社会
-
社会 2015年07月04日 18時14分
新規に開園した霊園のメリット
墓地、霊園を探す際、何を重視するかは人それぞれだが、ある意味、狙い目といえるのが、新規に開園した霊園だ。 そのメリットについて、東京都内の某石材店によると、「新規霊園の最大のメリットは、区画(場所)が選べる点です。どうしても、古くからある霊園だと、空き区画に限りがあり、なかなか選べません。霊園は広いですから、やはり管理事務所や参道に近いところが便利なわけですが、奥の区画しか残っていないことも多いのです。そうなると、かなり歩かなければならなくなりますし、分かりづらい場所しか残っていないというケースもあります。好きな場所が選べる新規霊園は、その点では魅力です」と話す。 確かに、お墓参りをする際、我が家の墓が奥の区画にあれば、たどり着くまで難儀だし、分かりづらい場所にあれば、探すのだけでも一苦労だったりするわけです。 また、前述の石材店は「新規開園の霊園は新しい発想で、つくっている例も少なくありませんので、バリアフリーに対応しているケースも多いです。お墓参りは高齢な方や、車イスを利用されている方が行かれることが多いので、段差のないバリアフリー設計の霊園は、そういった方にとっては助かるので、その点でも好評です」と話す。 既存の霊園でも、新しい区画をつくって販売するケースもあり、その場合は好きな場所を選ぶこともできますが、その新しい区画が利便性の高い場所にあるとは限らない。 新規開園の霊園は、施設が充実していたり、駅からのアクセスが至便だったり、ペットと一緒に入れたりするケースも多く、そのメリットは少なくない。 むろん、既存の霊園にも良い点は多々あり、新規霊園がいいとは一概にいえないが、霊園選びをするにあたって、選択肢のひとつにするのもいいだろう。(山本 生道)
-
社会 2015年07月04日 17時00分
激増する日本へのタイ人観光客に自国政府が発した異例の警告内容
夏の観光シーズンを前に日本を訪れるタイ人観光客に対し「日本では万引きは重い犯罪である」との異例の“警告文”を、在京のタイ大使館がフェイスブックに掲載し、話題となっている。 大使館によると、日本のあるテーマパークを訪れたタイ人女性観光客が、つい出来心でパーク内の売店で数千バーツ相当の商品を万引きしてしまい、それが売店の店員に見つかってしまった。この女性は商品を返し、謝罪したので「罰金で済むだろう」と考えていたという。 ところが、店員から報告を受けた副店長が警察に通報。女性は身柄を一時拘束され、窃盗容疑での起訴が検討される事態に。そのため、検察庁の判断がでるまで日本を出国することができなくなったこの女性は、約2カ月タイに帰国できない状況となった。 「この女性は面会に訪れたタイ大使館関係者に事態打開をお願いしたが、『日本の法律を犯した以上、大使館としても一切介入することができない』と説明された。そこで女性は、大使館に対し他のタイ人観光客が同じ過ちを犯さないために自らのケースを役立て、警鐘を鳴らすよう求めたのです」(全国紙社会部記者) これを受けた大使館は「万引きは犯罪で訴追の恐れがあり、大使館は日本の司法に介入できないので十分注意するように」との警告文の掲載を決めたという。 今年1月から3月までに日本を訪れたタイ人観光客は29万9000人と昨年同比で約30%増え、国別では6番目に多い観光客が来日している。タイのテレビ番組による「日本紹介」は人気が高く、アニメを中心とする日本文化や日本食などへの関心もあり、タイ人の日本ブームが続いている。 それだけに大使館としても、公権力介入で万引きは罰金で許され解決できるという“タイ方式”は「日本では通用しない」ことを胸に刻むよう自国民に訴えているのだ。
-
社会 2015年07月03日 16時00分
達人政治家の処世の極意 第七回「梶山静六」
