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2014年ペナントレース総括 数字で分かるアノ補強とドラフト指名(阪神編)

 中島裕之内野手(32=前アスレチックス2A)がオリックス入団を表明した時点で、ジ・エンド。阪神はオフの補強に全敗した。
 だが、本来、補強しなければならないのは投手だったはず。『先発=最多勝』『セットアッパー=ホールドポイント』『クローザー=セーブ』の投手3部門からタイトルホルダーが現れたが、その全てに“弱点”を抱えているのだ。

 まず先発投手だが、今季20試合以上に先発登板したのは、メッセンジャー(33)、藤浪晋太郎(20)、能見篤史(35)、岩田稔(31)の4人。この4人のトータル成績は42勝39敗。だが、先発登板した全投手の成績で見直してみると、50勝52敗となり、2012年から『3年連続の負け越し』となる。しかも、チームの稼ぎ頭であり、最多勝のタイトルを獲得したのが、外国人選手のメッセンジャーであり、エース・能見は9勝13敗と負け越している。要するに、年齢的な世代交代の時期にあるのと同時に、ローテーションの5番手以降が脆いのだ。他のセ・リーグ5球団のエースは日本人投手であり、外国人投手にはローテーションの人数不足を補う役割が託されている。しかも、クローザーが外国人の呉昇桓(32)なので、阪神は先発の5番手を託す外国人投手を追加獲得することができないのだ。
 ドラフト会議では競合覚悟で有原航平(22=日本ハム指名)を入札した。有原を抽選で外し、さらに2回目の入札で外れた後も、社会人投手の横山雄哉(20=新日鐵住友鹿島)を選んだのは、外国人枠に影響されない先発要員が欲しかったからなのである。

 また、ドラフト2位で150キロを越える右腕・石崎剛(24=新日鐵住友鹿島)が指名された。指名挨拶で担当スカウトは「中継ぎとしてフル回転してもらいたい」と石崎側に伝えたという。14年のブルペン陣を支えたのは、37歳の安藤優也と38歳の福原忍。福原はホールドポイントのタイトルを獲得した。
 「たとえば、藤浪の後に安藤、福原が出てくると、対戦打者は打ちやすいというイメージを持つようです。球速が2ランクくらい落ちますので」(ライバル球団スコアラー)
 世代交代はもちろんだが、“タイプの異なるリリーバー”の補強が急務だった。

 阪神首脳陣は海外FA権を行使した鳥谷敬(33)の慰留に努めている。改めて、鳥谷の成績を見直してみた。打率・チーム2位(3割1分3厘)、打点・同3位(73)、出場試合数・同1位(144)、得点・同1位(96)、安打・同・同2位(172)、二塁打・同3位(28)、三塁打・同3位タイ(2)、犠飛・同3位タイ(4)、四球・同1位(87)、長打率・同3位(4割1分5厘)、出塁率・同1位(4割6厘)。鳥谷慰留に必死なのは、中島獲得に失敗したことだけが理由ではなさそうだ。

 阪神はチーム編成の根幹とも言える『先発、クローザー、4番』を外国人選手に託している。
 補強は失敗したが、スカウトの眼力が再評価された。ドラフト会議後に佳境を迎えた明治神宮野球大会で、ドラフト3位・江越大賀(21=駒大)が活躍している。強肩堅守の外野手として注目された逸材ではあったが、「こんなに存在感のある選手だったとは…」と、他球団のスカウトが地団駄を踏んでいた。
 スカウト陣の評価では「江越の課題は打撃」とされてきたが、駒澤大学の東都リーグ21季ぶりの優勝、明治神宮大会優勝は彼のバットがもたらしたものだ。大学通算打率は2割3分6厘と低いが、「大舞台に強いオトコ」なのかもしれない。中堅手のレギュラー・ポジションは、ゴールデングラブ賞も獲得した大和(27)の遊撃コンバートによって、空席となった。横山、石崎には1年目から投げてもらわなければ困るが、この江越がスタメンを勝ち取れば、『助っ人頼み』というチームの弱点も解消されるだろう。

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