1959(昭和34)年、静岡県浜松市内で16歳の少年3人が銃刀法違反の疑いで逮捕された。
少年らは本格的な拳銃を持っていた。「コルトM1903」、「リボルバー S&W」と銃マニアなら誰でも知っているタイプの銃で、殺傷能力も非常に高いものだった。
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一体なぜ、静岡の若者3人がこんな物騒なものを所持していたのか……。
実はこの拳銃、逮捕された3人の16歳少年のうちひとり、無職のAが自ら作ったものだったという。
16歳ながら天才的な工作技術を持ち、なんと見よう見まねで本物そっくりな拳銃を作ってしまったのだという。
Aは昔から手が器用で図工や工作はお手のもの。「将来は優秀な技術者になるのでは」と学校内でも注目の的だった。
だが、A君は高校に入る頃になると病気で足が不自由になってしまった。高校はやめることになり療養生活に入ったAはふさぎ込み、さらに工作にのめり込むようになっていった。
Aは以前から映画の西部劇が大好きで、映画雑誌などを買い込んでいた。
そのうちAの心には「カッコイイ拳銃を手に入れたい」という願望が湧き出し、なんと自ら本物の拳銃を作ることにしたのだ。
当然本物の銃を作るには資料が必要であり、地元の図書館や古本屋で資料を購入。材料となる鉄や火薬は近所の工事現場から調達し、見よう見まねで拳銃を作った。
見よう見まねといっても殺傷能力は高く、作った弾を詰めると150メートルは飛ぶという本格的なものであった。
さらなる改良を考えたが、無職のAには今後研究のための金がないため、高校の友人だったガンマニア2人に1丁2000円で売っていたという。
だが、やはり悪いことはできないもので、高校生のひとりが拳銃を所持していたことがバレて3人そろって逮捕となった。
もっとも、彼らはあくまで拳銃を持っていただけ。人に向けて撃ったり悪用していたわけではなく、拳銃は処分されすぐに釈放となったようだ。
その後のAがどうなったのかは分からないが、彼の類まれなる才能が大人になって良いことに使われたことを祈りたい。