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書評「007猿の手を持つ悪魔」セバスチャン・フォークス著、竹書房

 イアン・フレミングの生誕100年を記念して出版された本書。ボンドの生みの親に代わって筆をとるのは文芸作家のフォークスだ。

 舞台は「黄金の銃を持つ男」の1年半後。冷戦真っただ中の南欧から始まる。ボンドも40代になり、さすがに気力も衰え始め、自らの老いを意識する。ローマで出会った美女からのベッドの誘いも断ってしまう。こんなボンドの姿が描かれたことが、あっただろうか。

 しかし最後はやってくれるのが、我らがスーパースター。謎の美女スカーレットと共に、先天的な障害で猿の片手を持つ強欲で偏執狂のゴルナー博士と生死を掛けた戦いを繰り広げる。
 ダブルオー・シリーズのデビュー作とあって荒削りな部分もあるが、衝撃のラストもうまくまとまっている。(税別1714円)

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