社会
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社会 2018年06月04日 21時40分
「猫ブームは困る」1000匹以上の猫を保護するNPOの女性、行動力と説得力がネットで称賛
3日に放送されたドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)で紹介された中谷百里さんという女性が今、ネット上で注目を集めている。 中谷さんは、広島市郊外で行き場がなくなり、殺処分寸前の猫約1000匹、犬約140匹を引き取って飼育する。その他、栃木県にも犬猫のシェルターを設けるなど、犬猫の救済活動に当たっている。 今回、同番組が取り上げた問題は「多頭飼育崩壊」というもの。犬や猫を飼い始めたものの、不妊去勢手術などを行わず飼育数が増えた結果、飼育放棄のような状態になっている環境をさす。犬同士で共食いをし、生まれたての子猫を親猫が殺すなど、悲惨なケースも少なくない。 同番組内で中谷さんが救済に当たった女性Kさんも、まさに多頭飼育崩壊の状態に陥った飼い主のひとり。猫が好きで飼い始めたものの増えすぎてしまい、2DKのアパートに30匹近い猫を飼育しているが、その環境は劣悪そのもの。部屋から漏れ出る悪臭から、近隣住民からはクレームも来ていたという。 そんなKさんの家を中谷さんが訪れ、猫たちを安全なシェルターに預けるよう説得した。最初は「もう来るな」「警察を呼ぶぞ」とドア越しに暴言を放っていたKさんだが、中谷さんの「私も昔はパブで働いていたのよ、今よりもっと綺麗だったんだから」「まずはあなたが元気になって、いずれ猫たちがいるシェルターで働いてみたら?」と歩み寄るとKさんは徐々に心を開き、最終的に子猫をシェルターに預けることに合意した。 そんなKさんに対して視聴者からは「自分勝手だ」「動物をおもちゃのように思っていない?」と批判が集まった一方、中谷さんには「こういう人に国民栄誉賞をあげたい」「中谷さんの行動力が凄すぎる」「応援したい」とたたえる声が殺到している。 犬猫の殺処分数は年々減少傾向にあるものの、今もなお年間5万匹以上が殺処分されているのが現状だ(平成28年、環境省調べ)。中谷さんが活動する広島県は、かつて殺処分数ワースト1位だった(平成23年、同)。そんな中にあって、中谷さんの精力的な活動で、いっそう殺処分数は減ることになるだろう。 「『かわいい〜』『癒やされる〜』とか。猫ブームは困る」と語る中谷さん。無責任な飼い主が増え、どんどん猫の数が増えて最終的に殺処分されるケースを多く見てきたからだ。猫ブームになって困るのは、当の猫たちなのだ。 来週10日放送予定の後編では、100匹以上の猫を1人で飼育する男性のもとに向かい、救済する。中谷さんは男性に何を語り、どんな形で猫たちを救うのか、注目したい。
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社会 2018年06月04日 08時00分
天下の猛妻 -秘録・総理夫人伝- 小渕恵三・千鶴子夫人(上)
来年5月には新天皇のもとで平成から元号が変わるが、昭和が終わる際の小渕恵三が竹下登内閣の官房長官時に新元号を平成と発表した姿は、現在20歳前後の人なら大方が記憶にとどめている。時に、小渕には「平成長官」の名があった。 その後、竹下派が小沢一郎(現・自由党代表)らの離脱のあと小渕が派閥を継承、小渕派領袖として首相の座に就くことになったが、そこでは「凡人」「冷めたピザ」「真空総理」などあまり有難くない“異名”も頂戴したものだった。「ボトム・アップ」方式とされたリーダーシップで、まず周囲からの意見を積み重ねたうえで政策を前に進めるというキレ味の乏しさから付いた“異名”だったのだ。 さて、その小渕の妻・千鶴子は、前任首相の橋本龍太郎の妻・久美子と双璧、「理想的な政治家夫人」と呼ばれていた。長く小渕の秘書を務めた一人は、その“横顔”を次のように話してくれたものであった。 「政治家の妻としての必須条件であるタフさ、辛抱強さはもちろんだが、生来のおおらかさで周りを惹きつけていた。慈母観音のようなふくよかな顔立ちもあいまって、夫人がいると不思議にその場の空気が和らいでしまう。多少ギスギスした場でも、物事が円満な方向に向かってしまうという独特のムードがあった。加えて、万事が控え目で、小渕が外務大臣時代には揃って公の席に出ることが多かったが、夫人は必ず一歩下がったところにいて、万事に目立たないことを心掛けていたようだった。首相のときも同様で、メディアの前に出ることは避けていたものです」 2人の出会いは、代議士だった小渕の父・小渕光平の選挙区だった旧〈群馬3区〉の同じ吾妻郡中之条町に共に住み、“幼なじみ”であったことに始まる。小渕光平は尋常高等小学校卒業後、叩き上げで製紙や電気関係の会社を起こして成功、周囲に推されて代議士への道を歩むことになった。しかし、選挙は滅法弱く、初当選以後3回連続落選、その後ようやく2回目の当選を果たしたといった塩梅だった。その小渕家の近所の製材所の娘が、千鶴子ということであった。正式に2人が交際をスタートさせたのは、小渕が早稲田大学第一文学部英文科に入ってからである。 当時の小渕は、落選を繰り返して物心両面で疲弊する父親の姿を見、政治家として跡を継ぐ気はまったくなかった。英文科に入ったのも、シェークスピアの研究をし、将来は文学を志そうとしていたのである。 