◇今週のこの1枚◇トッド・ラングレン「Something / Anything?」(1972年/Bearsville Records)
この当時、まだ2枚組を出すということは、とても冒険的で、レコード会社もあまりいい顔をしなかったのですが、そんな周囲の予想とは裏腹にロングランの大ヒットとなり、トッド・ラングレンの一番分かりやすい名刺となった作品です。
この頃のトッドは一番精力的で、作曲に至っても、20分で1曲が書けたらしいです。アルバムの1曲目の「I Saw The Light」は、素晴らしいメロディーの曲ですが、この曲も20分で出来たと言っています。そんなペースで曲を作っていたので、2枚分の曲もたまったのでしょう。このアルバムからほとんどの楽曲を一人で演奏しています。ドラム入れが一番苦労したらしく、クリックに合わせて叩くことが経験不足で、頭の中で楽曲を想像しながら叩くことにより、結果オーライになったみたいです。
多重録りはロサンジェルスで演っていて、ちょうどその時、現地で大地震があり、車を使わなくてはどこにも行けない生活に飽きてたトッドは、地震を機会にニューヨークに移り住みます。そこで、残りの曲を現地ミュージシャンとセッションして仕上げ、その中から、自身の曲のリメイクですが、代表曲「Hello It's Me」が生まれます。今まで自分でやる作業が多かったため、このセッションはとてもリラックスした時間だったとトッドが言ってます。
とってもバラエティに富んだ作品で、メロディーの美しい作品が並びます。コーラスの多重録音も素晴らしいですね。ナッズのバンドの頃と比べると、soulの影響を感じますね。このアルバムの成功により、より自由で変態的なトッドの怪進撃が始まります(笑)。
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