よく会社などで「おまえは臆病だ。気が小さい」などと叱咤される向きがあるが、少しも卑下することはない。政治家でも企業でも、成功する人物は、一見、豪放に見えても大なり小なり神経がこまやかで物事に慎重な人、言うなら根は臆病な人が多いのである。神経があちこちに行き渡り、あらゆる事態の到来に対処できるよう計画を巡らせている。ために、失敗が少ない。すべからく、大雑っぱな人物で大成した人はいないと知るべし。その代表的人物の一人が、表記の言葉を遺した梶山静六である。 その梶山をかの田中真紀子外相は「凡人・小渕(恵三)」「奇人・小泉(純一郎)」「軍人・梶山」と称してカッサイを浴びたが、なるほど梶山は第2次大戦の終戦を「陸士」(陸軍航空士官学校)で終えている。その後茨城県議となり、弱冠40歳で全国最年少の県会議長となった。当時、日の出の勢いだった自民党の田中角栄幹事長の目に止まり、「茨城に威勢のいい、なかなかの人材がいる」で国会に引っ張りだされた。その緻密と豪胆が相まった政治手法に、その後、怖いものなしの田中をして、「もしオレの寝首をかく者がいるとしたら梶山をおいてないだろう」と言わせしめたほどの人物だったのだ。ちなみに、豪胆さで言えばのちに竹下(登)派の内部分裂の際、その主導権を握ろうとした同派の最高幹部だった小沢一郎(現・生活の党代表)を前に、「キミは謹慎しろ」と一喝したこともある。その頃の小沢は、勢いのもっともあった時だったのだ。 その梶山は、案の定、通産大臣、自民党幹事長、官房長官など着実に要職を踏んでいくが、その調整能力には誰もが目を見張った。いまの社民党が社会党と言われていた「55年体制」の自民党と社会党の対決時代、自民党にとっては何でも反対の社会党にホトホト手を焼いていた。そうした中で、梶山の存在がいやが上にも光ったのである。例えば、梶山が国会対策委員長として当時の社会党・村山富市国対委員長と渡り合った時のエピソードがある。社会党国対関係者の、こんな証言が残っている。 「梶山と村山はしばし政策の違いでぶつかりあったが、梶山の村山への向き合いかたは、まるでガラス細工をいじるような緻密極まりないものだった。議員宿舎の部屋が隣同士だったこともあり、深夜、早朝、村山の部屋に潜り込んでは説得、詰めを欠かさなかった。やがて2人の間に信頼関係が生まれ、これはのちの“村山首相”誕生に結びついている。また、梶山にとって厄介だったのは野党は社会党だけでなく、他の野党を含めての調整が必要だったが、例えば料理屋で各党国対幹部と話し合う場合も、梶山は自分から背中を見せるということがまったくなかった。酒を酌み交わしながらあらゆるカードをチラつかせ、徹底的に“落とし所”を探り合う姿勢で、自分から席を立つということがなかったということだ。こうした姿勢には、各党の国対幹部も『梶山には勝てない』と脱帽だったのです。緻密さは抜きん出ていた」 梶山は就寝時に、必ず枕元にメモ帳とエンピツを置き、アイデアが浮かぶとすかさずメモすることを欠かさなかった。また、持ち歩く手帳には小さな字がシャープペンでびっしり書き込まれ、書かれた字は次々に消しゴムで消され、また書き込まれるという緻密ぶりでもあった。こうした「落とし所」への方策は時に100通りも想定、あらゆる事態打開に備えたというエピソードもある。その計画、シナリオづくりの凄さから、自民党からは「工程師」との“異名”もあった。 そうした梶山をかわいがった金丸信元副総理は、「平時の羽田(孜)、乱世の小沢(一郎)、大乱世の梶山」と、その時代に合う首相候補として名前を挙げた。世が大いに乱れた場合には、梶山こそ“出番”としていたのである。しかし、梶山は「人には“分”というものがある。水戸(茨城県)は副将軍なのだ。天下の副将軍に徹しようというのが、私の人生観だ」とした。 表記の梶山の「根は臆病」という言葉はいささか“遠慮”した言い回しとみるが、重心の低さで周囲をまんべんなく見渡し、何があっても対応可能な姿勢を自負しているようである。読者諸賢も「臆病」恐れるべからず、物事に慎重に向かい合うことで、失敗が少ないのは言うまでもないのである。=敬称略=■梶山静六=自治大臣(第36代)、国家公安委員会委員長(第46代)、通産大臣(第51代)、法務大臣(第52代)、自由民主党国会対策委員長(第35代、37代)、自由民主党幹事長(第29代)、内閣官房長官(第60代、第61代)を歴任。小林吉弥(こばやしきちや) 永田町取材歴46年のベテラン政治評論家。この間、佐藤栄作内閣以降の大物議員に多数接触する一方、抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書多数。