しかし、人生はままならないのが常。早稲田に入学した3カ月後、ようやく2回目の当選を果たした父親が急逝してしまった。小渕の言葉がある。 「親父の2回目の挑戦はさすがに家族の皆が反対、しかし自分一人だけが『最後の挑戦としてやってみるべき』と賛成した。それがあって、父親の無念を晴らすのは自分しかいないと考えた。そこで、政治家になろうと決断したんだ」 ために、英文科を卒業すると政治学研究科の早大大学院に入っている。また、その間の父親の急逝後すぐ、早大雄弁会のサークルにも入って「政治家への道」の覚悟を固めていたものであった。私事になるが、じつは筆者も早大雄弁会に所属していたことがあり、次のような“小渕先輩”のエピソードを耳にしていた。国会議員を次々に送り出していた当時の雄弁会は、さながら“政治家養成サークル”のオモムキがあったのである。 「雄弁会の会費を握るのが、幹事長のポスト。このポストを握れば、会費で仲間に飲み食いをさせ、信頼を得ることにつながった。やがて政治家への道に踏み出したとき、この仲間が選挙の手助けをしてくれるからだ。森喜朗(のちに首相)、渡部恒三(のちに衆院副議長)らは、こうした中で自民党もどきの幹事長争いにうつつをぬかしていた。しかし、小渕はそうしたポスト争いには関心がなかった。口の重いほうだった小渕は、弁論術そのもののマスターに熱心だった。驚くべきことは、雄弁会の一方で、演説は腹の底から声を出さねばと詩吟の会のサークルに入ったり、書道部のサークルにも入っていた。書道部に入ったのは、政治家になれば色紙を頼まれることも多いということで、なんとも早い“準備”に余念がなかったことによる」 芯の強さは並々ならぬものをうかがわせるが、その“総仕上げ”が大学院在学中の世界一周の武者修行、いや放浪の旅であった。当時、作家・小田実の『何でも見てやろう』の世界放浪の本がベストセラーであり、時に1ドル=360円の時代、加えて外貨持ち出し額も制限されており、行く先々でアルバイトという文字通りの放浪の旅を敢行したのである。 その旅先から、小渕はせっせと千鶴子にラブレターを送り続けた。放浪生活9カ月の中で、なんと300通も送っている。計算すれば、じつに1日に1通以上を出していたのであった。=敬称略=(この項つづく)小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材48年余のベテラン政治評論家。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書に『決定版 田中角栄名語録』(セブン&アイ出版)、『21世紀リーダー候補の真贋』(読売新聞社)など多数。
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社会 2018年06月01日 17時00分
芸人たちもトバッチリを受ける日大アメフトの悪質タックル問題
今や日本国民最大の関心事といっても過言ではないのが日本大学の迷走だ。5月6日に行われたアメリカンフットボールの日大対関西学院大学の定期戦で、日大の選手が関学大のクオーターバック(QB)に悪質な殺人タックルを仕掛けたことが、大きな波紋を広げている。22日、直接の「加害者」として批判されていた20歳の学生が突如、日本記者クラブで会見を行い、監督やコーチから明確に「潰せ」という指示があったことを証言した。これを受け、監督辞任を表明していた内田正人前監督(62)の口から真相が語られると期待されたのだが…。 「23日の夜、日大で行われた会見においても内田前監督は『殺人タックルの指示については、していない』の一点張り。おまけに会見時間をめぐり、日大の広報担当者が声を荒らげる場面もテレビで放送されるなど、とにかくひどい会見だった」(全国紙社会部デスク) さらに、日大サイドと内田前監督の関係についても学内や学外から疑問視する声が上がっているという。 「内田氏は監督を辞任すると言ったものの、日大理事の辞任は筋が違うと言って譲らない。世間のバッシングを受け、自ら申し出て理事職停止の扱いになったが、本人は死んだふり。ほとぼりが冷めれば復帰する予定なんです。内田氏は日大の常務理事で、職員の人事権を掌握する部長でもある。年収も3000万円以上もあるんです。簡単に辞めるわけがない」(大学関係者) そんな日大を今後、待ち受けているのは地獄だという。国内メディアが総がかりでネガティブキャンペーンを展開し続ければ、目に見えて激減するのが大学の経営を左右する志願者数だ。 「日大は毎年、約11万5000人が受験する国内最大のマンモス大学。事業活動収入は約2000億円で、そのうち学費が約半分を占めている。結論を言えば、志願者が激減すれば、当然、経営がままならなくなるんです」(同) そんな中、大きなトバッチリを受けているのが、日大出身を表明している芸能人の面々だ。 「爆笑問題の太田光、トレンディエンジェル斎藤司は自ら出演する番組で、毎回、コメントを発信せざるを得ないんです。中でも窮地に追い込まれているのが、オードリーの若林正恭と春日俊彰ですよ。2人は日本大学第二高等学校のアメフト部出身。日大のアメフト部だったわけではないが、日大と関係の深い付属高校でアメフトをやってきた。しかも2人は『NFL倶楽部』(日本テレビ系)でMCを務めてきたが、今回の騒動で降板説も浮上しているんです」(芸能プロ関係者) 日大上層部の甘い対応が、芸能界をも巻き込んでいることに気づいて欲しい。
