今季、ホワイトソックス入りした福留は出場機会に恵まれず、残した成績は24試合の出場で、41打数7安打4打点0本塁打、打率.171。6月3日(日本時間4日)の試合中に右脇腹を痛めて故障者リスト(DL)入り。マイナーの3Aで調整中の同月22日(同23日)に戦力外通告を受け、同月28日(同29日)に自由契約となった。
福留はメジャーでのプレーを希望しているが、米国内で獲得球団がなかった場合、DeNAはオファーを出す方針。かねて、池田純球団社長も「興味はあります。ファンを呼べる選手というより、まず実力がある選手だと思う」と評価している。
DeNAの外野は左翼が巨人からの移籍のアレックス・ラミレス外野手(37)、中堅が俊足の荒波翔外野手(26)で固定。残された右翼のポジションを、00年の首位打者・金城龍彦外野手(35)、昨季日本ハムからFA移籍した森本稀哲外野手(31)、今季中日からFA移籍した小池正晃外野手(32)、下園辰哉外野手(27)、二軍で調整中の吉村裕基外野手(28)らが争っている状態だった。
ところが、6月に大した戦力にならないと思われた元楽天のランディ・ルイーズ内野手(34)を獲得したことで、事態は混迷。ルイーズが一塁しか守れないため、中村紀洋内野手が一塁から三塁に回り、期待の大砲である筒香嘉智内野手は三塁から経験のない右翼に弾き出されてしまった。
ルイーズは7月12日現在、33打数7安打1打点0本塁打、打率.212で、予想通り、ほとんど役に立っていない。この上、福留をもし獲得して、右翼に固定したとしたら、どういうことになるか言わずもがなだ。ルイーズを使い続けるなら、筒香はベンチウォーマーとなってしまい、外野のレギュラー候補も控え専門となる。
スポーツジャーナリストのA氏は「DeNAの補強にはポリシーが全く感じられません。そもそも、一塁ではノリ(中村)が頑張っているのに、なぜ一塁しかできないルイーズを獲る必要があったのでしょうか。仮に福留の獲得に成功したとしたら、筒香らの出場機会は減ります。スランプで二軍に落ちている吉村は、06〜08年に3年連続20本塁打をマークし、08年には34本塁打放った大砲。もう一度、鍛え直して復活させたい選手です。いくら、チームの成績が悪いからといって、その時の思い付きで補強をするのは感心しません。時間はかかるかもしれませんが、生え抜きの有望な若手を育てることが一番大事ではないでしょうか。こんな補強案は、その場しのぎで、長い目で見てチームのためになりません」と言及する。
まだ前半戦だというのに、12日現在、借金22を抱え、5位・阪神に7ゲーム差も付けられているDeNA。もはや、必要なのは目先の補強ではなく、若手の育成にほかならないと思われるのだが…。
(落合一郎)