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2014年ペナントレース総括 数字で分かるアノ補強とドラフト指名(福岡ソフトバンクホークス編)

 福岡ソフトバンクホークスが松坂大輔投手(34=前ニューヨークメッツ)を獲得した。『3年12億円プラス出来高』という破格な条件での日本球界帰還となったが、2013年は3勝、14年も3勝しか挙げていない。メジャー8年間の通算成績は56勝で、うち49勝はレッドソックス時代に稼いだもの。11年のトミー・ジョン手術後、精彩を欠く“元平成の怪物”が日本に帰って来たというだけで「復活する」とは思えないのだが…。

 14年のソフトバンクのチーム打率は、12球団トップの2割8分。パ・リーグ打率表の10傑に5人が名を連ねる強力打線であり、3割1分7厘の柳田悠岐(26)は全試合にスタメン出場し、李大浩(32)はシーズンを通じて4番を守り抜いた。内川聖一(32)は7年連続で打率3割。これらの数字を見ると、打線爆発は“ビギナーズラック”ではないことが分かる。また、リーグ2位の盗塁数124が証明するように「足を絡めた攻撃」もされており、特定選手の好不調に流されることなく、シーズンを戦ったと言えるだろう。
 問題は投手陣だ。チーム防御率は3.25(リーグ2位)だが、規定投球回数に達した先発投手はスタンリッジ(36)と中田賢一(32)だけ。エース・攝津正(32)は『4年連続2ケタ勝利』を挙げたが、134イニングしか投げていない。防御率も昨季の3.05から3.90に落ちている。完投も1試合のみ(昨季は3試合)。昨年オフに補強したスタンリッジと中田がいなければ、ローテーションは崩壊していたわけだ。

 もっとも、救援投手陣は安定と見ていいだろう。救援陣のみで計算すると、防御率は2.38まで高まり、セーブポイントで「球団記録にあと一歩」の37をマークしたサファテ(33)に繋ぐという継投リレーも出来上がった。五十嵐亮太(35)が45のホールドポイントを挙げた。左腕の森福允彦(28)が58試合、岡島秀樹(38)が44試合、新人の森雄斗(22)も58試合に登板した。不振の先発陣を救ったわけだが、森福とホークス2年目の五十嵐を除けば、この救援スタッフも昨年オフに補強された投手ばかりである。

 東浜巨(24)、大場翔太(29)、武田翔太(21)などの先発候補は故障などで貢献できなかった。ドラフトでは数少ない即戦力と称された有原航平(22=日本ハム)の競合を避け、潜在能力の高い松本裕樹(18=盛岡大付高)を一本釣りしたのは、『3、4年後への投資』だろう。昨年1位の加治屋蓮(23)は右足甲骨折で出遅れたが、あえてジックリ鍛え直す方針で、今季は一軍登板をさせなかった。この加治屋と、東浜、武田、松本らがローテーションの主軸に育つまでの間、「松坂でしのぐ」しかないようだ。
 米・東地区の球団に詳しい米国人ライターによれば、松坂は『カーブ投手』に変貌したという。日本でも緩急で勝負する投球になると思われるが、メジャー帰りの先輩・五十嵐が復活したように、広域球場(=福岡ヤフオク!ドーム)の利点を生かし、打ち損じを誘う配球も習得すべきだろう。
 ホークスは大型補強もやるが、ドラフトをチームの根幹と位置づけている。14年の優勝、日本一は補強で掴んだ。自前戦力が整うまで、ホークスの大型補強は繰り返されるようだ。

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