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三振と四球で分かる助っ人の意義 楽天・ジョーンズと西武・メヒアのチーム貢献度

 東北楽天ゴールデンイーグルスのアドリュー・ジョーンズ(37)が保留者名簿から外れ、他球団との交渉が可能となった。一部で「原巨人が獲得に乗り出す」とも伝えられている。ジョーンズは13年の優勝、日本一の立役者でもある。今季もチームトップの24本塁打を放ったが、大久保博元・新監督(47)は推定年俸4億円という破格な金額も加味し、チームを作り直すと判断したのだろう。
 そのジョーンズが埼玉西武ライオンズのエルネスト・メヒア内野手(29)と争っていた『リーグ記録』がある。三振数だ。

1位 メヒア 156個
2位 ジョーンズ 140個
3位 西川遥輝 139個

 メヒアはシーズン途中の5月14日にチームに合流し、翌15日に『5番・指名打者』でスタメン・デビューした。初打席初アーチという“名刺がわりの一発”が証明するように、同僚の中村剛也と本塁打王のタイトルを分け合った長距離砲である。
 一方のジョーンズだが、選球眼の良さはメジャーリーグ時代から定評があり、楽天で過ごした2季で計223個の四球を選んでいる(昨季は105個)。NPB公式データによれば、2014年に選んだ118個の四球数はリーグ新記録。2年連続で100個以上の四球を選んだスラッガーは史上4人目だ。過去3人が王貞治、松井秀喜、落合博満とのことで、『好打者=選球眼』の定理も再認識できる。
 メジャー通算434本塁打を放ったジョーンズが自分を押し殺し、四球を選ぶことによって、楽天打線に繋がりが生まれた。3割7厘しかなかったチーム出塁率(12年)は3割3分8厘まで上がり、逆転勝ち越しの本塁打も6本から16本に増えた(13年)。

 三振と四球のジョーンズに対し、メヒアは三振と本塁打。メヒアが選んだ四球は45個。シーズン途中加入とはいえ、450打席に立っての45個だから、「10打席に1つ」、2試合で1つあるかどうかという計算だ。しかし、メヒアの三振も「チームを救った」のではないだろうか。
 西武がメヒアを緊急補強した理由は、チーム低迷。伊原春樹監督(当時)も「打線がここまで打てない」とは予想外だったはず。メヒア獲得が決まるまでの3、4月の成績だが、チーム得点数102、チーム打率2割2分7厘、本塁打数13。全て12球団ワーストである。一発のあるメヒアは現場の要望にも合致したスラッガーだが、興味深いデータもある。
 チーム打率2割2分7厘と苦しんでいた打線は、リーグトップの四球数127個を選んでいた。西武というチームは右方向への進塁打、機動力を絡めた攻撃は得意としている。四球と三振の両方が多いということは、相手投手のボールを見極めようとするあまり、打線全体が消極的になってしまっただろう。そんなチームを覚醒させるには、2ストライク後でも振り回してくるタイプを加えることだ。そう考えると、メヒアの三振がチームを活気づけたとも言えなくはない。

 ジョーンズの四球はその前後を打つバッターが好調であれば、相手投手へのプレッシャーとなる。巨人打線は個々の能力こそ高いが、攻撃が淡白になりがちだ。巨人打線に必要なのはメヒアタイプではなく、ジョーンズのような『繋ぐこと』のできるスラッガーだ。1人の外国人選手の活躍がペナントレースを左右したのは、バース(阪神)、ブライアント(近鉄)がいたころ。今は助っ人が加わることで打線がどんな“化学反応”を起こすのかを検討しなければならない。巨人が本当にジョーンズに興味を示しているとすれば、決して誤った選択ではないと思うが…。(一部敬称略/スポーツライター・飯山満)

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