元西武でアスレチックスからFAとなっていた中島裕之内野手(32)をめぐって、国内球団での獲得合戦が激化。古巣の西武を始め、阪神、楽天、DeNA、中日、オリックスが獲得に名乗りを挙げていた。
条件面で西武、楽天、DeNA、中日は脱落。当初、優勢とみられていた阪神は4年10億円超の条件を提示。他球団の攻勢を察知し、さらに条件を上積みしていた。
ところが、実は阪神を上回る条件を提示していたオリックスが、急転直下、3年総額12億円で争奪戦を制した。
2年間で一度もメジャー昇格を果たせなかった中島のホンネは、米国残留希望。たとえ、マイナー契約でも、スプリングキャンプへ招待選手としてのオファーがあれば、米国に残りたかったのだ。しかし、3Aでも、目立った成績を残せなかった中島に色よいオファーが届かなかった。
そして、最大のポイントは中島が敏腕代理人のスコット・ボラス氏を付けたことだ。代理人としては、マイナー契約しか取れない米国残留を選択されても、ビジネスにならない。国内では複数球団がオファーしたため、条件は高騰。最終的には、最も高年俸を提示したオリックスに、“金”で転んだ格好。“本命”だったはずの阪神は、マネーゲームでよもやのオリックスに敗れ、中島にフラれてしまった。
中島は兵庫県伊丹市出身で関西は地元。2年間、高いレベルでプレーできていない不安点があるだけに、セ・リーグよりは。勝手知ったるパ・リーグを選択することで、リスクを回避できるメリットもあるだろう。
西武時代の最終年(12年)の中島の年俸は2億8000万円で、今回の契約では出来高を含め1年平均4億円。米国で全く結果が残せなかったのに、渡米前より高年俸で日本復帰できたのは、ボラス氏の手腕によるところが大きい。
破格の大型契約を勝ち取った中島。問題は来季以降、その年俸に見合う活躍ができるかどうか。首尾よく獲得に成功したオリックスだが、損得勘定は中島の働きによるだろう。
※年俸は推定
(落合一郎)