前田氏にとって藤原は新日本プロレス、UWFで行動をともにした兄貴分。第2次UWFが分裂しリングス、藤原組に袂を分かってからも2人の関係は友好で、リングスに藤原が上がったこともある。
長井は前田氏の弟子。リングスジャパン設立時は第2次UWF分裂後、高田延彦氏率いるUWFインターナショナルに所属するもすぐにリングスへ移籍。前田氏と長井の2人だけで活動していた。1997年に対戦後、方向性の違いから、長井はリングスを退団。以降、K-1など格闘技の大会に出場していたが、自らを「格闘家」を主張する前田氏とは違って「プロレスラー」と言い続けできた長井は全日本プロレスや、新日本プロレスに所属。現在は藤波辰爾のドラディションに所属している。公の場で両者が揃い踏みしたことはここ20年ない。それがプロレスのリングで実現するというのが興味深い。
対戦相手は、前田氏と激闘を繰り広げてきた藤波辰爾と、因縁のある長州力、そして新日本プロレスの後輩、獣神サンダー・ライガーが名を連ねている。
新日本時代に激闘を繰り広げてから前田氏と友好関係が続いている藤波は、前田氏とのトークショーなどで「必ず再び前田をリングに上げます」と復帰へのラブコールを送り続けていた。
長州とは1987年11月の試合中、前田氏が顔面を蹴り上げて欠場に追い込み、新日本から解雇され第2次UWFを旗揚げするキッカケになった因縁がある。その後、両者は和解しているが、昨年テレビ番組の企画で行われた『たたいて・かぶって・ジャンケンポン』の企画で、長州が過度に前田氏をピコピコハンマーで叩き、ハンマーを破壊。前田氏が一瞬キレる場面があった。当時のプロレスファンからは「30年越しの長州の復讐」としてSNS上で話題になった。この企画で同じく被害に遭った武藤敬司プロデューサーが前田氏にオファーを出したものと思われる。
長州のファイナルマッチは今年の6月。両者がリングで対峙するのは、これが最後になる可能性が高い。平成の最後に2人の因縁が完全清算されるのか?しかも舞台は顔面蹴りが起こった後楽園ホールだ。古くからのファンにとっては注目の“再会”になるだろう。
取材・文 / どら増田
写真 / ©︎プロレスリングマスターズ