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社会 2018年06月01日 14時00分
瓜二つ 日大と相撲協会の後手後手「危機管理」共通点
まさか、相撲協会の対応を見習った? 今回の日大アメフト部の悪質タックル騒動を俯瞰すると、モタつく日大首脳陣と、ついこの間までトラブルが相次ぎ、後手後手ぶりが批判された相撲協会がダブって見える。 去年11月の九州場所前に勃発した相撲協会の一連の騒動は、横綱日馬富士のクビが飛び、貴乃花親方が5階級下のヒラ年寄に降格するなど、さまざまな方面に波及。鎮静化したのは半年後の夏場所前のことだった。こんなに長引いた最大の原因は、リーダーである八角理事長(54、元横綱北勝海)の不手際だ。 「八角理事長がもっと積極的に陣頭指揮を執っていたら、あんな大騒動にならずに済んだと言われています。ところが八角理事長はほとんど動かず周囲に丸投げ状態。これでは問題が解決するはずがない。『理事長失格』という声も上がりましたが、結局、八角理事長は3カ月間の給料返上(1カ月149万8000円)しただけでした」(担当記者) ただ、おかげで火の粉を浴びずに済み、今年の2月には実質2期目の理事長続投を勝ち取っている。 この成功例を見習ったのか、今回の騒動でだんまりを決め込んでいるのが、日大のトップで、内田正人前アメフト部監督の“最大の後ろ盾”と言われる田中英壽理事長(71)だ。 田中理事長と言えば、アマ相撲界のレジェンド。日大出身で、大学在学中、さらに日大職員となった卒業後も相撲の選手として活躍した。獲得したタイトルは、アマ横綱3回をはじめとして実に34タイトルにのぼる。 「プロ入りしたら三役は間違いなしとも言われたが、『オレは日大で横綱になる』と言って入門せず、現役引退後は得意の政治力を使って日大内で着実に勢力を伸ばし、平成20年には理事長にまで上り詰めた。また、OBである相撲部でも監督を務め、琴光喜や智乃花、舞の海ら、多くの教え子をプロに輩出した。この夏場所前も、そんな教え子の1人、遠藤の新小結昇進パーティーに出席。壇上から挨拶していた」(日大関係者) これほどプロとの強い絆があるのだから、八角理事長の手法を見習うのも当たり前か。25日の大塚吉兵衛学長をはじめ、日大は相次いで記者会見を開いているが、肝心のトップが姿を消したままでは一向にスッキリしない。 果たして田中理事長は、いつ、どんなかたちで表に出て来るのだろうか…。
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社会 2018年06月01日 11時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第273回 米朝首脳会談は開催されない
筆者は政局や外交の専門家ではないため躊躇してしまうが、あえて断言しておこう。6月12日に開催予定の米朝首脳会談は中止もしくは延期となり、開催はされないだろう。 実際、北朝鮮は米韓合同軍事演習に反発する形で、米朝首脳会談中止を示唆。それに対し、アメリカのトランプ大統領が5月23日に首脳会談の延期をほのめかしたのだが、筆者が会談は中止になると予想しているのは、米朝の現在の衝突ゆえんではない。むしろ話は逆で、米朝首脳会談が中止にならざるを得ないからこそ、米朝首脳が相手を批判し、「中止にするための舞台」を整えているとみるべきだろう。なぜか。 当たり前だが、トランプ大統領と金正恩が「会う」時点では、両国間ですでに各種の具体的事項について「合意」がなされていなければならない。トランプ大統領と金正恩が会談し、その場で相談して合意に持ち込む、などという首脳会談はあり得ないのだ。 北朝鮮の核ミサイル問題は、極東情勢に限られた問題ではない。北朝鮮の核ミサイル技術が完成してしまうと、イランが買うことになる。そうなると、イランと敵対しているサウジアラビアも核武装する。 核ドミノ勃発につながる可能性が高いのだ。故に、アメリカは北朝鮮の核ミサイル技術について「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」を求めており、この点について譲ることはない。実際、5月22日にペンス副大統領が会見し、「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」をアメリカ側が求めていることを改めて強調した。 それに対し北朝鮮側は「半島非核化」の段階的な推進と、体制保障を求めている。「北朝鮮の非核化」ではなく、「半島非核化」である点がポイントだ。北朝鮮は、核武装が容易に可能な「在韓米軍」の半島撤退をも要求しているのだ。さらには体制保障。体制保障とは、金正恩国王を中心とする「金王朝」の北半島支配を認めろという話だが、トランプ大統領は飲む可能性がある。とはいえ、トランプ大統領の後継者はどうなのだろうか。 先日、アメリカはオバマ政権が妥協に妥協を重ねて成立させたイラン核合意からの脱退を発表した。すなわち、北朝鮮からしてみれば、 「トランプ大統領が体制保障をしてくれたとしても、後継のアメリカ大統領が保障を継続するとは限らない」 という印象を植え付けられてしまったのだ。 