問題が起きたのは、5月6日の巨人戦(東京ドーム)、DeNAが2-1で1点リードの8回表、無死走者一塁で、ランナーは俊足の梶谷隆幸外野手。梶谷には自らの判断で盗塁できる指示がされていたが、中村は首脳陣に「状況によっては走者を走らせず、打撃に集中させてほしい」と要望を出したのだ。結果は三塁併殺打に終わった。
この行為に対して、中畑清監督は「チーム方針に従わない言動があった。今回は懲罰的なところがある。彼の力は必要なチームだし、彼の能力は十分分かってる。それでも、そういう言動を許したら、チームが機能していかなくなる」として、7日に出場選手登録を抹消し、2軍に懲罰降格させた。
中村は12年8月16日の阪神戦で、自身の打席で内村賢介内野手が盗塁した際、打席で制約が生じて三振に倒れたとして、ベンチで内村を「何で走るんだ」と叱責。これが、采配批判ととられて、2軍に落とされた“前科”がある。
今回の行為は2年前の事件と同様のもので、中村のわがまま病が再発した格好。当然のことながら、作戦を決めるのは監督で、一選手はそれに従うだけで、意見する立場にはない。
2軍降格を受けて、中村はFacebookに「キャンプでの2軍スタートを経て、開幕も2軍スタートなった今季。僕はその時点で、ある感覚に襲われていました。『自分は必要とされていないのか』」「チームとして勝つために最善を尽くす。これは野球選手として当然のことです。チーム方針に従い、歯を食いしばって2軍で調整してきた。いつかチャンスはあると信じて。それでも、今回の相談するという行為が『批判』と映ったならば寂しいことですし、自分としてはどうモチベーションを保つべきか苦悩しています。勝つために1軍のフィールドに僕は必要ないのだろうか…」などと心情を赤裸々につづっている。
プロ野球選手がシーズン中に、SNSにこういった書き込みをするのは異例中の異例。これが、あつれきとなって、首脳陣の感情をさかなですることにもなりかねない。
昨季、2000本安打を達成し、打率.281、14本塁打、61打点の好成績を残しながら、オフの契約更改では、3000万円の低年俸でありながら、わずか2000万円アップの5000万円を提示された上、「サインしなければ、戦力外」を通告され、泣く泣くサインした中村。
本職の三塁には、オリックスから移籍したアーロム・バルディリス内野手が入り、ポジションを失った中村は、開幕2軍スタートという冷遇。その心情は同情すべき面もあるが、それとこれは別。
今季、ここまで(7日現在)、打率.245、0本塁打、10打点の成績では、説得力がない。またまたトラブルメーカーぶりを発揮してしまった中村は、最短の10日で1軍復帰どころか、反省するまで、当分の間、2軍に幽閉される可能性もありそうだ。
※年俸は推定
(落合一郎)