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2014年ペナントレース総括 数字で分かるアノ補強とドラフト指名(東北楽天編)

 大久保博元・新監督(47)は『星野野球の継承』を明言した。しかし、大久保監督は新たなチームスタイルを構築するのではないだろうか。そのヒントは、2014年のシーズン途中、『代行指揮官』も務めたときの大久保采配にあり、そのとき、楽天ナインは『星野・佐藤体制』との相違を実感していたという。

 14年シーズン前半戦を、2つに分けてみた。
 星野仙一監督は47試合を指揮した。そこに、佐藤義則・投手コーチ(現ソフトバンク)が監督代行を務めた22試合を合わせた69試合で、楽天打線が記録した犠打は『44』。同時点で12球団最少であり、『1.6試合で1犠打』という計算になる。
 それに対し、佐藤コーチのピンチヒッターとして緊急登板した大久保・二軍監督(当時)は、8試合で『11』の犠打をカウントした。『投手出身』と『野手出身』の指揮官の違いである。投手出身の監督は攻撃面での采配で、バントを嫌う傾向が強い。相手投手の心理状態が手に取るように分かるからで、「投球スタイルが整わず、苦しんでいるところにわざわざアウトカウントを1つくれてやる必要はない」と考えるのだ。しかし、野手出身の監督は違う。走者を一塁に置いた場面でヒッティングの強攻策に出た場合、併殺打になる可能性もある。『無死一塁』の好機が『二死走者ナシ』に一変するのだから、盛り上がり掛けたベンチのムードも暗転する。“責任バッター”も精神的ダメージを次打席まで引きずるかもしれない。したがって、安全策のバントを選択する。どちらが正しいのかは分からないが、大久保監督は“打者心理”で『犠打を絡めた攻撃スタイル』に変えていくのではないだろうか。

 優勝、日本一を決めた13年と最下位に沈んだ14年の成績は以下の通り。

○チーム打率
 13年=2割6分7厘(リーグ2位)
 14年=2割5分5厘(同3位)
○チーム総得点
 13年=628点(同2位)
 14年=549点(同ワースト)
○チーム本塁打数
 13年=97本(同3位)
 14年=78本(同ワースト)
○チーム防御率
 13年=3.51(同2位)
 14年=3.97(同5位)
○総失点
 13年=537点(リーグ最小)
 14年=604点(同5位)

 チーム打率の下がり幅はさほど大きくないが、得点、本塁打数は激減している。4番・アンドリュー・ジョーンズは打率2割2分1厘と振るわなかったが、13年も打割2割4分3厘とあまり高くなかった。“打率の低い4番”が同じなのに、チーム総得点が『79』も違うのか? まず、打率2割9分2厘、93打点と活躍した5番打者・マギーの退団が痛かった。その穴を埋めるはずだったケビン・ユーキリスが4月下旬に離脱し、帰国したまま退団となってしまった。その後、前巨人のボウカー、ラッツ、エバンスなどを獲得したが、マギーの代役は務まらなかった。
 大久保監督はジョーンズを切り、もう一度打線を作り直す決断をしたわけだが、よくよく考えてみれば、楽天打線に“一発のないこと”は12年シーズンも課題に挙げられていた。銀次、岡島豪郎などの好打者もいるが、生え抜きの現有戦力を見渡してみると、『俊足堅守』のタイプが多い。打線全体の出塁率は3割2分7厘。ソフトバンク、オリックスの強力打線に次ぐリーグ3位だ。高い出塁率が得点につながらないのは『大砲タイプ』がいないからであり、現有野手陣の顔ぶれを見ると、当面、その弱点は外国人選手で補っていくしかないようだ。
 監督代行時の大久保監督が犠打を多用したのは、得点圏に走者を進め、シングルヒットで『1点』を積み重ねていこうとしたからだろう。

 推定年俸2億円で獲得したブラックリーは3試合に登板しただけ(1勝2敗)。ファルケンボーグは20セーブを挙げたが、「契約事項に3試合以上の連投はやらない」とあったとされ、2ケタ勝利した先発投手が則本昴大しかいないチーム事情に適応できなかった。ドラフト1位で安楽智大(18=済美高)、2位で小野郁(18=西日本短大付高)を指名したのは、多少遠回りしてもチームの柱になる投手が欲しかったからだろう。3位指名の福田将儀(22=中央大)は“盗塁”で頭角を現した。楽天の盗塁数はリーグワーストタイの『64』。安楽は右肘に問題がなければ1年目から一軍ローテーションに加わると思われるが、3位の福田もスタメンデビューする可能性が高い。クローザーは前広島のキャム・ミコライオ(30)が務める。野手では前ヤンキースのゼラス・ウィーラー(27)を補強した。チームが欲する長距離タイプではない。但し、「巨漢のわりには守備が巧く、肩も強い」(米国人ライター)とのこと。このウィーラーが三塁を守れるのであれば、銀次を一塁に固定できる。銀次は14年シーズン前半、不慣れな三塁守備に入り、打撃にも影響した。ウィーラーの獲得は生え抜きの銀次を光らせる補強とも言えそうだ。

 15年、松井稼頭央が中堅手として再スタートを切る。某選手によれば、楽天投手陣を救ってきたのは松井と二塁の藤田一也だという。2人は「ピンチのときに声を掛けてくれるタイミングが絶妙」とのことで、今後、その役目を藤田一人が担うわけだ。大久保体制のキーマンは銀次と藤田ではないだろうか。

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