「アメリカ側は北朝鮮の【完全かつ検証可能で不可逆的な非核化】を求め、北朝鮮は在韓米軍を含む朝鮮半島の段階的非核化を主張」 「北朝鮮は【未来永劫】のアメリカによる体制保障を求めているが、次期大統領がいかなる決断をするのかは、現時点で不明」 という2つの大きな溝あるいは対立点が存在し、この解消は容易ではないのだ。正直、不可能ごとにしか思えない。ちなみに、北朝鮮が望む恒久的な体制保障を実現するためには、米朝軍事同盟以外にはあり得ない。とはいえ、アメリカが米朝軍事同盟を飲むはずがなく、さらに北朝鮮領土に「在朝米軍」が駐留するとなると、中国が黙っていない。中国(厳密には人民解放軍)の対アメリカ基本戦略は、A2AD(接近阻止・領域拒否)である。すなわち、東アジアにおいて中国が展開する軍事行動に対するアメリカの介入を防ぎ、同時に第2列島線の内側の海域において、アメリカ軍が自由に作戦を展開することを阻害するというものだ。 実は、米朝首脳会談の中止は、北朝鮮にとってデメリットばかりではないのだ。北朝鮮側としてみれば、米朝首脳会談を中止し、その際に「アメリカを悪者にする」国際世論を少しでも形成できれば、今よりはマシな状況になる。間違いなく、中国とロシアはアメリカを悪者化する北朝鮮を後押しするだろう。しかも、トランプ大統領は金正恩ほどではないが、西側メディアに受けが悪い人物だ。会談中止の責任をトランプ大統領に押し付けようと図る西側メディアは、決して少なくないだろう。 現在の強固な経済制裁に風穴を開け、中国やロシアなど「反米陣営」から支援を受け、とにもかくにも時間を稼ぐ。そして「核搭載型ICBM」を完成させ、太平洋に実射し、核実験を行う。金正恩が「生き延びる」ためのシナリオは、限られている。 太平洋上で核実験に成功した場合、さすがのアメリカも、これまでのように強気の交渉はできなくなる。そして、核保有国北朝鮮が誕生すると、同国の核技術がイランに流れるのは確実だ。対岸のサウジアラビアはもちろん、ヨーロッパまでもがイランの核の射程圏に入る。すると、少なくともサウジアラビアは核武装をすることになり、ドミノ倒し式に核拡散という悪夢が、世界を覆いつくすことになる。 そうなると、これはアメリカや中国が最も嫌がる事態だろうが、わが国でも「核武装」という議論が起きざるを得ない。少なくとも、筆者は日本国の安全保障を確立するために、政治家に核保有の議論を始めるよう働きかけるつもりだ。 韓国は韓国で、独自に核武装を求める(保守派の)声も出るだろう。もっとも、文在寅政権はむしろ北朝鮮の核の傘に入る形で「連邦国家樹立」を目指すと予想する。 「核保有国となり、日本を見下せる!」 といった世論が形成されれば(容易に形成できるだろう)、韓国国民はむしろ連邦国家化に賛同する。すると、わが国の目と鼻の先に、核武装した「統一朝鮮」が誕生することになる。まさに「悪夢」だ。 というわけで、核ドミノを防ぐためにも、アメリカとしては首脳会談中止後、早期の対北軍事行動を決断せざるを得ない。もっとも、朝鮮半島近海でアメリカに武力を行使されることは、中国のA2ADと真っ向から衝突する。いよいよとなると、むしろ中国が金正恩を排除し、「現状維持」のために動く可能性もある。 われわれ日本国民は、これまでの常識が全く通じない東アジアに生きているという現実を認識する必要がある。大変残念な話ではあるが、東アジアはすでに「平時」ではないのだ。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2018年06月01日 10時00分
米中合同クーデターで金正恩委員長が「消される日」
「予定通り6月12日にシンガポールでの開催を目指す方針に変わりはない」 5月26日、“持ち上げたと思えばこき下ろす”を繰り返してきたトランプ大統領が、北朝鮮側に中止を通告していた米朝首脳会談についてこう語った。すると金正恩党委員長は翌27日、板門店の北朝鮮側施設『統一閣』で電撃的に行われた韓国の文在寅大統領との2回目の南北首脳会談で、「歴史的な朝米首脳会談への確固たる意志」を表明。米国からの経済援助を渇望し、相当に追い詰められている様を露呈した。 「中国からの密輸と闇市によって何とか北朝鮮経済は回っていますが、6月後半には経済危機が訪れるはずでした。ですから、北朝鮮に余力のある6月12日という会談時期は、トランプ政権内にも早すぎるという意見があったのです。北朝鮮を生かすも殺すも中国次第ですが、トランプ大統領は、その中国の習近平国家主席が正恩委員長に対し『米朝会談は強気でいけ』と助言した可能性を示唆しています。中国の狙いは、米朝交渉にキープレーヤーとして介入したいこと。もう一つは米国との貿易戦争を有利に運びたいことです。北朝鮮が強硬姿勢を続ければ、米国は中国を頼みとせざるを得ず、実際に対中関税引き上げを棚上げにしています。ところが、北朝鮮の“鉄の女”と呼ばれる崔善姫外務次官が、米ペンス副大統領を口汚く罵倒したばかりか、『核対決』という激しい言葉を持ち出して突っ走ってしまい、トランプ大統領の出方を見誤ってしまったのが会談中止に傾いた大きな原因です」(韓国のシンクタンク研究員) トランプ大統領は来る11月6日の中間選挙での勝利のために、北朝鮮問題で国内の支持率を上げることが至上命題となっている。中間選挙で負ければ、ロシアゲートで弾劾裁判を受けることはほぼ間違いなく、かなり厳しい局面に立たされることになる。 だが、この中止申し入れも正恩委員長の性格を見抜いたブラフにすぎなかった。