そこで私は、番組MCであり、今回のイベントの主催者でもある切通氏にイベントについて話を聞いてきました。
−− なぜ「せつないかもしれない」をイベントでやってみたいと思われたのですか?
切通 『せつないかもしれない』は、普段一回30分で、僕や、番組パートナーのしじみさん(女優)が感銘を受けた本の著者にアポなしでラブコールを送り、次の回でゲストに来てもらえたらインタビューをするという番組となっています。
でも本当は、同じゲストの人とでも、その人に深く影響を与えた古典や名作となる作品について読書会のように話したり、日常の中での本との付き合い方、読書ということそれ自体について語ることによって発見してみたりと、そういうことをやってみたいと思っていました。
ちょうどクリスマスなので、冬至の深い闇の中で、寂しさを紛らわすのではなく、読書で小さなキャンドルを灯すような会をやってみたいと思って、三時間のイベントを考えたんです。
ゴー宣道場からは出張となりますが、小林よしのりさんにも許可を頂いて実現の方向になりました。
−− 今回のイベントは、どのような感じのイベントになりそうですか?
切通 呼びかけに、4人ものゲストの方が来て下さることになりました。
1人目は、整形や買い物依存症などの体験を綴り、本音で生きる女性に支持される中村うさぎさん。中村さんはファンタジーに造詣の深い小説家でもあり、クリスチャンとして育ってきました。
中村さんから「クリスマスにやるなら、『マッチ売りの少女』や『幸福の王子』みたいなせつない童話や、太宰治みたいな近代文学作家がキリスト教にカブれた時期の作品を読むってのはどうかしら」と提案をいただきました。
2人目は歌人で、誰にでも使える言葉で短歌を書くことを薦めて多くの若者たちに影響を与えている枡野浩一さん。ある説き、愛する奥さんが離れていってしまい、以来会わせてもらえないお子さんに「会いたい」という切実な気持ちを綴ったエッセイを何年も書き続けてきた、まさに孤独の真髄を極めた方です。
当日は枡野さんの指導で<クリスマスを呪う短歌>をみんなが発表するつもりです。
3人目は、『せつないかもしれない』にもゲストで来てくださった、作家でありジェンダー問題のオピニオンである伏見憲明さん。
伏見さんがジュニア向けに書いた本『さびしさの授業』には、次の一節があります。
「ぼくらは自分のさびしさを手放さずに、大事な物として抱えていこうではないですか。それこそが、誰かとつながらずにはいられない思いを、導くものなのだから」
伏見さんは本当の強さというものを知っている人だと思います。
そして、4人目として『せつないかもしれない』の1人目のゲストだった中沢健さんも駆けつけてくれます。
女の子と目を合わせることも、話すこともできなかったという中沢さんが「東京で作家になる」と宣言をして出したのが『初恋芸人』という作品。
番組でも紹介したこの本で、中沢さんは最後まで報われない初恋に生きる若手芸人を通して、それでも人に恋することの喜びをしっかりと書き記しています。
その中沢さんに、最近初めて彼女ができたという噂があります。ツイッターで「童貞卒業なう」とつぶやき、mixiニュースにもなりました。
中沢さんの長い童貞期の最後の方に『せつないかもしれない』のゲスト出演があったとは、感無量です! 中沢さんにはその後日談として、いまの偽らざる気持ちを告白してもらおうかと思っています。
この間も、伏見さんが二丁目でやっているゲイバー「エフメゾ」で公開打合せをやったんです。
なんといっても中村うさぎさんが、クリスマスに読む本について、「せつない読書会」というテーマを汲んでバシバシ提案してくださっているので、「これは面白いイベントになるに違いない!」と自分でもワクワクしています。
「サンタクロースってせつないかも?」とか「クリスマスに恋人と一緒にいなきゃいけないって、誰が決めたの!?」など、うさぎさんの名言も次々登場してます。
恋人がいない人も、いてもどこか孤独だという人も、クリスマスのさびしさ、せつなさの真髄をたしかめに来てくだされば幸いです!
イベントの詳細はこちらから!!
http://rooftop.cc/interview/002586.php
(「作家・歩く雑誌」中沢健 山口敏太郎事務所)
参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou