今作は第10幕でピックアップさせていただいた『もっともあぶない刑事』の1年前に公開された作品です。
今回も、ダンディー鷹山とセクシー大下は華麗なステップ、キザな台詞 多彩なジョークを駆使。ただ、それ以上に大型バイク、電車や車でのアクションシーン等が際立っていた作品でした。
『あぶない刑事シリーズ』の見所は何と言っても個々のキャラ。登場人物全員が強烈なパワーを前面に出している所でしょう。
渋さの中に多彩なジョークを交え、目元を緩ませながらの優しい笑顔は、舘ひろしさん演じるダンディー鷹山。軽やかなステップでさりげなく自己主張…タップダンスを踊っている時はまるで別人…「超軽薄」なセクシー大下に扮するのが柴田恭兵さんです。
この「2トップ」以外にも仲村トオルさんが演じる町田透は鷹山、大下に「今度女紹介するから…」と、都合の良い時に使われるズッコケキャラ。それでも常に先輩をたてる良く出来た後輩なのです。
浅野温子さん演じる真山薫は常に婚活中。かつて同姓の浅野ゆう子さんと「W浅野」など呼ばれ、トレンディー女優をまい進していた「いい女」とは少し路線が外れた「三枚目」的役割なのです。田中文夫さん(ベンガルさん)は「ヤンワリキャラ」な心配性なのです。特にキャラが強いわけではないのですが、それでも存在感を発している吉井浩一(山西道弘さん)パパさん。あだ名通りごくごく普通のパパサン的な存在です。
尚、今作ではあの赤井英和さんが初めてスクリーンに登場したデビュー作でした。赤井さんの役は悪役の手下…最後のドンパチの最中、大下(柴田恭兵さん)を車(プレジデント)で轢こうとするのですが、あえなく大下に撃たれ、殺さられてしまいます。
一言もセリフはありませんが、アクセルを踏み込み、大下に一直線で向かう赤井さん。この赤井さんの表情が画面一杯に映し出され、彼が運転していた車が横転し倒れてもまだ赤井さんのアップが続くのでした。悲しいかな、今の僕には赤井さんのアップが一体、何を意味しているのか−−全く理解できません…。
皆さんご存じの通り赤井さんと言えば「浪花のロッキー」としてボクシング界で一世を風靡したスター。まだまだ現役で活躍できるというのに俳優に転身した憧れの存在です。
勿論、彼のエピソードを聞いて、僕は燃えない訳がありません。まずは僕自身のキャッチフレーズを考えよう…おっと、その前に、明日投函する自身のオーデション用紙のPR文を考えなきゃ。
監督 一倉治雄
主な出演者
舘ひろし、柴田恭兵
仲村トオル、浅野温子
木の実ナナ、中条静夫
ベンガル、山西道弘
赤井英和
<プロフィール>
西田隆維【にしだ たかゆき】1977年4月26日生 180センチ 60.5キロ
陸上超距離選手として駒澤大→エスビー食品→JALグランドサービスで活躍。駒大時代は4年連続「箱根駅伝」に出場、4年時の00年には9区で区間新を樹立。駒大初優勝に大きく貢献する。01年、別府大分毎日マラソンで優勝、同年開催された『エドモントン世界陸上』日本代表に選出される(結果は9位)。
09年2月、現役を引退、俳優に転向する。10年5月、舞台『夢二』(もじろう役)でデビュー。ランニングチーム『Air Run Tokyo』のコーチも務めている。