JR品川駅港南口を出て右手方向へ進む。NTT関連の企業ビルが乱立する区域を直進。NTTドコモビルの裏に“問題のトンネル”はあった。
恐怖の理由は一目瞭然だ。入り口に「高さ制限1.5メートル」との標識。これは驚きの低さだ。2008年の文部科学省の年齢別体格測定の結果によると、25〜29歳までの男性の平均身長は172.11センチ。一般成人男性の大多数が確実に頭をぶつけてしまう。
しかも、ただ低いだけではない。距離も230メートルあり、少しくぐればOKなどという甘いシロモノではない。トンネルの上はJR東海道線などがひっきりなしに往来。頭上に聞こえる電車の音はうるさいを通り越して少し怖い。
涼しい顔で器用に首を曲げて通る“トンネル常連”に対し、明らかに初めて通ると思われる人はトンネル前で一時停止。奥を覗き、首をかしげて苦笑い。窮屈そうに腰を曲げて入っていく。
驚くのはまだ早い。実は車も通行可能なのだ。入り口に差し掛かると見ている方が「大丈夫なの?」とドキドキしてしまう。しかし、慣れているのか数台のタクシーがためらうことなく入っていく。人通りが少ないわけでもなく、取材中も通行人が途絶えることがなかった。
事情通によると、「慣れていないと通行人は頭をぶつけます。車ならば天井の装飾等がひっかかってぶっ壊れる恐れもありますね。通称『提灯殺しのトンネル』ともいわれていますよ」とのこと。
都内にはほかにも、高さ制限1.7メートルの大田区中央2丁目JRガード下トンネルや、高さ制限1.8メートルの足立区柳原1丁目東武線ガード下トンネルなど「提灯殺しトンネル」が複数存在する。しかし、「高さ制限の低さやトンネルの長さにおいて、ここが最も危ないトンネルであることは間違いないでしょう」(前出の事情通)。
恐怖体験したいのならば、出没不確定な「お化けトンネル」よりも、リアルな恐怖が確実に味わえるこちらのトンネルが断然オススメだ。