たとえ訪れた店が想定外に大きかったとしても、それをもってして、大味だろうとか、大雑把(ざっぱ)であろうとか、私のように予断と偏見をもって決めつけてはいけない。反省すべき典型的ケースとして、謹んでご紹介いたしたい。その店構えゆえに背を向けていた私をお許しあれ。
午後2時開店。シジミ汁。さりげなく端のほうにひっそりと札が下がっているこのお薦め品は、昨日の二日酔いを早く治して今夜に備えろというのか。はたまた明日の二日酔いに備えて今夕、素面(しらふ)のうちに啜(すす)っておけということなのか。いずれにしろ、痒(かゆ)いところに手が届いていることは間違いない。
点描風景として主婦3人組は蟹を食いつくし、殻を小山のように積んでお喋りタイム。蟹じゃあ、喋れないもんね。
初心者なので、無難中の無難、刺身盛り合わせ、天ぷら盛り合わせを注文。文句なし。ビールは大瓶と小瓶の2種類のみ。文句なし。大人数用の二階の百人宴会用座敷から、一人客用の1階のくの字カウンター席まで、いかようにも対応できるしつらえには脱帽。お姉さんは、ほんのり。板さんは、きびきび。食べるものが、質、量とも一頭地を抜いているので、酔ってから行くのはもったいない中野の良店。
予算1900円
東京都中野区中野5-32-15