斎藤隆チーフ投手コーチも「みんなの思いを背負っているのは大貫が一番分かっていると思うが、そこをプレッシャーに感じず思い切って投げ、最高のアウトを一つひとつ重ねていってほしい」と大きな期待をかけられてのマウンドで、結果7回を投げきり、失点はわずかに1とハイクオリティスタートを達成。8月26日に決勝の3ランを許した村上宗隆に対しても、3打数ノーヒットに封じ込めリベンジに成功した。
しかしゲームは味方打線が沈黙し、悔しい敗戦。本人は「先制点を与えてしまい、結果チームが負けてしまったことが悔しいです。意識はしてきましたが、より強く先制点を与えない投球というものを意識して取り組んでいきたいです」とくちびるをかんだが、三浦大輔監督は「前回登板後からこの日に合わせてくれていましたし、しっかり投げてくれた。丁寧に大胆にしっかり投球ができていたと思います」と賛辞を惜しまなかった。
現在10勝と、三浦現監督以来となる2回目の2桁勝利を達成している大貫は、チームで唯一先発ローテーションを守り続け斎藤コーチも「先発陣では最大の貢献者だと思っています」と評価するなど信頼度は抜群。本人がよく口にする「長いイニングを投げないと」との課題も、登板間隔を空ければ、今回のように7回を投げきることも可能と証明してみせた。
この日の敗戦で首位とのゲーム差は7.5に広がってしまい、スワローズにはマジックが点灯。現実的に逆転優勝は非常に厳しい状況となってしまったが、まだポストシーズンが控えている。8月下旬のスワローズ戦では、3連戦で2打席しかアウトに取れなかった村上を、今回しっかり抑えた大貫が、この先のリベンジへのキーマンとなる。
取材・文・写真 / 萩原孝弘