ポンペオ国務長官はCIA長官だった昨年7月に「金正恩暗殺」を公然と語った人物だが、トランプ大統領はその“暗殺立案者”を今年3月末から4月初旬にかけて極秘訪朝させ、さらに5月にも正恩委員長と直接交渉させている。そしてこの2回の会談で、“フェイシャル・プロファイリング”という技術により正恩委員長を丸裸にしたのだ。 「昨年4月、トランプ大統領のフロリダの高級別荘で行われた米中首脳会談の夕食会の折、トランプ大統領が習主席に突然『今、シリアに向けて59発のクルージングミサイルを発射しました』と伝えたところ、習主席は絶句したまま言葉が出なかったという出来事がありました。これは米国のCIAなどの情報機関が“フェイシャル・プロファイリング”から習主席を『慎重な性格で準備を怠らないので失敗は少ないが、予想を超えるサプライズには弱い』と分析し、米国が仕組んだシナリオだったのです」(安全保障アナリスト) 正恩委員長の性格はどう判断されているのか。 「正恩委員長を警護する憲兵だった脱北者は『父親からの教育による猛勉強で頭脳は明晰、母親からは、日本的なおおらかさを持ち、かつ律儀な人物になるように教育された』と証言し、父母からの異なる教育で、剛柔の二面性を持つと指摘されています。ポンペオ長官は、フェイシャル・プロファイリングによる性格分析から『剛には剛で対応すれば、物事の急変性に弱い』と結論付け、今回の会談中止を突き付けた可能性が高い。トランプ大統領は書簡で、北朝鮮が暴発すれば『米軍の準備は整っている』と警告しており、日米は歩調をそろえて北朝鮮が音を上げるまで『最大限の圧力』路線を続けるに越したことはありません。“会談中止表明”での北朝鮮の狼狽ぶりを見る限り、圧力路線の正しさと解決への道筋を指し示していると言えるのではないでしょうか」(国際ジャーナリスト) たとえ正常な人物でも、マルクス・レーニン主義を思想基盤とした体制で権力を守るには、兄弟や親族を粛清するほどの狂気を伴う。ただ、狂気は、その上をいく狂気には弱い。 「北朝鮮は核を持つ故にGDPが1000倍もある米国と五分に渡り合えるのです。それがある日突然、国際協調に目覚めていい子に豹変し、核を手放すわけがありません。この“伝家の宝刀”を『完全で検証可能かつ不可逆的な核廃棄(CVID)』させるには、日本を真珠湾攻撃に誘い込んだ『2018年版ハル・ノート』を突き付ける必要がありました。それが今回の会談中止の書簡です」(前出・安全保障アナリスト) 5月22日、米海軍のイージス駆逐艦『ミリアス』が横須賀基地に追加配備された。これで在日米海軍艦艇は過去最多の14隻となった。もちろん米朝首脳会談の土壇場の中止、あるいは決裂をも見据えた態勢強化に他ならない。 「正恩委員長暗殺用のF22も米韓空軍演習『マックス・サンダー』を名目に8機も韓国に送り込み済みです。'17年半ばまでは、米軍も正恩委員長の居どころが分からず、専門家の間でも『空爆による暗殺は難しい』との見方が一般的でしたが、今年春頃から『24時間捕捉している』との情報が流れています。事実かどうかは確認のしようがありませんが、本人の耳に入れば不安になるのは間違いないでしょう。しかも、北朝鮮がもっとも恐れるボルトン大統領補佐官は昨秋から、韓国主導の吸収統一にやる気が見られない以上、中国が正恩体制をつぶすのに協力するなら、北朝鮮を中国の意のままにしても構わないとまで言い出しています。中国が北朝鮮に傀儡政権をつくったところで、そこから太平洋に出られるわけではなく、海洋国家米国としては大きな影響はありません。つまり北朝鮮を取らせることで、中国に大きな負担を背負わせ、台湾を併呑しようという余裕をなくさせる戦略的な発想です。ですから米朝首脳会談が中止もしくは不成立に終わった場合、いよいよ米中共同の正恩斬首作戦が決行されるかもしれないのです」(北朝鮮ウオッチャー) 北朝鮮内部からの情報によると、昨年12月に“正恩暗殺事件”が発覚して、首謀者6人が処刑されたという。 「暗殺未遂事件のウワサは、これまでもしばしばもたらされてきました。'13年に正恩氏の最側近であり叔父に当たる張成沢が銃殺処刑されましたが、これは正恩暗殺計画が発覚したからです。張氏は金正恩を殺し、金正男を代わりに迎えるつもりでした。'15年に交通事故など起こり得ない道路で事故死したと伝えられた金養建統一戦線部長も、同じ計画を実行しようとしたとされています。昨年の暗殺未遂事件は化学兵器を使ったものだったようで、北朝鮮の軍、あるいは外国の軍事組織との共同作戦のニオイがプンプンします」(同) 2回目の会談に臨んだ正恩委員長は、文大統領の口からトランプ政権に宛て「非核化の用意あり」とのシグナルを送ってもらった。だが、すでにトランプ政権は文大統領の“独り相撲”に辟易しており、世界を裏切る言動を続けてきた南北の政権を信用していない。 「北朝鮮とシンガポールは直線距離で約4800㎞も離れています。金日成主席も金正日総書記も、中国、ロシア(旧ソ連)以外の外遊はほとんどありませんでしたから、北朝鮮当局は本土からこれほど離れた外国での安全を組織的に確保する経験が決定的に欠落していると考えられます。トランプ政権が対北朝鮮の軍事行動計画を放棄したと表明しているわけではない状況下で、果たして正恩委員長がどこまで突っ張れるのか見ものです」(同) 祖国から遠く離れた地で正恩委員長が絶体絶命の大ピンチに陥ることも十分にあり得そうだ。
