そんな中、9月28日に一軍に合流してきたベテラン・藤田一也の存在感が増してきた。29日のドラゴンズ戦で7月3日以来の打席に立つと、山本拓実の投じた6球目のストレートを強振。ボールはライトポール際に伸びていくも惜しくもファールとなったが、次のシンカーをコンパクトに振り抜きセンターにクリーンヒット。
2日の本拠地・横浜スタジアムでの今シーズン最終戦では5回に代打で登場し、森敬斗とのヒットエンドランを敢行。鋭い当たりがセカンド頭上を襲ったが、惜しくもボールは吉川尚輝のグラブに収まる不運に見舞われた。その後はサードに今シーズン初となる守備につき、7回には慣れ親しんだセカンドへ守備位置変更。その裏の攻撃ではチャンスで凡退となったが、しっかりと引っ張りランナーは進めてみせた。8回にはゴロとフライの2回の守備機会をなんなくこなし、9回のワンアウト一、二塁のケースでは昨日手も足も出なかったジャイアンツの抑えの切り札・大勢の153キロのストレートを引っ張り、セカンドゴロに打ち取られるもランナーは進め、一打サヨナラの場面は作った。
三浦大輔監督も「春先は守備にはつかなかったですけど、あえて2つ守ってもらいました。もちろん守備は(うまいことを)分かってますから。でも一応一軍では久しぶりでしたから守ってもらいました。問題なかったです」とニヤリ。「代打でも守備でも。コンディションも良さそうですし、練習を見ていても若返って帰って来たかなってイメージです」とCSでも戦力になるとの考えを示した。
春先は代打の切り札として2回もお立ち台に登った藤田一也。横浜愛にあふれた“ハマの牛若丸”は、楽天時代に培った日本一の経験を胸に、若い三浦ベイスターズをノセていく。
取材・文・写真 / 萩原孝弘