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『兼任』の功罪 中畑監督を取り囲む旧ベイスターズOB

 去る11月30日、中日OB会が開かれた。OB会長の木俣達彦氏(70)は谷繁元信・兼任監督(43)に、こうエールを送ったそうだ。
 「あと27試合で野村(克也)さんの記録を抜いたら、監督一本で若い人を育てて、我々にいい夢を見させてほしい」
 谷繁兼任監督が来季、野村氏の持つ『最多出場記録3017試合』を抜くのは“確実視”されている。この大先輩のエールに「何もありません…」に苦笑いしていたそうだが、選手・谷繁の成績は打率1割9分5厘、本塁打1、打点23まで落ち込んだ(91試合出場)。もっとも、選手一本だった13年の打率も2割1分6厘と低かったが、木俣会長はあえて「監督と現役選手を兼任する難しさ」を口にすることで、谷繁兼任監督を労っていたのだろう。

 中畑清監督(60)も“兼任廃止”によるチーム改革に着手した。
 DeNAベイスターズは、来季から進藤達哉・打撃兼作戦担当コーチが『ヘッドコーチ』に昇格する。それにともない、筆頭コーチだった馬場敏史・総合兼内野守備走塁コーチは、『総合』の肩書が外れ、内野守備走塁部門に専念することになった。
 「馬場さんは三塁コーチャーも“兼任”していましたので、大変な負担でした。来季、チームがクライマックスシリーズに進出できるかどうかは、馬場さんに掛かっています。内野守備走塁部門をどう建て直すか…」(チーム関係者)
 今季の失策116個はリーグワースト。二遊間の守備力に中畑監督は一抹の不安を持っており、『無駄な失点』を相手に与えないことも課題に挙げていた。

 DeNAはすでに来季のコーチスタッフを発表しているが、14年との違いは一目瞭然である。一軍から兼任コーチがいなくなった。

※14年コーチングスタッフ
○馬場敏史・総合兼内野守備走塁コーチ
○進藤達哉・打撃兼作戦担当コーチ
○小池正晃・打撃コーチ
○川村丈夫・投手コーチ
○篠原貴之・投手コーチ
○蓬莱昭彦・外野守備走塁コーチ
○新沼慎二バッテリーコーチ
●二宮至・二軍総合兼外野守備コーチ
●岡本克道・二軍投手兼育成コーチ

※15年コーチングスタッフ(一軍)
○進藤達哉ヘッドコーチ
○大村巌・打撃コーチ
○坪井智哉・打撃コーチ
○川村丈夫・投手コーチ
○篠原貴之・投手コーチ
○馬場敏史・内野守備走塁コーチ
○小池正晃・外野守備走塁コーチ
○新沼慎二バッテリーコーチ

 7人体制だった14年と比べ、人数は1人しか増えていないが、コーチの担当セクションは明確になった(現役兼任コーチの三浦大輔は除く)。二軍監督だった大村を一軍打撃コーチに配置換えしたのは、桑原将志(21)、梶谷隆幸(26)、中畑監督の期待も大きい関根大気(19)など若手野手の性格や長所を知り尽くしているからだろう。前出のチーム関係者によれば、筒香嘉智(26)の覚醒は大村コーチの徹底指導によるものだという。外部招聘の坪井コーチは阪神、日本ハム、アメリカを渡り歩いた苦労人。コーチ経験はないが、日本ハム時代に大村コーチの指導を仰いでいるので問題はないだろう。

 コーチの職域を明確にした目的は、「勝つ」こと。投手陣を建て直した川村、篠原の両投手コーチと新沼バッテリーコーチの3人に対する経営陣の信頼は厚い。進藤ヘッドコーチがその肩書通り、ベンチのまとめ役を務めることになるが、そうなると、主導権は旧ベイスターズOBが主導権を握る。その体制に、ファンはむしろ歓迎するだろう。
 CS進出、優勝争いに食い込むという明確な目標も見えた。しかし、14年のDeNAには中畑監督のサポート役がいなかったようにも見えた。ベイスターズOBのコーチとは年齢が少し離れているせいか、もっとも話をしていたのは退団した蓬莱コーチ(57)だった。昇格した進藤、大村両コーチは選手とのパイプ役を口にしていたが、『指揮官との距離』も意識すべきだろう。(スポーツライター・飯山満)

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