プロ野球12球団は1月に定例のスカウト会議を開き、その年の指名候補リストを作成する。この時点でリスト入りした選手数は各球団にバラツキがあり、200人以上を記載する球団もあれば、巨人などは150人程度に留めている。もちろん、途中追加される場合もいる。
しかし、高橋投手に対する評価は、かなり高い。漏れ伝わってくる情報では、まず、阪神は中村勝広GM自らが高橋投手の視察が予定している。それも、「好投手なのはわかっている。大舞台でどんなピッチングをするのか」という“確認”である。また、1月20日にスカウトを招集した巨人は「複数の高校生投手をAランク評価した」そうだが、高橋投手について、「体があり(182センチ)、ストレートが速く、変化球のキレも、全部いいものを持っている。特Aとは言わないが、いずれそうなるかも」(山下哲治スカウト部長)と“最大級の評価”をつけたようだ。
1月12日にスカウト会議を開いた広島は296人をリストアップした。東京六大学の雄・上原健太投手(明大)が地元・広陵高の出身でもあるため、「密着視察していく」と明かしていたが、ほぼ同等の評価をしているという。昨年末にスカウト会議を開いた日本ハムも「今年(2014年)になって、ボールがさらに速くなった」(関係者)とコメント。
「さらに…」と語ったところに、一年生からマークしていた投手であることを匂わせていた。中日・中田宗男スカウト部長は「地元選手だし、一年生のときからずっと見ている。マー君(田中将大)みたいにズバ抜けた存在。球界の代表選手になる可能性がある」(共同通信参考)と褒めちぎっていた。
一部報道では、巨人・山下スカウト部長はこうも語っていた。「Aクラスは6人くらい。B、Cクラスは例年より30人くらい多い」今年のドラフトは『大豊作』という意味だ。
野茂英雄、佐々木主浩、古田敦也などを輩出した89年ドラフトに匹敵する“アタリ年”になるかもしれない。当時と違うのは、高校生も高く評価されている点ということ。高橋投手を筆頭に、即戦力、もしくはそれに近い評価を受けた高校生投手も多いが、今年は高校生野手も高い評価を受けている。
スカウトはセンバツ大会での視察を重要視しているともいう。それは「基礎体力強化に重きを置く冬の練習を越えて、どこまで成長したか」を確認するためだ。今春はレベルの高い試合が繰り広げられそうだ。(一部敬称略/スポーツライター・美山和也)