そのDeNAといえば、2軍幽閉が続くノリこと中村紀洋内野手(41)の去就が、ここにきて注目を集めている。
ノリは5月6日の巨人戦(東京ドーム)で、8回表無死走者一塁(走者は俊足の梶谷隆幸外野手)の場面で打席に入る際に、首脳陣に「状況によっては走者を走らせず、打撃に集中させてほしい」と要望。これが、首脳陣批判と判断されてしまい、「チーム方針に従わない言動があった。今回は懲罰的なところがある」(中畑清監督)として、翌7日に出場選手登録を抹消され、2軍降格となった。
この措置を受けて、ノリは自身のfacebookに「今回の相談するという行為が『批判』と映ったならば寂しいことですし、自分としてはどうモチベーションを保つべきか苦悩しています。勝つために1軍のフィールドに僕は必要ないのだろうか…」などと書き込んで、首脳陣の怒りを買ってしまった。
その後、DeNAは三塁、二塁を守る“キューバの至宝” ユリエスキ・グリエル内野手を獲得。グリエルは期待通りの活躍で、正二塁手だった石川雄洋すら、あぶれるような状態で、ついぞノリに1軍からお呼びが掛かることはなかった。
それでも、ノリはイースタン・リーグ(19日現在)で、40試合に出場し、打率.298、1本塁打、8打点と及第点の成績を残しており、昇格があってもよさそうなものだが、1軍の必要戦力とみなされていない。
DeNAは来季も中畑監督が指揮を執ることが有力視されており、そうなると、もはやノリは戦力構想に含まれない可能性が高い。
ノリは現役続行を希望しているとみられ、FA権も有しているが、まだ球団と来季の契約については話し合いがもたれていない。DeNAが来季の戦力として、ノリを必要としないならば、自由契約にするか、FA権行使を容認するかのいずれかになる。
ただ、ノリが自由の身になったとして、果たして獲得する球団は現れるのか? その勝負強い打撃は魅力だが、来年7月で42歳となる高年齢はネックとなる。また、ノリはトラブルメーカーとして知られるだけに、二の足を踏む球団も多いことだろう。
過去、07年1月にオリックスを、10年10月に楽天を退団後、なかなかオファーがなく、所属先が決まらなかった前例もある。DeNAを退団となると、同様の事態が起きかねない。
07年2月、当時中日監督だった落合博満氏(現GM)が、ノリに救いの手を差し伸べて、格安年俸で育成選手として獲得したことがあった。今の中日は右の代打要員が弱いだけに、案外、落合氏が再度救済するなんてことが、ひょっとしたらあるかもしれない。
(落合一郎)