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『AKB49 恋愛禁止条例』第5巻、高橋みなみが恋する乙女に

 元麻布ファクトリーの原作で宮島礼吏が『週刊少年マガジン』に連載中の漫画『AKB49 恋愛禁止条例』第5巻が、11月19日に発売された。人気アイドルグループを扱った漫画であるが、それにとどまらない面白さがある。

 男子高校生の浦山実が女装してAKB48の研修生になるという突き抜けた展開である。この巻では浦山のアイドルとしての成長や実在のAKB48メンバーの一面が盛り込まれ、漫画ファンもAKB48ファンも楽しめる内容になっている。

 主人公の浦山は、片想いの同級生・吉永寛子がAKB48のオーディションを受けると聞き、彼女を応援するために「浦川みのり」と名乗って女装してオーディションに参加する。浦川のフォローもあって吉永は合格するが、一緒に浦川も合格してしまう。

 その後は「片想いの同級生を応援するために女装して研修生になった」という設定を霞ませるほど、熱いアイドル成長物語が展開された。浦川は研修生活動や正規メンバーらとの触れ合いの中で、アイドルにやりがいを感じていく。浦川の意気込みは他の研修生たちも感化させ、浦川自身は研修生の中でセンターを任せられるほど飛び抜けた存在になる。ライバル役の岡部愛もキャラクターが立っている。

 その割を食ったキャラがヒロインであるはずの吉永である。浦川や岡部に比べて存在感が薄くなった。しかし、第4巻のラストで公演直前に吉永が倒れ、吉永をアイドルにするという原点に回帰する。厳しい選択を経ることで浦川はアイドルとして一回り成長することになる。さらに第5巻のラストでは吉永の家庭の問題が予感され、吉永から目が離せない。

 『AKB49』は実在の正規メンバーが登場する点も魅力である。但し、フィーチャーされる正規メンバーには偏りが見られる。最も目立っているメンバーは前田敦子で、浦川が男であることにも気づいている節がある。

 前田の次に目立つメンバーは高橋みなみである。高橋はAKB48のキャプテンとして、しっかり者のイメージがある。また、男性的なサバサバした性格も魅力である。ところが、『AKB49』の高橋は、みのりを女性と認識しながら惚れてしまい、みのりの前では顔を真っ赤にしてしまう。この巻では高橋と、みのりが観覧車デートをする。恋する乙女になった高橋のかわいらしい一面が描かれる。

 さらに、この巻では大島優子が、みのりをチームKに獲得するために動き出す。メンバーの体を触ることが好きとされる大島は『AKB49』でも、みのりの体を触ってくる。『AKB49』は大島が選抜総選挙1位を果たした直後の2010年8月に連載を開始したが、これまでは基本的に前田押しで、前田ばかりが取り上げられてきたが、この巻では大島のAKB48への思いが語られる。

(林田力)

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