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社会 2018年06月01日 08時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 銀行冬の時代が始まった
三菱UFJ、三井住友、みずほの3大メガバンクが、ATMを共通化する方向で協議に入ったと、5月11日付の読売新聞が報じた。銀行は、利用者の利便性を高めるためとしている。例えば、納付書を使ってATMで税金を納められるようにしたり、スマホで現金が引き出せるような高機能化を目指すとしているが、銀行の本音は、間違いなくコスト削減だ。ATMは、銀行と預金者の接点であり、銀行の顔だ。それを共通化しなければならないほど、銀行の経営が厳しくなっているのだ。 3大メガバンクは、合計で2万台のATMを設置しているが、その費用は年間2000億円にも達している。ATMを共通化して台数を半減することができれば、1000億円の節約ができる。もちろん、そうなれば、利用者が不便になるのだが、それでも、やらざるをえないほど、銀行経営が追い詰められていると言える。 バブル崩壊以前、メガバンクの経営は最強だった。20代終わりで支店長代理になると年収1000万円になり、30代で年収2000万円という強者も存在した。それだけの人件費を支払っても銀行が儲かったのは、「信用創造」と呼ばれる仕組みがあるからだ。 銀行は、融資をするときに現金を提供するのではなく、借入する人の口座に融資金を振り込む。するとその分、預金が増えるから、その預金をもとに更なる貸し出しが可能になる。そうしたことを繰り返して、本来の預金の何倍ものお金を貸し付けることができた。日本の銀行は、貸し出しが預金を上回るオーバーローンという状態を続けたのだ。 しかし、経済が低迷すると、資金需要が減った。いまや、メガバンクの貸出額は、預金額の3分の2ほどしかなくなったのだ。 しかも、資金需要の低迷は、利ザヤの低下をもたらしている。いまや銀行の利ザヤは0.14%と、10年前の半分以下。これでは、預金を集めて貸し出しで儲けるという銀行本来の業務が、成り立つはずがない。 実際、メガバンク3行は、店舗の統廃合だけでなく、大規模リストラを打ち出している。みずほグループは10年で1万9000人、三菱UFJは7年で9500人、三井住友は4年で4000人の削減を決めている。 いまだに銀行員の年収はトップクラスを維持しているが、それも風前の灯だ。若い層を中心に、確実に年収が下がってきているからだ。今後は、定年まで勤めても年収1000万円に届かない可能性が高まってくる。ところが学生は、まだその事実に気付いていないようだ。キャリタスが行った来年4月に就職する大学生の就職希望ランキングで、文系の首位は三菱UFJ銀行、7位が三井住友銀行、10位がみずほフィナンシャルグループと、3大メガバンクが顔を揃えた。 銀行員の処遇が悪化するのは、日銀の低金利政策のせいではない。金融自由化の影響が一番大きい。日本よりずっと早く金融自由化が進んだ欧米では、自由化後大きな変化が起きたという。それまで、世間から尊敬され、高収入が保証された銀行員が、普通のサラリーマンになってしまったのだ。現に米国では、窓口業務を行う行員の年収は200万円程度だ。日本も遠からず、そうした処遇になっていくに違いない。
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社会 2018年05月31日 21時30分
「自撮りに夢中で引きこもりになった子がいる」尾木ママ、SNSの恐ろしさを語る
5月30日に放送された『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)に、教育評論家の尾木直樹氏が出演。SNSや自撮りの恐ろしさを語った。 イギリスのバーミンガム大学が2018年1月、13〜18歳の子供1296人を対象に行った調査結果を基に話を始める尾木氏。「ティーンエージャーはタレントみたいになりたいっていうのが常識だったんですけど、今はほとんど憧れを持たない」と最近の若者は有名人をロールモデルにしなくなったと報告。 続けて、「SNSの同学年とか同級生の子には、プレッシャーや同調圧力を感じて『この子、私と同じ16歳!?私と同い年なのにこんなに可愛い…』とか、そんな可愛い子を見たりして、実際にダイエットをやった子がなんと46%いて、実際に食事制限とか運動を一生懸命やるとか」とSNS上の年の近い人と比較したことがキッカケで、半数近い子供がダイエットに取り組んだらしい。 また、尾木氏は「思春期に“奇跡の1枚”を撮ろうとするんですよ。(あまりに凝りすぎて)学校行くの忘れちゃって、学校行く時間がなくて不登校になったり引きこもりになったり」と自撮りが原因で様々な問題が起きていると話す。 さらに、「19歳の男の子なんですけど、どんなにやっても評価されなくて、自殺未遂したんですよ」とSNSにアップした写真が評価されなかったため、自殺を図ろうとした若者もいたようだ。 2014年9月、ポルトガル有数の観光地「ロカ岬」でポーランドからの観光客夫婦が自撮りをしようとした際、体のバランスを崩し崖から転落死する事故が発生。 2015年9月には、インドの世界遺産「タージ・マハル」で自撮りをしようとし、階段から落ちて転落死した日本人男性もいる。自撮りすることに集中しすぎて、周囲への意識が散漫になり事故にあった人は世界中に多い。 自撮りをSNSにアップして評価されるのはとても嬉しいが、自殺や事故などさまざまな問題を引き起こしているのは事実だ。そろそろ本格的に自撮りやSNSとの付き合い方を考える必要がある。