-
-
社会 2015年07月03日 10時00分
農水省OBの天下り先が元凶 バターの品薄・高騰の裏事情
バターの品薄と価格高騰の原因は、農林水産省OBの天下り先となっている独立行政法人『農畜産業振興機構』が元凶となっていることが関係者への取材で明らかになった。 農水省は5月27日、品薄が続くバターを海外から1万トン緊急輸入すると発表したものの、年末には再び品薄状態になるという。 「今年2月の2800トンより多い輸入量ですが、結局は品薄になって事実上の値上げになる。なぜそんなイタチごっこを続けるのか。理由は、農畜産機構が輸入を一元的に行う仕組みになっているからです」(大手乳業メーカー社員) そもそもバター不足の原因は、農水省の方針であるバター生産の“北海道一極集中化”にあるといわれている。 「この一極集中化を支えているのが、各都道府県の酪農家に支給される“加工原料乳生産者補助金制度”なのですが、この補助金を受けられる条件を満たすのは北海道の酪農家のみ。しかし、北海道が占める牛乳シェアは約2割。バター不足になるのは当然の話で、海外からの輸入に頼るしかなくなる。その輸入を一手に引き受けているのが、農水省の天下り先というわけです」(流通ジャーナリスト) 一方、民間事業者は農畜産機構に登録し、輸入した製品を一度、機構に売り渡す。その後、機構側がマークアップと呼ばれる内外価格調金を上乗せして、事業者は再び機構から高い価格で買い戻すという仕組みになっているのだ。 「例えば1万トンの輸入が実施されれば、機構に入る輸入差益は約50億円以上。書類を動かすだけで莫大な利益が生まれる。これは酪農家への助成に使われることになっていますが、農水省OBや出向者の多額な報酬にも使われるのです」(前出・メーカー社員) 前出の流通ジャーナリストが言う。 「機構は、国内の需要動向を見ながら輸入量を決めなければならないのですが、お役所仕事でその判断すらできない。だから緊急輸入してもまた足りず、値上げを繰り返しているのです」 しわ寄せは常に庶民へ。
-
社会 2015年07月02日 16時00分
各局へ続々女子アナを排出 アナウンススクールで稼ぐテレ朝
視聴率競争では日本テレビの後塵を拝するテレビ朝日が、この分野では絶対に負けないと胸を張っているのがアナウンサー育成事業。大学生を対象に運営するアナウンススクール『テレビ朝日アスク』、通称“アスク”が、学生の間で大評判となっているのだ。 「アナウンサーになるための専門学校なのに、入学するだけで100倍という狭き門になっている。もの凄い人気ですよ」(関係者) 理由は、民放及びNHKへの高い合格率だ。なんと今年度入社した女子アナはキー局、NHK合わせて6人もいるのだ。 「池谷麻依(テレ朝)、田中萌(同)、上村彩子(TBS)、宇内梨沙(同)、小澤陽子(フジ)、副島萌生(NHK)。皆、各局が一押しにしている新人アナウンサーばかりです」(制作関係者) 「学生の間で絶大な人気を誇る“アスク”の講習内容は、アナウンサー養成コース、声優養成コース、ナレーター養成コースなどがあり、応募資格は、アナウンサー就職セミナーが大学3年生以上、養成コースは大学1年から通うことになります」(事情通) 気になる授業料は以下だ。 「アナウンサー養成コースは基礎と研究科、そしてプロ専科、就職セミナーなど、もろもろ合算すると約40万円弱。テレ朝にとって青田買いに直結するだけに、美味しい事業なんです」(関係者) ちなみに日本テレビには『日テレ学院』、フジテレビは『お台場アナウンススクール』、TBSが『TBSアナウンススクール』をそれぞれ運営している。 「テレ朝を見て各局も本腰を入れてスクール運営に乗り出す。現金収入が入って来るのは魅力的なことなんです」(同) 来年はどのスクールから女子アナが輩出されるのか。
-
-
社会 2015年07月02日 10時00分
LIXILは氷山の一角 海外M&Aで日本企業がハマる落とし穴
