チーム防御率1位は2年連続(2.89)。金子千尋(31=16勝)、西勇輝(24=12勝)の二枚看板に、9勝のディクソン(30)、8勝の松葉貴大(24)が続く。リリーバー・比嘉幹貴(32)が7勝を挙げ、同じく救援陣を支えた佐藤達也(28)も6勝をマークしている。リリーフ陣に勝ち星が多くついているのは、森脇浩司監督(54)が“早めの継投”を仕掛けるからであり、さらに後ろに40セーブのリーク新記録を達成した平野佳寿(30)、33ホールドポイントの馬原孝浩(33)が控えているのも大きい。
完投試合は「10」。完投試合数だけで見てみると、リーグトップは東北楽天の「11」がトップだが、こちらは則本昴大が1人で「9」を稼いだものであり、オリックスは金子が「4」、西とディクソンが「3」。先発、救援陣ともに充実している。ここにドラフト1位の山崎福也(22=明治大)が先発枠を争い、4位・高木伴(24=NTT東日本)、6位・坂寄晴一(24=JR東日本)も1年目から投げてくると思われる。「これでもか!?」と言わんばかりの投手補強ではあるが、データだけを見れば、弱点がある。エースとクローザーがビジター・ゲームに一抹の不安を抱えているのだ。
最多勝投手でもある金子は、その16勝のうち12勝をホームで稼ぎ(京セラを含む)、防御率も1.34(28試合)と高いが、ビジターだと4勝3敗。防御率も2.92まで落ち込む。クローザーの平野もビジターで5度のサヨナラ負けを喫している。
相性の問題かもしれないが、タイプの異なる投手が欲しかったのだろう。
「左腕・坂寄は阪神の能見(篤史)に似たタイプです。変化球の持ち球が多く、松葉に次ぐ左の先発候補として期待されていると思うが、中継ぎとして、金子の後に投げさせても面白いし、右の速球派・馬原、平野に繋ぐ前のセットアッパーで出てくれば、相手打線は翻弄すると思う」(在阪球団職員)
打線も1年を通じて「機能した」と言っていいだろう。前年の4番・李大浩、同5番・バルディリスが抜けたが、ペーニャ(32)とヘルマン(36)のその穴を埋めた。ペーニャは32本塁打を放ち、ヘルマンは出塁率3割2分2厘、西武での2年間で81盗塁を決めた“快足”は衰えず、単独スチールは30、年間安打数もチーム2位となる133本を放った。2人の助っ人のほかに、糸井、T-岡田(26)、平野恵一(35)、安達了一(26)が規定打席に到達した。6人が規定打席数に到達したのは、ソフトバンクとオリックスだけだ。投打ともに絶好調なシーズンだったと言っていい。
主砲・ペーニャの退団は痛いが、前DeNA・ブランコ(34)の獲得に成功した。中島裕之(32)の争奪戦に躍起になったのは、二塁兼外野の平野が足の故障で開幕に間に合わない可能性があるからだが、若干のコンバートも予想される。ブランコが指名打者に入ると思われる。但し、三塁のヘルマンはFA獲得した小谷野栄一(34)と守備位置が被る。小谷野も一塁を守れるが、一塁にはT-岡田がいる。指名打者、三塁、一塁のレギュラーをこの4人が争うことになる。4人とも使いたいとなれば、コンバートが可能なのは、二塁と外野も守れるヘルマンであって、二塁・中島と「駿太、糸井、坂口」の外野トリオも安泰ではない。
オリックスは優勝を意識している。
【訂正】文中一か所「ディクネン」とありましたが「ディクソン」間違いです、訂正してお詫びします。