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社会 2018年05月31日 16時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第272回 忌まわしき税金
2018年5月15日、日経新聞が'19年10月に予定されている消費税増税の悪影響に対する「対策」を、政府が検討していることを報じた。具体的には、住宅や自動車の購入者に減税を実施し、増税後の買い控えを防ぐという。また、商品価格の急激な上昇を防ぐ対策も、増税ショックを軽減するとのもくろみだ。 '14年の消費税増税の際には、筆者らわずかな例外を除き、ほとんどの学者、ジャーナリスト、経済界、エコノミストたちが、 「消費税を増税しても景気の影響は軽微」 と嘘八百を主張し、実際に増税された途端に消費が激減した。 '14年度の民間最終消費支出(個人消費)の実質値は、対前年比で8兆円(!)も減少。直近の実質消費('18年3月)を見ても、相変わらず対前年比マイナスで▲0.7%。 '14年度の増税時、「消費税増税の悪影響は軽微」といったでたらめを吹聴した吉川洋、伊藤隆敏、伊藤元重、土居丈朗ら財務省の御用学者たちは、今でも政府の要職にある。当時、消費税再増税をアピールし、日本国民を貧困化させてしまったことに対し、何ら責任を取っていない。 ここまで「朽ちた国」が、現在の日本国だ。 しかも、'14年の増税の影響がいまだに継続していることからも分かるが、消費増税の悪影響は「長期化」する。それにも関わらず「増税後の買い控え」を防ぐという名目で、 ○住宅ローン減税の拡充 ○自動車関連税制の見直し という、泥縄対策で政府は増税路線を突き進んでいる。 泥棒が入ってから縄を編み初めるくらいならば、泥棒に入られないように戸締りを厳重にするべきだろう。すなわち、消費税増税の凍結だ。また、個人的にはこちらのほうが問題だと思うが、政府は'19年度の増税時に、 ○「消費税還元セール」を禁じた転嫁対策特別措置法の見直し ○増税後の値引きセールを解禁 など、販売店に「値下げ」をさせることで、値上げの印象を薄れさせ、増税反動の需要減少を抑制しようとしているのだ。 例えば、税抜き100円の商品について、増税により110円で売らなければならない際に、「消費税増税分還元セール」として、108円で売らせれば、確かに「値上げ」は目立たない。とはいえ、その分、販売店が2円、損をしているのだ。デフレ脱却を主張しながら、消費税増税を強行し、値上げ分を販売店に「値下げ」を求める。やっていることが滅茶苦茶だ。 政府はいずれにせよ消費税増税により徴税を増やす。とはいえ、消費税増税は「強制値上げ」になるため、消費が激減する可能性が高い。というわけで、小売店に値上げ分は「飲んでくれ」と要求しているわけだ。まさに、無責任内閣である。 増税後の需要急減が怖いのであれば、普通に消費税を凍結すれば済む話だ。この手の当たり前の政治判断すらできないとなると、わが国の未来は暗いと断言せざるを得ない。 そもそも、消費税は「忌まわしき税金」だ。消費税は、 「課税によって人々の経済活動が影響を受けずに、民間の資源配分をかく乱しない」 という課税の中立性原則の観点から一番望ましい税制であるといわれている。確かに、人間は消費しなければ生きていけないため、消費税からは誰もが逃れられない。また、高所得者も低所得者も、消費をするたびに「同じ税率」の税金を徴収されるわけだ。まことに公正という話なのだが、本当にそうなのか。 当たり前だが、どれだけ所得が高い人であっても、お腹が一杯になればそれ以上は食べられない。金持ちが消費を増やすとはいっても、限界があるのだ。というわけで、高所得者層の消費性向(所得から消費に回す割合)は低い。 逆に、低所得者層は所得のほとんどを消費に使わざるを得ないため、消費性向は高まる。つまりは、支払った消費税が所得に占める割合を比較すると、低所得者層の方が高所得者層よりも高くなってしまうのだ。消費税は間違いなく「逆累進性」が強い、格差拡大型の税制なのだ。 ところで、財務省が消費税率引き上げを主張する際に使われるレトリックに、 「消費税は安定財源」 というものがある。確かに、景気によって上下の振れ幅が大きい所得税、法人税に比べ、消費税の安定感は抜群だ。消費税は増税時('97年、'14年)に対前年比で増加する(当たり前だが)のを除くと、ほぼ「対前年比ゼロパーセント」で推移している。増えもしなければ、減りもしない。すなわち、安定財源である。 財務省としては、景気変動の影響を受けない消費税は、実に「扱いやすい」税収になるのだろう。とはいえ、そもそも所得税や法人税が景気変動の影響を受けるのには、それなりの理由があるのだ。 税金には、好景気の時期には高所得者から多く徴収し、支出を減らすことで景気を鎮静化し、不景気の際には、負け組である失業者や赤字企業の税負担を減らすことで復活を助けるという役割がある。いわゆる、税金のビルトインスタビライザー(埋め込まれた安定化装置)機能である。“安定財源”である消費税には、スタビライザーの機能が一切ない。失業者だろうが、赤字企業だろうが、消費税は容赦なく徴収される。 すなわち、消費税は元々が国民の所得格差を拡大する傾向が強い上に、かつ不況期に「弱者に冷たい」税金なのである。こう言っては何だが、高所得者層は消費税が5%だろうが、8%だろうが、10%だろうが、ほとんど気にならない。とはいえ、日本国民の多数派にとっては、そうではないだろう。 特に10%への消費税増税はまずい。理由は「10%」の消費税率では、徴収される税金がいくらなのか、誰にでも即座に計算できてしまうためだ。消費税率10%への引き上げの悪影響は、8%へ税率が引き上げられた'14年時を上回るだろう。 忌まわしき税金である消費税は廃止するか、もしくはせめて増税凍結が必要なのである。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2018年05月31日 08時00分