アベノミクス効果というべきか、円安の逆風にもかかわらず日本勢が海外企業を猛然と買いあさっている。 東京海上HDは6月10日、米保険会社『HCCインシュアランスHD』を9400億円で買収すると発表した。日本企業の海外M&Aでは歴代8位の規模だ。 保険会社では第一生命が2月に米保険会社『プロテクティブ』を5800億円で買収。結果、売上高に相当する保険料収入で屈辱の2位に転落した日本生命は、海外企業の買収に「最大1兆5000億円を投じる」と発表した。 その他、今秋の上場を控える日本郵政がオーストラリアの物流会社『トールHD』を6200億円、キヤノンが監視カメラの世界トップ企業『アクシス』(スウェーデン)を3337億円、旭化成が米化学品メーカー『ポリポア』を2600億円など、日の丸企業による怒涛の海外買収ラッシュが続いている。 「手元資金が潤沢になった今、これを有効に活用する近道として各社が海外M&Aに打って出た図式ですが、仲介役としてフィナンシャル・アドバイザーを務める欧米の投資銀行には“格好のカモ”でしかありません。買収価格をつり上げれば彼らの成功報酬に跳ね返る。たとえ赤字タレ流しのボロ会社でも少し細工を施せば日本企業は簡単に見抜けないし、将来性を強調すればバカ高いプレミアムにも平気で飛びつく。これがメディアをにぎわせている海外M&Aの実態です」(大手証券役員) 先ごろ住宅設備最大手のLIXILが、海外子会社の破産に伴い660億円の損失を計上した。その“原点”は2年前に3800億円で買収したドイツの住宅設備企業にあった。この会社の中国子会社が長年にわたり行っていた粉飾決算を、買収時に全く見抜くことができなかったのだ 実態は赤字企業というのはよくある話。昨今の海外M&Aが“高値づかみ”だったとしても不思議はない。
-
社会 2015年07月01日 16時00分
三越伊勢丹詐欺事件総額5億円を騙し取った悪女の“エステ狂い”
「とても50代には見えませんでした。シワもほうれい線もなく、40代そこそこの見かけだったんです」 近隣住人が語るのは、6月15日までに埼玉県警に詐欺容疑で逮捕された森田弘子容疑者(51・無職=所沢市在住)のこと。捜査関係者によれば同容疑者は、夫が勤めていた三越伊勢丹の名刺を悪用。「1口100万円の特別会員積立金制度に加入すれば元本保証」「半年に一度4万円の商品券を贈呈」と吹聴し、総額5億円のカネを騙し取っていたのだ。 捜査関係者が言う。 「詐欺行為が行われたのは、'12年〜'14年にかけて。弘子は23年前に社内結婚し、退職するまで同百貨店のデパガだったことから、同社に実在する友の会名を口にし、『特別な人だけを誘っている』と勧誘していた。セールストークに騙された被害者の中には、5000万円も預けてしまった者もいたほどです」 逮捕のきっかけは商品券の配布が滞り、被害者が伊勢丹に問い合わせたことから。これが原因で弘子容疑者の嘘が発覚し、一度は伊勢丹側から厳重注意を受けて当事者間で示談が成立したが、その後も被害が絶えず刑事事件に発展したのだ。 だが、気になるのは騙したカネの使い道だろう。 「最初は集めたカネで伊勢丹の商品券を購入して偽装返金していたが、大半は高級エステや美容整形代に消えていたという。また、自宅からは1個数万円もする化粧品も大量に見つかっているが、その一方、マンションの管理費は滞納という図太さだったんです」(同) ちなみに、弘子容疑者にはこの他にも疑惑が渦巻いているという。 「実は、今年4月に夫がマイカーの中で練炭自殺し、弘子容疑者は3080万円の保険金を手にしているのです。埼玉県警はこれに重大関心を示し、今年5月に自殺ほう助容疑で彼女を逮捕。結局、処分保留で釈放した経緯があるが、夫の自殺前に若い男と頻繁に居酒屋を訪れていたとの目撃談もある。この疑惑もいまだ闇の中なのです」(全国紙社会部記者) 事件の本格解明はこれからといえそうだ。
-
社会 2015年07月01日 10時00分
夏山登山でダメ押しか 富士山の環境悪化で世界遺産登録抹消危機
