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実況アナがよく襲撃されるプロレス“場外乱闘”でもさすがにヤリ過ぎでは?

 身近な世相から事件、芸能、スポーツ、格闘技にいたるできごとで「これって法律的に大丈夫なの?」「こんなトラブルどうにかなんないの!」という疑問ってありますよね。それをリアルライブが支店数日本最多の弁護士事務所「弁護士法人アディーレ法律事務所」の敏腕弁護士たちに質問して解決策を探していこうという企画。今回は、プロレスでよくある“場外乱闘”にまつわるトラブル。

<Q>
 先日のテレビ朝日の人気バラエティー番組アメトーークの「今、プロレスが熱い芸人」がおもしろかった。そういえば過去にタイガージェットシンのサーベルで額を切り刻まれた東スポ記者もいたな。でも、いくらレスラーといえども、戦うのはマットの上だけでしょう。アナウンサーや記者などに場外で暴力行為は許されないよね? レスラー相手に裁判起こせば勝てる?

 番組ではテレビ朝日の野上アナウンサーが襲撃されているシーンが流れていたけど…そこで、スポーツ・格闘技分野には一家言ある愛甲恵介弁護士に聞いてみた。

<A>
 結論から言うと、裁判で訴えても勝てる見込みは低いでしょう。他人を襲撃して服をビリビリに破いた場合、民事上は不法行為が成立し、刑事上は暴行罪(怪我を負わせれば傷害罪)が成立するのが原則です。

◆裁判で訴えても勝てない…なぜなら。

 もっとも、プロレスの世界に危険な行為は付き物です。そこで、試合に関係する行為については被害者の承諾に基づく正当行為として行為の違法性が阻却されると考えられています。選手以外の第三者に対する行為の場合、正当行為とは認められないのが通常ですが、相手が実況アナとなると少し事情が違ってきます。これまで数々の実況アナが選手から襲われてきましたが、それらの多くは試合を盛り上げるための演出であって、アナウンサーとして成長していくうえでの通過儀礼であると言っても過言ではないでしょう。

 野上アナの裸ネクタイはもはや様式美すら感じさせます。このような背景から、実況アナとして仕事をしている以上、危険についての承諾があるものとして、行為の違法性が阻却されると考えられるのです。

◆プロレスの世界だからといってどんな行為でも許されるわけではない。

 もちろん、プロレスの世界だからといって、どんな行為でも許されるわけではありません。行き過ぎた行為は社会的相当性を逸脱するものとして、違法性が阻却されないと考えらます。例えば、過去に倉持アナがシークに襲われて額に15針縫う大怪我をしたことがありましたが、さすがにこれは行き過ぎと言わざるを得ません。

 とにもかくにも見るに耐えない凄惨なものでないかぎり、アナウンサー襲撃はアングルの一つとして楽しむのが一番ではないでしょうか(野上アナすいません)。

【弁護士プロフィール】
愛甲恵介(あいこう・けいすけ)弁護士
明治大学法科大学院卒業。司法修習第65期。東京弁護士会所属。行政書士、宅地建物取引主任者の資格も持つ。趣味は野球観戦で、球場で声援を送るだけにとどまらず、セイバーメトリクスという手法を用いて選手の成績を分析している。また特技は少林寺拳法で、キックで木製バットを折ることもできる。
所属事務所:弁護士法人アディーレ法律事務所 http://www.adire.jp/

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