米ゼロックスの買収拒否で激震 富士フイルムが嵌まった交渉混迷の行方
今年1月に富士フイルムホールディングス(HD)が社運をかけて打って出た、米ゼロックスの買収計画が暗礁に乗り上げている。 「これで業界の間では、カリスマ経営者と誉れ高い古森重隆CEOの経営手腕について疑問視する声も上がり始めている。一方、むしろ買収が失敗に終わった方が結果オーライとの見方をする経営アナリストらも多い」(経済誌記者) 富士フイルムHDのゼロックス買収計画のいきさつについて、事務機器業界関係者がこう説明する。 「富士フイルムHDが75%保有していたゼロックスとの合弁会社・富士ゼロックスの株式を、富士ゼロックスが借入金6700億円を元手に買い上げた上で、富士ゼロックスがゼロックスの100%子会社となる。ゼロックスは、この買収がらみで自社の株主への融和策として、日本円で約2700億円の特別配当を株主に支払い、後に第三者割当増資を実施。それを、富士フイルムHDが富士ゼロックス株式売却で得た6700億円を使いゼロックス株の50.1%を取得することで引き受け、経営権を得る。これで富士フイルムHD側は資金を使うことなくゼロックスを支配下に収める予定だったのです」 この計画は当初、今年中に完了すると言われていたのだが、そこへ突如、待ったがかかる。ゼロックス大株主で投資家のカール・アイカーン氏らが「ゼロックスの1株があまりに過小評価だ」と買収に猛反発し、2月にニューヨーク裁判所に差し止めを求める訴えを起こしたのだ。そこからは二転三転、日本時間で5月14日、ついにゼロックス側が白紙に戻すことを発表したのだった。 そもそも、古森氏ら経営陣がこの計画に躍起になっていたのには理由がある。 「富士フイルムHDは、デジカメやスマートフォンの普及により、フィルム事業の売上が加速度的にダウンして“倒産”の二文字がチラつきだしていた。それを救ったのが、2000年にトップに就いた古森氏。脱フィルムへの大胆な転換戦略で、医薬品や化粧品が含まれるライフサイエンス事業に比重を置いたのです」(関係者) '06年に化粧品市場、'08年には富山化学工業を買収し医薬品事業に参入。またフィルム事業では、断行した5000人規模のリストラが功を奏し、'07年度に業績がV字回復。“古森伝説”が生まれた。 「以降もリストラなどによってリーマンショックを乗り切り、'10年度には黒字転換。'13年度で初めて売上額が2兆4000億円に達したものの、以降は伸び悩んでいた。'17年度に至っては、大幅減益を予想しているほどです。ここを脱却できなければ、今後は再びジリ貧状態に陥る可能性が高い」(同) そのため古森氏は最後の大仕事として、ゼロックスと富士ゼロックスの合併による合理化で、1万人規模のリストラを断行。その余剰金で、さらにライフサイエンス事業に力を注ぐ方針を固め、今回の買収への動きに出たのだ。 古森氏は、あるメディアのインタビューで「今後、人類を脅かす感染症に対する薬剤や、がんやアルツハイマーなど、いまだに解決法がないアンメット・メディカル・ニーズの高い薬剤の開発に注力したい」と夢を語っていたが、一方で医薬品業界は、老舗の武田薬品でさえも新薬開発で苦難を強いられている。 「新薬にかかる開発費は約1000億円と言われ、開発期間も10年かかることはザラ。しかも、投資と時間をかけたからといって、それが成功するかどうかも分からない。そのため富士フイルムHDは、実績のあるゼロックスの医療画像診断機器、写真フィルム技術の液晶機器用フィルム事業、今もアジアで堅調な事務機器をベースに、確実に現金を稼がなければならない。加えて買収によって事務機器で世界トップとなり、事業再編と合理化で、さらなるリストラを進める必要に迫られていたのです」(前出・経済誌記者) しかしゼロックス側は、伝統を持つ企業買収に一銭も持ち出さない富士フイルムHDの姿勢に不満がくすぶり続け、大株主たちが高値での買い付けを突きつけたのだ。 「ゼロックスの現在の1株は28.46ドル(5月7日時点)。それをアイカーン氏らは、40ドル以上で買い取るなら検討するとしているが、富士フイルムHDとしては現段階(17日)では完全なノーだろう」(関係者) 証券アナリストは、こうも指摘する。 「ゼロックスの将来性はマイナス要因が多すぎて、富士フイルムHDの買収案には懐疑的な声も多かった。それだけに、白紙となって返ってよかったという見方もあるのです」 ただし、どちらに転んでも富士フイルムHDに苦難の道が待ち受けていることは確かだろう。
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