『美男ですね』は韓国の人気ドラマの日本リメイク版で、今回も韓国版通りの展開が進む。美男と廉の相部屋の一夜、二人での親の墓参り、NANA(小嶋陽菜)をエスコートするマネージャー、ソロ曲のレコーディングで想いが溢れるシーンなど韓国版の名シーンが目白押しである。
惜しむべきは短縮しているために韓国版の味が十分に出せていない点である。たとえば廉が豚に追いかけられるシーンがある。韓国版では田舎でスターが骨休めをしている中での出来事で、のどかな直前との好対照が笑いを大きくする。これに対して日本版では豚の襲撃が唐突で、廉が間抜けに映る。豚に追いかけられる廉の描写も韓国版以上にコミカルであった。
日本版の廉はビッグになるには足りないものがある発展途上の存在に設定変更されており、カリスマ的な韓国版のファン・テギョン(チャン・グンソク)のファンには違和感がある。その中で今回は韓国版のカン・シヌ(チョン・ヨンファ)に相当する柊が味を出していた。柊は早い段階で美男が女性であることに気付くが、誰にも言わずに守り続ける。美男に惹かれていくが、美男には優しい兄貴分としい思われていない損な役回りである。
美男が廉に惹かれつつあることを知りつつも、柊はアプローチを続ける。廉とNANAの交際に動揺する美男には「廉のファンだから動揺する」と説明し、「ファンならば幸せを願わないと」と諭す。美男が廉の部屋で寝る時も「困ったことがあれば何でも俺に言えよ」と言った。それでも柊の気持ちは報いられない。叔母の家に宿泊した美男を迎えに行くが、廉が迎えに来ることを期待していた美男は柊を見て立ちすくむ。「廉かと思った?」と尋ねる柊が寂しげであった。
前々クールの連続ドラマ『美咲ナンバーワン!!』で喧嘩っ早い男子高校生を演じたばかりの藤ヶ谷太輔であるが、『美男ですね』では抑制された演技で柊の人柄を表現した。美男と柊のカップリングを応援したくなる今後の展開に注目である。
(林田力)