今季のノリはシーズンを通してクリーンアップを務め、126試合に出場、442打数121安打、打率.274(リーグ10位)、11本塁打、61打点で文句ない成績を残した。特筆すべきは勝負強さで、得点圏打率は一気に跳ね上がり、.306(リーグ5位)で、4番のアレックス・ラミレス外野手(38)の.281を上回り、チームトップだった。
今季年俸は1500万円で、3000万円は倍増となる。下交渉でノリは3倍増の4500万円を希望し、態度を硬化させたともいわれる。確かに今年のノリの成績なら、4500万円は妥当な額で、むしろ球団提示額が低すぎることはいうまでもない。ただ、元の年俸が1500万円と安いことで、球団は主張を曲げず、出来高をつけることで決着をみたようだ。
契約を更改したノリは「今年は自分なりにいい成績は残せたと思う。ただチームが最下位の悔しさがある。来年はCS(クライマックスシリーズ)を目指せるように頑張っていきたい」と話したが、内心ではじくじたる思いがあることをいうまでもない。
希望額に及ばないながら、しぶしぶ契約したからには事情がある。それは、2000本安打達成という大目標だ。現在、ノリの通算安打は1968本で、大記録まであと32本。年齢的にも後がないノリは、なんとしても来季中に、この数字をクリアしたいのがホンネ。そのためには、ユニフォームを着ている必要がある。
スポーツジャーナリストのA氏は「一時は球団とモメて、交渉がまとまらず、自由契約になるのではないかとの憶測も出ました。ただ、ノリはこれまでオリックス時代、楽天時代に自由契約になり、その“わがまま病”の風評が災いして、なかなかオファーがかからなかった過去があります。DeNAから出ても、プレーする球団がなければ、2000本安打達成は露と消えます。ノリも今回はグッとこらえて、不満ながらも残留の道を選んだのでしょう」と語る。
契約はまとまったものの、2000本安打への道は容易ではなさそうだ。ノリは今季、一塁と三塁を守ったが、三塁には筒香嘉智内野手(21)が固定されることが確定。さらに、中日から4番、トニ・ブランコ内野手(32)を強奪することが有力となっている。ブランコがDeNA入りしたら一塁にどっかり座ることになり、ノリは弾き出されて代打要員となってしまう。
レギュラーなら簡単に達成できる32安打も、代打専門となると、たやすい数字ではなくなる。来季のノリには、いばらの道が待ち受けているようだ。
(落合一郎)