search
とじる
トップ > スポーツ > 2014年ペナントレース総括 数字で分かるアノ補強とドラフト指名(巨人編)

2014年ペナントレース総括 数字で分かるアノ補強とドラフト指名(巨人編)

 主力選手の大半が成績を落とした。故障者も続出し、先発投手の頭数に悩まされた時期もあった。終盤戦では井端弘和、ロペスらを試合前に外野守備練習をさせるなど“巨大戦力を誇るチーム”とは思えない状況だった。それでもペナントレース3連覇ができたのは、『勝負どころ』を熟知していたからだろうか。

 攻撃陣は“歴史的な貧打”だった…。まず、チーム打率だが、優勝が決まった昨年9月26日時点で2割5分6厘。リーグワーストだ。最終的には5位だったが、『リーグワースト打率でのV』で終わっていれば、プロ野球史上5チーム目の汚点となっていた。打率ランキング10傑に巨人選手は一人もいなかった。規定打席に達したレギュラー陣の最終成績を見ても、打率3割に到達した選手すらいないのだ。

 だが、広島・大瀬良大地投手がスポーツ新聞の新春対談でこうも話していた。
 「巨人は一発(本塁打)のイメージがあったけど、ここぞというときには右方向に打ってきたり、バントも絡めてくるし、勝ちに対する執念が…」
 チーム打率・最終成績は2割5分7厘。しかし、チーム得点圏打率はリーグトップの2割9分1厘を残している。広島・大瀬良の語った通りであり、対戦投手に対し、強力打線のヤクルト以上の脅威を与えていた。

 2014年の巨人をギリギリのところで支え通したのは投手陣である。前年よりも数値は落ちたが、チーム防御率3.58はリーグトップ。菅野智之(25=12勝)、杉内俊哉(34=10勝)、内海哲也(32=7勝)の3人で貯金『9』を作った。交流戦以降、ローテーション入りした小山雄輝(26)も6勝2敗と健闘し、60試合登板、39ホールドポイント(リーグ2位)の山口鉄也(31)、30セーブのマシソン(30=同2位)で逃げ切る体制に持ち込んだ。救援陣だけで防御率を計算し直すと、4.01まで落ち込む。優勝を決めた9月のみ、2.67と好数値を残しており、こちらも、終盤戦の「ここぞというとき」にチャージを掛けた結果となった。

 V9以来となるリーグ4連覇を果たすには、『打線の強化』と『救援陣の再整備』が不可欠ではあるが、原辰徳監督(56)が選択したのは『現状維持』。15年シーズンは、2年契約の最終年でもある。今までの巨人であれば、大型補強も厭わなかったはずだ。

 だが、原監督は優勝時のインタビューで主将(当時)・阿部慎之助(35)のキャンプでの練習時間が少なかったことを根拠に、同年の不振を「予測していた」と話していた。同様に、他選手に対しても成績ダウンを予想していた、と…。原監督は『主将、4番、守備の要』の3役をこなしてきた阿部に対し、一塁コンバートを言い渡した。次に『主将』を坂本勇人(26)に引き継がせた。阿部に対しては、「もう一度、3割、30本を目指せ!」とも伝えたそうだが、一塁にコンバートしたのは『4番』の“役どころ”に専念させるためであり、成績を落とした坂本を『主将』に昇格させたのは、「現状に満足するな!」という檄も込められていた。三塁手・村田修一に(34)も“無言の圧力”が掛けられた。ドライチ・岡本和真(18=智弁学園)を指して、「将来の4番サード」と評しているが、本塁打王のタイトル2回、14年シーズンも『通算1500試合出場』を果たしたベテランにすれば、高卒新人を引き合いに出される屈辱は並大抵ではないはずだ。

 人員補充が必要な救援陣だが、澤村拓一(26)をコンバートさせる。澤村は先発投手として結果を出し切れないでいる。外部補強ではなく、澤村にチャンスを与えたところに意義がある。原監督が選択した現状維持とは、『レギュラー陣の意識改革』でもある。
 「ドラフト2位の戸根千明(22=日大)が面白い。パワータイプの左腕で、内海、杉内とタイプが異なる。先発候補と報じられていたが、中継ぎを予定しているとも聞いている。登板過多の山口の負担を軽減させることができれば」(プロ野球解説者)

 注目度は低いが、他球団スコアラーはマイケル・ミコラス(26)、アーロン・ポレダ(28)を警戒している。ミコラスはマイナーでは主にリリーフだったが、昨季、レンジャーズで先発投手としてチャンスを掴んだ。「曲がり幅の小さいスライダーでゴロ・アウトを稼ぐタイプ」(米国人ライター)だという。内海、杉内、菅野、大竹寛、小山ら先発スタッフの調子を見てからの判断になると思うが、先発と救援の両方をこなせる。左腕・ポレダはスライダーには定評があるものの、制球難と球種不足の欠点を持つ。与四球の多い外国人投手は「投球を見極める日本の野球スタイル」に適さない。巧く修正できれば、『160キロ左腕のリリーバー』は大きな戦力になるのだが…。

 4連覇できるかできないかは、選手の自覚次第。15年、投手陣を統括することになった斉藤雅樹コーチ(49)も『ポレダの修正』という課題を託されたようだ。

関連記事


スポーツ→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

スポーツ→

もっと見る→

注目タグ