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映画『恋するナポリタン 〜世界で一番おいしい愛され方〜』に出演した茂木健一郎氏に山口敏太郎が聞く、恋と脳と記憶の不思議な話(3)

 茂木 そうですね。まさにそうだと思います。ただ、そこで客観性っていうものをある程度確保しておくことも、人類の文明の中では役に立ったわけで。誰が誰にいくら借金してるとか、そういうのってある程度客観的に分からないと困りますからね。その狭間の中で人間って揺れてきたと思うんですけど、少なくとも恋愛って、思いっきり主観的でいいし。恋愛なんてある意味で全部イリュージョンだから。

 山口 そうですね、完全にイリュージョンですよね。

 茂木 だって「この人じゃなきゃいけない」っていうことはないわけだから。

 山口 結局それぞれ恋愛をしてる。恋愛を演じている男女、あるいは三角関係、四角関係を形成する誰もが、幻想を持ち合っている。ひとつのファンタジックなお芝居をやっている、みたいなことでしょうか?

 茂木 そうですね、「幻想」という共通の言葉で、お互いにコミュニケーションしているわけですけど、でもそれが何かね、物語を動かす原動力になっているわけです。だから僕はね、「想い」が最初にあると思います。やっぱり恋愛でもそうですけど、誰かと繋がりたいという想いがあったり、ご飯にしても、おいしいものが食べたいという想いがあったとすると、逆に食べさせたいっていう想いもあって、その想いがどのように絡んで物語になっていくかっていうのが、我々の人生なんです。それって、まだ無限にあるんですよ。その物語の組み合わせのパターンというか、可能性というか。だから人と人との心が入れ替わるっていうことで、無限の可能性のひとつが見えてくるわけだよね。

 山口 そうですね、だから割と人格が入れ替わるっていうパターンの映画は今まで何本もあったんですけれども、今回は一人の人間の中に二つの人格が入ってしまうというパターンで、大変興味深く思っておりますが、それが決してオカルトチックにとか、おどろおどろしくではなくて、さらっと日常生活のワンシーンで描かれているというところに、制作サイドの表現の上手さというのを非常に感じたんですね。

 茂木 そうですね、今風ですよね。空気感がね。

 山口 若い女性がスッと入っていけるような。一歩間違えればかなりSFチックな話になってしまうのに。本来なら男の子しか入っていけない設定なんですが、割と女性でも入っていけるところが不思議という感じがします。

 茂木 今そういう、超常的なもの、オカルト的なものが、日常化してるんでしょうね。ライトなものになったというか。

 山口 スピリチュアルブームとか、一連のブームがありましたからね。そこら辺で日常化してしまった感はありますね。

 茂木 ヘビーウェイトじゃなくて、それもひとつのバランスっていうか。命ってバランスが大事だから。バランスを崩さないウェイトだったら、僕は妄想とか、そういうのもいいと思うんですよ。

 山口 やはり、時々妄想すると楽しいですよね。

 茂木 そうです。でも、それがバランス崩しちゃって、要するになんだかイッちゃってる人がいるじゃないですか?(笑)。

 山口 振り切っている人ですね(笑)。

 茂木 振り切っちゃって、やることやってないっていうのがおかしいんですよ。やることやってれば、妄想はいいんです。

 山口 妄想癖の人で、税金も払っていない、年金も払っていないとかいう人いるじゃないですか。そういう人はやっぱり駄目なんですね。社会人として、仕事をやって、時々妄想に浸るのがベストだと。

 茂木 生活をちゃんと営んでないとね。自分がなんもマトモな生活もしてないのに、大きなことばかり言う人っているよね。そうじゃなくって、ちゃんと足元をしっかりすべきかと。

 山口 ああ、そうですよね。やっぱりそこら辺で、妄想と現実のバランスが取れる人が一番面白くて。テーマパークでも全部「楽しい」という世界観だけじゃなくて、ちょっとお化け屋敷のようなものが混じってるから、バランスが取れる。陰陽思想でしょうね。そういうバランスが取れる人っていうのが、素敵な現実主義者で。科学偏重主義、頑なな現実主義になっちゃうと、四角四面のつまらない人になってしまうっていうところがあるんですよね。

 茂木 坂本龍馬だってそうだよね。妄想ですよね。

 山口 坂本龍馬の言動は、完全に妄想ですよね。自分の立場とか考えたら普通できないことを口にしている。でも妄想をちょっとずつ現実にしていって、新しい妄想をどんどん広げて現実化していきましたよね、龍馬は。

 茂木 全然『恋ナポ』とは関係ない方に話は行ってますが(笑)。

 山口 『恋するナポリタン』を見た人は、ちょっとだけ妄想力をつけて、後は現実を豊かにしてくださいという(笑)。

 茂木 なるほど、それはいいね。

 山口 いいですね。微かなる狂気は大いなる力になるってことですよね。この映画そのものですよ。主人公の女性もね、ちょっとだけ不思議。不思議な部分を体験しながら、実生活では一流のシェフをフィアンセにもつ現実主義を持ちながら。現実主義だけど、ちょっと不思議なところも持っているじゃないですか。だから先生がおっしゃった、「ちょっとだけ不思議」っていう感じで、いいじゃないですか。

 茂木 ちょっとだけ不思議が、日本を救うね。

 山口 そうですね。科学偏重主義とか、そういうのは駄目になっちゃいますね。

 茂木 ああ、ウマい! また機会があったら是非。

 山口 是非、今後とも宜しくお願いします」
(了)

映画『恋するナポリタン 〜世界で一番おいしい愛され方〜』
9月11日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー

<ストーリー>
「プロポーズの返事をしないといけない!」
 幼なじみでグルメライターの佐藤瑠璃(相武紗季)から入っていた留守電のメッセージ。驚いたイタリアンシェフ田中武(塚本高史)は、彼女の元へ駆けつけるが、瑠璃の傍には先輩シェフの水沢譲治がいた。
 武が瑠璃に想いを伝えようとしたその時、ピアニスト槇原佑樹(眞木大輔)が起こしたアクシデントに巻き込まれてしまう。
 奇跡的に一命を取り留めた佑樹には、なぜか武の記憶が宿っていた。
 あの日、武が瑠璃に伝えたかった想いとは?

〔STAFF & CAST〕
企画/プロデューサー:野間清恵
監督:村谷嘉則
出演:相武紗季 眞木大輔 塚本高史/市川知宏 岡山智樹/茂木健一郎/真琴つばさ 市川亀治郎/北大路欣也
(C)2010「恋も仕事も腹八分目」フィルムパートナーズ

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