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ブーイングを跳ね返せるか!? 大久保新監督の“プチ・チーム革命”

 秋季キャンプを終え、大久保博元・新監督(47)は「百点満点!」と、その手応えを声高に言い切った。他球団と比べても、中身の濃いキャンプになったと思う。投内連係プレーをメインとしたサインプレー、実戦形式の中継プレーが目立ったが、単にその練習時間を長く割いたわけではない。個人練習から実戦形式に移り、サインプレーなどの組織野球へ。その流れを『1つのプログラム』を見れば、東北楽天ゴールデンイーグルスはそれを3往復した計算になる。コーチ人事がきちんと決まったのはキャンプ中盤(11月10日)。新体制が整っていない状況で、これだけのキャンプをやってのけたのだから、大久保監督は“タダモノ”ではないのかもしれない。

 大久保監督が秋季キャンプを充実させた背景を探ってみた。
 二軍監督、担当コーチなどを歴任し、チームや選手の状況を把握している。『内部昇格』という点では、東京ヤクルト・真中満、埼玉西武・田辺徳雄、広島東洋・緒方孝市の3人の新監督と同じだ。他球団の秋季キャンプを全て見たわけではないが、大久保楽天の秋季キャンプは、他の内部昇格監督のチームとも異なるのだ。
 「一般論として、内部昇格で監督が決まったチームは秋季キャンプで特別なことをする必要がありません。選手も監督の性格が分かっているし、監督も選手の力量を分かっているので、秋季キャンプは『来季への調整』の意味合いが強くなります」(プロ野球解説者)
 それに対し、外部招聘で着任した新監督は『自身の考え』『野球スタイル』を伝えるため、ミーティングが長くなる。

 大久保監督のキャンプは、外部招聘の指揮官に近い。練習プログラムは刷新とまでは言わないが、星野時代とは大きく異なる。まず、紅白戦が5試合も行われた。また、練習の意義、目的を明確にした。先の『個人プレーから実戦へ』の流れを日程で組み立てたことにより、選手も「なぜ、この練習をやったのか」を自ずと考えるようになった。それを3往復したわけだから、1回目の投内連携プレーでできなかったことを2巡目の『個人練習』で補い、2回目に臨もうとする。
 言葉ではなく、練習で感じ取らせた“意識改革”ではないだろうか。

 報道によれば、三木谷浩史オーナーの鶴の一声で大久保政権が誕生したという。立花陽三・球団社長が途中退場した就任会見も重なって、さらに“憶測”に拍車を掛けた。
 大久保監督も就任会見(10月14日)で「受けるかどうか、迷った」とも話していたが、秋季キャンプを見る限り、来るべき日に備え、入念な準備をしていたと思われる。
 「打撃コーチだった12年、大学教授を連れてきて選手全員の心拍数を計測しました。緊張の場合がいかにプレーに影響を及ぼすかを訴えていました」
 先のチーム関係者がそう言う。
 大学教授のもとを個人的に訪ね、心理学や運動生理学、栄養学などを学んできたそうだ。プロ野球の監督の大半は『輝かしい実績』を持つスタープレーヤーである。近年では実績ではなく、卓越した理論で指導者に選ばれるOBも増えてきたが、大久保監督は選手を納得させる理論を習得するため、影で努力してきたのかもしれない。
 「コーチスタッフとのミーティングが長く、2時間近く議論を戦わせていた日もありました。話し合いの内容が来春のキャンプのことまで及び…」(前出・チーム関係者)
 オフの間、2月のキャンプメニュー(日程表)を選手に配布するそうだ。単に体を作って臨むのではなく、「どこで自分をアピールするか、予定を立てて来い」というメッセージだろう。

 11月16日の紅白戦後、大久保監督は走者を背負いながらも2イニングを無失点に抑えた松井裕樹(19)を指し、来季のクローザー候補の1人と評した。 「補強次第」と前置きしていたが、その数日後、クローザーを務めたファルケンボーグの退団が発表された。松井のクローザー転向に関する是非はともかく、紅白戦を5試合も行ったのは、先入観を捨てて選手を見るためでもあった。
 古巣西武を退団した経緯などから、大久保体制に批判的なファンも多いが、三木谷オーナーの「(監督を)やらせてみたい」なる言葉は気まぐれではなかったようだ。(スポーツライター・飯山満)

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