨を利用したのを後悔しているといったケースもあるんです。お孫さんに、おじいちゃんのお墓はどこにあるの、と聞かれ、答えに困ったといった方もいらっしゃいました」(吉田理事) 前述の「永代供養安置所」に運び込まれた約4000の墓は、無縁墓として処分されるその日を待つ。解体作業は愛知県内の3カ所で行っている。実際に施主が石材店などに墓地の解体撤去を依頼した場合、どのような手順を踏んで解体されるのだろうか。 まず一般的に、墓地の解体撤去に取り組む前段として、墓地の移設なら移設先の管理者(寺院もしくは霊園)に「受入証明書」を発行してもらう。次に現在墓地がある管理者に埋葬証明書を発行してもらうことになる。さらにその証明書を現在の墓地が所在する市町村役場に提出し、改葬許可申請書を発行してもらう。 これらの行政手続きをすませたところで実際の解体工事に着手する。この工程は石塔、カロウド、石垣などの解体、運搬車両への積み込みと搬出、墓地の整地および原状復帰、永代供養安置所搬入、僧侶による魂消し供養、一定期間の保管、産業廃棄物処理業者による中間処理場への搬出、砕石などのリサイクル化―といった流れになる。 では、これらに伴う解体撤去費用はどのくらい掛かるのだろうか。工事の難易度や使用機材の違いによって多少の差はあるものの、大体40〜50万円が相場と考えていいようだ。 墓地の解体撤去ビジネスは墓ばなれ、墓じまいの増加に比例して今後さらに需要が伸びる可能性を秘めている。新たな隙間産業として石材業界は注目している。だがその反面、新規業者が隙間に割り込み、それが新たなトラブルの原因にもなっているという。いわゆる墓地ブローカーである。ブローカーとは、つまり墓石を売ったり建てたりはするがその後は売りっぱなし、建てっぱなしの“我れ関せず”の業者をいう。 「いま問題になっている墓石の不法投棄もブローカーに多いんです。引き取った墓石は産廃処理の許可を得た業者に有償で委託しなければならないので、そのカネが惜しいから山林などに捨て去っていくのです」(吉田理事) 実際に茨城県、熊本県、京都府などで墓石の不法投棄が発覚し、業者が逮捕されている。そのため経済産業省は'11年4月の廃棄物処理法の改正で、無許可業者に産廃処理を委託した場合、5年以下の懲役または1000万円(法人は1億円)以下の罰金にするなど、罰則を強化した。 墓地を必要とするものと不要とするものが拮抗し、墓ばなれ、墓じまいの時代に突入している。それに伴う新たな社会問題も生まれてきている。 先祖を弔う形式も大きな転換期にきているようだ。
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