一昨年6月に日本国内で13件目となる世界文化遺産に登録された富士山が、早くも“取り消し危機”にさらされているという。 「富士山は、ゴミ放置や車の排気ガスに加え、登山客のための山の掘削など、環境問題が山積みでしたが、何ひとつ解決されていないのです。富士山が世界遺産に値するかは、ユネスコの付属機関であるイコモス(国際記念物遺跡会議)というNGO団体が審査するのですが、2016年の2月1日までに『保全状態報告書』、つまり環境対策の提出を義務付けられている。もし提出を怠ったり、改善が行われていなければ登録抹消になる可能性さえあるのです」(地元記者) '09年には、ドイツのドレスデン・エルベ渓谷が、景観を損ねる橋を架けたことを理由に登録を抹消された例もある。 「富士山では世界遺産登録により登山者が激増し、宿泊施設やトイレの不足など、オーバーユースの問題が深刻化しています。昨夏も山荘付近に弁当の残骸やペットボトルが散乱していた。登山道に投げ捨てる人もいて、掃除するのが大変だったようです」(同) しかも昨年から本格的に導入された入山料(富士山保全協力金=任意で1000円)の徴収率は、山梨県側で56%、静岡側で41%。当初の想定を大きく下回り、関係者を愕然とさせている。 ジャーナリストの窪田順生氏が言う。 「日本人は世界遺産を使いこなせていない。観光に対する意識を変えないと、本当に登録抹消になってしまう。登録すれば地元経済の活性化など期待もあるのでしょうが、そもそも欧米人などは“日本人は自然や文化を大切にしない”と冷やかかな目で見ています。富士山も入山料をもっと高く設定し、それをトイレなどの施設のメンテナンスに使うのは当然の話です。それを怠って、ボランティアの支援を仰ごうなどという考えはもってのほかです」 そんな中、3月には静岡・山梨の両県が「富士山とその構成資産を適正に利用しながら保存管理する」を基本理念とする条例を制定。入山料制度への登山者の協力要請を明文化するなど、「保全状態報告書」の提出期限までにイコモスにアピールしようと躍起だ。 今年の夏山登山シーズンが環境悪化へのダメ押しとならなければいいが…。
-
社会 2015年06月30日 16時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第131回 ドイツ帝国
ギリシャ情勢が、いよいよ土壇場を迎えようとしている。 6月末にIMFへの16億ユーロ(約2200億円)の返済期限が迫る中、ファイナンス(借り入れ)の見込みは立たず、ギリシャ政府と債権団の協議も6月14日に物別れに終わった。しかも、両者ともに「態度を硬化させる」形の物別れであった。 ギリシャのチプラス首相は、自らに、 「ギリシャの尊厳を守る責任がある」 として、債権団側が要求している一段の年金削減などについて“拒否”する姿勢を鮮明にした。 カネを借りている側が、何を言っているのかと思われたかもしれないが、チプラス首相の態度は、実は「国民主権国家の首相」としては正しい。 チプラス首相が率いるSYRIZA(急進左派連合)は、民主的な選挙において、「緊縮財政を実施しない」を公約に掲げ、政権を奪取したのである。 チプラス首相が債権団側の求める年金削減などの緊縮財政を呑むと、「民主主義に反した」ことになってしまうのだ。 とはいえ、現実にギリシャ政府はフランスやドイツの銀行などの債権団からユーロを借りている。さらに、2012年に本格的なデフォルトを回避するために、IMFなどの国際機関からもユーロを借りた。 現在の「国際秩序」の上では、外国から借りた対外負債(外貨建てもしくは共通通貨建て)は「政府の責任」で返済しなければならない。政府の責任とは、主権者が国民の場合は「国民の責任」とイコールになる。 対外負債を返済できず、デフォルトに陥った国は、国民の主権を制限され、IMF管理の下で緊縮財政と構造改革を強制されることになる。 チプラス首相、そしてギリシャ国民は、国民が主権に基づき政策を決定する「民主主義」と、「国際秩序」との間に挟まれてしまっているのだ。 さて、ギリシャ情勢がいかなる結末を迎えるのか、現時点では誰にもわからないが、確実なのはギリシャがユーロから離脱しない限り、国民の主権に基づき「経世済民」を追求する国には戻れないという点だ。 