第1戦のスタメンマスクは森友哉(埼玉西武)、第2戦は甲斐拓也(福岡ソフトバンク)。その起用法に、栗山英樹代表監督の“配慮”が感じられた。
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「森は打撃力でも期待のできるキャッチャーです。前代表監督時代に招集されなくなったのは、感情的なもつれによるもの。シーズンの疲れが抜けず、森側が『体調が万全ではない』と伝えたら、『なら、もう呼ばない』と…。新体制では感情的な理由で選手をより好みするようなことはありません」(関係者)
侍ジャパンの初戦の先発は、ソフトバンク・石川柊太で、第2戦は西武・與座海人だった。気心の知れた者同士でスタートさせようと思えば、初戦マスクは甲斐で、2戦目に森を起用しても良かったわけだ。
“代表復帰”の森は初戦の第2打席で2ランを放った。
「森は国内フリーエージェント権(以下=FA)を行使しました。西武は行使した後も慰留説得を続けるつもりです。オリックス、巨人がラブコールを送っているようですが」(スポーツ紙記者)
FAと言えば、甲斐の評価も気になる。甲斐はFAの有資格者ではない。今オフのFA市場にも直接の関係性はないが、ソフトバンクは甲斐を脅かすような“第2捕手”の獲得を狙っている。
パ・リーグに詳しいプロ野球解説者がこう続ける。
「今季、甲斐の打撃成績は1割8分0厘。130試合に出場しましたが、正捕手がこの打率では攻撃面での作戦も絞られてきます。海野隆司や渡邉陸も使ってみたんですが、イマイチで…」
ソフトバンクが「第2捕手」として、DeNAの嶺井博希に熱視線を送っているとの情報も飛び交っている。
甲斐の「超」がつく肩力とディフェンス能力は貴重だ。しかし、甲斐の「打てない」は侍ジャパンでも取り上げられていた。
「今回は招集を見送るべきとの意見も出ていたんです。最終的に『呼ぶ』と決めたのは、栗山監督ですが」(前出・関係者)
侍ジャパンの課題は、「打撃」。国際試合が行われる度に指摘されているのだが、外国人投手特有の“手元で動く直球”、ムービングボールに苦しめられてきた。
ディフェンス重視なら、甲斐。攻撃力も兼ねてなら、森を使うべきだ。WBC本番での布陣はまだ白紙だが、
「オーストラリアとの強化試合2戦(11月9、10日)が試金石になるでしょうね。甲斐が打てるかではなく、ディフェンス重視で行くのか、攻撃力優先なのかがハッキリするでしょう」(前出・同)
との声も聞かれた。
試合前、三塁で昨年ゴールデングラブ賞を獲得した巨人・岡本和真が一塁の守備練習に加わっていた。二塁が本職の東京ヤクルト・山田哲人もファーストミットを持参したとの情報も聞かれた。
“複数ポジション制”は事前通告されていたはず。だが、併殺プレーでの送球のタイミングなど“ビミョ~なミス”も出ていたという。
森が存在感を見せれば、今後のFA交渉での提示額もつり上がっていく。甲斐も来季の正捕手の座を安泰とするためにも強化試合でアピールしなければならない。「世界一奪還」のカギはキャッチャーが握っている。(スポーツライター・飯山満)