「自分で歩けるうちにリングを降りたい」
長州はこう口にしていた。新日本プロレス時代、1998年の1.4東京ドーム大会で引退試合を行っているが、大仁田厚のたび重なるラブコールに折れる形で、大仁田とのノーロープ有刺鉄線電流爆破デスマッチ(2000年7月30日、横浜アリーナ大会)で復帰した。
新日本退団後は、WJを旗揚げしたが団体は崩壊。新日本に復帰を果たしたが、ここ数年は新日本の道場で練習をしながら、永遠のライバル藤波辰爾が主宰するドラディションや、後輩の武藤敬司がプロデュースするプロレスリング・マスターズなどにフリーで出場。変わらぬパワフルなファイトを見せていたが、長州力の動きができるうちにリングを後にしたいという気持ちが強かった。今年は「世話になった団体」であるマスターズや、DDTなど6月のファイナルマッチに向けて試合数を絞っている。
ファイナル興行の対戦カードは一切発表されていないが、長州は最後の相手について「藤波辰爾しかいないでしょう」と話しており、名勝負数え唄の最終章の実現が濃厚だ。また4月にグレート・ムタとして、ニューヨークで“先行復帰”を果たす武藤の国内復帰戦が行われることも発表されている。どんなメンバーが顔をそろえ、どういったカードが見られるのか非常に楽しみだ。
なお、長州は「一度引退している」ことから、「引退試合」ではなく「ファイナルマッチ」という言葉にこだわっており、ゲストを呼んだ引退セレモニーや10カウントゴングが鳴らされるのかは未定。数少ない残り試合で、白いリングシューズを目に焼きつけておきたい。
取材・文・写真 / どら増田