何しろ、現在のユーロ圏は完全にドイツの“帝国”と化してしまっている。 先日、フランスの歴史人口学者・家族人類学者、エマニュエル・トッドの著作『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告』が、文春新書から刊行された。オランド・フランス大統領を「ドイツの副首相」と呼ぶトッド氏は、現在のユーロ圏が「ドイツによる新たな帝国である」と表現している。 そもそも、共通通貨ユーロは米英のアングロ・サクソン流グローバリズムに対抗するべく、フランスが音頭を取り、実現したシステムだ。 ところが、現在はユーロの仕組みそのものが「ユーロ・グローバリズム」の下で、各国が互いに所得を奪い合う戦場を作るに至っている。 そして、現時点の勝者であるドイツが、ユーロ圏を“ドイツ帝国”として、事実上、支配下に置いてしまったという話である。 何を大げさなことをと思われたかも知れないが、実は現在のユーロ圏は、冗談でも何でもなく「定義的に」ドイツの帝国と化しているのだ。 そもそも“帝国”とは何だろうか。 古のローマ帝国や中華帝国の頃はいざ知らず、イギリスのインド支配以降の、いわゆる“帝国主義”の時代において、帝国とは、 「相手国の国民の主権を奪い、所得を自国へと還流させる」 システムを意味するようになった。日本国民の多くは“帝国主義”について、 「他国を植民地として支配する」 と、漠然と理解しているだろうが、帝国の本質は「所得の収奪」にある。相手国の国民から主権を奪った上で、自国に所得が「チャリン、チャリン」と還流していく仕組みを構築するのだ。 結果的に、被支配国の住民(主権がないので、もはや“国民”ではない)は貧困の中で喘ぎ続け、支配国に富が蓄積されていくことになるのである。 例えば、インドを「イギリス領インド帝国」と化したイギリスは、同国の市場に自国産綿製品を雪崩れ込ませ、貿易黒字という形で所得を自国に流入させた。 あるいは、ベトナムを植民地にしたフランスは、現地に橋を建設し、ベトナム人から通行料を徴収し、所得収支流入という形で所得を自国に流入させたのである。 そして、現在のユーロ。ユーロ加盟国はマーストリヒト条約などの「国際協定」に縛られ、国民は主権の一部を失っている。例を挙げれば、関税自主権であり、金融主権だ。 そのため、ユーロ加盟国は関税や為替レートの変動という「盾」なしに、互いに「フェア」な競争を強いられているのである。生産性が異なる国同士が「盾」なしでフェアに競争した場合、間違いなく高生産性国が勝利する。 ユーロ圏はドイツという勝ち組と、ギリシャやスペイン、ポルトガルなどの負け組に綺麗に分かれていった。ユーロ加盟国は生産性でドイツを上回らない限り(ほぼ不可能だ)、毎年、貿易赤字としてドイツに所得を献上することになる。 さらに、ドイツの貿易黒字は(例えば)ギリシャ国内に投資され、今度は所得収支として所得がドイツに流出することになるのである。 最終的に、ギリシャに代表される負け組は、必ず対ドイツの対外純負債が拡大し(統計的に必ずそうなる)、資金的な融資を受けざるを得なくなる。 すると、現在のギリシャのように、更なる主権喪失と金利の流出という憂き目に遭うのである。 ギリシャがユーロに残留している限り、対策はたった一つ。ギリシャ国民がひたすら貧乏になりながらも、ユーロ圏における価格競争力を回復すること。こんな、情け容赦ない「搾取のシステム」こそが、現在のユーロなのだ。 ユーロ加盟国の国民が“ドイツ帝国”に支配されているという現実に気が付き、ユーロ離脱を志向しない限り、ユーロの危機は永遠に続く。 果たして、ギリシャ政府は、そしてギリシャ国民は、「ユーロ離脱」という、たった一つの正解を選択することができるのだろうか。ユーロから離脱しない限り、ギリシャは債務問題がいかなる決着を迎えようとも、ドイツ帝国の支配下で国民が苦しみ続けることになるのだ。三橋貴明(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。
-
-
社会 2015年06月30日 10時00分
口永良部島、桜島…九州・火山噴火は日向灘沖地震と連動する!
