ファームでは20試合に登板し、4勝3敗1セーブ、防御率4.85と図抜けた成績とは言えない。しかしこの数字は開幕当初に調子が上がらず、6試合で無失点は1試合のみで、防御率が10点を超える状況から持ち直した成績で、8月22日のスワローズ戦では先発して5回を3失点の内容。川村丈夫ピッチングコーチも「先発ピッチャーとして結果を出している。期限がそろそろ迫ってきているので、次の登板がラストチャンスで本人も気合が入っている」と明かしていた8月28日のジャイアンツ戦では、先発で6回を無失点と結果を出した。支配下登録への最終テストでの好投は、プレッシャーに強いハートの持ち主であることの証拠だ。
現在のベイスターズの先発陣は、肩の手術から復活した今永昇太を軸に、前半の不調を脱した3年目右腕・大貫晋一、逆境に強い2年目左腕・坂本裕哉と、後半戦からは新外国人のフェルナンド・ロメロと高卒5年目の京山将弥が加わった陣容。
ファームでは後半戦から中継ぎから先発に配置転換され、1日のゲームではあわやノーヒットノーランの快投を見せた石田健大、今シーズン途中に国吉佑樹を放出してまで獲得した有吉優樹、不調からの脱却を目指す上茶谷大河に、トミー・ジョン手術から徐々に復活している東克樹、腰痛の癒えたマイケル・ピープルズ、そして今季開幕投手の濱口遥大も調整に回るなど、実績十分なピッチャーたちが爪を研いでいる。
支配下での会見では「プロ11年で一番良い」とコンディションの良さを強調し「ここからが勝負という気持ちを持って、ベイスターズさんのチームの勝利に貢献できるように頑張っていきたいと思います」と語っていた宮國椋丞。ライバルは決して少なくないが、戦力外から育成を経てはい上がってきたハングリー精神を武器に、6枚目のローテーション切符を狙っていく。
取材・文 / 萩原孝弘