5月に在留カードを偽造した疑いで、元技能実習生の中国人の男性2人が逮捕された。この2人は7月にもTOEICの公式認定証を偽造した疑いで書類送検されている。警視庁によると、この2人が“偽造ビジネス”を行っていた都内の住居では、偽造在留カードが大量に作られ、7500万円以上を売り上げたとみられる。
押収されたパソコンからは、1万件の偽造証明書のデータが見つかり、その中には、マイナンバーカード、運転免許証、医師資格証、住民票、卒業証書、在留カードなど、さまざまな偽造した証明書があったという。
犯罪の背景には、偽造身分証が売買されるネット上の“闇の市場”の存在がある。TOEICの事件では、中国人男性らは偽造証明書の発行を請け負うサイトを通じて、日本人の女性から作成依頼を受け、16万円を受け取っていた。
セキュリティーソフトの専門家によると、カードローンの審査を偽造免許証で通そうとしている人たちが、やり取りするグループを立ち上げているという。偽造免許証でどこのローンが実際に通ったのか情報交換している。
そして、こうした犯罪が増えている背景には、デジタル技術によって偽造が巧妙化していることが挙げられる。生成AI技術の発展により、ディープフェイク技術を使った偽画像など、なりすましが見分けにくくなっているのだ。
偽造身分証による犯罪被害を防ぐにはどうすればいいのか。ジャーナリストの石原行雄氏は番組の中で、「個人情報はシビアに管理する。怪しいサイトで買い物や登録をしない、アンケートサイトなどに、家族構成や年収、資産などを書き込まないこと。クレジットカードの使用履歴をこまめにチェックし、異変があればすぐにカード会社に連絡すべきです」と警鐘を鳴らしている。
ネットの便利さの裏に潜む「なりすまし犯罪」。誰もが被害者になり得る時代である。