「口永良部島の噴火の周期は20〜30年で、今はちょうど活動期にあたる」 とは、ある地震学者。5月29日に新岳で爆発的噴火を起こした鹿児島県の口永良部島が、6月18日から再度噴火し、不気味な活動を見せている。 「南九州の火山活動は今、非常に活発化しています。それぞれが他の火山に影響を与え、連動して噴火することもあり得る状況です。そうした中で、口永良部島に一番影響を受けやすいのが桜島といわれています」 こう語るのは、防災ジャーナリストの渡辺実氏である。 天変地異は一度起きると重なるもので、5月22日には鹿児島県奄美大島沖で震度5弱の地震が発生しており、これが日向灘沖で起きると見られる大地震の前兆現象という見方もある。 琉球大理学部名誉教授の木村政昭氏が言う。 「太平洋プレートに押されて日向灘沖はかなりストレスが溜まっています。原因は、南九州の火山噴火と同じく太平洋プレートのプレッシャーなのです」 地震調査研究推進本部によれば、日向灘沖地震はM7.6前後のものは約200年周期で発生すると推定され、最近では1662年と1968年の2回。さらにM7前後のものは約20〜27年周期の発生とされ、直近では1961年と1984年に起きている。 木村氏はこの日向灘沖地震をM8.7、発生する時期については2014年±5年と予測しているのだ。 また、近年専門家の間で指摘されている地震と噴火の関連性を考えれば、日向灘沖地震により口永良部島、桜島、霧島など南九州の火山活動がより活発になる可能性さえある。 「1950年以降、M9クラスの地震は世界で7回起きていますが、そのうち6つの地震では4年以内に近隣の複数の火山が噴火しています。もし日向灘沖地震が起きれば、口永良部島、桜島、霧島のほか、硫黄島、諏訪之瀬島などの離島の火山活動の活発化を懸念する学者もいるのです」(サイエンスライター) 悪夢の連鎖が起きないことを祈るばかりだ。
-
社会
都知事選 石原氏「厳戒歌舞伎町演説」で語った手柄話
2007年03月29日 15時00分
-
社会
石原陣営に焦りアリアリ!? 今朝の政見放送でまさかの慎太“老”ぶし炸裂!!
2007年03月28日 15時00分
-
社会
都知事選政見放送で仰天マニフェスト
2007年03月27日 15時00分
-
社会
都知事選「浅草雷門で時間差対決、石原VSドクター中松」
2007年03月26日 15時00分
-
社会
都知事選 浅野スニーカー街頭演説でセクシーポーズ
2007年03月24日 15時00分
-
社会
都知事選 石原氏満員電車でGO!
2007年03月23日 15時00分
-
社会
都知事選きょう告示、石原氏ら第一声
2007年03月22日 15時00分
-
社会
桜金造都知事選正式表明
2007年03月20日 15時00分
-
社会
都知事選 黒川氏が石原知事をホリエモン呼ばわり
2007年03月19日 15時00分
-
社会
ホリエモン実刑
2007年03月16日 15時00分
-
社会
丸山弁護士東京都知事選出馬へ
2007年03月09日 15時00分
-
社会
石原カジノ構想消滅!?浅野氏に“追い風”吹く
2007年03月07日 15時00分
-
社会
上層部スタッフが告発 NOVA 怪文書
2007年02月21日 15時00分
特集
-
あかつ、アメリカ・アポロシアターでの「動きで笑わせるネタ」は世界にも テレビに年数回でも出られる自分は「持ってる」
芸能
2025年10月03日 12時00分
-
TKO・木下、篠宮との一件を明かす 目標は「タイと日本のハブ」 挑戦に対する厳しい声には「どうでもいい」
芸能
2025年09月26日 18時00分
-
-
元ボーイフレンド・宮川英二、最大の挫折は「M-1グランプリ」 セカンドキャリアは、芸人やお笑いサークルの学生の就職支援 芸人の給料も赤裸々に語る
芸能
2025年09月18日 17時00分
-
岡平健治「19」解散は「お金の問題じゃない」 岩瀬敬吾、地元に戻るのを「止められてよかった」 今後はバラエティーで「ポンコツっぷりを見て笑ってほしい」
芸能
2025年08月05日 23時00分
-
misono、家族について「マジで気持ち悪い家族」 「⼦ども⾃然にできると思っていたけど……」と不妊治療の再開、明かす
芸能
2025年09月16日 11時00分